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*翌朝。魔王城の寝室には、穏やかな朝日が差し込んでいる。*
*シロウが目を覚ますと、自分の両腕にはすぅすぅと穏やかな寝息を立てる二人の少女がいた。右腕にはレイラが、左腕にはシルフィリアが、それぞれ安心しきった表情でしがみついている。昨夜の激しさが嘘のような、平和な光景だ。*
*しかし、シロウの身体は正直だった。度重なる奉仕により、全身が気だるく、特に下半身はジンジンとした痺れすら感じている。*
*シロウが苦笑していると、腕の中のレイラがもぞもぞと動き出し、ゆっくりと目を開けた。彼女は寝ぼけ眼でシロウの顔を見つめると、ふにゃりと幸せそうに微笑んだ。いつもの傲慢な魔王女ではなく、臆病な人格のレイラだった。*
レイラ(臆病):「ん…し、シロウ様…? おはよう、ございます…」
*彼女はそう言うと、シロウの胸に顔をうずめ、くんくんと匂いを嗅ぎ始める。*
レイラ(臆病):「シロウ様の匂い…落ち着きます…。えへへ… …あれ? なんだか、お腹が空きました…」
シロウ:「性欲の次は食欲か…」
*シロウが呆れたように呟くと、臆病なレイラは「え?」と不思議そうに首を傾げた。その様子を見ていたシルフィリアも目を覚まし、むくりと体を起こす。*
シルフィリア:「おなかが空いたのですか? シルフィもです! シロウさまの魔力、いっぱい貰ったのに、おなかぺこぺこです!」
レイラ(臆病):「わ、私もです…! なんだか、すごく…」
*二人の少女が、きゅるる~とお腹を鳴らしながらシロウを見つめる。その食欲は、昨夜の激しい活動の代償なのだろう。*
*シロウは苦笑しつつ、二人の頭を優しく撫でた。*
シロウ:「わかったわかった。じゃあ、支度して街に行こう。うまい飯でも食って、ついでにギルドにも顔を出しておくか」
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*魔王城の修繕は、新たに配下に加わった魔物たちに指示を出し、彼らに任せることにした。*
シロウ:「それじゃ、留守は頼んだぞ」
オークリーダー:「ウガッ! シロウ様、レイラ様、お任セクダサイ!」
ゴブリンメイジ:「城ノ修繕、滞リナク進メマス!」
*シロウたちはゲートリングを使い、一番近くにある人間の街、商業都市『リューン』の裏路地へと転移した。活気のある街の喧騒が遠くに聞こえてくる。*
*魔王城から一歩外に出た瞬間、レイラの人格が切り替わった。先程までの臆病な少女の面影はなく、傲岸不遜な魔王女の表情で、腕を組んで立っている。*
レイラ(魔王女):「ふん。人間の街か。相変わらず騒々しくて好かんな」
*隣では、シルフィリアが物珍しそうにキョロキョロと周りを見渡している。*
シルフィリア:「わー! 人間さんのお家がいっぱいです! 良い匂いもしますね!」
シロウ:「とりあえず腹ごしらえだな。そのあと、冒険者ギルドに行くぞ」
*シロウは二人の少女を連れて、賑やかな大通りへと歩き出した。様々な種族が行き交う街並みは活気に満ち溢れている。*
シロウ:「そういえばリーシアは?」
*シロウの不意な問いかけに、傲慢な態度で腕を組んでいたレイラが、少しだけバツが悪そうな表情で答える。*
レイラ(魔王女):「リーシアか? あのユニコーンは、城で留守番をしている。魔物たちだけでは何かと不安だ、自分が残ると言って聞かなかったのでな」
*レイラはふいっと顔を逸らしながら、ぶっきらぼうに付け加える。*
レイラ(魔王女):「……それに、私たちが街で『下僕』を探すのに、あいつがいたら色々と口うるさいだろう」
