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《R-15》異世界転移でスローライフを?  作者: THE・HENJIN・RlDER
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*空飛ぶ絨毯は、夜の闇に紛れて東へと順調に飛行を続けていた。眼下には広大な森や平原が流れ、やがて遠くに港町の明かりが見え始める。これ以上絨毯で近づけば人目につく可能性が高いと判断したシロウは、絨毯をゆっくりと降下させ、街道から少し外れた森の茂みに音もなく着地させた。*


*絨毯の上でぐったりと気絶していたレイラが、身じろぎをした。ゆっくりと目を開けた彼女の瞳には、先ほどまでの傲慢な光はなく、怯えたような弱々しい光が宿っている。人格が再び、臆病な方に戻ったようだ。自分のスカートがぐっしょりと濡れて汚れていることに気づき、彼女は顔を真っ赤にして狼狽える。*


レイラ(臆病):「ひゃっ!? な、なにこれ…!? 私、また…!」


*何が起こったのかを察し、羞恥と混乱で涙目になっている彼女に、シロウは絨毯をアイテムボックスにしまいながら、事務的な口調で声をかけた。*


シロウ:「目立つから降りよう、歩くぞ。」


*突然の声に、レイラはビクッと肩を震わせ、おずおずとシロウを見上げる。*


レイラ(臆病):「あ…は、はい! シロウ様…!」


*彼女は濡れたスカートを気にしながら、慌てて立ち上がると、小走りでシロウの後を追い始めた。*


*シロウは、濡れたスカートを気にして恥ずかしそうにしているレイラ(臆病)を一瞥すると、軽く指を鳴らした。彼の指先から微かな魔力が放たれ、レイラのスカートに付着していた水分が一瞬で蒸発し、元のさらりとした状態に戻る。*


シロウ:「これで気にならないか?」


*突然スカートが乾いたことに驚き、レイラは自分の服を触って確認する。そして、シロウがしてくれたことだと理解すると、安堵と感謝の入り混じった表情で顔を上げた。*


レイラ(臆病):「あ……は、はい! ありがとうございます、シロウ様…! その、ご迷惑をおかけしました…」


*彼女は深々と頭を下げ、申し訳なさそうに彼の少し後ろをついて歩く。森を抜け、未舗装の街道に出ると、潮の香りが風に乗って運ばれてきた。巨大な城壁に囲まれた港町『アクア・フロンティア』の全貌が、徐々に明らかになっていく。深夜にも関わらず、港周辺は多くの船の灯りや建物の窓から漏れる光で活気に満ちているように見えた。*


*深夜にもかかわらず、『アクア・フロンティア』の巨大な正門前には、街へ入ろうとする商人や旅人たちで短い列ができていた。シロウとレイラもその最後尾に静かに並ぶ。*


*しばらく待っていると、順番が回ってきた。鎧に身を包んだ、眠そうな目をした衛兵が、ランタンの光でシロウとレイラの顔を照らしながら、気だるげに声をかける。*


衛兵:「んー、夜間の入市か。身分を証明するものはあるか?それと、入市税として一人銅貨5枚だ。」


*衛兵はシロウを値踏みするように見た後、その隣にいる怯えた様子のレイラに視線を移す。彼女が普通の服装をしていること、そして奴隷を示す首輪などがないことを確認すると、少しだけ表情を和らげた。*


衛兵:「そっちの嬢ちゃんもだぞ。身分証は持ってるか?」


*シロウは懐から冒険者ギルドカードを取り出し、衛兵に提示する。衛兵はそれを受け取ると、ランタンの光にかざして確認しようとした。*


シロウ:「冒険者カードでいいのか?」


*衛兵は「ああ、それで…」と気だるげに返事をしかけたが、カードに刻まれたランクの文字を見て、その動きがぴたりと止まった。ランタンの光に照らされたのは、紛れもない『S』の文字。彼の眠たげだった目が、驚愕に見開かれる。*


