1
1
シロウ:「なんだ、ここ?平原?」
*目覚めると、見渡す限りの緑の平原が広がっていた。青い空には白い雲がゆっくりと流れ、遠くには小さな街のような建物群が見える。風が心地よく吹いて、異世界の匂いが鼻をくすぐる。*
*突然、頭の中に情報が流れ込んでくる。*
『転移完了。転移特典スキル【鑑定Lv1】を習得しました。』
*遠くから人の声が聞こえてくる。街の方向から商人らしき男性がこちらに向かって歩いてきているのが見える。*
商人: 「おや、こんな所に人が?旅人さんかい?あの格好...見慣れない服装だねぇ。もしかして迷子かい?」
*商人は荷車を引きながら、心配そうにシロウを見つめている。*
```
ステータス表示
- 名前: シロウ・ニシキ
- レベル: 1
- HP: 100/100
- MP: 50/50
- スキル: 鑑定Lv1
- 所持金: 0
- 装備: なし
- アイテム: なし
シロウ:「そんな感じです、、」
商人: 「そうかい、それは大変だったな。この辺りはゴブリンなんかの魔物も出るから、一人でいるのは危ない。俺は今からあの街、冒険者都市『アステラ』に戻るところなんだ。よかったら街まで乗っていくかい?」
*商人は親切そうに微笑み、荷車の荷台を指さす。荷台には様々な商品が積まれているが、人が一人乗るくらいのスペースはありそうだ。*
*街まではここから歩いて半日ほどかかる距離だ。商人の申し出を受けるか、それとも自分の力で街を目指すか、選択を迫られる。*
シロウ:「いいんですか!?助かります。」
商人:「おう、遠慮はいらねぇよ。困った時はお互い様だからな。さ、乗りな!」
*商人はニカっと笑い、シロウが荷台に乗り込むのを手伝ってくれた。荷台に腰を下ろすと、少し硬いが揺れは思ったほど酷くない。*
商人:「よし、それじゃあ出発するぜ!しっかり掴まってな!」
*商人が手綱を引くと、荷車を引いていた馬がゆっくりと歩き出す。ガタガタと音を立てながら、荷車は街へと向かって進み始めた。*
商人:「俺の名前はバーガス。行商人さ。あんたは?」
*バーガスと名乗った商人は、前を向いたまま気さくに話しかけてくる。*
商人:「それにしても、その服は本当に珍しいな。どこの国の人間だい?俺も色々な国を回ってるが、そんな生地は見たことがないぜ。」
*バーガスはシロウが着ている現代服に興味津々のようだ。*
シロウ:「シロウです。東の方から来ました。そんなに珍しいですか?」
バーガス:「東の方ねぇ…俺が知ってる東の国とはまた違うみたいだな。ああ、珍しいとも!その滑らかな生地も、その服の作りも、こっちじゃお目にかかれない代物だ。貴族様が着る絹よりも上質に見えるぜ。」
*バーガスは感心したように何度も頷く。荷車は平原の道をゆっくりと進んでいく。道中、時折小さな動物が横切るが、魔物の姿は見当たらない。*
バーガス:「東から来たってことは、アステラに来たのは初めてかい?あそこはいい街だぜ。色んな種族の奴らが集まってて活気がある。冒険者になるならうってつけの場所さ。シロウも冒険者志望かい?」
*バーガスはシロウの目的を探るように尋ねてくる。彼の話によれば、アステラは冒険者の拠点として栄えているらしい。*
*ふと、道端に奇妙な形の薬草が生えているのが目に入る。シロウは無意識のうちに【鑑定】を使ってみる。*
---
【鑑定結果】
- 名前:癒やし草
- 効果:傷を癒やす効果がある。そのまま食べるとHPがわずかに回復する。ポーションの材料になる。
- レア度:コモン
---
*頭の中に直接情報が流れ込んでくる感覚。これが【鑑定】の力だとシロウは理解した。*
シロウ:「田舎だったので…常識に疎くて…冒険者やってみたいです!」
バーガス:「そうかいそうかい!冒険者か!いいじゃないか!夢があっていい!アステラには冒険者ギルドがあるから、そこで登録すれば誰でも冒険者になれるぜ。まあ、最初はゴブリン退治みたいな簡単な依頼からだろうが、腕を磨けばドラゴンを討伐するような英雄にだってなれるかもしれねえ!」
*バーガスは自分のことのように興奮して語る。その目はキラキラと輝いており、冒険者という存在に強い憧れを抱いているのが見て取れる。*
バーガス:「街に着いたら、まずはギルドに行ってみるといい。場所は中央広場を抜けてすぐだから、迷うことはないだろう。登録には銅貨10枚の手数料がかかるが、それくらいは俺が出してやるよ。これも何かの縁だからな!」
