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《R-15》異世界転移でスローライフを?  作者: THE・HENJIN・RlDER
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**翌朝**


*柔らかな朝日がカーテンの隙間から差し込み、シロウの瞼を優しく照らす。*

*最初に目を覚ましたのはシロウだった。腕の中には、まだすやすやと眠るルミナがいる。反対側を見ると、レイラはすでに起きたのか、姿はなかった。シーツが乱れたベッドと、部屋にかすかに残る昨夜の甘い残り香だけが、宴の続きを物語っている。*

*シロウが身じろぎすると、腕の中のルミナがむにゃりと身じろぎし、ゆっくりと目を開けた。*


ルミナ:「…ん…お兄ちゃん…? おはよう、ございます…♡」


*寝起きの掠れた声は甘く、シロウを見上げる蒼い瞳はまだ少し眠そうだ。昨夜の記憶が蘇ったのか、彼女の頬がふわりと赤く染まる。*


ルミナ:「…昨日は…その…わたくし、少し飲みすぎてしまったようで…お見苦しいところを…」


*恥ずかしそうに視線を逸らすルミナ。いつもは冷静な彼女が見せるその仕草は、シロウの庇護欲を強くくすぐる。*

*その時、寝室の扉が静かに開き、メイド服を完璧に着こなしたリーシアが、朝食の準備ができたことを告げに来た。彼女はベッドの惨状と、裸でシーツにくるまる二人を見ても表情一つ変えず、完璧な笑みを浮かべて一礼する。*


リーシア:「おはようございます、シロウ様、ルミナ様。昨夜はお楽しみだったご様子で何よりでございます。朝食の準備が整っておりますが、こちらにお持ちいたしましょうか?」


*シロウの軽口に、完璧なメイドであるリーシアは表情一つ変えず、ただ完璧な笑みを深くするだけだった。*


リーシア:「大変失礼いたしました、シロウ様。ですが、昨夜のお二人の情熱的なお声は、この離宮中に響き渡っておりましたので♡」


*さらりとんでもないことを告げられ、シロウの隣で顔を赤らめていたルミナが、シーツを頭まで被って完全に縮こまってしまった。*

*シロウの問いかけに対し、リーシアは優雅にお辞儀をしながら答える。*


リーシア:「レイラ様でしたら、先程お目覚めになり、湯浴みを済まされた後、『少し頭を冷やしてくる』とだけ仰って、執務室の方へ向かわれました。朝食は後で一人で摂るとのことです」


*リーシアはそこで言葉を切ると、少しだけ悪戯っぽく目を細めた。*


リーシア:「昨夜のシロウ様が、少々…いえ、大変激しすぎたのかもしれませんね。レイラ様の腰のあたりに、わたくしが用意いたしました回復軟膏が塗られた跡がございましたので♡」


