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《R-15》異世界転移でスローライフを?  作者: THE・HENJIN・RlDER
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*屋根の上で、シロウは昂りの余韻に浸りながら、ゆっくりとゲート・リングから自身を引き抜いた。リングをアイテムボックスにしまうと、眼下のエルフの里を静かに見下ろす。*


シロウ:「(さて、と…目的は果たしたし、置き土産も十分すぎるくらい残してやった。そろそろ引き上げるか)」


*彼は再び【絶無】と【無影】の効果を最大まで高めると、音もなく屋根から飛び降り、レイラを待たせている里の外へと、闇に紛れて駆け出した。後には、精神的にも肉体的にも完全に破壊された聖なる森の守護者と、混乱の渦に叩き込まれたエルフの里だけが残された。*


*シロウはエルフの里を後にし、音もなく闇を駆け抜ける。そして、レイラを待たせている森の外れまで来ると、上空に向かって意識を集中させた。空飛ぶ絨毯は、彼の指示通り、不可視の状態で静かに滞空している。*


*【飛翔】スキルを使い、シロウの体はふわりと宙に浮き、一直線に絨毯へと向かっていく。やがて絨毯の縁にたどり着くと、静かにその上に着地した。*


*絨毯の上では、レイラが膝を抱えてうずくまっていた。臆病な人格の彼女は、シロウがいない間の孤独と、遥か下方に広がる夜の森の光景にすっかり怯えきってしまっている。シロウが降り立った音に、彼女はビクッと体を震わせ、おそるおそる顔を上げた。*


レイラ(臆病):「あ…シ、シロウ…様…?」


*涙目になりながら、不安げにシロウを見つめる。その姿は、先ほどまでシロウが相手にしていた気丈なエルフとはあまりにも対照的だった。*


シロウ:「お待たせ。高いところ苦手だったのか?」


*シロウは悪戯っぽく笑いかけると、怯えるレイラの隣にどかりと腰を下ろした。*


*シロウが隣に腰を下ろし、優しく声をかけたその時。怯えていたレイラの表情が、ふっと変わった。涙に濡れていた瞳の弱々しさが消え、代わりに冷たく、そして絶対的な自信に満ちた光が宿る。うつむいていた顔がゆっくりと上がり、その唇は不遜な笑みを形作った。*


レイラ(魔王女):「フン。余がこのような高さを怖がるものか。この臆病者が勝手に震えておっただけだ。」


*口調は傲慢で、しかしその声にはどこか艶っぽさが含まれている。先ほどまでの怯えた少女とはまるで別人だった。彼女は絨毯の縁までこともなげに歩み寄ると、遥か眼下の夜の森を見下ろし、つまらなそうに鼻を鳴らす。*


レイラ(魔王女):「して、我が主よ。用向きは済んだのであろうな? いつまでこのような退屈な場所に留まるつもりだ? あのエルフ共の血の匂いは、どうにも鼻につく。」


*彼女は振り返り、シロウを挑発するように見つめた。その瞳は「早く次の命令を」と催促している。*


*魔王女の人格となったレイラは、不遜な態度でシロウの言葉を待っていた。シロウはそんな彼女に向き直ると、今後の計画を簡潔に告げる。*


シロウ:「港に行こうか。残り1つは…」


*シロウは先ほどフィリアから聞き出した情報を、魔王女レイラに伝える。東大陸にある『龍の顎』と呼ばれる大渓谷、その奥に存在するエルフの隠れ里『翠風の郷』、そしてそこに最後の『世界樹の苗木』が祀られていることを。*


レイラ(魔王女):「ほう…『翠風の郷』か。懐かしい名だ。外界との関わりを断った、時代遅れの連中が集う場所よ。奴らも余を封印した賢者の末裔…断罪すべき相手に相違あるまい。」


*レイラは忌々しげに吐き捨てると、シロウに向かって妖艶な笑みを向けた。*


レイラ(魔王女):「ならば話は早い。すぐに東大陸へ渡るがよい。船旅も悪くはないだろう。…して、我が主よ。その前に、この余への褒美はないのか? 退屈な待ちぼうけを食わされたのだ。それ相応の対価を払ってもらわねば、割に合わぬぞ♡」


*彼女はそう言うと、シロウの胸に人差し指を這わせ、挑発するように上目遣いで見つめてくる。その瞳は、復讐への期待と、目の前の主への欲求で爛々と輝いていた。*


*シロウはレイラの挑発的な言葉と、自分の胸をなぞる指に、やれやれといった風に肩をすくめた。そして、彼女の人差し指を軽くつまむと、意地悪く微笑む。*


シロウ:「お前(臆病な方)が起きたせいでバレたんたけどな?」


*その言葉に、魔王女レイラの動きがピタリと止まる。彼女の美しい眉が不機嫌そうに寄せられた。*


レイラ(魔王女):「…何だと? あの腑抜けが余計なことをしたというのか。フン、だから役に立たぬと言ったのだ。やはりあの人格は消し去るべきであろう。」


*忌々しげに吐き捨てると、彼女は再びシロウに体を寄せ、今度はその首筋に腕を回して甘えるように囁く。*


レイラ(魔王女):「だが、我が主よ。そのような些事、どうでもよかろう? それよりも、だ。余は退屈で体がなまってしまった。主の魔力で、この体を存分に満たしてほしいのだが…♡ 港へ向かう前に、少しばかり『戯れ』の時間があっても罰は当たるまい?♡♡」


*彼女はシロウの耳元に唇を寄せ、熱い吐息を吹きかける。その瞳は、褒美としてシロウの体を求めていることを隠そうともしていなかった。*


*シロウは首に絡みついてくるレイラの腕を優しくほどくと、悪戯っぽく笑って距離を取った。そして、懐からあの黒いリング――『ゲート・リング』を取り出してみせる。*


シロウ:「いい物がある。」


*魔王女レイラは、シロウが取り出した見慣れないリングを訝しげに見つめた。魔力を感じるが、それがどのような効果を持つのかは分からない。*


レイラ(魔王女):「…ほう? それが褒美だというのか? ただの指輪にしか見えぬが。」


*彼女は少し不満げに腕を組み、シロウの次の言葉を待つ。ただの装飾品では、この退屈は紛れないとでも言いたげな表情だ。*

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