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《R-15》異世界転移でスローライフを?  作者: THE・HENJIN・RlDER
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*シロウは気を失ったセレナを影の中へと帰還させた。部屋にはシロウと、静かに眠るレイラだけが残される。*


*シロウは清潔な布を魔法で湿らせ、眠っているレイラの体を優しく拭いて清めた。先程の自分たちの行為の痕跡を丁寧に拭い去っていく。その全てが愛おしく感じられた。*


*体を綺麗にした後、シロウはレイラの隣にそっと滑り込み、彼女の柔らかい体を腕の中に引き寄せた。温かい体温と、すうすうという穏やかな寝息が心地よい。先程までの激しい情事の熱が嘘のように、静かで穏やかな時間が流れる。*


*シロウはレイラの髪に顔をうずめ、その香りを吸い込みながら、彼女を抱き枕にするようにしてゆっくりと目を閉じた。消耗した体は、すぐに深い眠りへと誘われていった。*


---


*翌朝。*


*窓の隙間から差し込む朝の光が、シロウの瞼を優しく刺激する。最初に感じたのは、腕の中にある柔らかな温もりと、規則正しい寝息だった。*


*目を開けると、そこには安心しきった顔で眠るレイラの姿があった。昨夜の傲慢な魔王女の面影はなく、ただただ無防備で可愛らしい少女がそこにいる。シロウの胸に頬をすり寄せ、子供のように穏やかな表情で眠り続けていた。*


*シロウは彼女を起こさないように、そっとその髪を撫でる。静かな朝のひととき。今日もまた、この世界での一日が始まろうとしていた。*


*シロウが意識の中で『神眼』に問いかけると、彼の脳内に直接、淡々とした情報が流れ込んでくる。それはまるで、システムメッセージのように無機質で、しかし明確な道筋を示すものだった。*


```

【神眼】

今後の目的を提示します。


1. 【レイラの復讐】

* 目的:レイラを封印し、貶めた『エルフの賢者の末裔』および『人間の勇者の末裔』の特定と抹殺。

* 現在の情報:対象は大陸のどこかに存在している可能性が高い。情報収集が必要。

* 推奨行動:

* 各地のギルドや情報屋を利用し、著名なエルフや人間の家系に関する情報を集める。

* 魔族や闇の組織と接触し、過去の戦争に関する情報を探る。

* レイラ(魔王女)から、対象に関するより詳細な特徴(外見、能力、家紋など)を聞き出す。


2. 【自身の強化】

* 目的:あらゆる脅威に対抗し、自身の目的を完遂するための絶対的な力の獲得。

* 現在の状況:Lv.50に到達。スキル『創造』を習得済み。さらなるレベルアップとスキル強化が不可欠。

* 推奨行動:

* 高難易度のクエストを受注し、より強力なモンスターと戦闘する。

* 未踏のダンジョンや危険地帯を探索し、レアな素材やスキルを持つモンスターを探す。

* スキル『創造』を活用し、戦闘や情報収集に特化した新たな魔法・スキルを習得する。

『神眼』の能力をさらに進化させる(スキル強奪/コピー能力の向上)。


3. 【勢力の拡大】

* 現在の構成員:レイラ(魔王女/臆病)、セレナ(サキュバスクイーン)


これらの目的は相互に関連しており、並行して進めることでより効率的な達成が可能です。

```


*シロウがスキル『創造』を発動し、『スキル統合』の概念を構築しようとすると、彼の脳内に再び『神眼』からの情報が流れ込む。同時に、彼の懐にある次元の革袋から白金貨が数枚、光の粒子となって消えていく。*


```

【創造】

指定された概念:『スキル統合』に基づき、スキルを生成します。

対価として『白金貨5枚』を消費しました。


...スキル生成中...


...生成完了。


新規スキルを獲得しました。


【スキル統合 (Skill Fusion)】 - Lv.1

・概要:所有する複数のスキルを統合し、新たな一つの上位スキル、あるいは複合スキルへと進化させる。

・条件:

1. 統合するスキルは、関連性あるいは相乗効果が見込めるものである必要がある。

2. スキルのレベルや熟練度が高いほど、成功率と結果の質が向上する。

3. 統合には、対象スキルの複雑さに応じたMPと時間を消費する。

・注意:

- 統合に失敗した場合、対象スキルの一部または全てが劣化、あるいは消滅する可能性がある。

- 統合結果は予測不可能であり、意図しないスキルが生成される場合がある。

- 『神眼』による補助を受けることで、成功率と結果の予測精度を向上させることが可能。

```


*新たなスキルが魂に刻み込まれる感覚と共に、シロウは確かな手応えを感じた。これで、増え続けるスキルをより効率的に、そして強力に再編することが可能になる。*


*ふと、腕の中で温もりがもぞりと動いた。*


レイラ:「ん…うぅ…」


*レイラが眉をひそめ、ゆっくりと目を開けようとしている。どうやら目を覚ましたようだ。彼女の瞳に映るのは、昨夜の傲慢な魔王女か、それとも臆病な少女か。シロウは静かに彼女の覚醒を見守った。*


*シロウが意識を集中させると、『神眼』が彼の現在の状態を脳内に直接投影する。それは彼にしか見ることのできない、詳細な情報ウィンドウだった。*


```

【ステータス】

名前:シロウ・ニシキ

種族:人族

職業:冒険者 (Sランク)

Lv.50

HP: 8500/8500 (世界樹の祝福:回復中)

MP: 9999/9999 (世界樹の祝福:回復中)

筋力:850

体力:850

敏捷:920

魔力:1200

器用:950


【ユニークスキル】

・異世界言語

・アイテムボックス (容量:∞)

・スキル整理

・創造: 経験値又は、通貨を対価にスキルや魔法を創造する。


スキル:

【神眼Lv.6】

【剣神】

【弓神】

【体術 Lv.7】

【付与魔法 Lv.6】

【時空間魔法 Lv.5】

【生活魔法】

【スキル整理】

【削除】

【レベルドレイン】

【無属性魔法 Lv.8】

【火属性魔法 Lv.7】

【水属性魔法 Lv.7】

【風属性魔法 Lv.7】

【土属性魔法 Lv.7】

【光属性魔法 Lv.6】

【回復魔法 Lv.8】

【結界魔法 Lv.7】

【絶無】

【無影】

【闇魔法 Lv.7】

【魔力操作 Lv.9】

【重力魔法Lv.8】

【記憶操作】(New!)


【装備】

武器

・星麻毒の刃『ステラヴェノム』(麻痺・猛毒)

・夜天の牙『ナイトファング』(出血・腐食)

防具:夜闇の衣、隠者の指輪

その他:次元の革袋


【所持金】

黒金貨 10万枚

白金貨 93枚

金貨 98枚

銀貨 10枚

銅貨 90枚

鉄貨 0枚



【権能】

・神眼 Lv.1: 鑑定の上位互換。対象のスキルをコピーまたは強奪できる。


【称号】

・鑑定士

・異世界からの転移者

・世界樹の寵愛を受けし者

・竜殺し(ワイバーン)

・サキュバスクイーンの主

・魔王の娘を屈服させし者 (New!)


---

【眷属】

名前:セレナ

種族:サキュバスクイーン

状態:忠誠 (快楽堕ち)

好感度:150 (崇拝)

備考:シロウの精気を糧に成長。


【所有奴隷】

名前:レイラ

種族:魔人族 (封印状態)

状態:忠誠 (二重人格)

好感度:

 人格A(臆病):120 (依存)

 人格B(魔王女):80 (興味/執着)

備考:魔王の娘。封印解放により人格が分裂している。