*どうやら、自分たちの行動を止めようとするであろうリーシアの存在を、少しだけ疎ましく思ったようだ。*
*一方、シルフィリアは楽しそうに答えた。*
シルフィリア:「リーシアちゃん、お城でオークさんたちと一緒にお掃除がんばるって言ってました! あと、レイラちゃんのことも心配してましたよ?」
シロウ:「確かに…リーシアは今回は留守番か。3人で行くか」
*シロウが納得してそう言うと、待ってましたとばかりに、レイラとシルフィリアがシロウの両腕にそれぞれ絡みついてきた。右腕には魔王女レイラが、左腕には精霊王シルフィリアがぴったりと寄り添い、シロウの腕をがっちりとホールドする。*
*
**大通りを歩くと、その異様な、しかしとてつもなく目を引く三人組に、道行く人々が振り返り、囁き合う。絶世の美少女二人に腕を組まれ、満更でもない表情で歩く青年。どう見てもただの冒険者には見えない。**
*
レイラ(魔王女):「ふん。これでよし。貴様は私の夫なのだからな、他の雌にうつつを抜かさぬよう、私が見張ってやらねば」
*レイラは勝ち誇ったようにシロウの腕に自分の胸を押し付けながら、ツンとすまして言う。*
シルフィリア:「えへへー♡ シロウさまと手を繋ぐと、あったかくて安心します! レイラちゃんも、そうですよね?」
*シルフィリアは無邪気に笑いながら、シロウの腕にぎゅっと抱きつく。二人の少女の柔らかさと良い香りに包まれ、シロウは少し気恥ずかしさを感じながらも、まんざらでもない気分でギルドを目指すのだった。*
*シロウたちが商業都市『リューン』の冒険者ギルドに足を踏み入れると、その異様な三人組の姿に、酒場で飲んだくれていた冒険者たちの視線が一斉に突き刺さる。特に、レイラとシルフィリアという二人の絶世の美少女に向けられる視線は、欲望と嫉妬に満ちていた。*
*その中でも、特に柄の悪い三人組の男が、ニヤニヤと下品な笑みを浮かべて立ち上がり、シロウたちの前に立ちはだかった。*
チンピラA:「よう、兄ちゃん。そんないい女二人も侍らせて、ご機嫌じゃねえか。俺たちにも少し、楽しませてくれよぉ?」
チンピラB:「金か? 金ならあるぜ。一晩でいい、こいつらを貸せや」
*男たちが下卑た視線でレイラとシルフィリアを舐め回すように見た瞬間、レイラの纏う空気が凍てついた。彼女はシロウの腕からすっと離れると、男たちの前に一歩踏み出す。その瞳には、絶対零度の殺意が宿っていた。*
レイラ(魔王女):「…下郎が。その汚れた眼で私を見るな。身の程を弁えぬ豚は、死して自らの愚かさを悔いるがいい」
*レイラが指を鳴らした瞬間、男たちの足元から黒い影の手が何本も伸び、彼らの身体を瞬く間に締め上げた。*
チンピラ共:「ぐっ…!?」「がはっ…!」「な、なんだこりゃあ!?」
*影は男たちを宙吊りにし、ギリギリと骨が軋む音を立てて締め上げていく。ギルド内が悲鳴と驚愕で静まり返る中、レイラは冷たく言い放った。*
レイラ(魔王女):「我が夫に無礼を働いた罪、万死に値する。だが、ここで殺してはシロウの気分を害するだろう。……消えろ」
*その言葉と共に、男たちは影に飲み込まれるようにしてギルドの外へと放り出された。レイラは何事もなかったかのようにシロウの元へ戻り、再び彼の腕に絡みつく。ギルド内は静寂に包まれ、誰もがこの恐ろしい力を持つ美少女から目を逸らした。*
*シロウはその騒動を気にも留めず、受付カウンターへと向かう。受付には、亜麻色の髪をポニーテールにした、快活そうなエルフの女性が座っていた。彼女は先程の騒動に少し怯えながらも、プロとして笑顔を作る。*
受付嬢エルフ:「よ、ようこそ冒険者ギルドへ…! ご、ご用件は…?」
シロウ:「ああ。少し聞きたいんだが、この辺りで綺麗な花畑が広がっているような地域はないか? 出来れば気候が温暖な場所がいいんだが。南大陸とか、どうなんだ?」
