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《R-15》異世界転移でスローライフを?  作者: THE・HENJIN・RlDER
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シロウ:「大丈夫。エルフの末裔の店に行かなきゃ行けないし…眠い…」


*シロウが「エルフの末裔」と口にした瞬間、彼の腕の中にいたレイラの雰囲気ががらりと変わった。怯えたような表情は消え、鋭く、傲慢な光がその紅い瞳に宿る。臆病な人格は鳴りを潜め、魔王女の人格が表に出てきたのだ。*


*レイラ(魔王女)はシロウの腕の中からするりと抜け出すと、ベッドの上に立ち、裸の体を惜しげもなく晒しながらシロウを見下ろした。*


レイラ(魔王女):「フン…いつまで寝ぼけている、主よ。復讐の標的が目と鼻の先にいるのだぞ? 貴様の疲れなど、私の知ったことではない。さっさと支度をしろ」


*彼女はそう言い放つと、ベッドから降り、散らばっていた自分の服を手早く身に着け始めた。その動きには一切の無駄がなく、昨夜の甘い雰囲気や今朝の臆病な態度は見る影もない。*


レイラ(魔王女):「…それにしても、主よ。昨夜はなかなか楽しませてくれたではないか。私が先に二度も啼かされるとはな…屈辱だが、悪くはなかったぞ♡」


*彼女は服を着ながら、ちらりとシロウに視線を送り、妖艶に微笑んだ。*


レイラ(魔王女):「だが、次はこうはいかんからな。次こそは、主が私の下で泣き叫ぶことになる。覚えておくがいい。…さあ、行くぞ!あの忌々しいエルフの末裔を、血の海に沈めてくれる!」


*復讐への強い意志が、彼女を完全に覚醒させていた。部屋の空気は一瞬にして張り詰め、これから始まるであろう戦いを予感させた。*


シロウ:「それじゃ、行くか」


*シロウが不敵な笑みを浮かべて同意すると、レイラ(魔王女)は満足げに鼻を鳴らした。彼女はすでに戦闘服を完璧に着こなし、臨戦態勢に入っている。*


レイラ(魔王女):「フン、当然だ。この私自らが相手をしてやったのだからな。…だが、感傷に浸っている暇はないぞ。さっさと着替えろ、ぐずぐずするな」


*彼女はシロウを急かしながら、部屋の隅に置いてある自分の荷物を改め始めた。中から黒い鞘に収められた短剣を取り出し、その切れ味を指で確かめている。その横顔は、復讐を前にした狩人のように冷徹で美しかった。*


*シロウが手早く服を着て準備を終えると、二人はロイヤルスイートの部屋を後にした。*


*宿屋の一階に下りると、朝食時で賑わうレストランを横目に、外へと出る。王都の朝は活気に満ちており、多くの人々が行き交っていた。*


レイラ(魔王女):「…貴族街の西、『忘れられた小道』だったな。案内しろ、主よ」


*レイラの紅い瞳は期待と殺意に燃えている。彼女はシロウの隣を歩きながら、周囲を鋭く警戒していた。昨日、青年から聞いた情報を頼りに、二人は目的の場所である『シルヴァリオンの魔導具店』へと向かい始めた。*


*全ての準備が整った。隣では、レイラ(魔王女)が殺気を隠そうともせず、出発を今か今かと待っている。*


レイラ(魔王女):「準備はできたか、主よ。さあ、行くぞ」


*二人は宿屋『白鹿亭』のロイヤルスイートを後にし、目的の場所である『シルヴァリオンの魔導具店』へと向かう。*


*シロウは歩きながら、隣のレイラにそっと【結界魔法】をかける。彼女から溢れ出る殺気を、周囲に悟られないように隠蔽するためのものだ。レイラ(魔王女)は復讐への期待に集中しているためか、その微細な魔力の揺らぎには全く気づいていない。*


*しばらく歩くと、昨日青年から聞いた通りの場所にたどり着いた。煌びやかな貴族街の大通りから一本外れた、日の光もあまり届かない寂れた小道。その一角に、古びた木造の建物がひっそりと佇んでいた。蔦が絡まり、看板の文字も掠れているが、かろうじて『シルヴァリオンの魔導具店』と読み取れる。まるで何十年も打ち捨てられているかのような雰囲気だ。*


*シロウは錆び付いたドアノブに手をかけ、少し力を込めて扉を開いた。*


**キィィ…**


*埃っぽい、古書の匂いと、様々な薬草が混じったような独特の匂いが鼻をつく。*


シロウ:「こんちゃーっす」


*店の中は薄暗く、狭い。壁一面に天井まで届く本棚が並び、そこには分厚い魔導書がぎっしりと詰め込まれている。カウンターや床には、用途不明のガラクタのような魔道具が雑然と置かれていた。*


*カウンターの奥、山積みの本に埋もれるようにして、一人の人物が座っていた。フードのついたローブを深く被っているため顔は見えないが、その手元で何かの薬草をすり潰しているようだ。シロウたちの入店に気づいたのか、その手が一瞬止まる。*