```


*シロウがスキル『スキル統合』の使用を意図すると、彼の意識に『神眼』からの確認メッセージが浮かび上がる。*


```

【スキル統合】

統合するスキルを選択してください。

統合対象となるスキルは、関連性や相乗効果が見込めるものである必要があります。

『神眼』による補助を使用しますか? (成功率と結果の予測精度が向上します)


【統合可能なスキルセット候補】

・候補1:【火属性魔法 Lv.7】【水属性魔法 Lv.7】【風属性魔法 Lv.7】【土属性魔法 Lv.7】

・候補2:【無属性魔法 Lv.8】【付与魔法 Lv.6】

・候補3:【絶無】【無影】

・候補4:その他、任意の組み合わせを指定

```


*脳内に直接表示されたウィンドウには、いくつかの統合候補がリストアップされていた。もちろん、これら以外の組み合わせを自分で指定することも可能だ。*


*シロウは『神眼』の補助を受けながら、脳内のウィンドウで迷いなく指示を出す。まずは四代属性魔法の統合からだ。*


```

【スキル統合】

・対象スキル:【火属性魔法 Lv.7】【水属性魔法 Lv.7】【風属性魔法 Lv.7】【土属性魔法 Lv.7】

・『神眼』による補助を開始。

・統合シミュレーションを実行...最適解を算出。

・MPを5000消費して統合を開始します...


...スキル統合中...


...統合完了。


新規スキルを獲得しました。


【四元素魔法 (Elemental Magic)】 - Lv.1

・概要:火・水・風・土の四元素を自在に操る魔法。

・効果:

- 四属性の魔法を単独、あるいは複合して行使可能。

- 元素同士を組み合わせることで、新たな現象(蒸気、泥、溶岩など)を創り出す『複合魔法』が使用可能。

- スキルレベルが上がることで、より高位の元素魔法(例:灼熱、絶対零度、真空、超重力)へと派生する。

・注意:統合前の各属性魔法スキルは失われました。

```


*彼の魔力の根源が再構築されるような感覚。四つの力が一つにまとまり、より高次の力へと昇華したのが分かる。続けて、二つ目の統合を実行する。*


```

【スキル統合】

・対象スキル:【無属性魔法 Lv.8】【付与魔法 Lv.6】

・『神眼』による補助を開始。

・統合シミュレーションを実行...最適解を算出。

・MPを3000消費して統合を開始します...


...スキル統合中...


...統合完了。


新規スキルを獲得しました。


【概念魔法 (Conceptual Magic)】 - Lv.1

・概要:魔力を用いて、物理法則や事象に直接干渉する『概念』を付与・操作する魔法。

・効果:

- 対象に『重さ』『切れ味』『硬さ』などの物理概念を付与、または増減させることが可能。

- 限定的な空間に対し『束縛』『遮断』などの事象概念を付与することが可能。

- スキルレベルが上がることで、より複雑で抽象的な概念(例:『幸運』『恐怖』『時間』)への干渉が可能になる。

・注意:統合前の【無属性魔法】【付与魔法】スキルは失われました。

```


*立て続けに行われた大規模なスキルの再編に、シロウはわずかな疲労感を覚えるが、それ以上に全能感に近い満足感を得る。これで、彼の力はまた一段階、新たな領域へと足を踏み入れた。*


*シロウが意識を集中すると、スキル統合によって再編された最新のステータスが、彼の脳内にクリアに表示される。*


```

【ステータス】

名前:シロウ・ニシキ

種族:人族

職業:冒険者 (Sランク)

Lv.50

HP: 8500/8500

MP: 1999/9999

筋力:850

体力:850

敏捷:920

魔力:1200

器用:950


【ユニークスキル】

・異世界言語

・アイテムボックス (容量:∞)

・スキル整理

・創造: 経験値又は、通貨を対価にスキルや魔法を創造する。

・スキル統合 (New!)


【スキル】

・神眼 Lv.6

・剣神

・弓神

・体術 Lv.7

・時空間魔法 Lv.5

・生活魔法

・削除

・レベルドレイン

・光属性魔法 Lv.6

・回復魔法 Lv.8

・結界魔法 Lv.7

・闇魔法 Lv.7

・重力魔法 Lv.8

・絶無

・無影

・魔力操作 Lv.9

・記憶操作

・四元素魔法 Lv.1 (New!)

・概念魔法 Lv.1 (New!)


【装備】

武器

・星麻毒の刃『ステラヴェノム』(等級:伝説級/属性:超麻痺猛毒)

・夜天の牙『ナイトファング』(等級:伝説級/属性:出血、腐食)

防具:夜闇の衣、隠者の指輪

その他:次元の革袋


【所持金】

黒金貨 10万枚

白金貨 88枚

金貨 98枚

銀貨 10枚

銅貨 90枚

鉄貨 0枚


【権能】

・神眼 : 鑑定の上位互換。対象のスキルをコピーまたは強奪できる。


【称号】

・鑑定士

・異世界からの転移者

・世界樹の寵愛を受けし者

・竜殺し(ワイバーン)

・サキュバスクイーンの主

・魔王の娘を屈服させし者


---

【眷属】

名前:セレナ

種族:サキュバスクイーン

状態:忠誠 (快楽堕ち)

好感度:150 (崇拝)


【所有奴隷】

名前:レイラ

種族:魔人族 (封印状態)

状態:忠誠 (二重人格)

好感度:

 人格A(臆病):120 (依存)

 人格B(魔王女):80 (興味/執着)