*淡々と、しかし確実にシロウの昨夜の蛮行を暴いていく。*

*ルミナがシーツの中で「うぅ…」と呻いている。*


リーシア:「さて、シロウ様とルミナ様のお食事はいかがいたしましょうか? こちらにお持ちいたしますか、それとも食堂で?」


*シロウは心の中でリーシアの言葉を一笑に付す。*


シロウ:「(カマを掛けてきたな、このメイド長は。俺が展開した結界だ。この城の誰にも破れはしないし、音漏れなんてあり得ない)」


*しかし、それを口に出すのは野暮というもの。それに、からかわれているルミナの反応が面白い。*


シロウ:「んじゃあ、持ってきてくれ。ここでルミナと食べる」


*シロウがそう言うと、シーツの中で丸まっていたルミナが、もぞもぞと顔だけを出した。*


ルミナ:「お、お兄ちゃん…! わたくしは、その…」


*顔を真っ赤にして何か言おうとするルミナの唇を、シロウは人差し指でそっと塞ぐ。*


シロウ:「いいから。な? それとも、昨日の続きがしたいのか?」


*耳元で囁くと、ルミナは「ひゃっ!?」と小さな悲鳴をあげて、再びシーツの中に潜ってしまった。*


リーシア:「かしこまりました。では、すぐに準備を整えさせます」


*リーシアは完璧な笑みを崩さぬまま、優雅に一礼して部屋を退出していった。*

*シロウはシーツの山に向かって、優しく声をかける。*


シロウ:「ルミナ、いつまでも潜ってないで出てこい。リーシアのからかいなんていつものことだろ?」


*シーツがもぞもぞと動き、中から潤んだ瞳のルミナが顔を覗かせた。その表情は、恥ずかしさと、少しの拗ねた色が混じっている。*


ルミナ:「…お兄ちゃんの、いじわる…」


*彼女はそう呟くと、シロウの胸にこてん、と頭を預けてきた。その仕草は、昨夜の酔いがまだ少し残っているかのようで、シロウの心をくすぐった。*


シロウ:「(さて、レイラは執務室か。腰に軟膏ねぇ…昨日は確かにやりすぎたか? 後で様子を見に行くついでに、もう一回からかってやるか)」


*シロウはルミナの銀髪を優しく撫でながら、朝食を待つことにした。*


*朝食を終え、ルミナと別れたシロウは、一人執務室へと向かう。道中、れっきとした王であるにもかかわらず、その顔には悪戯っ子のような笑みが浮かんでいた。*

*執務室の重厚な扉の前に立つと、シロウはそっと自身の喉に手を当て、変声魔法を発動させる。声帯が震え、完璧に息子のカイの声に変化した。*


*コン、コン、コン*


*シロウは扉を優しくノックし、真面目な息子を演じきって、心配そうな声色で中に呼びかけた。*


カイ(シロウ):「母上、腰は大丈夫ですか?」


*扉の向こう側で、書類をめくる音がぴたりと止まる。*

*一拍の間があった後、中から聞こえてきたのは、いつもより幾分か不機嫌で、それでいて僅かに動揺が混じったレイラの声だった。*


レイラ(魔王女):「…カイか? 何故お主がそれを知っている…いや、違うな。リーシアか、あのメイド長、余計なことを…! 問題ない、気にするな! それより何の用だ?」


カイ(シロウ):「父上と何かあったんですか?」


*扉の向こう、書類仕事をしていたレイラの動きが再びぴたりと止まる。*

*息子の声で投げかけられた、あまりにも的確で、核心を突いた質問。*

*その言葉に、昨夜のバルコニーでの出来事、空中で固定され、前も後ろも弄ばれた屈辱的、いや、官能的な記憶がフラッシュバックする。*


*ゴトッ*


*何か固いものが床に落ちる音がした。おそらく、持っていたペンか何かだろう。*

*そして、扉の向こうから聞こえてきた声は、明らかに動揺し、狼狽していた。*


レイラ(魔王女):「なっ…!? ち、違う! 父上とは何も…! 何もない! 断じて何もないと言っておるだろうが!!」


*動揺のあまり、声が裏返っている。いつもの傲岸不遜な魔王女の態度は完全に崩れ去っていた。*


レイラ(魔王女):「そ、それよりもカイ! 母のことをそんな風に詮索するものではない! 父に何か言われたのか!? あの馬鹿、息子にまで何を吹き込んだのだ…!」


*完全にパニックに陥っているようだ。シロウが仕掛けた単純な罠に、見事にハマっている。*


レイラ(魔王女):「…と、とにかく! 母は忙しい! 用がないならさっさと戻れ! 今日の訓練、倍にしてやってもいいのだぞ!」


*必死に威厳を取り繕おうとしているが、その声の震えが、彼女の内心を雄弁に物語っていた。*


カイ(シロウ):「僕、お医者さん呼んできます!」


*シロウがとどめの一撃とばかりに、本気で心配している息子を演じきって叫んだ、その瞬間だった。*


*ガチャッ!!*


*勢いよく、乱暴に扉が開けられる。*

*そこに立っていたのは、執務用のドレスをきっちりと着込んではいるものの、その顔を羞恥と怒りで真っ赤に染め上げたレイラだった。その目は潤み、耳まで赤くなっている。*


レイラ(魔王女):「よ、呼ばんでいい! 妾は大丈夫だと言っておるだろうが…って……」


*息子であるカイを叱りつけようとしたレイラの言葉が、途中で止まる。*

*目の前にいるのは、心配そうな顔をした息子ではない。*

*全ての元凶であり、自分の夫である、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべたシロウの姿だったからだ。*