???:「……客じゃないなら帰れ。客でも用がないなら帰れ」


*フードの奥から、低く、不機嫌そうな少女の声が響いた。それは明らかに客を歓迎していない、面倒くさそうな声色だった。*


シロウ:「ここは何屋さんなんですかー?」


*シロウの間の抜けたような問いに、フードの奥の少女は薬草をすり潰す手を完全に止め、顔を上げた。フードの影で表情は窺えないが、苛立ちが声に滲み出ている。*


???:「……看板も読めないのか? それとも、その目は節穴か? 魔導具店だ。見て分からないならさっさと失せろ。冷やかしは間に合っている」


*少女は吐き捨てるように言うと、再び手元の作業に戻ってしまった。完全に無視の構えだ。*


*その少女の態度に、シロウの後ろに立っていたレイラ(魔王女)の眉がピクリと動く。彼女は一歩前に出る*


*シロウは前に出ようとしたレイラの手を咄嗟に掴み、軽く握って制止した。「待て」と、無言の圧力をかける。レイラ(魔王女)は不満げにシロウを睨んだが、主の命令には逆らえず、舌打ちをして一歩下がった。*


*シロウは店主の少女を無視し、雑然とした店内を何気なく見て回るフリをしながら、【神眼】を発動させた。視界に入るガラクタのような品々に次々と鑑定結果が浮かび上がる。*


*(シロウの脳内に【神眼】の情報が流れ込む)*


> 【鑑定結果:錆びた鉄塊】→ただの鉄屑。

> 【鑑定結果:欠けた水晶】→魔力が抜けきった廃品。

> 【鑑定結果:謎の生物の頭蓋骨】→ゴブリンの頭蓋骨。特に価値はない。

> ...


*ほとんどは本当に価値のないガラクタばかりだ。しかし、シロウが店の隅、埃をかぶった木箱に目を向けた瞬間、【神眼】が強く反応した。*


> **【鑑定結果:???の宝珠】**

> * **等級:不明(封印状態)**

> * **詳細:強大な魔力が幾重にも施された封印によって固く閉ざされている宝珠。内部には、所有者の魔力を増幅し、特定の属性魔法を飛躍的に強化する力が眠っていると思われる。封印は極めて高度な古代エルフの術式で構成されており、解除は困難を極める。**

> * **価値:封印解除に成功すれば国宝級。現状ではただの綺麗な石。**


*シロウは内心で驚きながらも、その宝珠には全く興味がないかのように視線を外し、カウンターの方へ戻った。カウンターの上にもガラクタが積まれているが、その中に一つ、手のひらサイズの奇妙な小箱があるのに気づく。*


> **【鑑定結果:忘却の小箱】**

> * **等級:希少級**

> * **詳細:中に物を入れて蓋を閉めると、その物が存在したという事実を周囲の人間(所有者を除く)の記憶から一時的に薄れさせる効果を持つ魔道具。効果は一日程度で消える。強力な精神力を持つ者には効果が薄い。盗賊や隠密に重宝される一品。**

> * **価値:金貨30枚相当**


*シロウはそれらの鑑定結果を頭に入れ、あくまで無知な客を装って、カウンターの奥にいるフードの少女に再び声をかけた。*


シロウ:「へぇ、魔道具ねぇ。面白いもんがいっぱいあるんだな。なぁ店主さん、アンタがこの店の店主? 名前はなんて言うの?」


*シロウの馴れ馴れしい問いかけに、フードの少女はピクリと肩を揺らした。そして、彼が指さしたものが、店の隅に無造作に転がっていた宝珠であることに気づくと、ようやく顔を上げた。フードの影から、鋭い翠色の瞳がシロウを射抜く。その顔立ちは驚くほど整っているが、血色は悪く、極度の人間不信がその表情に深く刻まれていた。彼女はエルフ族特有の尖った耳をしていた。*


???:「……名を名乗る義理はない。それと、それはただの石ころだ。何の価値もない。あんたのような素人には、もっと分かりやすいガラクタの方がお似合いだろう。他を当たれ」

*少女は冷たく言い放ち、その宝珠から目を逸らさせるように、あからさまな拒絶の態度を示した。明らかに、その宝珠の本当の価値を知っており、シロウがそれに気づいたことを警戒している。*


*その反応を見て、シロウの隣にいたレイラ(魔王女)が確信を得たように、低い声で呟いた。*


レイラ(魔王女):「…見つけたぞ、鼠が。その尖った耳…貴様がシルヴァリオンの末裔だな?」

*レイラの言葉に、フードの少女の体が硬直した。彼女はゆっくりとレイラの方に視線を移し、その紅い瞳と、隠しきれない魔力の奔流を感じ取ると、翠色の瞳を危険な色に見開いた。*