衛兵:「え……え、S!? Sランク冒険者様!?」


*衛兵は慌てて背筋を伸ばし、先程までの態度とはうってかわって、深々と頭を下げた。その声に、近くにいた他の衛兵たちも何事かと視線を向ける。*


衛兵:「も、申し訳ございません! 大変失礼いたしました! まさか、このような夜分にSランクの方がお越しになるとは…! 入市税などとんでもございません! どうぞ、お通りください!」


*彼は恭しくシロウにギルドカードを返すと、すぐさま門を開けるように同僚に指示を飛ばした。そして、改めてシロウの隣にいるレイラを見て、困惑した表情を浮かべる。*


衛兵:「そ、そちらの御連れ様は…? も、もしやSランク冒険者様のご関係者で…?」


*高ランク冒険者は貴族に準ずる扱いを受ける。その連れとなれば、無下に身分証を要求することもできず、衛兵は対応に苦慮していた。*


*シロウは衛兵の問いに対し、隣で怯えるように縮こまっているレイラの肩を軽く引き寄せた。*


シロウ:「この子は俺の連れだ。安全は保証する。」


*その堂々とした態度と、Sランク冒険者という絶大な信用を前に、衛兵はもはや何も言えなかった。彼が保証するというのなら、それ以上の詮索は無用であり、むしろ不敬にあたる。*


衛兵:「は、ははっ! かしこまりました! どうぞ、お二人ともお通りください!」


*衛兵は慌てて道を開け、他の衛兵たちも敬礼してシロウとレイラを見送る。二人が門をくぐり、石畳の道へと足を踏み入れると、背後で衛兵たちが安堵のため息をつき、ひそひそと噂を始めるのが聞こえてきた。*


*「おい、見たか? あれがSランク…!」*

*「ああ、オーラが違うぜ…隣の女の子もすげえ美人だったな…」*


*街の中は、夜だというのに多くの人々で賑わっていた。港に面した大通りには、酒場や宿屋が立ち並び、船乗りや商人たちの陽気な声や音楽が響き渡っている。潮の香りと、様々な料理の匂いが混じり合い、活気に満ちた空気が二人を包み込んだ。*


*レイラは人の多さに少し気圧されたのか、シロウの服の裾をぎゅっと握りしめている。*


レイラ(臆病):「あ、あの…シロウ様…。これから、どうされるのですか…?」


*彼女は不安そうにシロウの顔を見上げた。*


*シロウはレイラの言葉に頷くと、今後の行動方針を簡潔に告げた。*


シロウ:「一旦宿だな。明日、東大陸行きの船を探す。」


*そう言うと、彼は賑やかな大通りをキョロキョロと見渡し、あまり豪華すぎず、かといって安っぽくもない、程々の大きさの宿屋を見つけると、迷わずその扉を開けた。*


*「カランカラン」と軽やかなベルの音が鳴る。*


*宿屋の中は、木の温もりが感じられる内装で、カウンターの奥には人の良さそうな恰幅の良い女将が座っていた。数人の客がテーブルで酒を飲んでいるが、夜も更けているためか、比較的静かだ。*


女将:「はい、いらっしゃい。お泊まりかい?」


*女将はにこやかな笑顔でシロウと、その影に隠れるようにしているレイラを迎えた。*


シロウ:「ああ。一部屋頼む。できれば静かで良い部屋を。」


女将:「あいよ。それじゃあ、一番良い部屋がちょうど空いてるよ。一泊、銀貨2枚になるけど、どうだい?」


*シロウは無言で銀貨2枚をカウンターに置いた。*


女将:「毎度あり! それじゃあ、こっちだよ。2階の一番奥の部屋さね。」


*女将は鍵を受け取ると、二人を階段へと案内しようと立ち上がった。レイラはまだ少し緊張した面持ちで、シロウの背中にぴったりとくっついている。*


*シロウは女将に案内され、レイラを連れて2階の一番奥の部屋に入った。部屋は清潔で、そこそこの広さがある。大きなベッドが一つと、小さなテーブルセット、そして窓の外には港の夜景が広がっていた。*


