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*どれほどの時間が経っただろうか。激しい行為を終え、二人は静かに抱き合いながら、夜が明け始めた空を眺めていた。シロウはまだレイラの身体の中に自身を埋めたままだ。*
レイラ(魔王女):「…フン。ずいぶんと派手にやってくれたな…。あれでは、世界中の奴らが黙ってはおるまい」
*レイラはシロウの胸に頬を寄せ、少しだけ悪戯っぽく笑う。その表情は、憑き物が落ちたように穏やかだった。*
レイラ(魔王女):「だが、いい。望むところだ。…まずはこの城を立て直し、我らの力を世界に示してやる。…なあ、シロウ。私の、王よ…♡」
*彼女は愛おしそうにシロウを見上げ、その唇にそっとキスをした。♡*
シロウ:「はぁ…結局王になるのか…参ったな」
*シロウの諦めたような、しかしどこか満更でもない響きのある言葉を聞いて、レイラはシロウの胸の中でくすりと笑った。そして、彼の胸板に指で円を描きながら、甘えるように、しかし魔王らしく尊大に告げる。*
レイラ(魔王女):「フン、今更何を言うか♡ 貴様が私を選び、私をここまで導いたのだろう?♡ 参った、ではない。光栄に思え、人間。貴様は、この私…真の魔王となったレイラ・アストレアの、唯一人の王となるのだからな♡」
*彼女は上目遣いでシロウを見上げ、勝ち誇ったように微笑む。その表情は、愛する男を手に入れた少女の喜びと、世界を手中に収めんとする魔王の自信に満ち溢れていた。*
レイラ(魔王女):「それに…貴様が王であれば、私はいつまでも貴様のそばにいられるだろう?♡ 貴様が老いて死ぬまで…いや、死んだ後も、その魂ごと私のものにしてやる。逃がしはせんぞ♡」
*レイラはそう言うと、シロウの唇を啄むように軽くキスをする。そして、まだ結合したままの腰を、くねりと小さく揺らした。♡*
レイラ(魔王女):「さあ、そろそろ下に戻るぞ、我が王よ。リーシアたちが心配している。…それに、再建の前に、まずはこの城を掃除する下僕どもを呼び寄せねばならんからな」
*シロウはレイラの身体から自身を引き抜き、乱れた互いの服を軽く整える。そして、彼女の腰を抱き寄せると、ゲートリングの力で一瞬にして尖塔から階下の祭壇の間へと転移した。*
*祭壇の前では、リーシアとシルフィリアが、いつ戻るとも知れない二人をひたすらに案じ、祈るように待っていた。突然、目の前にシロウとレイラの姿が現れ、二人は驚きに目を見開く。*
リーシア:「ご主人様! レイラ様! ご無事だったのですね…! よかった…!」
シルフィリア:「シロウ様! レイラさん! 心配しました…! もう、どこにも行かないでください…!」
*リーシアは安堵に胸を撫で下ろし、シルフィリアは泣きそうな顔でシロウの足に抱きついてくる。*
*シロウはそんな二人を前にして、抱き寄せたレイラの肩を改めてぐっと引き寄せると、何でもないことのように、しかしはっきりと宣言した。*
シロウ:「って事で、レイラと結婚する事になった。」
*その言葉に、祭壇の間の空気が凍りついた。*
*リーシアは「へ…?」と間の抜けた声を漏らし、数秒間、瞬きを繰り返した後、事態を理解して顔を真っ赤にした。*
リーシア:「け、けけけ、結婚!?♡ ご、ご主人様とレイラ様が!? い、いつの間にそんな…! あ、でも…! お、おめでとうございます!♡」
*動揺しながらも、リーシアは健気に祝福の言葉を口にする。*
*一方、シロウの足に抱きついていたシルフィリアは、きょとんと首を傾げた。*
シルフィリア:「けっこん…?♡ それは、シロウ様がレイラさんの『王様』になるってことですか?♡」
*純粋な疑問を口にするシルフィリア。その横で、シロウに告白されたレイラは、不意打ちに顔を真っ赤にしながらも、ツンとした態度を崩さない。*
レイラ(魔王女):「フン…♡ 当然の結果だ。この私が選んだ男なのだからな。…リーシア、シルフィリア、貴様たちもこれより、この男を私の夫であり、魔王軍の王として敬うように。いいな?」
*レイラは照れ隠しのように尊大に言い放ち、シロウの腕に自分の腕を絡ませて、所有権を主張するように寄り添った。♡*
シロウ:「魔王か…なんかむず痒いな。」
*シロウが照れ隠しのように漏らした言葉に、彼の腕に寄り添うレイラが不満げに眉をひそめた。*