*親切な申し出に、シロウは感謝の言葉を述べる。荷車に揺られながら話しているうちに、徐々に街の姿が大きくなってきた。高い城壁に囲まれ、多くの建物がひしめき合っている。活気のある声や音が風に乗ってここまで聞こえてくる。*
*街の門に到着すると、屈強な鎧を身に着けた衛兵が荷車を止めた。*
衛兵:「止まれ!身分証を提示しろ!」
バーガス:「へいへい、毎度ご苦労さん。俺は行商人のバーガスだ。こっちは旅の連れで、シロウってんだ。」
*バーガスが慣れた様子で身分証を提示すると、衛兵はもう一人の衛兵に目配せする。もう一人の衛兵はシロウの方をじろじろと見つめ、怪訝な顔をした。*
衛兵:「こいつは身分証を持っていないのか?見かけない顔だが…」
シロウ:「田舎者で…身分証を持ってなくて…」
*シロウがおずおずと答えると、衛兵は眉をひそめ、槍の柄に手をかけた。空気がピリッと緊張する。*
衛兵:「身分証なしじゃ街には入れられねえな。規則なんでな。最近は怪しい奴らも多いんで、勘弁してくれ。」
*衛兵は取り付く島もない。バーガスが慌てて間に入った。*
バーガス:「まあまあ、そう言わずに頼むよ。こいつは本当にただの世間知らずなだけで、悪い奴じゃねえんだ。俺が保証する!なあ、頼むよ、衛兵さん。」
*バーガスが懐から銅貨を数枚取り出し、そっと衛兵の手に握らせようとする。衛兵は一瞬ためらうが、ちらりと周囲を見渡してから素早くそれを受け取った。*
衛兵:「…バーガスさんの保証があるなら、今回は特別だ。だが、街中で問題を起こすなよ。次はないと思え。それと、着いたらすぐに冒険者ギルドで身分証代わりになるギルドカードを作れ。いいな?」
*衛兵はぶっきらぼうに言い放ち、道を空けた。バーガスはほっとした表情でシロウにウィンクする。*
バーガス:「ま、世の中こんなもんさ。金さえあれば大抵のことはどうにかなる。さ、行こうぜ、シロウ!ようこそ、冒険者都市アステラへ!」
*荷車はゆっくりと門をくぐり、街の中へと入っていく。門の内側は、外から見た以上に活気に満ち溢れていた。様々な種族の人々が行き交い、露店の威勢のいい声、鍛冶屋が鉄を打つ音、酒場から漏れ聞こえる陽気な音楽、それらすべてが混ざり合って、街全体が生きているかのように感じられた。*
*石畳の道をしばらく進むと、ひときわ大きな建物が見えてくる。そこが中央広場のようだ。*
シロウ:「ありがとうございます、働いて返します。」
バーガス:「ははは、気にすんなって!さっきも言ったろ、困った時はお互い様だ。それより、お前さんが立派な冒険者になって、いつか俺の護衛でもしてくれりゃ、それで十分お釣りはくるさ!」
*バーガスは豪快に笑い飛ばし、荷車を広場の隅に停めた。*
*広場は人でごった返していた。屈強な鎧を着た戦士、軽装のエルフの弓使い、背の低いドワーフ、猫のような耳と尻尾を持つ獣人。まさしくファンタジーの世界そのものの光景が広がっている。シロウは圧倒され、物珍しそうにきょろきょろと周りを見渡した。*
バーガス:「どうだい、すごいだろ?ここがアステラの中心、中央広場だ。さてと…俺はこれから商品を組合に納品してこなきゃならねぇ。シロウ、お前さんはどうする?言ってた通り、冒険者ギルドに行ってみるかい?」
*バーガスは荷台から荷物を下ろしながら尋ねる。*
バーガス:「ギルドはあの道をまっすぐ行った先にある、一番でかい建物だからすぐに分かるはずだ。さっき衛兵に渡した分とは別に、登録料の銅貨10枚を渡しておくよ。」
*そう言って、バーガスはシロウの手にずしりと銅貨を10枚握らせた。*
*銅貨10枚=1000円分の価値がある。見ず知らずの自分にここまでしてくれるバーガスの優しさが、シロウの心に温かく沁みた。*
*ここからは一人で行動することになる。バーガスの言う通り冒険者ギルドに向かうか、それとも先に街を散策して情報を集めるか。選択はシロウに委ねられている。*
シロウ:「ギルド行ってきます!」
バーガス:「おう、行ってこい!頑張れよ、新人冒険者!」
*バーガスは力強くシロウの背中を叩き、笑顔で見送ってくれた。シロウは改めて礼を言うと、バーガスに教えられた通り、広場を抜けてまっすぐな道を進んでいった。*
*街の喧騒を肌で感じながら歩いていると、ひときわ大きく、そして頑丈そうな木造の建物が目に入る。建物の前には大きな看板が掲げられており、「冒険者ギルド アステラ支部」と書かれている。ここが目的地のようだ。*