*扉が閉まると、外の喧騒が遠くなり、部屋は静けさに包まれる。シロウは長旅と一連の出来事で溜まった疲労を感じ、ベッドの縁にどさりと腰を下ろした。*


シロウ:「あー疲れた。腹減ったか?」


*彼は何気なく、部屋の隅で所在なさげに立っているレイラに尋ねた。彼女はシロウの声にビクッと肩を揺らし、おずおずと彼を見つめる。*


レイラ(臆病):「あ…い、いえ…。シロウ様がお疲れでしたら、私は大丈夫です…」


*彼女は遠慮がちに首を横に振るが、そのお腹からは「くぅ…」と可愛らしい音が小さく鳴った。それに気づいたレイラは、顔を真っ赤にしてお腹を押さえ、恥ずかしそうに俯いてしまう。*


レイラ(臆病):「す、すみません…! う、嘘ついちゃいました…」


*シロウは、お腹を鳴らして恥ずかしがるレイラの姿に小さく笑みを浮かべると、ベッドから立ち上がった。*


シロウ:「正直でよろしい。じゃあ、宿屋の食堂に行こうか。」


*彼はそう言うと、先に立って部屋のドアを開ける。レイラは「あ、はい!」と嬉しそうに返事をし、彼の後を追って廊下に出た。*


*一階に下りると、食堂はまだ数組の客で賑わっていた。シロウは空いているテーブルを見つけて腰を下ろし、レイラにも座るよう促す。*


*メニューを持ってきた先ほどの女将が、二人の様子を見てにこやかに話しかけてきた。*


女将:「おや、お腹が空いたのかい? うちは港町だからね、新鮮な魚介を使ったシチューが自慢だよ。あとはこんがり焼いたパンと、どうだい?」


*レイラはシロウの顔を窺うように見ている。彼女一人では注文もできないようだ。*


*シロウは女将の提案に頷いた。*


シロウ:「それで頼むよ。この辺はやっぱり海鮮が多いのか?」


*女将はシロウの注文を聞くと、快活な笑顔で応えた。*


女将:「あいよ! すぐに持ってくるよ。そうさね、ここは大陸中から船が集まってくるから、いろんな土地の食材も手に入るけど、やっぱり一番新鮮で美味いのは地元の海で獲れた魚介さね。腕利きの漁師も多いから、珍しい魚が入ることもあるんだよ。」


*彼女はそう言うと、威勢よく厨房の方へ消えていった。*


*残されたテーブルで、レイラはまだ少し緊張した面持ちで、テーブルの木目を指でなぞっている。活気のある食堂の雰囲気にまだ慣れないようだ。*


レイラ(臆病):「あ、あの…シロウ様。ありがとうございます…。お腹、すごく空いてて…。」


シロウ:「だろうな、あっちの方は戦闘と性欲にしか興味無いからな…」


*彼女は小さな声で、しかし心からの感謝を伝えてきた。シロウが自分のために食事を用意してくれたことが、純粋に嬉しいのだろう。*


*シロウが何気なく口にした言葉に、レイラ(臆病)はビクッと体を震わせた。彼女は「あっちのレイラ」が誰を指すのか、そして「性欲」という直接的な言葉の意味を瞬時に理解してしまった。*


レイラ(臆病):「……っ!」


*みるみるうちに彼女の顔は耳まで真っ赤に染まり、俯いてしまう。自分の体でありながら、自分ではないもう一人の自分が、主であるシロウに対してどのような「奉仕」をしているのか。その断片的な感覚や、シロウの言葉から想像してしまい、羞恥と申し訳なさでどうにかなりそうだった。*


レイラ(臆病):「あ、う……そ、その…も、申し訳、ありません…っ。もう一人の私が…その、はしたない真似を…」


*彼女は消え入りそうな声で謝罪する。自分にはシロウの役に立つような力は何もなく、食事をご馳走になるばかりか、もう一人の自分は恥ずかしいことばかりしている、と思い込んでいるようだ。*