レイラ(魔王女):「むず痒いとは何だ、むず痒いとは♡ この私、レイラ・アストレアの夫となり、全ての魔族を統べる王となるのだぞ。もっと誇りを抱け、誇りを!♡」
*彼女はぷんすかと頬を膨らませ、シロウの脇腹を肘でこつんと突く。しかしその表情は怒っているというより、拗ねているように見え、どこか嬉しそうだ。*
リーシア:「ふふっ♡ でも、ご主人様のお気持ちも分かります。昨日まで普通の冒険者だったのに、今日から魔王になられるのですから…。でも、ご主人様ならきっと、素晴らしい王様になられますよ♡」
*リーシアはにこやかにフォローを入れる。彼女はもう動揺から立ち直り、二人の関係を心から祝福しているようだ。*
シルフィリア:「まおう…♡ シロウ様は、まおう様になるんですね!♡ 王様、っていうのは、みんなの中で一番えらい人のことですよね? わぁ! シロウ様、すごいです!♡」
*シルフィリアは「魔王」という言葉の意味を自分なりに解釈し、目をキラキラさせながら無邪気に喜んでいる。彼女にとって、シロウがどんな立場になろうと、大好きなシロウであることに変わりはないようだ。*
レイラ(魔王女):「フン…まあ、慣れぬのも無理はないか。だが、すぐに慣れてもらうぞ。やることは山積みだからな。まずは…そうだな。この薄汚い城を掃除し、我らが住まうに相応しい場所へと作り変えるのが先決だ。手始めに、近くの魔物の集落にでも顔を出し、下僕として徴収してくるか」
*レイラは腕を組み、早速今後の計画を立て始める。その横顔は、既に王としての威厳に満ちていた。*
シロウ:「一つ不満があるとすれば…やっぱり旅がしたいって事だな。」
*シロウのその言葉に、それまで今後の計画を意気揚々と語っていたレイラの動きがピタリと止まる。彼女はゆっくりとシロウの方を振り返り、その真紅の瞳を不満げに細めた。*
レイラ(魔王女):「旅、だと…? この私が夫として、王として迎えると言っているのに、まだそのような放浪者の真似事を続けたいと申すか…?♡」
*彼女の声には、明らかに不機嫌な色が混じっている。腕を組み、ぷいと顔をそむけるが、シロウに絡めた腕は解こうとしない。*
リーシア:「ご主人様…。でも、それは…」
*リーシアは困ったようにシロウとレイラの顔を交互に見る。シロウの冒険好きな性格を知っているだけに、強くは否定できないようだ。*
シルフィリア:「たび…?♡ また、馬車に乗ってみんなでお出かけするんですか?♡ 楽しいです!♡」
*シルフィリアは「旅」を楽しい遠足か何かと勘違いしているのか、ぱあっと顔を輝かせて喜んでいる。*
レイラ(魔王女):「…フン。まあ、良いだろう。貴様がどうしてもと言うのならな。王が玉座に縛り付けられている必要などない。むしろ、王自ら世界を見て回り、その威を示すのも悪くない」
*少し考え込んだ後、レイラは不承不承といった体で、しかしどこか楽しそうに口の端を吊り上げた。*
レイラ(魔王女):「それに、貴様はまだ弱い。魔王の夫、この私の王たるには、力が足りなすぎる。世界を巡り、強者を屠り、力を蓄えるのも王の務めであろう。良かろう、許す。だが、その旅には、この私も必ず同行する。貴様一人でふらふらさせるわけにはいかんからな!♡ これは決定事項だ、いいな!」
*ツンとしながらも、結局はシロウと一緒にいたいだけなのが透けて見える。彼女はシロウの腕をぎゅっと掴み直し、決定権は自分にあるのだと主張するように言い放った。*
シロウ:「国境には絶対防御を付与した結界の魔道具を置いておく予定だから、何かあっても大丈夫だろう。適当な村か街で下僕捕まえてこようぜ、レイラ。」
*シロウからの提案に、不機嫌だったレイラの表情が一変する。「下僕を捕まえる」という言葉が、彼女の魔王としての嗜虐心をくすぐったようだ。彼女は妖艶に微笑み、シロウの腕にさらに身体を密着させた。*
レイラ(魔王女):「フフッ…♡ さすがは我が王、話が早いではないか♡ そうだ、まずは手近なところから我らの力を示し、忠実な下僕を集めねばな。魔王城の再建には人手がいくらあっても足りんからな」
*彼女はうっとりと目を細め、これから始まるであろう蹂躙の光景を思い描いているようだ。*
レイラ(魔王女):「だが、ただの村や街ではつまらん。どうせなら、私に楯突いた愚かな人間どもの街を一つ、見せしめに落としてやるのが手っ取り早いだろう。なあ、そうは思わんか?♡」