*ギィィ…と重々しい音を立てて扉を開けると、中には酒場のようなカウンターと、依頼が書かれた紙がびっしりと貼られた掲示板、そして多くの冒険者たちの姿があった。屈強な戦士たちが酒を酌み交わし、魔術師らしきローブの人物が難しい顔で書物を読んでいたり、獣人のグループが楽しそうに談笑していたりと、まさに混沌とした空間だ。*
*シロウが戸惑いながらもカウンターに近づくと、猫の耳と尻尾を持つ、快活そうな獣人の女性が笑顔で迎えてくれた。*
受付嬢:「こんにちは!冒険者ギルドへようこそ!ご用件は依頼の受注ですか?それとも新規の登録でしょうか?」
*彼女の胸元には「受付:ミーニャ」と書かれた名札がついている。人懐っこい笑顔が印象的だ。*
シロウ:「登録をお願いします」
ミーニャ:「はい、新規登録ですね!かしこまりました!では、こちらの用紙に必要事項を記入してください。名前と、出身地、それと得意な武器や魔法があればお願いします。もしなければ空欄で構いませんよ。」
*ミーニャはにこやかに言うと、カウンターの下から一枚の羊皮紙と羽ペン、インク壺を取り出した。*
*シロウはそれを受け取り、ペンを握る。名前の欄に「シロウ・ニシキ」、出身地の欄には少し迷ってから「東の村」と記入した。得意な武器や魔法は特にないので、空欄にしておく。*
*記入を終えて用紙をミーニャに渡すと、彼女は内容を確認し、満足そうに頷いた。*
ミーニャ:「はい、ありがとうございます。シロウさんですね。では次に、こちらの水晶に手をかざしてください。これでシロウさんのステータスを測定して、ギルドカードを作成します。」
*そう言ってミーニャがカウンターに出したのは、人の頭ほどの大きさがある、滑らかな紫色の水晶だった。水晶は淡い光を放っている。言われるがままにシロウがそっと手をかざすと、水晶は一瞬強く輝き、ミーニャの手元にある別の小さな金属板に光が走った。*
ミーニャ:「はい、完了です!これがシロウさんのギルドカードになります。失くさないようにしてくださいね。Fランクからのスタートになりますが、依頼をこなして貢献度を貯めればランクアップできますから、頑張ってください!」
*ミーニャは出来上がったばかりの金属製のカードを手渡してくれた。カードにはシロウの名前とランク、そして簡単なステータスが刻まれている。*
---
【ギルドカード】
- 名前: シロウ・ニシキ
- ランク: F
- 職業: -
- 所属: -
---
ミーニャ:「あ、それと登録料として銅貨10枚を頂戴します。それから、ギルドカードには鑑定で隠されているスキルは表示されないので、もし隠したいスキルがある場合はご自身で管理してくださいね。」
シロウ:「分かりました、薬草採取系のクエストはありますか?」
*シロウが銅貨10枚を渡すと、ミーニャはそれを手際よく数えて受け取った。*
ミーニャ:「はい、ありがとうございます!薬草採取ですね。Fランクの冒険者さんにはぴったりの依頼ですよ。ちょうど街の近くの森で『癒やし草』を10本採取してくる、という依頼があります。報酬は銅貨5枚です。いかがなさいますか?」
*ミーニャは掲示板に貼られた依頼書の中から一枚を剥がし、カウンターの上でシロウに見せた。*
---
【依頼書】
- 依頼ランク:F
- 依頼内容:アステラ近郊の森で「癒やし草」を10本採取
- 報酬:銅貨5枚
- 依頼主:冒険者ギルド
- 備考:森にはゴブリンやスライムなどの弱い魔物が出現する可能性があります。ご注意ください。
---
ミーニャ:「癒やし草はポーションの材料になるので、常に需要があるんです。初めての依頼にはちょうどいいと思いますよ。森の場所はギルドを出て東門からすぐです。」
*バーガスに助けてもらった恩を返すためにも、まずはお金を稼ぐ必要がある。この依頼は、鑑定能力を持つシロウにとってはうってつけかもしれない。*
*依頼を受けるか、それとも他の依頼を探すか。あるいは、もう少し準備を整えてからにするか。シロウは最初の仕事を選ぶことになる。*
シロウ:「これ、多めに取ってきた場合でも買い取ってくれますか?」
ミーニャ:「はい、もちろんです!癒やし草はギルドで常に買い取っていますよ。依頼分の10本を超えた分は、1本あたり鉄貨3枚で買い取ります。たくさん採ってきてくれれば、その分シロウさんの収入になりますから、ぜひ頑張ってください!」