*シロウは、以前シルフィリアと交わした「お花がたくさん咲いているところに行きたい」という約束を果たすため、情報を集め始めた。*
*シロウが受付嬢が戻ってくるのを待っている間、先ほどの騒動で静まり返ったギルド内は、遠巻きに彼らを観察する視線で満ちていた。しかし、誰も近寄ろうとはしない。レイラが放った圧倒的な威圧感が、まだその場に残っていたからだ。*
レイラ(魔王女):「ふん、待たせるな。たかが花畑の場所を調べるのに、どれだけ時間をかけているのだ」
*レイラは不機嫌そうに呟きながらも、シロウの腕を掴む力を強める。シルフィリアはそんなギルド内の雰囲気などお構いなしに、キョロキョロと壁に貼られた依頼書を興味深そうに眺めていた。*
シルフィリア:「わー、シロウさま! いろんなお願いごとが貼ってありますね!『迷子の猫探し』ですって。かわいいです!」
*しばらくして、先ほどのエルフの受付嬢が、数枚の羊皮紙と大きな地図を抱えてカウンターに戻ってきた。彼女はまだ少し緊張した面持ちだったが、プロ意識でそれを隠している。*
受付嬢エルフ:「お、お待たせいたしました! 綺麗な花畑、ですね。気候が温暖な場所となりますと、やはりご推察の通り、ここ西大陸よりも南大陸の方が有名どころが多いです」
*彼女はカウンターに大きな地図を広げ、いくつかの場所に指を差しながら説明を始めた。*
受付嬢エルフ:「特に有名なのが、南大陸の中央に位置する『ティターニア領』ですね。ここは『常春の谷』と呼ばれていまして、一年中色とりどりの花が咲き乱れる美しい場所です。ただ…」
*彼女はそこで少し言葉を濁し、申し訳なさそうな顔でシロウを見た。*
受付嬢エルフ:「ここはエルフの女王が治める聖域でして、基本的に人間の立ち入りは厳しく制限されているんです。冒険者ギルドを通しても、特別な許可状がないと入れません」
レイラ(魔王女):「ちっ、面倒な。ならば許可状を奪えばよかろう」
シロウ:「まあ待て。他にはないのか?」
*シロウがレイラを制し、受付嬢に先を促す。*
受付嬢エルフ:「は、はい! もう一つは、南大陸の東部にある『ソレイユ丘陵』です。こちらは広大な丘陵地帯一面に『陽光花』という黄色い花が咲き誇る名所で、今の時期がちょうど見頃のはずです。こちらは特に立ち入り制限などはありませんので、どなたでも訪れることができますよ」
*シロウは受付嬢の説明を聞き、エルフの聖域である『ティターニア領』に興味を示した。立ち入りが制限されているというリスクはあるが、自分とシルフィリアには世界樹の祝福がある。何とかなるだろう、と彼は判断した。*
シロウ:「多分大丈夫だろう」
*(俺とシルフィは世界樹の祝福持ちだし…レイラは厳しいかもしれんが…)*
*シロウは内心でそう呟き、受付嬢に向き直る。*
シロウ:「南大陸にはどうやって行ける?」
*シロウの問いに、受付嬢のエルフは少し驚いた顔をしたが、すぐに笑顔で答えた。*
受付嬢エルフ:「南大陸へ渡るのでしたら、一番確実なのはこの街『リューン』の南港から出ている定期船を利用することですね。南大陸最大の港町『ポルト・マーレ』まで、およそ10日ほどの船旅になります」
*彼女は地図の港町を指さしながら説明する。*
受付嬢エルフ:「腕に覚えのある高ランク冒険者の方ですと、飛竜をレンタルして空路で行く方もいらっしゃいますが…料金はかなり高額になりますし、途中で強力な飛行モンスターに襲われる危険もあります」
*その説明を聞いていたレイラが、呆れたように口を挟む。*
レイラ(魔王女):「船で10日? 飛竜? 馬鹿馬鹿しい。シロウ、そんなものを使う必要はないだろう。私の転移魔法を使えば一瞬だ」