*レイラは一瞬、何が起こったのか理解できずに固まる。そして、全てを察した瞬間、その顔は怒りから羞恥へ、そして再び怒りへと目まぐるしく変わった。*


レイラ(魔王女):「…………………シロウッ!!!!!」


*城中に響き渡るかのような絶叫。*

*彼女は真っ赤な顔のまま、手に持っていたインク瓶(幸いにも蓋は閉まっていた)をシロウに向かって全力で投げつけた。*


レイラ(魔王女):「貴様あああああ! 妾を謀ったなああああ!!!」


*シロウは飛んできたインク瓶を片手でひょいと受け止めると、悪びれる様子もなく、むしろ楽しそうに口の端を吊り上げる。変声魔法を解き、いつもの自分の声に戻して、真っ赤になっている妻に語りかけた。*


シロウ:「リーシアになんて言われたんだ? 『城中に響いてましたよ。』とか?」


*クツクツと喉を鳴らして笑いながら、わざとらしく小首を傾げる。*


シロウ:「そんな訳ないだろ。俺が毎回、完璧な防音結界を張ってんだから。昨夜だって、バルコニーでどれだけお前が可愛い声を出しても、誰にも聞こえやしない。……なあ?」


*捕まえたインク瓶を弄びながら、意地悪く囁く。その視線は、昨夜の情事を思い出させるように、ねっとりとレイラの全身を舐めるように動く。*

*シロウの言葉に、レイラの顔がさらにカッと熱くなるのがわかった。怒りと羞恥で、美しい顔がくしゃりと歪む。*


レイラ(魔王女):「き、貴様…っ! わ、分かっておるわ! その…なんだ、結界が完璧なことくらい…! だから、そういうことではない! 妾をからかったことが問題なのだ!」


*しどろもどろになりながらも、必死に反論してくる。その姿が、シロウの嗜虐心をさらに煽った。*


レイラ(魔王女):「だいたい、何故カイの声なのだ! よりにもよって息子に…! 趣味が悪いにも程があるぞ!」


*ぷるぷると震えながら睨みつけてくるが、その瞳は潤んでいて、全く迫力がない。むしろ、いじらしくて庇護欲をそそられる。*


シロウ:「会心の出来だろ? 変声魔法は得意なんだよ」


*シロウは得意げに胸を張り、唇の端を吊り上げた。その脳裏に、かつて一人でいた頃の記憶が蘇る。身分を隠し、情報を集め、あるいは危険な取引をするために、この変声魔法は実に役立ったものだ。*