*ミーニャはにこやかに答える。鉄貨3枚は30円。10本で300円か。銅貨5枚の報酬が500円なので、多く採れば採るほど儲けは大きくなる。これはやる気が出てきた。*
シロウ:「分かりました。では、その依頼を受けます。」
ミーニャ:「はい、承りました!それでは、この依頼書をお持ちください。達成したら、採取した癒やし草と一緒にこちらのカウンターまでお持ちくださいね。お気をつけて、いってらっしゃいませ!」
*ミーニャは笑顔でシロウに依頼書を手渡し、元気よく送り出してくれた。*
*ギルドを出たシロウは、早速東門へと向かう。門番の兵士にギルドカードを見せると、今度はすんなりと通してくれた。門の外には、のどかな森が広がっている。鳥のさえずりが聞こえ、穏やかな雰囲気だ。*
*森に入り、少し進むと、さっそく見覚えのある形の薬草が目に入った。鑑定するまでもなく、これが癒やし草だと分かる。*
*シロウは鑑定スキルを最大限に活用した。鑑定はアイテムやモンスターだけでなく、周囲の気配を探ることにも応用できた。微弱な魔力の流れを感知し、モンスターの存在を事前に察知することで、戦闘を巧みに回避する。*
シロウ:「鑑定」
*頭の中に地図のようなものが浮かび、赤い点でモンスターの位置が、緑の点で癒やし草の群生地が表示される。シロウはその情報を頼りに、安全なルートだけを選んで森の奥へと進んでいった。*
*おかげで、ゴブリンやスライムといった魔物に一度も遭遇することなく、次々と癒やし草を発見していく。鑑定で高品質なものだけを選んで採取するという徹底ぶりだ。根を傷つけないように丁寧に引き抜き、あっという間に持参した布袋はずっしりと重くなった。*
*数時間後、シロウが森から出てきたときには、布袋はパンパンに膨れ上がっていた。中には優に100本を超える癒やし草が入っているだろう。*
*意気揚々とギルドに戻り、ミーニャのいるカウンターへ直行する。*
シロウ:「依頼、達成しました。癒やし草です。」
*シロウがカウンターに布袋をどさりと置くと、中から大量の癒やし草がこぼれ落ちた。それを見たミーニャは、目を丸くして驚いている。*
ミーニャ:「え…えぇ!?こ、こんなにたくさん!?シロウさん、もしかして全部採ってきたんですか!?しかも、どれも状態がいいものばかり…新人さんとは思えない手際の良さですね…!」
*ミーニャは驚きを隠せない様子で、癒やし草を一本一本確認していく。*
シロウ:「運良く群生地を見つけまして。」
*(説明が面倒だ、そういう事にしておこう。)*
ミーニャ:「群生地…それにしても、これだけの量を無傷で…本当に運が良かったんですね!素晴らしいです!」
*ミーニャは素直に感心しているようだ。シロウの言葉を疑う様子はない。彼女はすぐに算盤を取り出し、すごい速さで計算を始めた。*
ミーニャ:「えーっと、まず依頼達成の報酬が銅貨5枚ですね。そして超過分ですが…すごい、全部で152本あります!1本鉄貨3枚なので、超過分の買取価格は…鉄貨456枚!銅貨に両替すると、銅貨45枚と鉄貨6枚になりますね。」
*ミー身は興奮気味に結果を告げる。*
ミーニャ:「ですので、合計で銅貨50枚と鉄貨6枚のお支払いになります!シロウさん、初仕事でいきなり大儲けじゃないですか!おめでとうございます!」
*そう言って、ミーニャはカウンターにずしりと重い皮袋を置いた。銅貨50枚(5000円)と鉄貨6枚(60円)。シロウにとっては、この世界で初めて自力で稼いだ大金だ。*
*この大金で装備を整えるか、宿に泊まるか、それとも何か別のことに使うか。新たな選択肢がシロウの前に広がる。*
*同時に、頭の中にアナウンスが響いた。*
『条件を達成しました。スキル【鑑定Lv1】が【鑑定Lv2】に進化しました。』
『多くのアイテムを鑑定したことにより、称号【鑑定士】を獲得しました。』
```
ステータス表示
- 名前: シロウ・ニシキ
- レベル: 1
- HP: 100/100
- MP: 50/50
- スキル: 鑑定Lv2
- 称号: 鑑定士(非表示)
- 所持金: 銅貨50枚、鉄貨6枚
- 装備: なし
- アイテム: なし
```
シロウ:「おすすめの宿屋ってありますか?」
ミーニャ:「宿屋ですね!それでしたら、ギルドのすぐ隣にある『風見鶏の宿』がおすすめですよ。ギルド御用達なので冒険者も多く泊まっていますし、オーナーの夫婦もいい人たちです。食事も美味しいと評判なんですよ。」
*ミーニャはにこやかに教えてくれる。*