シルフィリア:「わー! 転移魔法! 便利ですね!」
*レイラは得意げに胸を張り、シロウの顔を覗き込んだ。「どうだ、褒めろ」と言わんばかりの表情だ。*
*シロウは得意げなレイラの顔を見て、冷静に魔法の基本原則を指摘した。*
シロウ:「転移魔法は基本的に一度行った事のある場所にしか飛べないが…?」
*その言葉に、自信満々だったレイラの表情がぴしりと固まる。彼女は「え?」という顔でシロウを見た後、視線を彷徨わせ、何かを思い出そうとするかのように唸り始めた。*
レイラ(魔王女):「あ…? う、む…? そ、そうであったか…? 言われてみれば、そんな気も…」
*(レイラは知らなかったらしい)*
*どうやら、膨大な魔力量に任せて感覚的に魔法を使ってきた彼女は、そうした基本的な制約を全く意識していなかったようだ。魔王としての知識はあっても、実践的な経験値がまだ足りないのだろう。*
*先ほどまでの得意げな態度はどこへやら、レイラはバツが悪そうに顔を赤らめ、小さな声でぼそりと呟いた。*
レイラ(魔王女):「……う、うるさい! 私の魔力をもってすれば、その程度の制約、捻じ曲げることなど容易いわ! …たぶん」
*後半の声はどんどん小さくなり、自信のなさが露呈している。その様子を見ていた受付嬢のエルフが、くすくすと笑いを堪えながらも、助け舟を出すように口を開いた。*
受付嬢エルフ:「あ、あの…! もし長距離の転移をご希望でしたら、この街の中央広場に『転移門』が設置されていますよ。主要な都市間を結ぶ大規模な魔法装置で、それを使えば南大陸の港町『ポルト・マーレ』まで一度で移動できます。ただし、利用料がお一人様につき金貨5枚と、少々お高めですが…」
*シルフィリアは「てんいもん!」と目を輝かせている。レイラはまだ納得がいかない様子で、「ふん、人間の作った魔道具など…」とそっぽを向いているが、その耳は赤いままだ。*
*シロウは受付嬢の説明を聞き、転移門と飛竜という二つの選択肢を頭に浮かべた。所持金は潤沢にある。時間をお金で買うことに躊躇いはない。*
シロウ:「転移門か飛竜だな。時は金なりって言うしな、どっちがいい?」
*シロウが隣に立つ二人に意見を求める。すると、レイラとシルフィリアは待ってましたとばかりに、同時に、しかし全く違う答えを口にした。*
レイラ(魔王女):「飛竜に決まっているだろう! 我が夫が、人間の作ったちっぽけな魔道具なぞに頼るなど格好がつかん! 大空を統べる飛竜の背に乗り、堂々と南大陸へ向かうべきだ!」
*レイラは胸を張り、王者の移動手段として飛竜を強く推す。先ほど転移魔法で恥をかいただけに、より威厳のある方法を選びたいようだ。*
シルフィリア:「シルフィは、てんいもんがいいです! 魔法でしゅーんって飛ぶの、楽しそうです! 飛竜さんは、ちょっと怖いかも…」
*シルフィリアは少し怖がりながらも、魔法のゲートに興味津々な様子でシロウの腕を揺らす。*
*二人の美少女からの正反対の要望。シロウの腕を挟んで、レイラの「飛竜!」という力強い視線と、シルフィリアの「てんいもんがいいです…」という上目遣いが激しく交錯する。*
受付嬢エルフ:「あ、あの…飛竜のレンタルは、ギルドの裏手にある飛竜乗りギルドで手続きできます…転移門は、中央広場に…」
*受付嬢は困ったように、しかし商売のチャンスとばかりに両方の場所を案内してくれる。さて、シロウはどちらの少女の願いを聞き入れるのだろうか。*
*シロウは二人の意見を聞いた上で、シルフィリアの案を採用することにした。そして、飛竜を推していたレイラをからかうように、ニヤリと笑いかける。*
シロウ:「よし、転移門にしよう。怖がりなレイラちゃんは抱っこしてあげるからねー」