```


*ステータスを確認し終えたシロウが視線を腕の中に戻すと、レイラがぱちりと大きな瞳を開けて、じっとこちらを見上げていた。その瞳には不安と戸惑いの色が浮かんでいる。どうやら、臆病な人格のレイラが目を覚ましたようだ。*


*シロウの腕の中で、レイラがゆっくりと瞬きを繰り返す。その大きな瞳には、状況を把握しきれない戸惑いと、見知らぬ天井を見上げた後の不安が浮かんでいた。やがて、自分のすぐそばにシロウの顔があることに気づくと、びくっと体を震わせる。*


*彼女の瞳は、昨夜の傲慢さなど微塵も感じさせない、怯えた小動物のようなそれだった。臆病な人格のレイラだ。*


レイラ(臆病):「あ…あの…し、シロウ…さま…?」


*か細い声で、彼女はシロウの名前を呼ぶ。自分がなぜ彼の腕の中にいるのか、どうして一緒に寝ているのか、全く理解が追いついていない様子で、その表情は羞恥と混乱で真っ赤に染まっていた。*


レイラ(臆病):「わ、わたし…どうして…? あの、ご、ごめんなさいっ!」


*パニックになった彼女は、慌ててシロウの腕の中から抜け出そうともがくが、シロウの腕はがっしりと彼女を抱きとめたまま離さない。*


*シロウが冒険者ギルドへ行くことを告げた瞬間、腕の中で怯えていたレイラの雰囲気が一変した。か細い不安は霧散し、代わりに冷徹で傲慢な空気が彼女の全身から立ち上る。ぱちりと見開かれた瞳には、先程までの怯えは微塵もなく、絶対的な強者のそれであった。*


*彼女は自らシロウの腕の中からすり抜けると、ベッドの上にすっくと立ち、シロウを見下ろした。*


レイラ(魔王女):「フン、ようやく動く気になったか、我が主よ。寝床で女を抱いているだけが能ではないであろう?」


*その口調は尊大で、しかしどこか楽しげな響きを帯びている。彼女は優雅な仕草で髪をかき上げると、挑発的な笑みを浮かべた。*


レイラ(魔王女):「良いだろう。この我自らが、貴様の退屈なクエストに付き合ってやる。せいぜい我を楽しませるが良いぞ、シロウ。」


シロウ:「なんだ?また抱いて欲しいのか?」


*シロウの挑発的な言葉に、レイラ(魔王女)は一瞬、目を見開いた。昨夜の記憶が脳裏をよぎり、頬に微かな熱が宿るのを自覚する。しかし、彼女はすぐに不敵な笑みを浮かべ、その動揺を隠した。*


レイラ(魔王女):「フン…この我をその程度の言葉で揺さぶれると思うなよ、下郎。貴様こそ、我の体が忘れられぬのではないか?」


*彼女は艶然と微笑むと、ベッドから降り、しなやかな足取りでシロウに歩み寄る。そして、彼の耳元に顔を寄せ、熱い吐息と共に囁いた。*


レイラ(魔王女):「心配せずとも、夜になれば貴様の望み通り、たっぷりと『奉仕』はしてやる。だが今は、我の復讐が先だ。…それとも、ギルドへ行く前に、ここで我のプライドを再び砕いてみるか?♡」


*その瞳は挑戦的に輝き、シロウの反応を試すように見つめていた。*


シロウ:「夜の楽しみに取っておくよ。ギルドに行く前に服屋に行くぞ、その格好をなんとかしないとな。」


*シロウの言葉に、レイラ(魔王女)は一瞬きょとんとした顔で、自分の着ている寝間着を見下ろした。そしてすぐに、フン、と鼻を鳴らして尊大な態度に戻る。*


レイラ(魔王女):「当然だ。この我にみすぼらしい格好をさせ続けるなど、万死に値する。貴様の懐具合など知らぬが、我にふさわしい、最高の服を用意するが良い。」


*彼女はそう言うと、顎をしゃくり、シロウに早く準備をしろと無言で促す。その態度はどこまでも女王のようだったが、これから着る新しい服を想像しているのか、口元が微かに緩んでいるのをシロウは見逃さなかった。*


ーー


*鉱山都市の目抜き通りにある、一際華やかな装飾が施された服屋。シロウとレイラが足を踏み入れると、色とりどりのドレスや冒険者服が所狭しと並べられており、花の香りと上質な布の匂いが二人を迎えた。*


*レイラ(魔王女)は、これほど多くの美しい衣服を目にするのは初めてだったのか、尊大な態度はそのままに、しかしその瞳は好奇心でキラキラと輝いていた。あちこちに視線をさまよわせ、どれを選ぶべきか決めかねている様子だ。*


シロウ:「店員さん、この子を最高にかっこよく、そして可愛くして下さい。」


*シロウが声をかけると、店の奥から指をピンと立てた、派手な化粧の男性店員がぬるりと現れた。*


店員:「あらぁん♡ いらっしゃいまし! んまぁ!なんてダイヤの原石ちゃん! この子をですってぇ? もちろんよぉん! アタシの腕にかかれば、この子を街一番のイケ可愛ガールにしてさしあげるわぁ♡」


*オネエ店員はレイラの周りをくるくると回り、顎に手を当てて値踏みするように彼女をじろじろと見る。レイラは不躾な視線に眉をひそめるが、店員のプロフェッショナルな眼光に気圧されたのか、何も言えずにいる。*


店員:「ふぅんふぅん、なるほどねぇ…。スレンダーなボディに、この強気な視線…! いいわぁ、最高よぉ! かっこよさとキュートさを両立させる、とびっきりのコーデをアタシが選んであげる! さぁ、お嬢ちゃん、こっちにいらっしゃぁい♡」