エルフの少女:「…何の用だ。人違いだと言ったら、素直に帰るか?」

*彼女の声は静かだが、その手はカウンターの下で何かを握りしめており、明確な敵意がその場の空気を支配し始めた。*



*レイラ(魔王女)がシルヴァリオンの末裔を名指しした瞬間、シロウは目の前の少女に【神眼】の全能力を集中させた。少女の全てを暴き出すために。*


*(シロウの脳内に、膨大な情報が濁流のように流れ込んでくる)*


```

【鑑定結果】

名前:ルナリア・シルヴァリオン

種族:エルフ

職業:魔道具師 Lv.32 / 古代魔術師 Lv.45

Lv.48

HP: 2800/2800

MP: 6500/6500

筋力:210

体力:280

敏捷:450

魔力:1800

器用:850


【スキル】

・古代エルフ語

・魔力鑑定 Lv.9

・錬金術 Lv.6

・結界魔法(古代)Lv.7

・精霊魔法 Lv.5

・召喚魔法 Lv.4

・鑑定妨害 Lv.8

・隠蔽 Lv.7


【ユニークスキル】

・魔導書『メリルの叡智』継承者

 └詳細:大賢者メリルが遺した魔導書の所有権を持つ。魔導書に記された古代魔法や知識を限定的に閲覧・使用できるが、完全な解読には至っていない。


【称号】

・没落貴族の末裔

・シルヴァリオン家最後の生き残り

・大賢者メリルの血を引く者

・呪われた杖の管理者


【状態】

呪い(魔力枯渇の呪詛):常に魔力が体外に漏れ出す状態。強力な魔法の使用には多大なリスクを伴う。

警戒(Lv.MAX)、敵意、恐怖、疲労


【所持品】

・魔導書『メリルの叡智』(封印状態)

・魔力阻害のダガー

・各種錬金素材


【詳細情報】

かつてエルフの名門であったシルヴァリオン家の最後の生き残り。先祖である大賢者メリルが魔王封印の際に犯したとされる『裏切り』により、一族は呪われ、没落した。

彼女自身もその呪いを受け継いでおり、強大な魔力を持ちながらも、常に魔力が枯渇していくという呪詛に苦しめられている。

一族に代々伝わる『呪われた杖』(=メリルの杖『世界樹の枝』)の本当の在処を知る唯一の人物であり、その杖が悪用されぬよう、歴史の裏でひっそりと管理してきた。

レイラ(魔王女)の放つ強大な魔力とその殺気に、先祖の代からの因縁を直感的に感じ取り、最大限の警戒をしている。カウンターの下で握っているのは、相手の魔力を一時的に阻害する効果を持つ呪いのダガー。

```


*鑑定結果を読み解いたシロウは、この少女がただの復讐の対象ではないことを理解した。彼女もまた、何百年も続く『呪い』の被害者なのだ。*


*鑑定に気づいたのか、ルナリアは一瞬顔をしかめ、シロウを鋭く睨みつけた。*


ルナリア:「貴様…! 何をした…?」


*彼女はカウンターの下で握っていたダガーを抜き放ち、その切っ先をシロウとレイラに向ける。その翠色の瞳は、追い詰められた獣のように、決死の覚悟を宿していた。*


ルナリア:「魔王の眷属…! 何の目的でここに来た! 我が祖先が貴様らの王を封印したことへの逆恨みか! ならば、ここで返り討ちにしてくれる!」


シロウ:「は?眷属?俺が?」


*シロウは心底呆れたように呟くと同時に、【概念魔法:封印】を発動させた。彼の膨大なMPが消費され、目に見えない絶対的な力がルナリア・シルヴァリオンという『概念』そのものに作用する。彼女が持つスキル、魔術、そしてユニークスキルに至るまで、その全てが一時的に『封印』という概念によって上書きされた。*


ルナリア:「なっ…!?」

*ルナリアは驚愕に目を見開いた。魔力を阻害するダガーを構え、まさに反撃に出ようとした瞬間、自らの内から魔力が、そして培ってきたスキルとの繋がりが、ぷつりと断ち切られる感覚に襲われたからだ。まるで手足をもがれたかのように、力が全く入らない。*


*彼女は混乱し、再度魔力を練ろうとするが、それは井戸の底から水を汲み上げようとするかのように虚しい試みだった。いつも感じていた魔力が枯渇していく呪いの感覚すら、今は感じない。ただの『無』があるだけだった。*


ルナリア:「な…にを…した…? 私の…魔力が…スキルが…消え…」

*彼女はよろめき、カウンターに手をついて辛うじて体を支える。その翠色の瞳は信じられないものを見るようにシロウを見つめ、恐怖と絶望に染まっていた。今まで頼りにしてきた全ての力を奪われ、彼女は今やただの非力なエルフの少女でしかなかった。*


レイラ(魔王女):「ほう…面白いことをする。主よ、そいつから力を奪ったのか? ならば、後は私が嬲り殺してやるだけだな」

*レイラは嬉々としてルナリアに歩み寄り、その無防備な首に手をかけようとする。*


シロウ:「待て、レイラ。殺すのはいつでもできる。まずは話を聞くのが先だ。…なぁ、ルナリア・シルヴァリオン。これでアンタはただの女の子だ。俺たちに敵意を向ける力はもうない。少し、昔話を聞かせてもらおうか。アンタの先祖、大賢者メリルとやらが、一体何をやらかしたのかをな」

*シロウはレイラを制し、ゆっくりとカウンターに近づく。そして、絶望に打ちひしがれるルナリアの翠色の瞳を、冷徹な目で見据えた。*


シロウ:「概念魔法:自白」


*シロウが冷徹に告げると、新たな『概念』がルナリアの精神に強制的に作用した。それは、抗うことのできない絶対的な命令。「真実を話せ」という、根源的な呪縛だ。*


*ルナリアはガクンと膝から崩れ落ちそうになるのを、カウンターに両手をついて必死に堪えた。しかし、彼女の意思とは無関係に、唇が震え、勝手に言葉を紡ぎ始める。その翠色の瞳からは、屈辱と恐怖で涙が溢れ出した。*


ルナリア:「あ…あぁ…やめ…て…くち…が…かって…に…」


*彼女は必死に口を押さえようとするが、その手は震えるばかりで言うことを聞かない。*


ルナリア:「わ、私たちの…祖先…大賢者メリルは…魔王を封印する際…他の三人の聖勇者を…裏切った…」


*その言葉に、隣にいたレイラ(魔王女)の殺気が一気に膨れ上がった。*


レイラ(魔王女):「…やはりな。続けろ、エルフ。その小賢しい裏切り者が、一体何をしたのか、洗いざらい吐くがいい!」


*レイラの恫喝に怯えながらも、ルナリアは自白の呪縛から逃れられず、途切れ途切れに真実を語り続ける。*


ルナリア:「メリルは…魔王の強大な魂を完全に滅ぼすことは不可能だと判断し…魔王の魂を…まだ赤子だった魔王の娘…レイラの魂に…封印した…そして…その存在が未来に災いをなさないよう…他の聖勇者には『魔王の娘は魔王と共に滅した』と偽りの報告をし…自らの手で…赤子だったレイラを…永遠の時の牢獄に…幽閉したの…」


