2 幕間 3
「あぁ!イラはなんて恐ろしい娘なんだろう!」
「イラの企みを見抜く奴がいて良かったよ」
「一安心だ」
「それで、結局イラの死体はどうなったんだ?」
「誰かが埋めたのか?」
「それとも、死体があるいて立ち去ったとか!」
「そんな馬鹿な話があるか」
「大方、狼か何かが食べたんだろう?」
「あの森には狼がいるのか?」
「あれだけ深い森だ。狼の一匹や二匹、いるんじゃないか?」
「そうか、あの森には狼がいたんだな」
「食われたのがイラで良かったな」
「不幸中の幸いだ!」
「なぁ、イラが森に村人を立ち入れさせなかったのは、狼のせいじゃないのか?」
「そうなのか?」
「いや、判らないけど」
「まぁ、狼のいる森にはあんまり入りたくないよな」
「イラがいたから、村人は森に入らなかったし」
「誰も狼に遭遇しなかった」
「イラは村人を森に入れないことで、狼から守っていたんだ」
「イラは狼に食べられて死んだんだろうか?」
「まぁ、イラの死体は狼に食べられたんだろうな」
「村人の身代わりになってくれたんだ」
「そいつは随分と尊い自己犠牲の精神だな」
「おいおい、イラは聖職者かなにかか?」
「聖職者なんて口先だけの金の亡者じゃないか」
「今時、真っ当な自己犠牲の精神を持った聖職者なんていやしないさ」
「いるとしたら、聖女様か何かだろうよ」
「つまり、イラはまるで聖女のような娘だった!」




