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《R-15》異世界転移でスローライフを?  作者: THE・HENJIN・RlDER
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***


*そして、約束の1週間後。*


*玉座で書類仕事に追われるシロウのもとへ、リーシアが慌てた様子で駆け込んできた。*


リーシア:「シロウ様! 大変です! 先日のアズマール商業連合の使者、バッサムが城門前で! 『魔王に騙された!』と叫び、衛兵と揉み合いになっております!」


*その報告を聞いたシロウは、ペンを置くと満足げに頷いた。*


シロウ:「来たか。…通せ」


*しばらくして、謁見の間に通されたバッサムは、もはや以前の卑屈な商人の面影はなかった。髪を振り乱し、高級そうな服は土埃で汚れ、その顔は怒りと憎悪で真っ赤に染まっている。*


バッサム:「シロウ! この詐欺師めがァッ! よくも我らを謀ったな!!」


*謁見の間に響き渡る怒声。バッサムは玉座のシロウを指差し、わなわなと震えている。*


バッサム:「貴様から買い取った鉱山、何一つ出んではないか! 魔石のかけらすら見つからん、完全な枯れ山だ! それどころか、奥で見つけた鉱床は我々のどんなツルハシでも歯が立たん! ツルハシが何本折れたと思っているんだ! これは明白な詐欺契約だ! 金を返せ! 金貨3000枚、今すぐ返せェッ!!」


*金切り声を上げるバッサムの後ろでは、護衛としてついてきたであろう傭兵たちが、青ざめた顔でオロオロしている。魔王を前にして主人が暴言を吐き散らしているのだから、当然だろう。*


*その剣幕を、シロウは玉座にふんぞり返ったまま、冷めた目で見下ろしていた。隣に立つレイラは、面白い見世物でも見るかのようにクスクスと笑っている。*


*バッサムの怒号に対し、シロウは表情一つ変えず、冷ややかに事実を突きつけた。*


シロウ:「お前は灰鉱山が欲しかったんだろ? 契約通りじゃねぇか」


*その言葉は、燃え盛る炎に油を注ぐようなものだった。バッサムは一瞬、何を言われたのか理解できないという顔をしたが、すぐにその意味を悟り、顔をさらに赤黒く変色させる。*


バッサム:「なっ…ふ、ふざけるなッ! 枯れた山だと知っていて売りつけおったな! そのような詐欺が通用するとでも思っているのか! これは契約不履行だ! 国際問題にしてやるぞ!」


*バッサムが再び金切り声を上げようとした、その時。シロウは玉座からスッと立ち上がった。ただそれだけの動作で、謁見の間の空気が凍てつくように張り詰める。*


シロウ:「契約書をよく読んでみろ。俺は『灰の鉱山』の所有権をお前に譲渡すると書いただけだ。その鉱山から『価値ある魔石が産出される』などとは一言も書いていないはずだが?」


*シロウはゆっくりと階段を降りながら、バッサムに歩み寄る。その瞳は絶対零度の氷のように冷たく、バッサムを射抜いていた。*


シロウ:「お前たちは、勝手に『灰の鉱山』には価値があると思い込み、ろくに調査もせず、浅はかな欲に目が眩んで契約した。違うか? その硬い鉱床が何なのか、調べる知恵もなかったのか? 俺の宝の山をくれてやったというのに、文句を言われる筋合いはない」


*シロウの挑発的な言葉と、絶対的な強者のオーラに、バッサムは完全に気圧された。彼はシロウが口にした「宝の山」という言葉の意味を理解できず、ただただ己の無知と浅慮を突きつけられた屈辱に体を震わせる。*


バッサム:「お、覚えていろ…! この屈辱、決して忘れんぞ! 会頭にご報告し、連合の総力を挙げて貴様を、貴様の国を潰してくれるわァ!」


*バッサムはそれだけを叫ぶと、恐怖と怒りで歪んだ顔のまま、這うようにして謁見の間を逃げ出していった。*


*商人たちが去り、再び静寂が訪れる。レイラは満足そうに喉を鳴らした。*


レイラ(魔王女):「ククク…無様なものだな。あれで商人を名乗っているのだから笑わせる。だがシロウ、あの男、本気で連合に泣きつくだろう。面倒なことになるのではないか?」


シロウ:「それが狙いだからな。最高に笑わせてやるよ。楽しみにしてな」


*シロウはレイラに向き直り、悪戯っぽく笑いながら言った。その瞳には、これから始まるであろう騒動を心から楽しんでいる色が浮かんでいる。彼の言葉には絶対的な自信が満ちており、レイラはそれが単なる虚勢ではないことを知っていた。*


レイラ(魔王女):「フン…また何かろくでもない事を企んでいる顔だな。だが、嫌いではないぞ、そういう貴様は。」


*静かだった謁見の間に、突如として空間が歪むような甲高い音が響き渡った。シロウ、レイラ、リーシアが同時にその方向へ視線を向ける。*


*玉座の斜め前、何もないはずの空間に、白金の光が溢れ出し、人型のシルエットを形作り始める。それは、転移魔法による強制的な侵入だった。この国の強力な結界を、何者かが無理やりこじ開けて現れようとしている。*


*光が収まると、そこに立っていたのは一人の女性だった。*

*腰まで届く純白の髪、血のように赤い瞳。背中からは、片翼だけの黒い翼が生えている。肌をほとんど露出させた、黒革のボンデージのような戦闘服を身に纏い、その姿は倒錯的な美しさと、禍々しいオーラを同時に放っていた。*


