第5話 失われたゲートと新たな日常
蓮とミリアは急いでゲートへ向かった。
だが、案の定、間に合わなかった。
ミリアは立ち尽くし、涙ぐみながら言った。
「ごめんなさい…私のせいで…」
蓮は少し寂しげに微笑み、静かに答える。
「別にええよ。正直、もうあっちの世界に興味なかったんだ。俺がいない方が、みんな幸せかもしれんしな…」
気を遣う周囲、自分の顔色を窺い、言葉一つ一つに気を遣う日々
そんなのにつかれたんだ。
その言葉に、ミリアは胸を締めつけられるような思いを抱く。
彼の孤独に気づいたからだった。
そして、ミリアは蓮に仕事を紹介する。
その過程で、蓮が未成年であることが判明し、ミリアは驚愕する。
「えっ…蓮って、まだそんな若かったの!?」
蓮は照れくさそうに頭をかく。
「まあ、ちょっとだけね」
ミリアは保護者として蓮を学校に通わせることを決意する。
新しい生活が始まった。
登校初日。
蓮は校門前で、かつて敵だったグリッドに呼び止められる。
「おい、蓮!」
蓮はキッと睨みつける。
だが、グリッドは頭を下げて言った。
「喧嘩じゃねえ。俺を…子分にしてくれ!」
蓮は目を丸くし、思わず吹き出す。
「は?なんでやねん…」
グリッドは真剣な顔で答える。
「お前みたいなヤツのそばにいたら、強くなれる気がするんだ」
蓮は少し考えた後、肩をすくめて笑う。
「まあ、ええけど…変なことすんなよ?」
蓮とグリッドは、共に未成年だった。
ミリアの手続きによって、二人は同じ学校に通うことになる。
グリッドはかつて不登校だった。
理由は、学校で、より強力な魔法使いたちにいじめられていたからだった。
その憂さ晴らしに、彼は弱い魔法使いをいじめていた。
「でも、いじめはよくねーな」
蓮の一言が、グリッドの心に静かに響いた。
入学試験の日。
魔力値の測定が行われる。
グリッドは平均以上の魔力値を示し、周囲を納得させる。
そして、蓮の番が来る。
測定器が静かに告げる。
「魔力値:0」
場がざわつく。
どんなに出来の悪い生徒でも、最低でも「5」はある。
「0」は前代未聞だった。
周囲の生徒たちはニヤニヤと笑い始める。
「魔力ゼロって…マジかよ」
「入学ミスじゃね?」
グリッドも驚いたように言う。
「蓮さんって、魔力が高いんだと思ってたのに…魔法、使えないんですね」
蓮は肩をすくめて笑う。
「まあ、魔法がすべてじゃないやろ」
その時、いじめっ子たちが現れる。
彼らは魔法の才能を鼻にかけ、弱い者を見下していた。
魔法使いのいじめっ子たち
ゼルド・フレイム:炎属性の魔法を得意とする高慢な少年。魔力値は「92」。
リリス・グランマール:氷属性の魔法使いで、冷酷な性格。魔力値は「88」。
バロック・スパイン:土属性の魔法使いで、力任せの暴力を好む。魔力値は「85」。
彼らは蓮を見て、あざ笑う。
「魔力ゼロ? ここにいる意味あるの?」
「魔法が使えないなら、掃除係でもやってなよ」
蓮は静かに彼らを見つめる。
その瞳には、怒りも悲しみもない。
ただ、真っ直ぐな意志だけが宿っていた。




