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ソラの向こう側は、ユウ闇に煌めく  作者: 乙希々


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第二章 異世界サバイバル

 ──僕とソラが異世界に迷い込んでから、早くも三日目の朝を迎えた。


 その間、まるでおとぎ話に出てくるような小人夫婦のミニハウスで一晩過ごしたり、オネエ言葉で話すモフモフなアライグマさんから買い物もした。


 それこそ昨日は、異世界の街を探索したりもした。でもそこは、街という表現よりも人っ子一人いない朽ち果てたゴーストタウンで、でも何故か日本風の神社らしき建物だけはしっかりと原型を留めていて、だから一晩、ソラと二人で宿泊(特に深い意味はなし)してみれば、真夜中に祭の幻覚を見せられたりと……それはまあ、事あるごとに現代の常識では考えられない摩訶不思議現象に遭遇しながらも、何やかんやで僕たちは、迷い込んだこの異世界を無事に生き延びていた。


 当然、僕はソラと二人で無事に元の世界に戻ることを前提に行動しているが、現在に至るまで帰還への手がかりがまるで無い。


 元を正せば校舎にあった〝アンティークな大鏡〟を経由してこの異界にやって来たのだから、また何らかの儀式を用いて似たような鏡経由で元の場所に戻れるのでは? と何の根拠もない仮説を立ててみたが、現状それらしい方法はもちろん、小さな手鏡すら見つけられていない。


 そもそもこの世界に『鏡』そのものがあるかどうかも怪しい。


 もし僅かでも可能性があるとすれば、やはりあの怪しげな神社な訳で、とはいえ、境内けいだいにある建物の殆どが封鎖されていて、中に入れないのだから調べようがない。


 扉を壊して中に無理やり入る(ソラ提案)ことも、一応検討した。しかし、昨晩現れた得体の知れない守りキツネさん的存在がそんなバチあたりなことを見逃すとも思えず、昨夜の出来事を体験した今となっては、もうこれ以上神社そのものに関わること自体、危険極まりない。


 ──そう結論付け、朝一番で街(廃墟)に戻ってきたわけだが、瓦礫がれきしかない場所に留まっていたって、これ以上どうしようもなく……かと言って、このまま水も食料も満足に得られない状態で、僕ら二人だけで当てのない旅路に出るのは自殺行為だし、だからソラとじっくりと話し合った結果、とりあえずはここを拠点とし、今後に備えることにした。


 そうと決まれば、まず僕ら二人が当面の間寝起きする場所なのだが、これはソラと協議するまでもなく即決だった。


 とにかくこの街には、あの日本式神社は別として、まともに原型を維持している建物自体が皆無だ。その大半が骨組み、または更地だったりする。これは推測だが、多分この世界には公的な組織みたいなものがあって、過疎化、災害等が原因で街全体が整理区画にされたんじゃないかな?


 それでも奇跡的に残っていた建物──僕らが昨日最後に探索した二階建ての家。外観こそ朽ち果てた日本家屋といった風貌だが……まぁ、我慢さえすれば住めないことはない。少なくとも雨風はしのげるだろう。雨漏りは知らん。あの怪しげな神社に寝泊まりすると思えば、幾分マシだ。


 何よりも二階建てというのが助かる。これで僕とソラそれぞれ一階と二階で別々に休める。


 ソラだって、その方が落ち着いて寝ることが出来るだろう。これで僕も一晩中悶々としないで済む。


 ちょっと残念だけど……ね。


 てなわけで、早速、僕とソラは例のボロ家に移動して、それぞれ自分の寝るスペースを確保した。ちなみに僕が一階でソラが二階だ。


 それと同時に問題が勃発した。家の床には干からびた乾燥海苔みたいのが散乱していて──とにかく衛生上に悪い。これではまともに休むことが困難だ。今すぐにでもゴミを取り除き、ゴシゴシ雑巾がけをしたいのだが、何しろ水が勿体無い。当然水道なんて便利なものは存在しないので、頭を抱えた。


 あの神社に一旦戻って湧き水を確保してくるのが手っ取り早いのだが、行きはともかく帰りに、水が入った重い容器を抱えて絶壁の石段を下るのは正直無理。そもそもあの神社にもう一歩たりとも足を踏み入れたくない。


「──街の外の川……そこで水をんでくればどうかな?」

「あ、そうか」


 たしかに、街の門の近くに小川みたいな水辺があった。でもさすがに水質とか気になって、敬遠していたけれど。これからはそんなことは言ってられない。何とか火を起こせれば飲料水として利用できるかも、だ。


 それこそ、この街から出てはいけないという縛りはないし、外に出れば何か食料になるものがあるかもしれない。 魚とか果物とか。


 このままじゃ、ジリ貧だし、危険はどこにいてもつきもの。


 多少リスクを被っても──


「じゃあ、ソラ。これから外に行ってみますか。部屋の掃除はそれからかな」

「うん。そうだね……ちょっと怖いけど」


 そして僕とソラは中身を空にしたカバンとリュックサックを背負って、いざ街の門へと向かうのだった。

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