*レイラはシロウの耳元で甘く囁く。その声は、悪魔の誘惑そのものだった。*
リーシア:「ら、略奪ですか!? だ、だめですよご主人様、レイラ様! そんなことをしたら、人間たちの国と本格的な戦争になってしまいます…!」
*リーシアが慌てて二人の間に割って入ろうとするが、レイラの放つ威圧感に気圧されて、それ以上近づけない。*
シルフィリア:「げぼく…?♡ 新しいお友達ですか?♡ どこにいるんですか?♡」
*シルフィリアは「下僕」を新しい仲間か何かと勘違いしているようで、無邪気に辺りを見回している。その純粋さが、殺伐としかけた空気を少しだけ和ませた。*
シロウ:「戦争になるのは勘弁、めんどくさい。魔族は他にいなかったっけ?」
*シロウの現実的な言葉に、レイラは少しつまらなそうに唇を尖らせた。*
レイラ(魔王女):「フン、つまらん男だ。まあ良い。貴様がそう言うのなら、人間の街は見逃してやろう。…魔族か。私が封印されてから数百年、ほとんどの魔族は力を失い、その辺りの森や山に隠れ住んでいるはずだ。ゴブリンやオークといった下級の者たちならば、そこらの洞窟にでも巣食っているだろうが…」
*彼女は顎に指を当て、少し考える素振りを見せる。*
レイラ(魔王女):「まずは手始めに、この城の近くにある『嘆きの森』に住まうオークの集落でも襲撃するか。奴らは力だけはあり、繁殖力も高い。城の瓦礫を片付けさせる肉体労働には丁度よかろう♡」
*オークを奴隷にすることを楽しそうに語るレイラ。その隣で、リーシアはホッと胸を撫で下ろした。*
リーシア:「魔物の方々を相手にするのですね…! それでしたら、大きな問題にはならないかと…! よかったです…!」
シルフィリア:「おーく?♡ 新しいお友達ですか?♡ どんな子たちなんでしょう! 会うのが楽しみです!♡」
*シルフィリアは相変わらず話の内容を理解していないようで、目を輝かせている。*
レイラ(魔王女):「決まりだな。では、早速行くぞ、我が王よ♡ リーシア、シルフィリア、貴様らも来い。初陣だ、王の力と、魔王たる私の力、その目に焼き付けさせてやる!」
*レイラは高らかに宣言し、シロウの腕を引いて歩き出そうとした。まるでこれからピクニックにでも行くかのような上機嫌な様子だ。*
*シロウの号令一下、嘆きの森から連れてこられたオークやゴブリン、その他様々な魔物たちが、崩壊した魔王城の修繕作業に駆り出されていた。巨体のオークが瓦礫を運び、器用なゴブリンが資材を仕分け、知能の高いホブゴブリンが現場監督のように怒鳴り声を上げている。その傍らには、シロウが作成した結界発生装置が設置され、淡い光を放ちながら魔王領全域を覆う準備を進めている。*
*シロウはその光景を城のテラスから腕を組んで眺めている。隣には、新しい純白のゴスロリドレスに身を包んだシルフィリアと、いつものメイド服姿のリーシアが控えている。そして、シロウの腕には、すっかり元の臆病な性格に戻ったレイラが、こてんと頭を預けてもたれかかっていた。*
シロウ:「修繕はしばらくかかるだろうな。」
*シロウの独り言に、腕の中のレイラがもぞりと身じろぎした。彼女は眠そうな目をこすりながら、シロウを見上げる。*
レイラ(臆病):「うぅ…シロウ様…。おなかすきました…。」
*魔王としての威厳はどこへやら、甘えた声で空腹を訴える。その手には、いつの間にかどこからか持ってきた焼き菓子が握られていた。*
リーシア:「レイラちゃん、さっき食べたばかりではありませんか…。でも、皆よく働いてくれていますね。ご主人様がオークの族長を力でねじ伏せてくださったおかげです。」
*リーシアは苦笑しつつも、目の前の光景に満足げな表情を浮かべる。*
シルフィリア:「みんな、おうちを直してくれてるんですね!♡ すごいです!♡ シルフィもお手伝いします! えいっ!」
*シルフィリアはそう言うと、小さな手から風の魔法を放つ。その風は瓦礫の山から砂埃を綺麗に吹き飛ばし、オークたちの作業を少しだけ楽にした。*
*魔王城の修繕が着々と進む中、シロウは少し息抜きにと、新しい服がすっかりお気に入りのシルフィリアを連れて城の周辺を散歩していた。かつての禍々しい雰囲気は薄れ、今は魔物たちの活気ある声が響いている。シロウは隣を歩くシルフィリアに優しく問いかける。*