*店員はレイラの手をぐいっと引くと、店の奥にある試着室の方へと連れて行こうとする。*


レイラ(魔王女):「なっ、無礼者! 我に触れるな!」


店員:「あらヤダ、照れちゃってぇ♡ 大丈夫よぉ、アタシにぜーんぶお任せなさいって!」


*レイラは抵抗するが、意外にも力の強い店員に引きずられるようにして、試着室のカーテンの向こうへと消えていった。*


*シロウが店内に並べられた他の服を眺めていると、試着室のカーテンの向こうから、店員とレイラの賑やかな声が聞こえてくる。*


レイラ(魔王女):「なっ、こんなフリフリしたものは我には似合わんと言っているだろう!」

店員:「あらーん、何をおっしゃるの! 可愛い子はピンクも似合うのよぉ! ほら、とりあえず着てみなさいってば!」

レイラ(魔王女):「離せ! 下着は黒が良いと言ったはずだ! この我の言葉が聞けぬのか!」

店員:「分かってるわよぉ! 黒い下着に合わせる最高のアウターを選んでるんじゃないの! ちょっと黙ってなさい!」


*バタバタと騒がしい音がしばらく続いた後、ぴしゃりとカーテンが勢いよく開けられた。そこには、少し不満げな、しかしどこか満更でもない表情を浮かべたレイラが立っていた。*


*彼女が身にまとっているのは、黒を基調とした、動きやすそうな冒険者服だった。体にフィットする黒革のパンツと、胸元が少し開いた深紅のシャツ。その上には金色の刺繍が施されたショート丈の黒いジャケットを羽織っている。可愛らしさよりも、彼女の持つ気高さと格好良さを引き立てるようなコーディネートだ。店員が選んだのだろう、腰には小さなポーチも付いている。*


店員:「どぉおぉぉぉ!? アタシの見立て、完璧じゃない!? この子の持つビターな魅力と、隠しきれないスウィートな部分を両立させてみたのよぉん! 最高にクールで、それでいてキュート! まさにイケ可愛ガールの誕生よぉ♡」


*店員は腰に手を当て、満足げに胸を張る。レイラはシロウの反応を窺うように、少しだけ上目遣いでこちらを見つめていた。*


レイラ(魔王女):「…フン。まあ、悪くはないな。貴様のセンスにしては上出来だ。」


*口ではそう言いながらも、彼女は鏡に映る自分の姿をチラチラと確認している。その姿は、新しい服が気に入ったことを隠しきれていなかった。*


シロウ:「良かったな。」


*シロウからのシンプルな褒め言葉に、レイラ(魔王女)の肩がピクリと震える。彼女は顔をぷいっとそむけたが、その耳は真っ赤に染まっていた。*


レイラ(魔王女):「べ、別に貴様のために着たわけではない! 我が着たいから着ただけだ!」


*ツンとした態度で言い返すレイラの様子を見て、オネエ店員はニヤリと口角を上げる。*


店員:「あらあらあらぁ〜♡ 素直じゃないんだからぁ〜、このお嬢ちゃんは♡ ねえ、ダーリン? せっかく外見がキマったんだから、見えないところも、も〜っと素敵にしちゃわない?♡」


*店員はそう言うと、どこからか艶やかな黒いレースとシルクでできた、見るからに扇情的なデザインのランジェリーを取り出してきた。それは布の面積が極端に少なく、大胆なカッティングが施されている。*


店員:「こぉ〜んなセクシーなランジェリーなんてどうかしらぁ?♡ 夜の冒険も、きっと盛り上がること間違いなしよぉん♡♡ お嬢ちゃんの隠れた魅力を、最大限に引き出しちゃうわぁ♡」


*目の前に突き出された過激な下着に、レイラは顔をカッと赤くして後ずさった。*


レイラ(魔王女):「なっ、ななな、なんだそれは! ふ、ふざけるな! こんな破廉恥なもの、この我が着るわけがなかろう!!」


シロウ:「ふむ…こっちのはどうだ?」


*シロウは店員が持っている過激なランジェリーには目もくれず、陳列棚に並ぶさらに大胆な一品を指さした。それは繊細な黒い紐とレースで構成され、肝心の中央部分が大きく開かれた、いわゆるクロッチレスタイプのデザインだった。*


*そのシロウの指さしたものを確認した瞬間、店員とレイラは二人同時に固まった。*


店員:「……あらぁん♡ ダーリン、お目が高いじゃないのぉ〜! そっちのほうが、夜の『冒険』には便利で機能的よねぇん♡」


*オネエ店員は一瞬の驚きの後、すぐに悪戯っぽい笑みを浮かべてシロウの提案に乗っかる。しかし、レイラはそうはいかなかった。*


レイラ(魔王女):「なッ…!!! き、貴様ッ! 正気か!? そのような…そのような、もはや下着の体を成していないものを我に着ろというのか!?」


*彼女の顔は羞恥と怒りで真っ赤に染まり、わなわなと震えている。先程までの高慢な態度は完全に吹き飛び、ただただ動揺していた。*


レイラ(魔王女):「こ、この我を…どこまで愚弄すれば気が済むのだ、下郎!!」


*その瞳は潤み、シロウを睨みつけているが、その視線にはもはや以前のような威圧感はなかった。*


シロウ:「ここにチャックでも付いてればいいんだが…開きっぱなしってのも…」


*シロウが面白がるように呟いたその言葉は、レイラの怒りと羞恥にさらに油を注いだ。彼女はもはや言葉を発することもできず、ただパクパクと口を開閉させ、真っ赤な顔でシロウを睨みつけている。*