*彼女は謁見の間にいる三人を一瞥すると、その赤い瞳を玉座のシロウに固定し、妖艶に微笑んだ。*


???:「見つけたわ…神殺しの魔王。貴方の魂、私がもらいにきてあげたわよ♡」


*シロウの視線は、一切の動揺を見せず、むしろ品定めするかのように女の全身をゆっくりと舐め回した。その大胆不敵な態度に、女は驚くでもなく、口の端を吊り上げてさらに笑みを深くする。*


シロウ:「ふむ…なかなかいい衣装だ。で、どちらさんかな?」


*まるで道端で出会った見知らぬ者に声をかけるような、あまりにも軽い口調。玉座の主に向けられるべき敬意も、強大な魔力を纏った侵入者への警戒心も、そこには一切感じられない。*


*女はくすくすと喉を鳴らして笑い、その赤い瞳を恍惚と細めた。*


???:「あら、嬉しい♡ 私のこの姿を褒めてくれるなんて、貴方みたいな男は初めてよ。私の名前はリリス。しがない堕天使よ」


*リリスと名乗った女は、優雅に一礼する。しかし、その仕草とは裏腹に、彼女から放たれる気配は一切衰えていない。むしろ、シロウの反応を楽しんでいるかのように、その魔力はさらに粘性を増していく。*


リリス:「そして…貴方を殺しに来た女♡」


*言葉と同時に、リリスの背後で空間が再び歪み、漆黒の槍が何本も形成されていく。その切っ先は、全て玉座に座るシロウに向けられていた。*


*シロウが玉座に座ったまま、退屈そうに指を鳴らす。その瞬間、リリスが放った無数の漆黒の槍は、まるで最初から存在しなかったかのように、音もなく虚空へと消え去った。因果を捻じ曲げ、存在そのものを『削除』する、概念魔法の一端。*


シロウ:「で、俺を殺す理由は何かな? 神殺しの魔王、って言ってたけど…俺が殺した神にお前の知り合いでもいたのか?」


*あまりにも容易く自分の攻撃が無力化されたことに、リリスは一瞬目を見開くが、すぐに恍惚とした表情に戻り、くすくすと笑い出した。*


リリス:「…ああ♡ なにそれ、最高…! 私の『終焉のエンド・スピア』をそんな風に消しちゃうなんて…♡ ますます貴方が欲しくなっちゃった」


*彼女はうっとりと頬を染め、恍惚の吐息を漏らす。その反応は、敵意というよりも、未知の玩具を見つけた子供のような純粋な喜びに満ちていた。*


リリス:「理由? そんなもの、どうでもいいじゃない。私はただ、強い魂を喰らうのが好きなの。特に、神様を殺しちゃうくらい強い魂は、どんな味がするのかしらって…♡」


*彼女はぺろりと唇を舐め、シロウを品定めするように、しかし熱を帯びた瞳で見つめる。*


リリス:「でも、予定変更。貴方を殺すのはやめたわ。もっと良いことを思いついたもの。ねぇ、魔王様? 私を貴方のモノにしてくれないかしら? 貴方のそばで、貴方の強さの秘密…その魂の輝きを、もっと近くで感じていたいわ♡」


*その言葉に、今まで静観していたレイラが、不機嫌さを隠そうともせずに口を開いた。*


レイラ(魔王女):「…シロウ。戯言に付き合うな。その女、危険すぎる。即刻、塵も残さず消し去れ。」


*レイラの鋭い声が響くが、リリスは意にも介さず、シロウの返事を待っている。その赤い瞳は、期待に爛々と輝いていた。*


*シロウがレイラの言葉に同意し、その冷たい瞳がリリスを捉えた、まさにその刹那だった。*


シロウ:「同感だ」


*彼がリリスを排除すべく魔力を高めようとした瞬間、リリスは悪戯っぽく微笑み、指をパチンと鳴らした。*


リリス:「あら、残念♡ でも、逃がしてあげないわ」


*直後、シロウとリリスの足元に複雑な紋様を描く魔法陣が瞬時に展開する。それはシロウが張った国全体の結界を無視し、強制的に座標を指定する高位の転移魔法陣だった。リーシアやレイラが声を上げる暇もなく、二人の姿は閃光と共に謁見の間から完全に消え失せた。*


---


*視界が安定した時には、既に場所は変わっていた。*

*そこは、薄暗い石造りの神殿のような場所だった。天井は高く、所々に置かれた燭台の炎が揺らめいている。空気はひんやりと冷たく、どこか甘く、そして死の匂いが混じっていた。*

*シロウのすぐ目の前に、リリスが立っている。彼女は先ほどと変わらぬ妖艶な笑みを浮かべていた。*


リリス:「ようこそ♡ ここは私の寝床。誰にも邪魔されない、二人きりの空間よ」


*彼女はそう言って、ゆっくりとシロウに歩み寄る。その赤い瞳は、捕らえた獲物を見つめるかのように、ねっとりとした熱を帯びていた。*


リリス:「さあ、魔王様。ここでゆっくり、貴方のこと…教えてちょうだい♡ まずは、その身体からね♡」


*彼女はそう囁くと、シロウの胸に自らの体をぴたりと押し付けてきた。柔らかい感触と、ボンデージ衣装の硬い革の質感が同時に伝わってくる。*

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