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第6話 魔力ゼロの少年と掃除係の誇り

魔法学園に入学した蓮とグリッド。

グリッドはかつて不登校だったが、蓮との出会いをきっかけに、真面目に通うようになった。


入学初日。

魔法使いのいじめっ子、ゼルド・フレイムが蓮に絡んできた。


「ここでは魔法が使えるヤツが偉いんだよ。魔力ゼロのゴミは、掃除でもしてろよ」


蓮は少し考えてから、静かに言った。

「掃除をすればいいのか?」


そして、黙って掃除を始める。

周囲の生徒たちは大笑い。


「ビビってるだけじゃん!」

「マジで掃除してるよ、ウケる!」


グリッドが慌てて止めに入る。

「蓮さん、そんなことしなくても…」


だが蓮は、ほうきを動かしながら答える。

「でも誰かが掃除はしないといけないだろ? 一番最後に入学した俺がやるのは、まあ筋な気もするし」


本当は内心嬉しい蓮だった。

現世では周りは畏怖して自分には何もさせてもらえなかった。

自分で掃除をしていた日には、部下は自分で自分の顔を殴りだして土下座して謝罪してくる始末だ。


「掃除でもしてろよ」

そんな言葉をかけられたのは生れてはじめてだった。


人から指示されて動くのは実は嫌いじゃなかったことにも驚いた。



グリッドは何も言えなくなった。

蓮の素直さと誠実さが、周囲の嘲笑とは対照的だったからだ。


次にゼルドが言った。

「じゃあ次はパン買ってこいよ。使えないヤツは使われてろ」


蓮はポケットを探りながら答える。

「わりーな。金は持ってないんだ。日本円で良ければ、やるけど」


そう言って、見慣れない紙幣を取り出す。

「これ、1000円札ってやつ。こっちじゃ使えないだろ?」


ゼルドは一瞬言葉を失い、周囲もざわつく。

「何それ…見たことない通貨…」


蓮の正体や過去に、少しずつ興味が集まり始める。

そして、魔力ゼロの少年がこの学園に何をもたらすのか――誰もまだ知らなかった。




魔法の炎と拳の覚悟

グリッドが慌てて蓮の前に立つ。

「蓮さん、やばいですよ…ゼルドは強い魔法使いで…!」


だが、ゼルドはグリッドを炎の魔法で弾き飛ばす。

「邪魔すんなよ。お前も火あぶりな?」


ゼルドの手から、赤々とした炎が立ち上る。

周囲の生徒たちは距離を取り、怯えながら見守る。


蓮は炎を見つめながら、静かにグリッドに問いかける。

「これは…俺、いじめられてるのか?」


グリッドは苦しそうに答える。

「はい…逃げてください…!」


蓮は周囲の生徒たちにも問いかける。

「俺は被害者か? 俺って可哀想か?」


生徒たちは顔をそむけ、口々に言う。

「俺を巻き込むなよ」

「関わりたくない」


そして、次々とその場を離れていく。


蓮はニコニコと笑いながら、ゼルドに向き直る。

「お前は魔法を使える。俺は使えない。

有利なのはお前だし、喧嘩を吹っ掛けてきたのもお前だ。

だから、殴られても“いじめられた”とか言うなよ?」


そう言って、蓮は拳を鳴らす。

その音は、炎よりも重く、静かに場の空気を変えた。

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