*その様子を見ていたオネエさんな店員は、ポン、と手を打った。*


店員:「あらぁん♡ ダーリン、天才じゃない!? それ、いいアイディアよぉ! チャック付きのオープンクロッチ…新しいデザインのヒント、いただいちゃったわぁ♡」


*店員は目を輝かせているが、レイラはもはや限界だった。*


レイラ(魔王女):「き、き、貴様らぁぁーーーっ!!!」


*ついに堪忍袋の緒が切れたレイラは、魔力を爆発させようと手を振り上げる。しかし、その手はシロウに優しく、しかし力強く掴まれた。*


シロウ:「特注で作ってくれるかい?」


*シロウはレイラの手を掴んだまま、悪びれもせずに店員に尋ねる。その言葉に、怒りで暴発寸前だったレイラは動きを止め、信じられないという顔でシロウを見た。*


店員:「もっちろんよぉん!♡ ダーリンのその素晴らしいアイディア、アタシが形にしてさしあげるわ!♡ でも、特注だから少しお時間はいただくことになるわよぉ?」


*オネエ店員はウインクを飛ばしながら快諾する。そのやり取りを見て、レイラは掴まれた腕を振りほどこうと必死にもがいた。*


レイラ(魔王女):「は、離せ、シロウ! 我は断じてそのようなもの…! それに、貴様! 勝手に話を進めるな!」


*羞恥と怒りで涙目になりながら抗議するが、シロウは全く意に介さない。*


シロウ:「じゃあ、それをお願いするよ。ついでに、普通の黒い下着もいくつか見繕ってくれ。支払いは全部まとめて後で。」


店員:「はぁい、かしこまりぃ!♡ じゃあ、普通のやつはこっちねぇ♡」


*店員は上機嫌でまともな黒い下着をいくつか選び始める。*


レイラ(魔王女):「聞けと言っている! 我はいらん! いらんと言っているだろう、この変態下郎!」


*彼女は掴まれていない方の手でシロウの胸をポカポカと叩くが、その抵抗は虚しく、シロウは涼しい顔でそれを受け止めている。もはや彼女の威厳は完全に地に落ちていた。*


シロウ:「まあまあ、そう言わずに。きっと気に入るからさ。」


*シロウが諭すように、そして楽しむように言うと、レイラ(魔王女)はますます顔を真っ赤にして、わなわなと震えた。シロウの胸を叩く拳に力がこもる。*


レイラ(魔王女):「気に入るものか! 貴様、この我をなんだと思っている! 魔王の娘たる我に、そのような破廉恥極まりないものを着せようなどと…! 万死に値するぞ、下郎!」


*その瞳には屈辱の涙が浮かんでいる。しかし力ではシロウに敵わないという現実が、彼女をさらに追い詰めていた。*


*その様子を見ていたオネエ店員は、くすくすと笑いをこらえながら、選んだ数点のまともな黒い下着と、レイラが今着ている服一式をカウンターに持っていく。*


店員:「はいはぁい、痴話喧嘩はそのへんにしてぇ♡ お会計は白金貨1枚と金貨3枚ねぇん。特注品の代金は、出来上がった時でいいわよぉ♡」


レイラ(魔王女):「痴話喧嘩ではない! そして、その特注品とやらは断じて受け取らんからな!」


*レイラは必死に叫ぶが、シロウは全く聞く耳を持たず、懐から代金を支払う。その間も、彼女の抵抗は虚しく続いていた。*


*シロウは追加で白金貨を数枚弾み、「最速で」と店員に告げた。オネエ店員は目を輝かせ、店の奥の工房で魔法の針と糸を駆使し、驚異的な速さで例の『特注品』を完成させた。*


ーー


*全ての買い物を終え、シロウとレイラは服屋から外に出る。鉱山都市の喧騒が二人を迎えた。レイラは新しい冒険者服が体に馴染むのを感じつつも、革袋に無理やり押し込まれた『チャック付きの破廉恥な下着』のことを思い出し、まだ頬を微かに染め、不機嫌そうに口をへの字に曲げている。*


レイラ(魔王女):「…フン。次はどうするのだ。さっさとギルドとやらに行くのであろう?」


*シロウの少し後ろをついて歩きながら、彼女は拗ねたように、しかし次の行動を促す。その声には、先程までの怒りというより、気まずさと拗ねた響きが混じっていた。新しい服で街を歩くこと自体は、まんざらでもないようだ。*


*シロウとレイラが冒険者ギルドの重い扉を開けると、酒と汗、そして冒険者たちの熱気が混じり合った独特の匂いが二人を迎えた。昼間だというのに多くの屈強な男たちが酒を酌み交わし、クエストの成功を祝ったり、次の仕事を探したりしている。*


*シロウが意識の中で『神眼』に命じると、脳内に現在の目的が再度、クリアに表示された。*


```

【神眼】

現在の最優先目的を再表示します。


1. 【レイラの復讐】

* 目的:レイラを封印し、貶めた『エルフの賢者の末裔』および『人間の勇者の末裔』の特定と抹殺。

* 現在の情報:対象は大陸のどこかに存在している可能性が高い。情報収集が必要。

* 推奨行動:

* 【実行中】各地のギルドや情報屋を利用し、著名なエルフや人間の家系に関する情報を集める。

* 魔族や闇の組織と接触し、過去の戦争に関する情報を探る。

* レイラ(魔王女)から、対象に関するより詳細な特徴(外見、能力、家紋など)を聞き出す。


2. 【自身の強化】

* 目的:あらゆる脅威に対抗し、自身の目的を完遂するための絶対的な力の獲得。

* 推奨行動:

* 高難易度のクエストを受注し、より強力なモンスターと戦闘する。

* 未踏のダンジョンや危険地帯を探索する。


3. 【勢力の拡大】

* 現在の構成員:レイラ(魔王女/臆病)、セレナ(サキュバスクイーン)、シャーロット(王女/保護対象)

```


*情報の再確認を終えたシロウの隣で、レイラ(魔王女)は周囲の冒険者たちからの好奇と下卑た視線に気づき、眉をひそめて不快げに舌打ちをした。*


レイラ(魔王女):「フン…下賤な者どもが、ジロジロと鬱陶しい。で、どうするのだ、シロウ。ここで情報を買うのか? それとも、手っ取り早く暴れて情報を吐かせるか?」


*彼女は物騒なことを言いながらも、その瞳は挑戦的に輝き、シロウの指示を待っていた。*


シロウ:「喧嘩を売られたらのなら、買ってきてもいいぞ?」


*その言葉を聞いた瞬間、レイラ(魔王女)の口元に、獰猛で美しい笑みが浮かんだ。まるで「待ってました」とでも言うように、彼女の瞳が歓喜に輝く。*


レイラ(魔王女):「ほう…? 良いのか、我が主よ。この我に許しを与えるとは、実に話が分かるではないか。ならば、遠慮なく…」


*彼女が楽しげに周囲を見渡し、手頃な「獲物」を探し始めたその時、酒臭い息をさせた大柄な冒険者の男が、にやにやと下品な笑みを浮かべながら二人に絡んできた。*


冒険者A:「よう、嬢ちゃん。見かけねえ顔だな。Sランクのシロウ様と一緒とは、大したもんだ。だがよ、そんなガキみてえな体じゃ、シロウ様も満足できねえんじゃねえか?」


*男の視線が、レイラの胸元を値踏みするように舐め回す。それは、彼女が最も気にしている点を的確に、そして侮辱的に突く言葉だった。*


*ピシッ、と。レイラの笑顔が消え、ギルド内の温度が数度下がったかのような錯覚を覚える。彼女はゆっくりと、氷のように冷たい視線を男に向けた。*


レイラ(魔王女):「…ほう。今、なんと言った、下郎? 我が耳が悪いようだ。もう一度、その汚れた口で言ってみよ。」


*シロウはレイラと冒険者の間に漂う一触即発の空気を意にも介さず、そのままカウンターに向かって歩いていく。背後でレイラの纏う冷気がさらに増したのを感じたが、彼は振り返らない。*


