女子たちに何があったんだ?
束の間の平穏。別に平和が訪れた訳ではない。東ではエドがアイヅへの侵攻作戦を準備中だし、俺の国の西側ではミマサカへの侵攻作戦の準備中である。
平穏なのは敵の戦力が衰え、今すぐに向こうから攻めてくる可能性がほとんどないからである。もっとも、俺たちの側も多くの戦力を失っており、今日の明日で敵国に攻め込む余力がなく、各地の部隊を再編して、国境に移動させているのだ。
もはや、勝利は時間の問題。そんな状況の中、俺たちのような高校生は普段の生活に戻る事が許されていた。
ところがである。俺はあの戦いの後、撃墜王ともてはやされる存在になってしまったのである。
俺が思うにだ、確かに俺はあの戦いで活躍したかも知れないが、これは国家の作戦だと思う訳だ。
隣国の不意の侵攻で、多くの犠牲者を出してしまった。特に俺の国の西側の地区では、破壊された街なんかもある訳だ。
怒り。
国民の中に、そんな気持ちもあるが、戦禍を身近に味わった者たちの中には、意気消沈する人もあるだろう。そんな人たちの気分を盛り上げる役に、俺が担ぎ上げられた。そう言う事だと思っている。
若い高校生も、国のために頑張った。
俺たちもくよくよしてられない。
俺たちも頑張るぞ!
まあ、そう言うためのものだろう。
そして、その作戦は見事に成功してしまっている。俺が歩けば、ひそひそと声が聞こえてきたり、握手を求められたり。
俺の普通の日常はしばらくは戻ってきそうにない。
それでも、学校の中ではまだましである。
体育の授業を終えて、俺は自分の机に座って、ぼんやりとしていた。女子たちはまだ教室に戻ってきていない。
俺がいない間に陽香と玲奈、そして彩加の関係は冷却期間を置くことになって、平和になっているかと少しは期待していたのだが、全くそんな事は無かったらしい。俺がいなくても、いや俺の友達の言葉を借りると、俺がいないのをいい事に陽香と玲奈の彩加に対する態度は冷たかったらしい。しかも、女子たちがそこに加わって、彩加が一人ぽっちになっていたようで、事態は悪化したと言えた。
まぁ、彩加のようなタイプが女子から嫌われるのは分かる気もするが。
俺は憂鬱な気分でぼんやりと座っていると、廊下が騒がしくなってきた。
どうやら、女子たちが着替えも終わって戻ってきたらしい。
俺が教室のドアに目をやる。教室に戻って来る女生徒たちの表情はどことなく、緊張感を宿していた。
なにがあったんだ?
そう思ったのは俺だけではなさそうだ。教室にいた男子はみな怪訝な表情で、教室に入ってくる女子を見ている。




