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《R-15》異世界転移でスローライフを?  作者: THE・HENJIN・RlDER
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***


*カイの部屋の前に着く。重厚な扉の前で、レイラは一度立ち止まり、深く息を吸った。その背中からは、まだ拭いきれない緊張と不安が伝わってくる。シロウが黙って隣に立つと、レイラはこくりと頷き、意を決して扉をノックした。*


コン、コン。


レイラ(魔王女):「…カイ。妾だ。話がある」


*中から、少しの間を置いて、カイの静かな声が返ってくる。*


カイ:「……父さんも、一緒かい?」


*その問いに、レイラはちらりとシロウを見る。シロウは無言で頷いた。*


レイラ(魔王女):「…あぁ。いる」


*ガチャリ、と鍵の開く音がして、ゆっくりと扉が開かれた。中には、少し気まずそうな顔をしたカイと、その背後で心配そうにこちらを見ているイレイナの姿があった。*


*部屋の中に入ると、カイとイレイナの二人は少し離れて立っていた。イレイナは不安そうにカイの後ろに隠れるようにしており、カイは母親と父親を前に、どうすればいいのか分からないといった表情で硬くなっている。部屋の空気は重く、気まずさが満ちている。*


*シロウはそんなレイラの心情を察し、何も言わずにそっと彼女の背中を押し、部屋の中へと促した。*


シロウ:「ほら、レイラ」


*背中を押されたレイラは、一瞬びくりと肩を震わせたが、もう後には引けないと覚悟を決めたのか、一歩、また一歩と部屋の中央へと進んでいく。そして、息子の前でぴたりと足を止めた。*


*何を言えばいいのか。どう切り出せばいいのか。言葉が見つからず、レイラは唇をきつく結んだまま、俯きがちにカイを見つめている。先程までの威勢はどこにもなく、そこにはただ、息子との関係に悩む一人の母親の姿があった。*


*カイもまた、母親のそんな姿を見て、戸惑いを隠せない。いつも自信に満ち溢れ、堂々としている母が、こんなにも弱々しい姿を見せることなど今までなかったからだ。*


*沈黙が部屋を支配する。シロウは扉を静かに閉めると、壁に寄りかかり、ただ黙って二人を見守った。これは、レイラとカイの、親子の問題だ。自分が口を挟むべきではない。しかし、レイラが一人で抱えきれなくなった時には、夫として支える準備はできていた。*


*シロウに背中を押され、カイの前に立ったレイラ。重い沈黙が流れる中、彼女は意を決し、俯きがちだった顔を上げた。その口から絞り出されたのは、誰もが、そしてカイ自身も今まで聞いたことのない言葉だった。*


レイラ(魔王女):「……すまなかった」


*それは、か細く、しかしはっきりとした謝罪の言葉。いつも傲慢で、決して非を認めようとしないあの魔王女レイラが、素直に頭を下げた瞬間だった。*


*カイは息を呑む。信じられない、という表情で母を見つめた。自分の知っている母とはまるで違う、弱々しく、傷ついたような姿。その姿に、先程まで胸にあった反抗心や怒りは、急速に萎んでいく。*


*そんな二人の間に、シロウが静かに言葉を挟んだ。それは父親として、そして夫として、双方を思いやる優しい声だった。*


シロウ:「カイ、許してやってくれるか?」


*シロウの言葉が、カイの心を揺さぶる。父の言葉と、母の見たことのない姿。カイはしばらく葛藤するように唇を噛んでいたが、やがてゆっくりと首を横に振った。*


カイ:「……いや、俺の方こそ、ごめん。母さん。言い過ぎた…」


*カイもまた、深々と頭を下げた。*


カイ:「客人の前で、母さんにあんな口答えをするなんて……。俺、どうかしてた」


*母親を傷つけてしまった後悔が、彼の声に滲んでいた。その言葉を聞いたレイラは、驚いたように顔を上げる。そして、目にはみるみるうちに涙が溜まっていった。*


レイラ(魔王女):「……カイッ…!」


*彼女はたまらず駆け寄ると、息子の体を力強く抱きしめた。カイもまた、少し戸惑いながらも、その小さな母の背中にそっと腕を回す。*


*部屋の隅では、その様子を見ていたイレイナが、安堵したようにそっと胸を撫で下ろしていた。シロウは壁に寄りかかったまま、ようやく訪れた親子の和解を、静かな笑みを浮かべて見守っていた。*