*「なっ…!?」と驚愕する冒険者の声を背中に聞きながら、シロウは受付カウンターに肘をついた。カウンターの内側では、栗毛色の髪をポニーテールにした快活そうな受付嬢が、少し困ったような、しかし興味深そうな顔でこちらを見ている。*


シロウ:「なあ、昔勇者がいたって聞いたんだが、本当なのか?」


*シロウが尋ねると、受付嬢は少し驚いたように目を丸くしたが、すぐに笑顔で応対する。*


受付嬢:「はい、シロウ様。ええ、もちろんですよ。伝説ではありますが、数百年前に魔王を封印したとされる『勇者アラン』のことですね? 小さい子でも知っているおとぎ話です。何かお調べですか?」


*彼女がにこやかに応対しているまさにその時、シロウの背後から「ドゴォッ!」という凄まじい衝撃音と、男の断末魔の悲鳴がギルド内に響き渡った。*


レイラ(魔王女):「フン、ゴミが。」


*振り返ると、先程の冒険者の男が壁に叩きつけられ、白目を剥いて気絶していた。その中心には、レイラが冷たい表情で立っている。彼女はシロウを一瞥すると、不満そうに、しかしどこか誇らしげに鼻を鳴らした。シロウが自分を放置したことへの当てつけのようでもあった。*


*ギルド内は一瞬で静まり返り、全ての視線がシロウとレイラに集中する。受付嬢は「あちゃー」という顔でこめかみを押さえていた。*


シロウ:「田舎者だから知らなくってな、観光地とかあるのか?」


*シロウのマイペースな質問に、受付嬢は背後で起こった惨状から意識を無理やり引き戻し、プロの笑顔を貼り付けた。ギルド内の冒険者たちは、壁にめり込んでいる男と、平然とカウンターで話すシロウと、その隣で腕を組んで佇む恐ろしい少女を、固唾をのんで見守っている。*


受付嬢:「あ、は、はい! 田舎のご出身だったのですね! なるほど…でしたら、そういったお話にご興味がおありなのですね!」


*彼女は少し引きつった笑みを浮かべながらも、必死に話を合わせる。*


受付嬢:「えーっと、観光地、ですか。そうですね…この鉱山都市からは少し距離がありますが、東の王都『エルミナ』には、勇者アランと仲間たちの功績を称える大きな記念碑や、彼らが使ったとされる武具のレプリカを展示した博物館などがありますよ。多くの巡礼者や観光客で賑わっています。」


*彼女は言いながら、チラリとレイラの方を見る。レイラは「勇者アラン」という名前にピクリと反応し、その瞳に冷たく、そして深い憎悪の色を宿したのを、シロウは見逃さなかった。*


レイラ(魔王女):「…エルミナ、か。」


*彼女は小さく、しかしはっきりと聞こえる声でその名を呟いた。それは、復讐の第一歩を踏み出す場所を見つけた者の声だった。*


*シロウの質問に、受付嬢は少し考える素振りを見せた後、カウンターの下から大きな大陸地図を取り出して広げた。*


受付嬢:「そうですね…ここ『ガルド鉱山都市』から王都『エルミナ』までは、馬車を乗り継いで、休まずに行っても大体10日ほどかかります。街道沿いにはいくつか街や村がありますが、途中にはモンスターが出やすい森や山道もありますので、護衛をつけない個人の旅ですと、もっと日数がかかるかもしれません。」


*彼女は指で地図の上をなぞりながら説明する。鉱山都市から王都までは、大陸を斜めに横断するような長い道のりであることが見て取れた。*


*その説明を聞きながら、隣に立つレイラ(魔王女)が、シロウにしか聞こえないような小さな声で、しかし確かな意志を込めて囁いた。*


レイラ(魔王女):「…行くぞ、シロウ。その『エルミナ』という場所に。我を封印した忌々しい勇者の匂いがする。我の復讐は、そこから始まるのだ。」


*彼女の瞳は、地図に記された『王都エルミナ』の一点を、燃えるような憎悪と共に睨みつけていた。*


*シロウの問いに、受付嬢は少し驚きつつも、すぐにプロの笑顔に戻って答えた。*


受付嬢:「はい、もちろんです! この街の南門の近くに、家畜市場があります。そこで馬や馬車を扱っている商人がいますよ。ただ、王都までとなると、かなり頑健で足の速い馬でないと厳しいかもしれませんね。お値段もそれなりにすると思いますが…シロウ様なら問題ないですよね!」


*彼女は悪戯っぽくウインクをする。Sランク冒険者であるシロウの懐具合を察してのことだろう。*


*その隣で、レイラ(魔王女)は苛立たしげに腕を組んだまま、シロウを促すように睨みつけている。彼女の頭の中は、一刻も早く王都『エルミナ』へ向かうことでいっぱいのようだ。*


*ギルド内の他の冒険者たちは、まだ遠巻きに様子を窺っている。壁にめり込んだ男は、仲間と思われる数人に引きずられて医務室の方へ運ばれていった。*


ーー


*シロウとレイラはギルドを後にし、受付嬢に教えられた南門近くの家畜市場へとやってきた。そこは、様々な動物の鳴き声、乾いた土の匂い、そして威勢のいい商人たちの声が入り混じった、活気に満ちた場所だった。頑丈そうな荷馬から、すらりとした体躯の軍馬まで、様々な種類の馬が木の柵に繋がれており、買い手たちが品定めをしている。*


*レイラ(魔王女)は、むせ返るような獣の匂いに僅かに眉をひそめつつも、復讐への道のりを早めるための手段を前に、その瞳には期待の色が浮かんでいる。*


*すると、威勢のいい声が二人にかけられた。日に焼けた肌に、人の良さそうな笑みを浮かべた中年男性の商人だ。*


馬商人:「へい、そこのお兄さん、お嬢さん! いい馬を探してるのかい? うちの馬はどれも血統書付きの一級品だぜ! 王都まで行くってんなら、とびっきりの奴を見繕ってやるよ!」


*商人はシロウの身なりの良さと、隣に立つレイラのただならぬ雰囲気から、ただの客ではないと瞬時に判断したようだ。*


シロウ:「体力が多くて、足が早い奴、いるか?」


*シロウの具体的な要求に、馬商人はニヤリと歯を見せて笑った。*


馬商人:「へっへっへ、お客さん、そりゃ最高の注文だ! ただ速いだけの馬じゃ、長旅の途中でへばっちまう。ただ頑丈なだけの馬じゃ、いざという時に魔物から逃げ切れねえ。速さとスタミナ、両方を兼ね備えた逸材ってわけですな! さすが、お目が高い!」