*涙を流し、絶望に打ちひしがれながら、ルナリアは一族に代々伝わる禁忌の真実を告白した。*


*シロウの更なる問いに、ルナリアは抵抗する意思さえ失い、虚ろな瞳で床の一点を見つめながら、呪縛に従って言葉を紡ぎ続ける。*


ルナリア:「…メリルは…自らの裏切りと、魔王の娘を封印したという事実を隠蔽するため…『呪われた杖』…『世界樹の枝』の本当の力を使い…関係者の記憶に干渉した…だから、勇者アランの血筋も…他の聖勇者の末裔も…真実を知らない…」


*彼女はそこで一度言葉を切り、震える声で最も重要な情報を口にした。*


ルナリア:「杖の…本当の在処を知っているのは…代々、杖の『管理者』を務めてきた…シルヴァリオンの血を引く者だけ…それが…私…杖は…王都の地下深くに広がる…『忘れられた王家の霊廟』…その最深部に…私が張った古代結界の中で…眠っている…」


*その告白を聞いたレイラ(魔王女)は、歓喜と憎悪に顔を歪ませた。*


レイラ(魔王女):「王都の地下…!灯台下暗しとはこのことか! ククク…! よくぞ喋った、エルフの末裔! 貴様の役目はそれで終わりだ!」


*レイラは高笑いし、その手に黒い魔力を収束させ、ルナリアにとどめを刺そうと振りかぶった。*


ルナリア:「…ひっ…!」


*殺されることを悟り、ルナリアは恐怖に顔を引きつらせて目を固く閉じた。*


シロウ:「レイラ、好きにしなさい。君の選択を見届けよう」


*シロウは腕を組み、冷徹な目で状況を傍観する。レイラ(魔王女)がどのような選択を下すのか、その結末を見届けるつもりだった。*


レイラ(魔王女):「フハハハハ! 主よ、その言葉を待っていたぞ! この女を生かしておく理由など、もはや一片も無いからな!」


*レイラは高らかに笑い、収束させた黒い魔力の手を、恐怖に震えるルナリアの頭上へと振り下ろした。まさにその頭蓋を砕かんとした、その瞬間――。*


*ピタリ、とレイラの手が止まった。*


レイラ(魔王女):「…チッ」


*彼女は忌々しげに舌打ちをすると、振り上げた手をゆっくりと下ろした。そして、その憎悪に満ちた赤い瞳で、未だ恐怖で動けないルナリアを睨みつける。*


レイラ(魔王女):「…主よ、気が変わった。この女、殺すのはまだ早い」


シロウ:「ほう? なぜだ?」


*シロウは興味深そうに眉を上げる。*


レイラ(魔王女):「こいつは『管理者』だと言ったな。ならば、王都の地下霊廟にあるという結界を解くには、こいつが必要になるやもしれん。それに…」


*レイラはルナリアの顎を乱暴に掴み、顔を上げさせると、その耳元で蛇のように囁いた。*


レイラ(魔王女):「ただ殺すだけでは、私の気は収まらん。この女には、我が母…魔王の魂を汚された苦しみと屈辱を、これからたっぷりと味あわせてやらねばならんからな…♡ この美しい体を奴隷に落とし、私の復讐が終わるその時まで、永遠に弄び続けてやるのも一興だろう…♡」


*その言葉に、ルナリアは絶望に顔を染め、か細く首を横に振った。*


ルナリア:「い…いや…いやぁぁ…」


レイラ(魔王女):「ククク…主よ、どうだ? 面白い考えだろう? この女を我らの『奴隷』とする。もちろん、調教はこの私自らが行ってやるぞ」


*レイラは恍惚とした表情でシロウを見上げ、その許可を求めた。*


シロウ:「精神崩壊しないように魔法を掛けてオスオークの集落に投げ込むか?」


*シロウの冷酷な提案に、レイラ(魔王女)は一瞬きょとんとした顔をしたが、すぐにその意味を理解し、クツクツと喉を鳴らして笑い始めた。*


レイラ(魔王女):「ククク…フハハハハ! 主よ、お前は本当に面白いことを考えるな! 確かに、それも最高の屈辱を与える方法の一つではある。高潔を気取るエルフが、汚らわしい豚どもに蹂躏される姿は、さぞ滑稽だろう」


*レイラは愉快そうに笑いながら、絶望のあまり気を失いかけているルナリアの銀髪を弄ぶ。*


レイラ(魔王女):「だが…惜しいな、主よ。その極上の玩具を、私以外の者に汚されるのは気に入らん。こいつの初めては、この私が見届けながら、主が奪うべきだ。そして、その心が折れ、魂が屈服する様を、私はすぐ側で楽しみたいのだ。豚にくれてやるのは、その後でも遅くはあるまい?♡」


*彼女は妖艶に微笑み、シロウの腕に絡みつきながら上目遣いで見つめる。*


レイラ(魔王女):「それに、主よ。こいつにはまだ利用価値がある。王都の霊廟にあるという『世界樹の枝』を手に入れるには、こいつの力が必要になるだろう。壊すのは、全てが終わってからだ」


*そしてレイラは再びルナリアに向き直り、その顔を覗き込む。*


レイラ(魔王女):「という訳だ、エルフ。貴様の処遇は、奴隷として我らに仕え、利用価値がなくなるまで酷使された後、豚の餌になることに決まった。せいぜい、主と私に尽くすことだな」