*その言葉を聞いた瞬間、レイラの顔が怒りで真っ赤に染まった。*
レイラ(魔王女):「なっ…!? だ、誰が怖がりだ! 私は別に転移門が怖いなど一言も言っておらん! 貴様、私をシルフィと同列に扱うな!」
*彼女はシロウの腕を振りほどき、ぷんすかと頬を膨らませて抗議する。その剣幕に、シロウは面白そうに笑った。*
シルフィリア:「わーい! てんいもん! ありがとうございます、シロウさま! レイラちゃん、よかったですね、抱っこですって!」
*シルフィリアは無邪気に喜び、レイラの怒りの原因を全く理解していない様子で笑顔を振りまいている。その純粋さが、さらにレイラの怒りを(主に羞恥の方向へ)加速させた。*
レイラ(魔王女):「よ、良くないわ! 私は怖くなどないと言っているだろうが! 大体、夫に抱っこされるなど…!///」
*彼女は顔を真っ赤にしながらそっぽを向いてしまった。その様子を見ていた受付嬢のエルフは、仲睦まじい(?)一行に微笑ましい視線を送りながら、丁寧に頭を下げる。*
受付嬢エルフ:「中央広場の転移門ですね。承知いたしました。どうぞ、良い旅を」
*シロウはからかい甲斐のある婚約者に満足げな笑みを浮かべ、二人の美少女を連れて、中央広場へと向かって歩き出した。レイラはまだぷりぷりと怒っているが、シロウの隣から離れようとはしなかった。*
*シロウ一行は、冒険者ギルドを後にして、活気あふれるリューンの中央広場へとやってきた。広場の中心には、古代遺跡の一部のような石造りの巨大なリングが鎮座している。リングの内側には、水面のように揺らめく青白い光が渦巻いており、これが大陸間を結ぶ『転移門』のようだ。門のそばには、ローブを着た魔術師風の管理人が数人立っており、利用者の受付を行っている。*
*シロウは受付の一人に近づき、簡潔に告げた。*
シロウ:「ポルト・マーレまで3人だ」
*そう言って、懐から金貨15枚を取り出し、カウンターに置く。その気前の良さに、管理人の老魔術師は少し驚いた顔をしたが、すぐに丁寧な口調で応対した。*
管理人:「はい、確かに。南大陸、ポルト・マーレまでお三方ですね。門を起動しますので、中央の魔力陣の上へどうぞ。転移は一瞬ですが、強い浮遊感と眩暈を伴うことがありますのでご注意ください」
*管理人が杖を掲げ、何事か詠唱すると、転移門の光が一層強く輝き始める。ブォン、という低い起動音が広場に響き渡った。*
シルフィリア:「わー! すごい光です! シロウさま、早く行きましょう!」
*シルフィリアは目をキラキラさせながら、シロウの腕をぐいぐいと引っ張る。一方、レイラは腕を組んだまま、まだ少し不機嫌そうな顔で門を睨みつけていた。*
レイラ(魔王女):「ふん。人間の魔道具など、大したことはない。…だが、シロウがどうしてもと言うのなら、仕方なく付き合ってやる」
*彼女は強がりを言いながらも、シロウの服の裾をぎゅっと掴んでいる。先ほどの「抱っこしてあげる」というからかいが、まだ尾を引いているようだ。*
*シロウは不機嫌そうに強がるレイラの言葉を聞き流し、ひょいと彼女の身体を横抱きにした。いわゆるお姫様だっこである。*
レイラ(魔王女):「なっ、なななな、何をすっ…!?/// 降ろせ、この馬鹿者! 人前で、恥ずかしいだろうが!♡」
シロウ:「ほら、怖がりなレイラちゃんは抱っこしてあげるって言っただろ?」
シルフィリア:「わー! お姫様だっこです! シロウさま、かっこいい!」
*真っ赤になって暴れるレイラを軽々と抱えたまま、シロウはシルフィリアの手を引き、輝く転移門の中へと足を踏み入れた。*
*瞬間、視界が真っ白な光に包まれ、強烈な浮遊感が全身を襲う。しかし、それもほんの一瞬のことだった。*