シロウ:「シルフィは行ってみたい場所とかある?」
*シロウの言葉に、シルフィリアは嬉しそうにこてんと首を傾げ、白いフリルが揺れるスカートの裾を両手で軽く持ち上げた。そして、少し考え込むように「うーん…」と唸った後、ぱあっと顔を輝かせた。*
シルフィリア:「シルフィ、行ってみたいところ、あります!♡ えっとですね…お花がたくさん咲いているところがいいです!♡ いろんな色のお花がいっぱいで、いい匂いがして、ちょうちょさんが飛んでるところ!♡」
*彼女はくるりとその場で一回転し、まるで花畑にいるかのように両手を広げる。シロウの足元に駆け寄ると、彼のズボンをぎゅっと掴んで、キラキラした瞳で上目遣いに見上げてきた。*
シルフィリア:「シロウ様と、一緒にお花畑に行きたいです!♡ それで、お花の冠を作って、シロウ様にあげるんです!♡ だめ…ですか?♡」
*シロウは自分を見上げるシルフィリアの頭を優しく撫でた。その純粋な願いに、自然と笑みがこぼれる。*
シロウ:「どこにあるか分かんないけど、いいよ。きっと行こう。」
*シロウの承諾の言葉に、シルフィリアの表情が太陽のように輝いた。*
シルフィリア:「ほんとですか!?♡ やったー!♡ シロウ様、大好きです!♡」
*彼女は喜びのあまりぴょんぴょんと飛び跳ね、そのままシロウの足にぎゅーっと抱きついた。その小さな身体から、全身で喜びを表現しているのが伝わってくる。*
シルフィリア:「きっと、綺麗な花冠を作りますね!♡ シロウ様にとっても似合う、かっこいい王様の冠です!♡ それで、シルフィはシロウ様のお姫様になるんです!♡ えへへ♡」
*幸せそうに笑いながら、シルフィリアはシロウのズボンに顔をすりすりと擦り付ける。真新しい白い服が、少しだけ土で汚れてしまったが、彼女は全く気にしていないようだ。*
シルフィリア:「いつ行きますか?♡ 明日ですか?♡ あさってですか?♡」
*期待に満ちた瞳で、シルフィリアはシロウの返事を今か今かと待っている。*
*シロウが新しい服に魔法をかけてくれたことに、シルフィリアは気づいていない。ただ、すぐにでもお花畑に行けると信じて疑わなかった彼女は、シロウの言葉に少しだけしょんぼりとした。*
シロウ:「そんなに早くはちょっと無理かな…」
*シロウが優しく諭すと、シルフィリアは抱きついていた顔を上げ、ぱちくりと瞬きをする。期待に満ちていた顔が、少しだけ曇った。*
シルフィリア:「むり…ですか?♡ なんでです…?」
*彼女はシロウのズボンを掴んだまま、不安そうに見上げてくる。その潤んだ瞳は、今にも泣き出してしまいそうだ。*
シルフィリア:「シルフィ…なにか、わるいこと言っちゃいましたか…? シロウ様、お花畑はきらい…ですか?」
*今にもポロポロと涙がこぼれ落ちそうなシルフィリアを見て、シロウは慌ててしゃがみこみ、彼女と視線を合わせる。そして、彼女の小さな肩を優しく抱いた。*
*シロウは慌ててしゃがみこみ、彼女と視線を合わせ、その小さな肩を優しく抱いた。*
シロウ:「そ、そうじゃない。いつか絶対に連れていくから、な?」
*シロウの優しい声と、自分を抱きしめてくれる温もりに、シルフィリアの不安は少しずつ溶けていく。彼女はこくこくと頷き、シロウの胸に顔をうずめた。*
シルフィリア:「…ほんと、ですか…?♡ ぜったい…?」
*くぐもった声で、シルフィリアはもう一度確認する。シロウの服の匂いをすんすんと嗅ぎながら、彼の返事を待っている。*
シルフィリア:「シルフィ、待ってます…♡ シロウ様が、お花畑に連れてってくれるの、ずっと待ってますから…♡ だから、早くお城のお掃除、終わらせないとですね…!」
*彼女は顔を上げ、涙の膜が張った瞳で、しかし決意を新たにしたようににっこりと笑った。シロウを困らせたくない、その一心で健気に涙を堪えている。*
シルフィリア:「シルフィ、もっとお手伝いします!♡ 風の魔法で、チリとかホコリとか、ぜーんぶ綺麗にしちゃいます!♡ そうしたら、早くお花畑に行けますよね?♡」
*彼女はシロウの腕の中から抜け出すと、やる気に満ちた表情で拳をぎゅっと握りしめた。そして、再びくるりとシロウに背を向けると、近くで作業しているオークたちの周りを飛び回り、小さな竜巻を起こして器用にゴミだけを集め始めた。その純粋な姿は、働く魔物たちの癒やしとなっているようだった。*