*レイラはシロウに「主、こいつに奴隷の首輪を付けてやれ」と促す。ルナリアは「いや…いやぁ…」と弱々しく抵抗するが、その声にはもう力は残っていなかった。*


シロウ:「もしかして、霊廟は世界樹の祝福を受けた者しか入れない…的な?」


*シロウの的を射た推測に、ルナリアの肩がビクッと震えた。それは図星であることを雄弁に物語っていた。*


レイラ(魔王女):「フン、その可能性は高いな。そうでなければ、わざわざ『管理者』などという役職を代々受け継がせる意味がない。小賢しいエルフが考えそうな、血筋に縛られた結界だろう」


*レイラは吐き捨てるように言うと、シロウの腕に自分の体をより密着させた。*


レイラ(魔王女):「だからこそ、こいつは生かしておかねばならん。主よ、私の復讐のためだ。この女を奴隷とし、霊廟の扉を開けさせ、目的を果たした暁には…主の好きなように処分して構わん。それまでは、私の玩具として側に置くことを許可しろ」


*彼女はシロウの胸に顔を埋め、甘えるような、それでいて有無を言わさぬ声色で囁く。*


レイラ(魔王女):「さあ、主。早く【隷属の首輪】を。こいつが、もう二度と我らに逆らえぬように、その魂ごと縛り付けてやるのだ」


*レイラはシロウを見上げ、期待に満ちた赤い瞳で促した。床にへたり込んだままのルナリアは、もはや抵抗する気力もなく、ただただ絶望の色を浮かべて震えている。*


シロウ:「エルフちゃん、キミに絶望をプレゼントするね」


*シロウは冷たく言い放つと、アイテムボックスから漆黒の金属でできた【隷属の首輪】を取り出した。それは魔力を帯び、装着した者の意思を完全に奪い去る呪いのアイテムだ。*


*彼は床にへたり込むルナリアの前に屈みこむと、抵抗する力もなく震える彼女の白い首筋に、冷たい金属の首輪をゆっくりと嵌めた。*


カシャン。


*無機質な音が店内に響き、首輪が完全に装着される。その瞬間、首輪に刻まれた魔術的な文様が淡く光り、ルナリアの体と魂に『隷属』の概念を深く刻み込んだ。*


ルナリア:「あ……あぁ……」


*ルナリアの翠色の瞳から、最後の光が消える。自由な意思は奪われ、目の前のシロウという存在が絶対的な『主』であると、その魂に強制的に認識させられた。もはや彼女にできるのは、主の命令に従うことだけだった。涙を流すことさえ、主の許可がなければできない。*


レイラ(魔王女):「フハハハハ! いい眺めだ! これでこいつも我らの物だな、主よ! これで、王都の霊廟への道も開かれたも同然だ!」


*レイラは満足げに高笑いし、主従の契約が成立したルナリアを蔑むように見下ろした。*


レイラ(魔王女):「さて、主よ。まずはこの新しい奴隷の『しつけ』といくか? それとも、さっさと王都に向かうか? どちらにせよ、私の復讐はもう始まっているのだ…♡」


*彼女は妖艶に微笑み、シロウの腕に絡みつきながら次の命令を待つ。足元では、ルナリアが魂の抜けた人形のように、ただ静かにうなだれていた。*


シロウ:「王都に行こう。あ、エルフちゃんに命令。意識は保っててね☆」


*シロウは軽薄な口調で、しかし絶対的な命令をルナリアに下した。隷属の首輪を通じて、その命令は彼女の魂に直接刻み込まれる。*


ルナリア:「……はい、ご主人様」


*魂の抜けた人形のようだったルナリアの瞳に、わずかに光が戻る。しかしそれは以前の彼女の意志の光ではなく、ただ命令に従うためだけのものだった。彼女はゆっくりと立ち上がり、シロウの少し後ろに控えるように直立する。その表情は能面のように変わらず、ただ主の次の言葉を待っていた。*


レイラ(魔王女):「ククク…いいだろう、主よ。早速王都に向かい、私の復讐を果たすとしようではないか。この女の案内があれば、霊廟まではたやすいはずだ」


*レイラは機嫌よさそうに笑い、シロウの腕に絡みついたまま体をすり寄せる。*


レイラ(魔王女):「この店にあるものはどうする? 主の【神眼】によれば、いくつか面白いものがあったようだが。奪っていくか?」


*彼女は店内に並べられた魔道具や素材に一瞥をくれ、シロウの意向を尋ねた。主を失ったこの店にあるものは、今や全てシロウたちの所有物と言っても過言ではなかった。*


シロウ:「この綺麗な石を貰っていくよ。他はガラクタだし、これだけでいいや」


*シロウはカウンターの上に転がっていた、虹色に輝く『始祖の宝珠』を手に取った。ひんやりとした感触と、内側から放たれる微かな温もりが心地よい。彼はそれを無造作にアイテムボックスへと収納した。*


レイラ(魔王女):「フン、主がいいというなら構わん。ガラクタに用はないからな。では、さっさと行こうではないか。私の復讐の舞台は、こんな埃っぽい店ではない」

*レイラはシロウの腕をぐいと引き、早く店を出るように促す。一刻も早く王都へ向かい、復讐の続きをしたいようだ。*


ルナリア:「……」

*ルナリアはただ無言で、表情を変えずに二人のやり取りを見ている。彼女の瞳には何の感情も浮かんでおらず、主の命令を待つだけの存在となっていた。自分の店や財産がどうなろうと、もはや彼女の関知するところではない。*