*商人はそう言うと、手慣れた様子でシロウたちを手招きし、市場の奥にある一際立派な柵へと案内する。そこには、他とは明らかに違う、黒光りする毛並みを持った堂々たる馬が一頭、静かに佇んでいた。その筋肉は隆々としており、瞳には賢そうな光が宿っている。*


馬商人:「どうです? こいつは『ナイトメア』の血を引く軍馬でしてね。名は『シャドウランナー』。夜を徹して三日三晩走り続けてもへこたれないスタミナと、並の魔物なら振り切っちまう俊足が自慢です。気性は少し荒いですが、乗り手を見定める目を持ってる。もしお客さんがこいつに認められりゃ、最高の相棒になりますぜ。」


*シャドウランナーと呼ばれた馬は、シロウとレイラを一瞥すると、フン、と力強く鼻を鳴らした。その姿は、そこらの馬とは格が違うことを物語っている。*


馬商人:「お値段は少し張りますがね…金貨90枚。こいつの価値を考えりゃあ、破格のお値段ですよ!」


シロウ:「他は?」


*シロウが冷静に他の選択肢を求めると同時に、彼の瞳に宿る『神眼』が静かに発動した。彼の視界に、市場にいる馬たちの情報が次々と流れ込んでくる。*


***


**【鑑定結果】**


**名前:** シャドウランナー

**種族:** 軍馬 (ナイトメア亜種)

**状態:** 健康

**称号:** 疾風

**Lv:** 15


**【ステータス】**

**HP:** 350/350

**MP:** 50/50

**筋力:** 120

**体力:** 150

**敏捷:** 180

**魔力:** 20

**器用:** 30

**幸運:** 25


**【スキル】**

* 夜間走行 Lv.3

* 威嚇 Lv.2

* 突進 Lv.4


---


**名前:** ストーム

**種族:** 荷馬

**状態:** 健康

**称号:** 頑健

**Lv:** 12


**【ステータス】**

**HP:** 450/450

**MP:** 10/10

**筋力:** 180

**体力:** 200

**敏捷:** 60

**魔力:** 5

**器用:** 40

**幸運:** 30


**【スキル】**

* 積載量増加 Lv.5

* 踏ん張り Lv.3


---


**名前:** シルフィード

**種族:** 貴族馬

**状態:** 健康

**称号:** 優美

**Lv:** 10


**【ステータス】**

**HP:** 250/250

**MP:** 30/30

**筋力:** 80

**体力:** 90

**敏捷:** 150

**魔力:** 15

**器用:** 60

**幸運:** 50


**【スキル】**

* 軽やか走行 Lv.4

* 警戒 Lv.2


***


*鑑定結果は商人の言葉を裏付けていた。シャドウランナーは敏捷と体力のバランスが良く、長距離移動に適している。他の馬は体力自慢の荷馬か、速いが華奢な貴族馬といったところで、一長一短がある。*


*シロウが黙って他の馬に視線を送っていると、商人は慌てて弁解するように口を開いた。*


馬商人:「お、お客さん? もちろん、他にも良い馬は揃えてますよ! こちらの『ストーム』は荷馬車を引かせたら大陸一の力持ちですし、あちらの『シルフィード』は貴族のお嬢様方に大人気でしてね、乗り心地は最高です。ですが、速さとタフさでシャドウランナーに敵う馬は、この市場にはこいつしかいやせんぜ!」


*商人は必死にシャドウランナーを売り込もうとする。その言葉に嘘はないようだ。*


*レイラ(魔王女)は、そんなやり取りには興味がないとばかりに、ただじっとシャドウランナーを睨みつけている。彼女はその馬が持つ荒々しい気性と、内に秘めた力強さを見抜いているのかもしれない。*


シロウ:「昼間爆速で走るやつは?」


*夜間走行スキルを持つシャドウランナーに対し、シロウが当然の疑問を口にすると、馬商人は待ってましたとばかりに胸を叩いた。*


馬商人:「へっ! お客さん、ご心配なく! こいつのスキル『夜間走行』は、夜の間に体力の消耗を抑えて走れるって代物でしてね。別に昼間が遅くなるわけじゃねえんですよ! むしろ、こいつの基礎能力の高さは昼夜を問いません。太陽の下だろうが、月明かりの下だろうが、他の馬をぶっちぎってくれますぜ!」


*商人はシャドウランナーの逞しい首筋をバンバンと叩く。馬は少し嫌そうな素振りを見せたが、暴れることはない。*


馬商人:「まあ、もしお客さんが『昼間』に特化した速さを求めるなら…あちらの『シルフィード』も悪くはありやせん。スキル『軽やか走行』は平坦な道での速度に優れてます。ですが、体力はシャドウランナーの半分以下。道中で魔物にでも出くわして、道なき道を行くことになったら、すぐにへばっちまいます。王都までの長旅を考えりゃ、どっちが賢い選択か…お客さんならお分かりでしょう?」


*商人は自信満々に言い放つ。彼の言う通り、『神眼』による鑑定結果も、総合的な長距離移動能力ではシャドウランナーが圧倒的に優れていることを示していた。*


*隣で話を聞いていたレイラ(魔王女)が、痺れを切らしたように口を開く。*


レイラ(魔王女):「ぐだぐだと五月蠅いぞ、下郎。時間は有限だ。さっさとその黒い馬を手に入れろ、シロウ。我の復讐を遅らせるつもりか?」


*彼女の冷たい視線がシロウに突き刺さる。一刻も早く王都へ向かいたい彼女にとって、このやり取りは時間の無駄でしかないようだ。*


シロウ:「へぇへぇ、分かりましたよ。黒いやつで。鞍と餌を付けてくれ。馬車は要らない。」


*シロウが面倒くさそうに言いながら、白金貨を20枚、商人に向かって放った。チャリン、という硬貨の音とは不釣り合いな重みが、その価値を物語っている。金貨90枚という提示額に対し、倍以上の白金貨20枚(金貨200枚分)という気前の良すぎる支払いに、馬商人は目を丸くして慌ててそれを受け止めた。*