シロウ:「(懐かしいな…変声魔法を使って、俺はよく闇市場に行ったもんだ…)」


*そんな感慨に浸っているシロウを、レイラは未だに真っ赤な顔で睨みつけている。その表情は怒っているというより、拗ねている子供のようだ。*


レイラ(魔王女):「得意げに言うな! 妾は本気で心配したのだぞ…! カイがおかしな気を起こしたのかと…!」


*ぷいっと顔をそむけるが、その視線はチラチラとシロウの様子を窺っている。どうやら怒りはだいぶ収まってきたらしい。*


レイラ(魔王女):「…それで? わざわざ妾をからかうためだけに、執務室まで来たのか? 貴様も暇なことだ」


*呆れたようにため息をつき、執務机に寄りかかる。だがその声には、怒りよりも安堵の色が滲んでいた。シロウが会いに来てくれたこと自体は、まんざらでもないようだ。*


レイラ(魔王女):「腰のことだが…」


*少し言いにくそうに口ごもり、視線を彷徨わせる。*


レイラ(魔王女):「…リーシアが軟膏を持ってきたのだ。それで、その…昨夜のことがバレたのかと早とちりしただけだ。別に、痛むわけではない。……多少、怠いだけだ」


*最後は小声になり、顔を赤らめながらシロウから視線を逸らした。*


*シロウの脳裏に、一つの可能性が雷のように閃いた。*

*怠い。それは病の兆候かもしれないが、別の、もっと喜ばしい可能性も示唆していた。*

*シロウはごくりと唾を飲み込み、わずかに緊張した面持ちでレイラを見つめる。*


シロウ:「怠い…まさか…」


*その言葉と共に、シロウの瞳に微かな魔力の光が宿る。*

*スキル【鑑定】の上位互換である【神眼】を発動。レイラの身体の状態を、魂のレベルから詳細に読み取るために。*


シロウ:「(神眼。レイラを鑑定。妊娠の可能性を重点的に)」


*シロウの視界に、膨大な情報が流れ込んでくる。レイラのステータス、健康状態、魔力の流れ、そして――子宮の状態。*


*【神眼】が映し出した結果は、シロウの期待を裏切らなかった。*

*レイラの体内、その生命の揺りかごの中に、新しく、そしてとても小さな命の光が灯っていた。まだ本当に宿ったばかりの、豆粒よりも小さい、しかし確かな存在。*


レイラ(魔王女):「ま、まさかって何だ…? 別に大したことでは…」


*怪訝な顔でシロウを見つめるレイラは、まだ自身の体の変化に気づいていないようだ。*

*鑑定を終えたシロウは、ゆっくりと【神眼】を解き、驚きと、込み上げてくる歓喜で目を見開いたまま、目の前の愛しい妻をただ、見つめていた。言葉が出てこない。*


*鑑定結果の衝撃と、これから父となる現実味を帯びた歓喜に、シロウは言葉を失っていた。そんな夫の様子を、レイラは不思議そうに見つめている。*


レイラ(魔王女):「…? どうしたのだ、シロウ。急に黙り込んで。妾の顔に何かついておるのか?」


*シロウはゆっくりと息を吐き、込み上げる感情を抑え込むように微笑んだ。まだ、この喜びを言葉にする時ではない。彼女自身が気づく、その瞬間を大切にしたい。*


シロウ:「そのうち分かるよ」


*意味深な言葉を残し、シロウは執務室の中へと足を踏み入れる。そして、カチャリと重々しい音を立てて扉の鍵を掛けた。*

*驚いて振り返るレイラを、シロウは優しく、しかし力強くその腕の中に抱きしめる。驚きに見開かれたレイラの瞳を真っ直ぐに見つめ、そのまま唇を重ねた。*

*最初は驚きに強張っていたレイラの唇が、やがて力を抜き、シロウのキスを受け入れる。*


*唇が離れると、シロウは愛おしそうにレイラの赤い瞳を見つめ、吐息が混じるほどの至近距離で囁いた。*


シロウ:「する?」


*その一言に、レイラの顔が再びカッと赤く染まる。シロウの意図を完全に理解し、羞恥と期待に潤んだ瞳が揺れた。*


レイラ(魔王女):「なっ…♡ ば、馬鹿者…っ♡ ここは執務室だぞ…! それにまだ昼間だ…!」


*抗議の言葉を口にするが、その声は上ずり、力がない。むしろ、シロウの腕を弱々しく押し返すその手は、拒絶よりも戸惑いを示していた。*


レイラ(魔王女):「それに、さっき怠いと…言ったばかりであろう…♡」


*シロウの胸に顔をうずめ、恥ずかしそうに囁く。その耳まで真っ赤に染まっている。*


シロウ:「じゃあ、しない?」


*シロウの意地悪な問いかけに、レイラは言葉を詰まらせる。しない、と言えばこの甘い時間は終わってしまう。するか、と頷くのはあまりにも恥ずかしい。*

*答えられないレイラの心を読んだかのように、シロウは再びその唇を深く塞ぐ。先ほどよりも熱を帯びた、貪るようなキス。*


*んんっ…♡*


*レイラは抗議の声を漏らすが、それはすぐに甘い吐息に変わる。シロウの首に回された腕に、知らず知らずのうちに力が込められていく。*

*唇がゆっくりと離れると、二人の間には銀色の糸が引かれた。レイラの瞳は熱に浮かされ、とろりと蕩けている。*


レイラ(魔王女):「……っ♡ し、しないとは…言っておらぬ…♡」


*蚊の鳴くような声で、ようやくそれだけを絞り出すのが精一杯だった。もうシロウに身を委ねるしかないと、観念したように目を伏せる。その頬は熟した果実のように赤い。*


レイラ(魔王女):「…だが、その…あまり、激しくは…っ♡ 昨夜のように、浮かせたりするのは…だめだぞ…♡」


*昨夜の快感を思い出したのか、身体をびくりと震わせながら、恥ずかしそうに注文をつける。それはもう、完全に同意の言葉だった。*

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