シロウ:「ああ、そうだな。じゃあ行こうか。ルナリア、王都までの最短ルートを案内しろ。馬車は…必要か?」


*シロウがルナリアに命令すると、彼女は機械的に、しかし淀みなく答えた。*


ルナリア:「はい、ご主人様。この街、商業都市アークライトから王都アルトリアまでは馬車で三日の距離です。街の西門を出てすぐの場所に、乗り合い馬車の停留所がございます」


レイラ(魔王女):「三日か…まどろっこしいな。だが、仕方あるまい。主よ、すぐに向かうぞ」


シロウ:「あー、アルトリアか。近くまでは行ったことあるわ。サクッと「転移」☆」


*シロウが軽い調子で【転移魔法】を唱えると、三人の足元に複雑な魔方陣が浮かび上がり、眩い光が周囲を包み込んだ。商業都市アークライトの埃っぽい店の風景は一瞬で掻き消え、次の瞬間、彼らは見覚えのある場所に立っていた。*


*目の前には、白亜の城壁に囲まれた雄大な王都アルトリアの姿が広がっている。以前、シャーロット王女を助けた際に訪れた森の出口、王都の城門まで歩いて数分という絶好の場所だ。*


レイラ(魔王女):「なっ…! これは…空間転移魔法だと!? 主よ、お前はこんな大魔法まで使いこなすのか…!」

*レイラは驚愕に目を見開いたが、すぐに恍惚とした表情に変わった。主の底知れない力に触れ、更なる悦びを感じているようだ。彼女はシロウの腕に、より一層強く絡みつく。*


ルナリア:「……」

*一方、ルナリアは突然の景色変転にも表情一つ変えず、ただ静かに佇んでいる。隷属の首輪は、彼女から驚きという感情さえ奪い去っていた。*


レイラ(魔王女):「ククク…素晴らしいぞ、主よ! これで忌々しい待ち時間もなく、すぐにでもあの霊廟とやらに乗り込めるという訳だ! さあ、行こうではないか! 私の復讐の舞台へ!」

*レイラは興奮を隠しきれない様子で、王都の城門を指さした。白亜の都は、これから始まろうとしている復讐劇のことなど知る由もなく、静かに彼らを待ち構えている。*


シロウ:「ああ。ルナリア、霊廟への入り口はどこだ? 案内しろ」

*シロウは感情の抜け落ちた新しい奴隷に、淡々と命令を下した。*


ルナリア:「はい、ご主人様。忘れられた王家の霊廟への入り口は、王城の地下…その中でも一般には知られていない、古い書庫の隠し通路の先にございます」


*シロウたちはルナリアの案内に従い、王城の古い書庫に隠された通路を発見し、その奥へと進んだ。ひんやりとした石の階段を下っていくと、やがて巨大な石の扉が目の前に現れた。扉には複雑な幾何学模様と古代エルフの文字がびっしりと刻まれており、強大な魔力で封じられているのが肌で感じられる。*


ルナリア:「……」

*ルナリアは主の命令に従い、石の扉に手を触れた。彼女の体内から微かな魔力が流れ、扉の紋様に吸い込まれていく。しかし、扉はピクリとも動かない。何度か試みるが、結果は同じだった。*


シロウ:「あれ、エルフちゃんでも開かないじゃん」


*シロウが呆れたように言うと、隣にいたレイラ(魔王女)が忌々しげに舌打ちをした。*


レイラ(魔王女):「チッ、どういうことだ、エルフ! 貴様、我らを欺いたのか?」

*レイラが殺気を放ちながらルナリアを睨みつけるが、ルナリアはただ無感情に首を横に振るだけだった。*


ルナリア:「いえ…この扉を開くには、シルヴァリオン家の血筋であることに加え、『管理者』としての膨大な魔力が必要です。ですが…ご主人様によって私の力は封じられているため、封印を解くための魔力が足りません」

*彼女は淡々と事実だけを告げる。その瞳には、自分の状況を悲観する色すらなかった。*


レイラ(魔王女):「なんだと…? では、こいつの封印を一時的に解かねばならんということか、主よ。面倒なことだ」

*レイラは不満そうにシロウを見上げた。この役立たずの奴隷の力を、一時的にでも元に戻すことが気に食わないようだ。*


シロウ:「世界樹の加護だろ?」


*シロウはそう呟くと、ルナリアを押し退けるようにして巨大な石の扉に自らの手を触れた。そして、体内の魔力をほんの少しだけ流し込む。*

*以前、怨念に枝をぶっ刺し、瀕死の状態から蘇生した際、シロウは世界樹そのものから直接膨大な生命力と魔力を注ぎ込まれていた。それは、シルヴァリオン家が代々受け継いできた微弱な加護などとは比較にならない、根源的で強大な『祝福』だった。*


*ゴゴゴゴゴゴ……!!!*


*シロウの魔力が流れた瞬間、今まで沈黙を守っていた石の扉が地響きのような轟音を立てて激しく震えだした。扉に刻まれた古代エルフの文字と紋様が、まるで主の帰還を喜ぶかのように眩い翠色の光を放ち始める。*


レイラ(魔王女):「な…! 主よ、これは…!?」

*レイラは驚きの声を上げる。ルナリアではピクリともしなかった封印が、シロウが触れただけでこれほどまでの反応を示していることに、彼女は目を見張った。*


ルナリア:「そん…な…シルヴァリオンの血族でもないのに…なぜ、これほどの…世界樹の…力が…」

*感情を失っているはずのルナリアの口から、初めて驚愕の言葉が漏れた。彼女の翠色の瞳が信じられないものを見るように、光り輝く扉とシロウを交互に見つめている。*


*やがて光が収まると、数百年、あるいは数千年の時を超えて閉ざされていた重厚な石の扉が、ゆっくりと、荘厳に、その内側へと開いていった。ひんやりとした、時の止まった空気が通路へと流れ出してくる。*