*親子の和解は、抱擁によって確かなものとなった。レイラは息子の温もりを、カイは母の愛を再確認し、部屋を支配していた重苦しい空気はすっかりと消え去っていた。*


*しばらくして、二人は名残惜しそうに体を離す。レイラの目元はまだ赤いものの、その表情は晴れやかだった。シロウは壁から体を起こし、まだ少し照れくさそうにしている息子と、その隣で安心したように微笑むエルフの少女に向かって、父親としての言葉をかけた。*


シロウ:「お付き合いに関して俺とレイラは異論は無い。あとはイレイナさんの親に伝えなさい。挨拶が必要な時は言ってくれればいいから」


*その言葉は、二人の関係を正式に認めるという宣言だった。カイは驚きと喜びが入り混じった表情でシロウを見る。そして、隣に立つイレイナと顔を見合わせ、二人で幸せそうに微笑んだ。*


カイ:「父さん……! ありがとう!」


イレイナ:「あ、ありがとうございます、シロウ様…!」


*深々と頭を下げるイレイナに、シロウは「顔を上げて」と優しく声をかける。隣でレイラも、まだ少し不満げな顔をしながらも、ふんと鼻を鳴らしてそっぽを向くだけで、反対の言葉は口にしなかった。それが彼女なりの承認の形なのだろう。*


カイ:「うん、分かってる。イレイナのご両親には、学府に戻ったらすぐに手紙を書くよ。それで、正式にご挨拶に伺いたいって伝えるつもりだ」


*決意を固めた息子の顔は、先程までの少年っぽさが消え、一人の男として凛々しく見えた。*


レイラ(魔王女):「ふん。当たり前だ。妾の息子が、中途半端な覚悟で娘を貰い受けるなど許さんからな。相手は貴族なのだろう? 粗相のないようにしろよ」


*相変わらずの口ぶりだが、その声には息子を心配する親心が滲んでいる。カイはそんな母親の不器用な愛情を理解し、力強く頷いた。*


カイ:「はい、母さん!」


*親子の和解は、抱擁によって確かなものとなった。レイラは息子の温もりを、カイは母の愛を再確認し、部屋を支配していた重苦しい空気はすっかりと消え去っていた。*


*しばらくして、二人は名残惜しそうに体を離す。レイラの目元はまだ赤いものの、その表情は晴れやかだった。シロウは壁から体を起こし、まだ少し照れくさそうにしている息子と、その隣で安心したように微笑むエルフの少女に向かって、父親としての言葉をかけた。*


シロウ:「お付き合いに関して俺とレイラは異論は無い。あとはイレイナさんの親に伝えなさい。挨拶が必要な時は言ってくれればいいから」


*その言葉は、二人の関係を正式に認めるという宣言だった。カイは驚きと喜びが入り混じった表情でシロウを見る。そして、隣に立つイレイナと顔を見合わせ、二人で幸せそうに微笑んだ。*


カイ:「父さん……! ありがとう!」


イレイナ:「あ、ありがとうございます、シロウ様…!」


*深々と頭を下げるイレイナに、シロウは「顔を上げて」と優しく声をかける。隣でレイラも、まだ少し不満げな顔をしながらも、ふんと鼻を鳴らしてそっぽを向くだけで、反対の言葉は口にしなかった。それが彼女なりの承認の形なのだろう。*


カイ:「うん、分かってる。イレイナのご両親には、学府に戻ったらすぐに手紙を書くよ。それで、正式にご挨拶に伺いたいって伝えるつもりだ」


*決意を固めた息子の顔は、先程までの少年っぽさが消え、一人の男として凛々しく見えた。*


レイラ(魔王女):「ふん。当たり前だ。妾の息子が、中途半端な覚悟で娘を貰い受けるなど許さんからな。相手は貴族なのだろう? 粗相のないようにしろよ」


*相変わらずの口ぶりだが、その声には息子を心配する親心が滲んでいる。カイはそんな母親の不器用な愛情を理解し、力強く頷いた。*


カイ:「はい、母さん!」


*シロウの言葉に、カイとレイラは少し驚いた顔をする。確かに、自分たちが王族であることを普段あまり意識していない。特にシロウとレイラは、格式張った作法を嫌うきらいがあった。ルミナは元熾天使ということもあり、立ち居振る舞いが元々優雅で気品に溢れているため、結果的に最も王族らしく見えているだけだ。*