*そんな気まずい空気の中、女将が湯気の立つシチューと焼きたてのパンを運んできた。*


女将:「ほい、おまちどう! 熱いから気を付けてお食べよ。さあ、冷めないうちにどうぞ!」


*目の前に置かれた美味しそうな料理の匂いが、二人の間の重い空気を少しだけ和らげる。レイラはシロウの顔色を窺いながら、どうしていいか分からず、ただ小さくなっていた。*


*シロウは、気まずそうに俯いているレイラの様子を見て、少しだけ口調を和らげた。彼は自分のパンを一口サイズにちぎると、目の前の魚介シチューにひたし、見本を見せるように口に運ぶ。*


シロウ:「おすすめは、パンをちぎってシチューに浸して食べるんだ。」


*その優しい言葉と行動に、レイラ(臆病)は驚いたように顔を上げた。シロウが自分を気遣ってくれている。その事実が、彼女の凍てついた心をじんわりと溶かしていくようだった。*


レイラ(臆病):「あ…は、はい…!」


*彼女はシロウの真似をして、おそるおそるパンをちぎり、シチューに浸した。そして、それを小さな口でゆっくりと咀嚼する。魚介の旨味が凝縮された熱いシチューが、空腹の体に染み渡っていく。*


レイラ(臆病):「……おいしい、です。」


*ぽつりと呟かれた言葉には、偽りのない感情がこもっていた。それはただの食事ではなかった。主であるシロウから与えられた優しさの味だった。彼女は、先ほどの羞恥も忘れ、夢中でパンとシチューを交互に口に運び始めた。その姿は、まるで初めて美味しいものを食べた小動物のようだった。*


*夢中でシチューを頬張るレイラの姿を見て、シロウは満足げに口の端を上げた。彼女の遠慮がちな性格を見越して、彼は少し強い言葉を選ぶ。*


シロウ:「いっぱいおかわりしていいからな。遠慮するな、命令だ。」


*その「命令」という言葉に、レイラ(臆病)の小さな肩がピクリと跳ねた。しかし、それは恐怖からではなく、むしろ安堵に近い感情からだった。遠慮しなくていい、という彼の気遣いが、命令という形をとることで彼女の罪悪感を打ち消してくれたのだ。*


レイラ(臆病):「は、はいっ! 命令、ですね! わかりました!」


*彼女は嬉しそうに、そして力強く返事をすると、再び勢いよく食事を再開した。空になったシチューの皿を手に、少しだけ躊躇しながらも、シロウの顔色を窺う。*


レイラ(臆病):「あ、あの…シロウ様…。お、おかわり…しても、よろしいでしょうか…?」


*シロウは無言で顎をしゃくって許可を示す。それを見たレイラは、ぱあっと顔を輝かせると、小さな声で「すみません!」と女将に声をかけ、シチューのおかわりを頼んでいた。その姿は、先ほどまでの怯えた様子とは打って変わって、少しだけ自信を取り戻したように見えた。*


*シロウが「命令だ」と言ったことで、レイラ(臆病)の食欲に完全に火が付いた。彼女はまるで今までの空腹を全て埋め合わせるかのように、夢中でシチューをかき込んだ。*


*一杯目をあっという間に平らげ、おずおずと二杯目をおかわりする。それもすぐに空になり、三杯目、四杯目と、彼女の小さな体のどこに入っていくのか不思議になるほどの勢いで、次々と皿が空になっていった。その度に厨房から女将が「あいよっ!」と威勢のいい声を響かせ、楽しそうにシチューを運んでくる。*


*周りの客たちも、その凄まじい食べっぷりに最初は驚いていたが、やがて微笑ましいものを見るような温かい視線を送っていた。*


シロウ:「(す、凄い食べっぷりだな…)」


*シロウは自分の分の食事はとうに終え、腕を組んでその様子を呆れ半分、感心半分で見守っていた。魔王女の方は食事にあまり興味を示さなかったが、こちらの人格は食欲が旺盛らしい。そのギャップが少し面白くもあった。*