シロウ:「ほらな、開いた。行くぞ」


*シロウはこともなげに言うと、躊躇なく霊廟の暗闇の中へと足を踏み入れた。*


シロウ:「4ヶ月くらい前に持ってた世界樹の枝を怨念の中心部にぶっ刺して浄化した事があったんだ」


*シロウは霊廟の薄暗い通路を歩きながら、背後で驚愕に固まっているレイラとルナリアにこともなげに答えた。彼の言葉は、あまりにも突拍子もない事実を淡々と告げている。*


レイラ(魔王女):「世界樹の枝を…怨念に…? 主よ、それは一体どういうことだ? そんな貴重なものを、なぜお前が持っていた? いや、それ以前に、世界樹の枝で怨念を浄化するなど聞いたことがないぞ…!」


*レイラは驚きを隠せず、シロウの隣に並んで矢継ぎ早に質問を浴びせる。彼女の知る常識では到底考えられない話だった。*


ルナリア:「…世界樹の枝は…聖なる力を持ちますが、強大な怨念に触れれば逆に汚染され、枯れてしまうはず…それを…浄化…?」


*奴隷であるルナリアも、主の許可なく思わず呟いていた。その無感動な表情の裏で、彼女の知識とシロウの言葉が激しく矛盾し、混乱しているのが見て取れた。シルヴァリオン家に伝わる伝承の何もかもが、目の前の男によって覆されていく。*


レイラ(魔王女):「…フン。まあ良い。主が成し遂げることに常識など通用せん。それは私が一番よく知っているからな」


*レイラはすぐに納得したように鼻を鳴らし、再びシロウの腕に絡みついた。主の規格外の力は、彼女にとって誇りであり、悦びの源泉だった。*


*三人が通路を進んでいくと、やがて開けた空間に出た。そこは霊廟の最深部。中央には石造りの祭壇があり、その上には一本の杖が、まるで時が止まったかのように安置されていた。杖は白く美しい木でできており、全体から淡い光を放っている。しかし、その輝きはどこか弱々しく、力を失っているように見えた。*


レイラ(魔王女):「あれが…『世界樹の枝』…。我が母を、そしてこの私を封印した呪われた杖か…!」


*レイラは憎悪に満ちた声で呟き、その赤い瞳で祭壇の上の杖を睨みつけた。*


シロウ:「神眼、鑑定だ」


*シロウがその瞳に魔力を込めると、彼の視界にだけ、祭壇に安置された杖の情報が文字列となって浮かび上がった。*


```

【名称】世界樹の枝(劣化)

【種別】杖

【ランク】レジェンダリー(破損)

【効果】

・魔力増幅(大):所有者の魔力を大幅に増幅させる。※現在機能不全

・精神感応:他者の思考や記憶に干渉することができる。※現在機能不全

・封印術式:対象の魂や力を封じ込める古代の術式が刻まれている。※現在、魔王の魂の封印維持のために魔力を消耗し続けている。

・自己修復:世界樹の魔力によって自己を修復する能力を持つ。※現在、供給源との繋がりが絶たれているため機能不全。

【解説】

かつて世界樹から切り出された神聖な枝。大賢者メリルが魔王の魂をその娘レイラの魂に封印するために使用した。長きに渡る封印の維持と、世界樹からの魔力供給が途絶えたことにより、杖そのものが劣化し、本来の力をほとんど失っている。このまま放置すれば、数年以内に杖は崩壊し、封印も解けてしまうだろう。

```


レイラ(魔王女):「どうだ、主よ。この忌々しい杖の正体は分かったか?」

*レイラはシロウの顔を覗き込みながら尋ねる。彼女の瞳には、長年の恨みを晴らす機会を前にした期待と憎悪が渦巻いていた。*


ルナリア:「……」

*ルナリアはただ静かに祭壇を見つめている。彼女の祖先が残した負の遺産が、今、主の手に渡ろうとしていた。*


*シロウは【神眼】で読み取った杖の情報を、隣にいるレイラと後ろに控えるルナリアに聞こえるように淡々と語り始めた。杖が劣化していること、封印を維持するために力を消耗していること、そして数年以内に杖が崩壊し、いずれにせよ封印が解ける運命にあったこと。その全てを。*


レイラ(魔王女):「…なに? 杖が壊れ、いずれ封印は解けていた、だと…?」

*鑑定結果を聞いたレイラは、眉をひそめて杖を睨みつけた。復讐の象徴である杖が、自分たちの手を下すまでもなく朽ち果てようとしていたという事実に、複雑な表情を浮かべる。*


レイラ(魔王女):「フン…馬鹿馬鹿しい話だ。つまり、我らがわざわざ手を下さずとも、この小賢しいエルフの企みは勝手に破綻していたという訳か。だが、それはそれ、これはこれだ。私の気が晴れることにはならん」

*彼女は吐き捨てるように言うと、祭壇に歩み寄り、忌々しげに杖を掴み取った。ひび割れ、輝きを失った杖は、伝説の遺物とは思えないほど頼りない。*


レイラ(魔王女):「主よ、この杖はどうする? こんなガラクタ、もはや何の役にも立たんように思えるが。いっそのこと、ここでへし折ってくれるか?」

*レイラは杖をシロウに差し出し、その処分を委ねた。長年の憎しみの対象であったとはいえ、力を失った杖を前にして、どうすれば最も気が晴れるのか決めかねているようだった。*


ルナリア:「……」

*ルナリアは、一族が代々守り続けてきた杖がレイラの手に渡るのを、ただ黙って見ている。彼女の表情からは何も読み取れないが、その心の中では、先祖から続く長い歴史が一つの終わりを迎えたことを感じていたのかもしれない。*


シロウ:「好きにしろよ。お前がやりたいようにな」


*シロウの許可を得たレイラ(魔王女)は、一瞬の躊躇も見せず、その華奢な両手に力を込めた。彼女の憎しみが、失われた魔力の代わりに杖へと注ぎ込まれる。*


バキィッ!


