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ソラの向こう側は、ユウ闇に煌めく  作者: 乙希々


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幕間② メルモの手記

 ──わたしの名前は【メルモ・ミナグチ】。


 まだまだ歴史に、特に民族学の知識は浅いのですが、深い関心を抱いている18歳です。


 しかし、王国ではあまり民族関係の研究が盛んではありません。その中でも、かつて『ヒト』と呼ばれていた種族──『中人族なかびとぞく』についての文献は皆無で、その長い歴史が闇に埋もれたと伺っています。


 それでも現在、中人族が完全に絶滅したかといえば、決してそうでもありません。わたしが住む街にも何人かの方が居住されています。

 

 とりわけ彼らが街の住人に疎外されることもなく、皆がわたしたちと同様に仕事をし、王国に税を収めて生活なさっています。姿形が違えど、誰もがすべて平等であるのは当然の権利ですから。


 わたしが勤めるリンゴ農園にも、中人族出身の女性が一人いらっしゃいました。かなり年配の方で、いつもお身体を辛そうにされていたのが今でも記憶に残っています。


 加えて先日、その女性、スズキさんはお亡くなりになりました。お話によると流行り病をこじらせたようです。それとスズキさんは一人暮らしで、ご遺族は誰もいらっしゃらなかったようです。ご遺体は法に従い速やかに埋葬されました。


 わたしは彼女がくれた『ツケモノ』という食べ物を今でも忘れることが出来ません。発酵された野菜を塩漬けにしたようで、とても新鮮な味でした。


 わたしが中人族に関心を抱いたのは、スズキさんのことがきっかけだったかもしれません。


 しかし、資料も何もないこの状況では、わたしは彼らについて何も知り得ることが出来ません。


 中人族であったスズキさんですら、曖昧な知識しかありませんでした。ただ祖先が中人族だっただけで、その歴史や文化のすべてが彼女に伝えられていなかったみたいです。


 そんな時でした。


 職場に定期的に物を売りに来るおじさんが、わたしに興味深い話をしてくれました。


「ここに来る道中に、中人族の若い男女に会った」と──


 わたしはそれを聞いて驚きました。


 今まで自分と同じ年頃の中人族に出会ったことはありません。俄然興味が湧きました。


 何でも彼の話だと、ここから近い『カモガワ』を目指して二人で歩いていったとのこと。


 カモガワは今でこそ誰も住んでいない街の跡地ですが、かつては大勢の中人族が生活していたと記録されています。亡きスズキさんもそちらの出身だったとか。人口の過疎化が原因で街が滅びてしまったようです。


 そのような場所に、何故今さら年端もいかない中人族の男女が?


 次の日、わたしは二人を追うべくカモガワに向かうことにしました。是非とも彼らと直接お会いしてお話がしたかったからです。


 そして、叶うのであれば、ふたりとお友達になりたいと、思いました──

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