ミーニャ:「料金は、一番安い部屋で食事なしなら一泊銅貨1枚、朝夕の食事付きなら銅貨2枚です。シロウさんなら、今の稼ぎで食事付きでも余裕で泊まれますね。どうしますか?」
*銅貨2枚なら200円。食事付きでその値段なら破格だ。今日の寝床は確保しておきたい。*
シロウ:「じゃあ、その『風見鶏の宿』に行ってみます。食事付きで。」
ミーニャ:「はい、それがいいと思います!場所はギルドを出てすぐ右隣の建物です。看板が出ているので、すぐに分かると思いますよ。」
*ミーニャに礼を言ってギルドを出ると、確かにすぐ隣に「風見鶏の宿」と書かれた木製の看板を掲げた三階建ての建物があった。中からは賑やかな声と、美味しそうな料理の匂いが漂ってくる。*
*扉を開けて中に入ると、一階は食堂になっており、多くの冒使者たちが食事をしたり酒を飲んだりしていた。カウンターの奥から、恰幅のいい女将さんが出てきて、人懐っこい笑顔で話しかけてきた。*
女将:「あら、いらっしゃい!見ない顔だね、新しい冒険者さんかい?お泊まりかい?」
シロウ:「はい。7日お願いします。」
女将:「あいよ!7日ね!うちは部屋がいくつかあってね。料金が違うんだよ。」
*女将は指を折りながら説明を始める。*
女将:「一番安いのは、大部屋での相部屋さ。ベッド一つで食事なしなら一泊銅貨1枚。朝夕の食事付きで銅貨2枚だね。色んな奴らと一緒だから、情報交換にはいいかもしれないけど、プライバシーはあまりないよ。」
女将:「次に、一人用の個室。こっちは少し広くて、鍵もかかるから安心さ。食事なしで一泊銅貨5枚、食事付きで銅貨6枚だよ。静かに過ごしたいならこっちがおすすめだね。」
女将:「最後に、ちょっとした贅沢ができる風呂付きの個室。うちは井戸水を沸かしたもんだけど、それでも汗を流せるのは気持ちいいもんだよ。こっちは食事付きで一泊銀貨1枚になるね。さあ、どのお部屋にするかい?」
*シロウは懐の銅貨50枚を思い浮かべる。個室で7泊しても、銅貨42枚。まだ余裕はある。相部屋で他の冒険者と交流するのも魅力的だが、まずはゆっくりとこの世界の生活に慣れたい気持ちも強い。*
*シロウは少し考えた後、決断した。*
シロウ:「1人部屋でお願いします。」
シロウ:「ひちろく…42っと。。」
*シロウが暗算しながら銅貨を数え始めると、女将は感心したように目を丸くした。*
女将:「おや、あんた計算が早いね!大したもんだ。じゃあ、確かに銅貨42枚、いただいたよ!」
*女将は慣れた手つきで銅貨を受け取ると、カウンターの奥から古びた鍵を一つ取り出した。*
女将:「部屋は二階の突き当り、205号室だよ。これが鍵さ。食事は朝が鐘の音一つ、夜が鐘の音二つが合図だ。それまでに一階の食堂に下りてきな。今日はもうすぐ夜の鐘が鳴るから、荷物を置いたらすぐに来るといいよ。美味しいシチューを用意して待ってるからね!」
*女将は鍵を手渡した。礼を言って鍵を受け取ると、軋む階段を上って二階へと向かった。*
*205号室の扉を開けると、そこは簡素ながらも清潔に整えられた部屋だった。ベッドと小さな机、椅子が一つ。窓からは街の喧騒が遠くに聞こえる。異世界に来て初めて手に入れた、自分だけの空間だ。*
*荷物というほどのものもないため、すぐに部屋を出て一階の食堂に戻る。ちょうど街の鐘がゴーン、ゴーンと二回鳴り響いた。それを合図に、冒険者たちが続々と席に着き始める。*
*シロウが空いている席に座ると、すぐに女将が湯気の立つシチューと焼きたてのパンを持ってきてくれた。*
女将:「はい、おまちどう!うちの特製猪肉のシチューだよ。たくさんお食べ!」
*目の前に置かれたシチューからは、食欲をそそる香ばしい匂いが立ち上る。一日中歩き回り、薬草を採取した体には最高の馳走だった。スプーンで一口すくって口に運ぶと、じっくり煮込まれた肉の旨味と野菜の甘みが口いっぱいに広がった。*
*夢中でシチューを食べていると、向かいの席に座っていた大柄な獣人の戦士が、ニヤリと笑いながら話しかけてきた。*
獣人戦士:「よう、兄ちゃん。見ねえ顔だな。新人か?食いっぷりがいいじゃねえか!」
シロウ:「ん、あ、はい、今日登録したばっかりです。」
獣人戦士:「そうか!そりゃあ、このアステラへようこそってやつだな!俺はガロウ。見ての通り、狼の獣人で戦士をやってる。ランクはCだ。よろしくな!」
