第7話 炎の魔法と拳の覚悟
ゼルドと蓮が睨み合う。
周囲の空気は張り詰め、誰もが次の瞬間を息を呑んで待っていた。
蓮は拳を軽く構え、無言でゼルドを見据える。
その時、グリッドが一歩前に出て、低い声で吐き捨てた。
「ゼルド…てめぇ、蓮に勝てないからって、仲間を盾にして汚ぇ奴だなぁ!」
ゼルドの眉がピクリと動く。
彼は自分の力に絶対の自信を持っていた。
民衆の中で、グループでいる蓮を狙ったのも、
「まとめて相手にしても勝てる」という確信があったからだ。
だが、卑怯者呼ばわりされたことに、ゼルドは憤慨する。
「俺が卑怯者だと?笑わせるな。むしろ一人の時を狙うこともできたのに、仲間といる時を選んだのは俺の慈悲だ。」
蓮は静かに笑った。
「しかも不意打ちでよ?自信があるなら公式の場で堂々と正規のルートをとってやれや。闇討ちみたいなことしないでよ?」
その一言が、ゼルドの誇りを逆撫でした。
炎の魔力がゼルドの周囲に立ち上り、空気が熱を帯びる。
「いいだろう…そこまで言うのなら公式戦だ。」
ゼルドは宣言する。
「俺なりの計らいだったんだがな。今、俺に負けるだけなら噂どまりだが、公式戦で負ければ、学校中に真実として知れわたる。一対一、ルールに則った試合だ。誰もお前を助けることはできないぞ?それでいいんだな?」
周囲がざわめく。
公式戦――それは学園で最も権威ある決闘制度。
小細工はできない。純粋な力と技だけが試される場だ。
蓮は肩をすくめ、拳を鳴らした。
「お前…見かけによらず優しいんだな。何だかんだ俺のこと考えてくれてるんだな。」
ゼルドの炎がさらに燃え上がり、決闘の火蓋が切って落とされようとしていた――。