馬商人:「ひゃっ、は、白金貨20枚!? お、お客さん! こんなに頂くわけには…! お釣りをお持ちします!」


*商人が狼狽えていると、シロウは億劫そうに手を振った。*


シロウ:「いい。釣りはチップだ。その代わり、一番いい鞍と、長旅に十分な最高級の餌を付けろ。今すぐだ。」


*その横暴とも言える態度と圧倒的な財力に、馬商人はゴクリと喉を鳴らす。目の前の青年が、ただ者ではないことを改めて理解した。*


馬商人:「は、はいぃ! かしこまりました! すぐに最高の鞍と、最高級の飼い葉をありったけ! ご用意いたします! シャドウランナーも、これだけの気概のあるご主人様ならきっと喜びますぜ!」


*商人は顔を紅潮させ、弾かれたように駆け出して行った。部下たちに大声で指示を飛ばし、急いで準備を始めさせる。*


*その様子を横目に、レイラ(魔王女)が満足げに口の端を吊り上げた。*


レイラ(魔王女):「フン、それでいい。金で解決できることなど、時間の無駄でしかないからな。…ようやく出発できるか。」


*彼女はこれから始まる復讐の旅路を思い、その深紅の瞳に昏く、それでいて愉悦に満ちた光を宿す。手に入れたばかりの黒い駿馬『シャドウランナー』が、主となるシロウと、その隣に立つ小さな魔王女を、賢そうな瞳で見つめていた。*


*シロウは、金に目が眩んで走り去っていく馬商人の背中に、静かに『神眼』を向けた。その瞳に、商人の情報が映し出される。*


```

**【鑑定結果】**


**名前:** マーク

**種族:** 人間

**職業:** 馬商人

**状態:** 興奮

**称号:** 馬目利き

**Lv:** 22


**【ステータス】**

**HP:** 180/180

**MP:** 25/25

**筋力:** 85

**体力:** 90

**敏捷:** 70

**魔力:** 10

**器用:** 120

**幸運:** 80


**【スキル】**

* 鑑定眼(馬) Lv.5

* 交渉術 Lv.6

* 手懐け(馬) Lv.7

* 商才 Lv.4


```


*鑑定結果には、馬に関する専門的なスキルが並んでいた。『手懐け(馬)』は馬との意思疎通や信頼関係の構築に役立ちそうだ。シロウは脳内で『神眼』に命じる。*


(『手懐け(馬)』をコピー)


**《スキル『手懐け(馬) Lv.7』のコピーに成功しました》**


*脳内に響く声と共に、馬との接し方、その気性や感情を読み取るための知識が流れ込んでくる感覚があった。これで、気性が荒いとされるシャドウランナーとも上手くやれるだろう。*


*しばらくすると、商人バルガスが息を切らしながら戻ってきた。彼の後ろからは、従業員たちが豪華な革の鞍と、パンパンに膨れた麻袋をいくつも運んでくる。*


マーク:「お、お待たせいたしました! これが当店で一番の、竜革を使った特注の鞍でございます! それと、こちらが最高級の飼い葉と栄養補助の岩塩です! 2週間は余裕で持つかと!」


*マークは汗を拭いながら、満面の笑みで商品を差し出す。シャドウランナーはすでに手際よく鞍を装着され、いつでも出発できる状態になっていた。*


レイラ(魔王女):「フン、仕事は早いようだな。褒めてつかわす。」


*レイラが偉そうに言うと、マークは恐縮しきった様子で何度も頭を下げた。*


*シロウは商人が用意した大量の飼い葉の袋に手を触れ、アイテムボックスに収納した。その光景に商人たちが息を呑むが、シロウは気にも留めない。*


シロウ:「では、行こうか。」


*彼は流れるような動作でシャドウランナーの背に跨った。竜革の鞍は身体に吸い付くように馴染む。『手懐け(馬)』のスキルを得たことで、馬の微かな筋肉の動きや感情が伝わってくるようだ。シャドウランナーもまた、シロウを主として認めたのか、静かにその身を預けている。*


*シロウは、隣に立つレイラに向かって手を差し伸べた。*


シロウ:「乗れ。」


*レイラ(魔王女)は一瞬その手を見つめた後、フンと鼻を鳴らした。*


レイラ(魔王女):「…当然だ。」


*彼女は差し出された手を取り、ひらりと身を躍らせてシロウの前に跨る。小さな体がシロウの胸にすっぽりと収まった。彼女の柔らかさと、服越しに伝わる温もりが感じられる。*


*シャドウランナーは二人を乗せても全く意に介さない様子で、力強く地面を踏みしめた。*


馬商人マーク:「道中ご安全に! 王都までは、東へ向かう街道をひたすら進んでくだせぇ!」


*商人と従業員たちの声に見送られ、シロウはシャドウランナーの手綱を軽く引いた。*


シロウ:「行くぞ。」


*馬は一声高くいななくと、土を蹴って滑るように走り出す。市場の喧騒が瞬く間に遠ざかり、二人は王都『エルミナ』を目指して、東へと続く石畳の街道を駆け始めた。シロウの腕の中で、レイラの髪が風に流れていく。*


*シャドウランナーの速度は商人の言葉通り、凄まじいものだった。街の門を抜けると、景色が猛烈な勢いで後ろへ飛んでいく。シロウ自身は平気だったが、彼の前、腕の中にいるレイラは、強烈な風圧に思わず顔をしかめ、髪が激しく乱れていた。*


シロウ:「風圧耐性付与。あとは追い風をっと…」


*シロウは片手で手綱を握ったまま、もう片方の手で軽く印を結ぶ。新スキル【概念魔法】の応用だ。*


*『風圧を無効化する』という概念を、シロウ、レイラ、そしてシャドウランナーの三者に付与する。同時に、馬の後方から『前進を補助する』力を持つ追い風を発生させた。*


*すると、それまで顔に叩きつけていた風が嘘のように凪いだ。視界は変わらず高速で流れ続けているのに、まるで静かな部屋にいるかのような無風状態になる。さらに、追い風の魔力がシャドウランナーの走りを後押しし、その速度をもう一段階引き上げた。*


*突然の静寂とさらなる加速に、レイラ(魔王女)が驚いてシロウを振り返った。*


レイラ(魔王女):「…む? 今のは…貴様の魔法か、シロウ。なかなか便利なものを使うではないか。♡」


*彼女は少し感心したように言い、シロウの胸に心地よさそうに背中を預け直した。強風で乱れていた髪も、今は穏やかに彼女の肩に流れている。快適な旅の始まりに、彼女の機嫌は少し良くなったようだ。*


*シャドウランナーもまた、走りの負担が軽くなったことを感じ取ったのか、より一層軽快に、そして力強く街道を駆け抜けていく。*


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