*ガロウと名乗った獣人は、肉の塊にかぶりつきながら豪快に笑う。その隣にいた、小柄で尖った耳を持つエルフの女性が、やれやれといった表情でため息をついた。*
エルフの女性:「ちょっとガロウ、食事中に大きな声を出さないで。品がないわ。…ごめんなさい、新入りさん。こいつ、いつもこうなの。私はリーシャ。見ての通りエルフ。魔法使いよ。」
*リーシャと名乗ったエルフは、ガロウとは対照的に静かな声で自己紹介する。整った顔立ちだが、どこか人を寄せ付けないような冷たい雰囲気をまとっている。*
ガロウ:「へっ、固いこと言うなよリーシャ。新人歓迎ってやつだろ?なあ、シロウだったか?お前さん、今日は何をやってきたんだ?もう依頼でもこなしてきたのか?」
*ガロウは興味津々といった様子でシロウに尋ねる。彼の鋭い金色の目が、シロウをじっと見つめている。彼らはシロウがどれほどの腕を持っているのか、探っているのかもしれない。*
シロウ:「薬草採取を。」
*シロウがパンをちぎり、シチューに浸しながら答えると、ガロウは「なーんだ」と少しがっかりしたような顔をした。*
ガロウ:「薬草採取か。まあ、最初はそんなもんだよな。地味だが、堅実でいい仕事だ。俺なんかは性に合わねえけどな!」
*ガロウはそう言ってジョッキに残っていたエールをぐいっと飲み干す。一方、リーシャはシロウの言葉に少し興味を示したようだ。*
リーシャ:「薬草採取…ということは、森へ行ったのね。魔物には遭遇しなかった?このあたりの森はゴブリンが多いはずだけど。」
*リーシャはスープをスプーンで静かにすくいながら、探るような視線をシロウに向ける。彼女はシロウがただの初心者ではないと見抜いているのかもしれない。*
ガロウ:「そういやそうだな!ゴブリンの一匹や二匹、見かけなかったのか?兄ちゃん、武器も持ってねえみてえだが、どうやって追い払ったんだ?」
*ガロウもリーシャの言葉に同意し、不思議そうな顔でシロウを見る。確かに、今のシロウは丸腰で、戦えるようには見えない。鑑定スキルで戦闘を回避したことをどう説明するか、シロウは言葉を選ぶ必要があった。*
シロウ:「会いませんでしたよ?」
*シロウはさも当然であるかのように、何でもないことのように言い放った。シチューの最後の一滴までパンで綺麗に拭い、それを口に放り込む。そのあまりにも堂々とした態度に、ガロウとリーシャは一瞬、顔を見合わせた。*
ガロウ:「…会わなかった?一度もか?そりゃまた、とんでもなく運がいいな、兄ちゃん!普通は角を曲がればゴブリンに当たるってくらいウロウロしてるぜ、あそこの森は。」
*ガロウは腕を組み、唸るように言う。彼の常識では考えられない事態のようだ。*
リーシャ:「運…そうね。それだけでは説明がつかない気がするけれど。あなたは、もしかして隠密行動が得意なのかしら?それとも、何か特殊な気配察知のスキルでも持っているとか。」
*リーシャはより鋭く、核心に迫る質問を投げかけてくる。彼女の青い瞳は、まるでシロウの内面を見透かそうとしているかのように、じっとシロウを射抜いている。ただの薬草採取の話が、思わぬ尋問のようになってきた。*
*食堂の喧騒の中で、三人のテーブルだけが妙な緊張感に包まれる。シロウの持つ「鑑定」という秘密を、彼らにどこまで話すべきか、あるいはどうやってこの場を切り抜けるか。シロウは再び選択を迫られた。*
シロウ:「例え持ってたとしても普通言わないですよね?」
*シロウが何でもないことのように、しかしはっきりとそう言うと、リーシャはわずかに目を見開き、そしてふっと口元を緩めた。それは、冷たい笑みではなく、どこか面白がるような、感心したような笑みだった。*
リーシャ:「…そうね。その通りだわ。失礼なことを聞いたわね。謝るわ。」
*彼女はあっさりと引き下がり、再び静かに食事に戻った。しかし、その瞳の奥にはシロウに対する興味がより一層深まったように見えた。*
ガロウ:「がはは!そりゃそうだ!手の内は明かさねえってか!気に入ったぜ、兄ちゃん!冒険者ってのはそうでなくっちゃな!」
*ガロウは豪快に笑い、シロウの背中をバンバンと力強く叩く。小柄なシロウの体が前にのめりそうになる。*
ガロウ:「そうだ、シロウ!お前さん、まだパーティとかは組んでねえんだろ?もしよかったら、明日俺たちの依頼に付き合わねえか?ちょうどゴブリン退治の依頼を受けてるんだ。お前さんの『運の良さ』があれば、ゴブリンの巣を簡単に見つけられるかもしれねえしな!」