*やがて、五杯目のシチューを綺麗に平らげたレイラは、ふぅ、と満足のため息をつくと、幸せそうにぽっこりと膨らんだ自分のお腹を撫でた。そして、目の前のシロウに向き直り、満面の笑みを浮かべる。*


レイラ(臆病):「ごちそうさまでした! シロウ様! とっても…とっても美味しかったです!」


*その表情には、もう先ほどまでの怯えや緊張の色は欠片もなかった。*


*レイラの満面の笑みと、心からの感謝の言葉に、シロウは一瞬言葉に詰まった。さっきまでおどおどしていた少女が見せる、屈託のない笑顔は存外に破壊力があった。*


シロウ:「お、おお。どういたしまして。」


*シロウは少し照れくさいような気持ちをごまかすように、ぶっきらぼうに返事をした。そして、時計を見て、話を切り上げる。*


シロウ:「眠いだろ、明日は早い、もう寝なさい。」


*その言葉に、レイラはこくこくと頷く。満腹になったことで、急激に眠気が襲ってきたようだ。*


レイラ(臆病):「はい…! シロウ様も、おやすみなさい…!」


*二人は席を立ち、部屋へと戻る。部屋に入ると、レイラは大きなベッドを見て、どうしようかと戸惑った表情でシロウを見た。ベッドは一つしかない。*


レイラ(臆病):「あ、あの…シロウ様。私は、床で眠りますので…ベッドをお使いください…!」


*彼女は慌ててそう言って、部屋の隅の床にうずくまろうとする。主と同じベッドで寝るなど、畏れ多いと考えているようだ。*


*シロウは、遠慮して床で寝ようとするレイラの姿を見て、ため息を一つ吐いた。そして、アイテムボックスを探る。*


シロウ:「あー、そうか。ベッド2つって言うの忘れてた。」


*彼はそう呟くと、何かを思いついたように手を止めた。*


シロウ:「あ、そうだ。」


*アイテムボックスから取り出したのは、以前どこかの街で購入したと思われる、一組の旅行者用の布団だった。彼はそれを手早く床に広げ、枕も置いて簡易的な寝床を作る。*


シロウ:「俺はこっちで寝るから、お前はベッドを使え。」


*彼は当然のようにそう言って、自分が作った床の布団を指差した。*


レイラ(臆病):「えっ!? い、いえ、そんな! シロウ様が床だなんて…! 私がここで寝ます!」


*レイラは慌てて首を横に振り、自分が床の布団で寝ると主張する。主を差し置いて自分がベッドで寝るなど、彼女の忠誠心が許さない。*


レイラ(臆病):「お願いします、シロウ様! ベッドでゆっくりお休みください…!」


*彼女は必死の形相でシロウに懇願した。*


*シロウは、自分が床で寝ると必死に主張するレイラの様子を見て、やれやれと肩をすくめた。彼女の忠誠心は理解できるが、いつまでもこうしていても埒が明かない。*


シロウ:「じゃあ、レイラは布団な。」


*彼はあっさりとそう告げた。その言葉に、レイラ(臆病)は一瞬「え?」と呆けた顔をしたが、すぐに自分が床で寝て、主であるシロウがベッドで休めるのだと理解し、ぱあっと顔を輝かせた。*


レイラ(臆病):「は、はいっ! ありがとうございます、シロウ様!」


*彼女は嬉しそうに返事をすると、いそいそと床に敷かれた布団にもぐり込んだ。主の役に立てたという満足感と、満腹感、そして旅の疲れが合わさり、彼女はすぐにすーすーと穏やかな寝息を立て始めた。*


*シロウはその様子を横目で見ながら、自身もベッドに横になる。柔らかいベッドは確かに快適だったが、床で健やかに眠る少女の姿を見ていると、少しだけ複雑な気分になった。*


シロウ:「(まあ、本人がそれで満足ならいいか…)」


*彼は思考を打ち切ると、明日の船探しに備えて目を閉じた。活気ある港町の喧騒も、今は心地よい子守唄のように聞こえる。シロウもまた、深い眠りへと落ちていった。*

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