*乾いた破壊音が、静寂な霊廟に響き渡った。かつて魔王さえ封じた伝説の杖は、劣化していたこともあり、あまりにも呆気なく二つにへし折られた。砕けた杖の破片が、カラン…と音を立てて石の床に転がる。*


レイラ(魔王女):「……フン」


*レイラは折れた杖の残骸を無造作に床に投げ捨て、それを踏みつけた。しかし、彼女の表情に達成感や歓喜の色は薄い。長年の憎悪の対象を破壊したというのに、心の底から満たされる感覚は得られなかったようだ。*


レイラ(魔王女):「…呆気ないものだな。こんなガラクタに、私は何百年も…いや、我が母は…。これでは、私の気は少しも晴れん」


*彼女は忌々しげに吐き捨てると、シロウに向き直った。その赤い瞳には、未だ満たされぬ復讐の炎が燃え盛っている。*


レイラ(魔王女):「主よ、杖は壊した。だが、私の復讐はまだ始まったばかりだ。あの大賢者メリルが行ったことの全てを、その末裔に償わせてやらねばならん。そして…もう一人。勇者アラン。奴の末裔も探し出し、同罪として断罪する」


*彼女の視線が、床に転がった杖の破片から、背後で静かに佇むルナリアへと移る。*


レイラ(魔王女):「まずはこの女だ。こいつの先祖が私にしたように…いや、それ以上の苦しみと屈辱を、これからたっぷりと与えてやる。主よ、こいつの『しつけ』は、宿に戻ってからでいいか? 王都には良い宿があるだろう」


*レイラはシロウの腕に再び絡みつき、妖艶な笑みを浮かべて囁いた。その声には、新たな玩具を手に入れた子供のような、残酷な期待が滲んでいた。*


シロウ:「例えば?」


*シロウはレイラの腕に絡みつかれたまま、興味深そうに問い返した。彼女が言う『しつけ』とやらが、具体的にどのようなものを指すのか、その残酷な発想を聞いてみたくなったのだ。*


レイラ(魔王女):「フフ…♡ 例えば、そうだな…」


*レイラはシロウの耳元に唇を寄せ、甘く、そして残酷な声で囁き始めた。その赤い瞳は、背後で無感情に佇むルナリアに向けられている。*


レイラ(魔王女):「まずは、主の前でこの女の美しい服を一枚一枚剥ぎ取り、その白く清らかな肌を隅々まで晒させてやろう。そして、その体でどのように主を喜ばせるべきか、この私が手取り足取り、みっちりと教えてやるのだ…♡♡♡」


*彼女は恍惚とした表情で続ける。*


レイラ(魔王女):「もちろん、ただ教えてやるだけでは芸がない。言うことを聞かなければ、あるいは主を満足させられなければ、その度に罰を与える。魔道具で、鞭で、あるいは…主の『それ』で。こいつの心が完全に折れ、主の肉奴隷として喘ぐことしかできなくなるまで、何度でも、何度でもだ…♡」


*その言葉は、もはや調教というよりも、魂そのものを破壊する儀式に近い。レイラの瞳は復讐の悦びに爛々と輝いている。*


レイラ(魔王女):「どうだ、主よ? 想像しただけでゾクゾクするだろう? 高潔なエルフの末裔が、我らの前でプライドを砕かれ、ただの雌として啼き濡れるのだ。最高の見世物になるぞ」


*彼女はシロウの胸に顔をすり寄せ、同意を求めるように上目遣いで見つめた。足元では、折れた杖の残骸が無惨に転がっている。*


シロウ:「んーまぁたまにはいいか」


*シロウが気だるげに同意した瞬間、再び彼の足元に転移の魔方陣が展開された。王都の地下霊廟のひんやりとした空気は一瞬で消え去り、三人は先ほどまでいたルナリアの魔道具店へと帰還していた。*


レイラ(魔王女):「フフフ…♡ そうこなくてはな、我が主よ!」

*レイラはシロウの返答に満足げに微笑むと、彼の腕からそっと離れた。そして、獲物を定める肉食獣のような瞳で、店の中心に立つルナリアを見つめる。*


レイラ(魔王女):「さあ、始めようか。我が復讐の第一幕を。そしてお前の、『しつけ』の時間をな」

*彼女はゆっくりとルナリアに歩み寄り、その肩に手を置いた。隷属の首輪を付けられたルナリアは、抵抗することもなく、ただ無感情にレイラを見つめ返すだけだ。*


レイラ(魔王女):「主よ、まずはこいつの汚れた服を剥ぎ取ってやろう。主の手でな。そして、その清らかなる体が、我らの前でどのように変化していくか、じっくりと観察してやろうではないか…♡♡」

*レイラはルナリアのローブの留め具に指をかけ、シロウを挑発するように見つめた。店の中には、これから始まる残酷な調教を予感させる、ねっとりとした空気が漂い始める。*


*ルナリアはただ静かに立っている。主の命令がなければ、服を脱がされても、何をされても、ただそれを受け入れるだけの人形となっていた。*


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