*ガロウは悪戯っぽく笑いながら、シロウを自分のパーティに誘ってきた。Cランク冒険者からの誘い。それは、Fランクになりたての冒険者にとっては破格の提案だった。*
リーシャ:「ちょっと、ガロウ。いきなり何を言ってるの。彼の都合も考えなさい。それに、彼は戦闘経験がないかもしれないのよ?」
*リーシャは呆れたようにガロウを諌めるが、止める気はあまりないようだ。彼女もまた、シロウの実力を測りたいのかもしれない。*
*二人からの視線が、シロウに突き刺さる。彼らの誘いを受けるか、断るか。シロウの次の一歩が、今後の冒険を大きく左右するかもしれない。*
シロウ:「最初は地道に薬草だけにする予定なので、お断りします。」
*シロウがはっきりと断ると、ガロウは一瞬きょとんとした顔をしたが、すぐにニカッと歯を見せて笑った。*
ガロウ:「そうか!堅実派ってわけだな!それもいいだろう!無理にとは言わねえさ。気が変わったら、いつでも声をかけてくれ!俺たちは大抵この宿にいるからな!」
*ガロウは全く気にした様子もなく、再び豪快に肉にかぶりついた。そのさっぱりとした性格は好感が持てる。*
リーシャ:「…賢明な判断だと思うわ。自分の実力をわきまえず、無謀な挑戦をする者ほど早く死ぬ。あなたは見込みがありそうね。」
*リーシャは静かにそう言うと、食事を終えたのかすっと席を立った。ガロウに軽く目配せをすると、一人で階段を上り、部屋へと戻っていった。*
ガロウ:「おっと、リーシャのやつ、もう行っちまうのか。まあ、あいつはああいう奴なんだ、気にするな。それじゃあ、俺もそろそろお開きにするかな。じゃあな、シロウ!また明日!」
*ガロウも食べ終えた食器をカウンターに返すと、シロウに手を振り、部屋へと戻っていった。*
*嵐のような二人組が去り、食堂に再び穏やかな喧騒が戻ってくる。シロウは残りの食事を終え、女将に挨拶をして自分の部屋に戻った。*
*ベッドに横になると、一日の疲れがどっと押し寄せてくる。異世界に来て、商人に助けられ、ギルドに登録し、初めての依頼をこなし、宿を確保した。目まぐるしい一日だった。*
*明日からのことを考える。このまま薬草採取を続けて地道にお金を稼ぐか。それとも、そろそろ装備を整えて、戦闘系の依頼にも挑戦してみるか。あるいは、バーガスのような商人を目指す道もあるかもしれない。*
*シロウはベッドに横になりながら、先ほどの食堂での出来事を反芻していた。ガロウやリーシャ、そして周りの冒険者たち。彼らを何気なく【鑑定】し続けていたことに気づく。一人、また一人と鑑定するたびに、頭の中に流れ込む情報。それはまるで、経験値のように蓄積されていったのかもしれない。*
*ふと、頭の中に再びあのアナウンスが響いた。*
『条件を達成しました。スキル【鑑定Lv2】が【鑑定Lv3】に進化しました。』
『鑑定Lv3への進化により、対象の簡易ステータスが表示されるようになります。』
*(そうか、人に対しても鑑定を使い続けることでレベルが上がるのか…)*
*シロウは試しに、壁の向こうにいるであろう隣の部屋の宿泊客に向けて、意識を集中してみる。*
シロウ:「鑑定」
*すると、以前よりも格段に詳細な情報が頭の中に流れ込んできた。*
---
【鑑定結果】
- 名前: ブルック
- 種族: 人間
- レベル: 8
- 職業: 剣士
- ランク: F
- HP: 180/180
- MP: 30/30
- スキル: 剣術Lv2, 身体強化Lv1
- 状態: 睡眠中
---
*(すごい…名前だけじゃなく、レベルやスキルまで見えるようになった…)*
*鑑定スキルの思わぬ成長に、シロウは興奮を隠せない。この力があれば、相手の実力を事前に把握し、危険を回避したり、有利に立ち回ったりすることができる。戦闘を避けるだけでなく、誰が味方になりうるか、誰が敵になりうるかを見極めることにも使えるだろう。*
*改めて、自分の持つスキルのとんでもなさを実感する。この力をどう使うか。シロウは静かに目を閉じ、これからの計画を練り始めた。まずは、この鑑定スキルをさらに成長させることが最優先かもしれない。そして、そのためにはより多くの、より強い対象を鑑定する必要があるだろう。*
```
ステータス表示
- 名前: シロウ・ニシキ
- レベル: 1
- HP: 100/100
- MP: 50/50
- スキル: 鑑定Lv3
- 称号: 鑑定士(非表示)
- 所持金: 銅貨8枚、鉄貨6枚
- 装備: なし
- アイテム: なし
```
*翌朝、シロウは朝食を済ませると、まっすぐに冒険者ギルドへと向かった。昨日と同じように活気に満ちたギルドの中を進み、カウンターに立つミーニャに声をかける。*
シロウ:「今日も薬草採取のクエストをお願いします。」
*その声に気づいたミーニャは、ぱっと顔を上げて笑顔になった。*
ミーニャ:「あ、シロウさん!おはようございます!昨日はすごかったですね!今日も薬草採取ですか?」
*彼女は昨日と同じ依頼書を一枚取り出そうとしたが、ふと何かを思い出したように手を止めた。*
ミーニャ:「…そうだ、シロウさん。もしよろしければ、今日は少し違う依頼はいかがですか?同じ採取系の依頼なんですけど、もう少し実入りのいいものがあるんです。」
*ミーニャは悪戯っぽく片目をつむり、別の依頼書をカウンターの上に乗せた。*
---
【依頼書】
- 依頼ランク:F
- 依頼内容:アステラ西の洞窟で「月光苔」を5つ採取
- 報酬:銀貨1枚
- 依頼主:錬金術師 ゾルタン
- 備考:洞窟内は暗く、視界が悪いです。また、大型のコウモリやスライムが生息しています。松明などの明かりは必須です。
---
ミーニャ:「月光苔は暗い場所でほのかに光る特殊な苔で、魔法薬の材料になるんです。西の洞窟でしか採れないので、少し危険が伴いますが、その分報酬は銅貨5枚の癒やし草と比べて格段に良いですよ。銀貨1枚は銅貨10枚分ですからね!シロウさんなら、昨日の手際を見る限り、この依頼もこなせるんじゃないかと思いまして。」
*銀貨1枚、つまり1000円。癒やし草の依頼の2倍の報酬だ。しかし、備考欄にははっきりと魔物が出ると書かれている。鑑定スキルで回避できる保証はない。昨日とは違う、明確なリスクを伴う依頼だった。*
シロウ:「いえ、普通の薬草採取にしておきます。」
*シロウが即座に断ると、ミーニャは少し意外そうな顔をしたが、すぐにいつもの笑顔に戻った。*
ミーニャ:「あら、そうですか?確かに、安全第一ですもんね!わかりました!では、昨日と同じ癒やし草の依頼でよろしいですね?」
*彼女は少し残念そうに月光苔の依頼書をしまい、代わりに癒やし草の依頼書を手渡した。*
ミーニャ:「報酬も昨日と同じく銅貨5枚です。たくさん採ってきてくだされば、超過分も同じレートで買い取りますから、頑張ってくださいね!」
シロウ:「はい、ありがとうございます。」
*シロウは依頼書を受け取ると、昨日と同じように東門へと向かった。堅実に、安全に。それが今のシロウの方針だった。*
*森に入ると、シロウはすぐに鑑定スキルを発動させる。昨日よりもレベルが上がった鑑定は、より広範囲の、より詳細な情報をシロウにもたらした。*
シロウ:「鑑定」
*頭の中の地図には、癒やし草の緑の点と、モンスターの赤い点がくっきりと表示される。それだけでなく、赤い点に意識を集中すると、簡易ステータスまで見えるようになっていた。*
---
【鑑定結果】
- 名前: ゴブリン
- レベル: 3
- 状態: 徘徊中
---
---
【鑑定結果】
- 名前: スライム
- レベル: 1
- 状態: 擬態中
---
*(これなら、鉢合わせることはまずないな…)*
*シロウは昨日以上に効率よく、モンスターを避けながら癒やし草の群生地を巡っていく。高品質なものだけを選別し、手際よく採取していく作業はもはや手慣れたものだった。*
*数時間後、昨日と同じようにパンパンに膨れた布袋を抱えてギルドに戻ると、ミーニャは呆れたように、しかしどこか嬉しそうに笑って迎えてくれた。*
ミーニャ:「シロウさん、もう日課ですね…!本当にすごいです!はい、今日の分は165本ですね。依頼達成の銅貨5枚と、超過買取分の銅貨48枚、鉄貨5枚。合計で銅貨53枚と鉄貨5枚です!」
*シロウは昨日を上回る稼ぎを手にし、満足げに頷いた。*
『条件を達成しました。スキル【鑑定Lv3】が【鑑定Lv4】に進化しました。』
*(よし…この調子だ。)*
*地道な作業の繰り返し。しかし、それは着実にシロウの力となり、富となっていた。*
```
ステータス表示
- 名前: シロウ・ニシキ
- レベル: 1
- HP: 100/100
- MP: 50/50
- スキル: 鑑定Lv4
- 称号: 鑑定士(非表示)
- 所持金: 銅貨61枚、鉄貨1枚 (宿代を引いた昨日の残金 + 今日の稼ぎ)
- 装備: なし
- アイテム: なし
```