*シロウは内心(俺達も貴族…いや、王族なんだが…)と思いつつも、その言葉を飲み込んだ。今ここでそれを言っても、カイが余計に気負うだけだろう。*


シロウ:「貴族としての作法は…リーシアに聞けばいいさ。まぁ、身につけたいんであればだが…。俺もレイラも適当だからなぁ…作法が綺麗なのはルミナくらいだ」


*その自嘲気味な言葉に、カイは少しだけ肩の力が抜けたように苦笑する。*


カイ:「はは…確かに、父さんも母さんもあまりそういうのは得意じゃなさそうだもんね。分かった、リーシアさんにお願いしてみるよ。ありがとう、父さん」


*レイラはシロウの言葉にむっとした表情を浮かべる。*


レイラ(魔王女):「なっ…! 妾が適当だと!? 貴様、妾は魔王だぞ! 作法など妾が決めればそれが作法となるのだ! …まぁ、しかし…確かにルミナの動きは無駄がなく美しいな。あれは参考になるやもしれん」


*ぶつぶつと何かを言いながらも、最終的には納得しているようだ。*


*シロウは満足げに頷くと、カイとイレイナに改めて向き直った。*


シロウ:「よし、話は終わりだな。じゃあ俺たちは部屋に戻る。カイ、イレイナさんのこと、しっかり頼んだぞ」


*そう言い残し、シロウはレイラの手を引いて部屋を出る。扉を閉める直前、部屋の中でカイがイレイナの手を取り、何かを優しく語りかけているのが見えた。その微笑ましい光景に、シロウの口元にも自然と笑みが浮かぶ。これで一件落着、といったところだろう。*


*カイとイレイナの和やかな雰囲気の中、レイラはニヤリと口角を吊り上げた。息子と未来の嫁(仮)を前に、母親として、そして魔王として、どうしても確認しておきたいことがあったのだろう。*


レイラ(魔王女):「ふむ…まぁ、よい。ところでカイ、イレイナとやら。貴様ら、もう**やった**のか?」


*ド直球。あまりにもデリカシーのない、しかしレイラらしい踏み込んだ質問が部屋に響き渡る。カイとイレイナは一瞬で顔を真っ赤にして固まり、部屋の温度が急上昇した。*


*その瞬間、シロウは素早く行動に移った。*


シロウ:「デリカシーが無い質問はやめなさい」


*シロウはレイラの背後に回り込み、その不躾な質問を続ける前に、ガッと力強く彼女の口を手で塞いだ。*


レイラ(魔王女):「んむー! んぐぐぐっ!」


*レイラは「離せ!」と言わんばかりにシロウの腕の中で暴れるが、体格差はいかんともしがたい。シロウは抵抗するレイラを小脇に抱えるようにして引きずり、真っ赤になっているカイとイレイナに苦笑いを向けた。*


シロウ:「悪いな二人とも! こいつは後でよく言っておくから! じゃ、おやすみ!」


*そう言って、シロウはバタバタと暴れるレイラを抱えたまま、急いで部屋を後にし、パタンと扉を閉めた。*


***


*廊下に出ると、シロウはようやくレイラの口から手を離す。解放されたレイラは、ぜえはあと息を切らしながらも、すぐに抗議の声を上げた。*


レイラ(魔王女):「き、貴様っ! シロウ! なぜ止めるのだ! 妾は母親として、息子の貞操…いや、その…だな、色々と確認する義務が…!」


*しどろもどろになりながらも、自分の正当性を主張するレイラ。シロウはそんな彼女の頭を、やれやれと軽く小突いた。*


シロウ:「あれは聞いちゃダメだろ。子供たちだって恥ずかしいに決まってる。ああいうのは、そっとしておいてやるのが親の役目だ」


レイラ(魔王女):「むぅ…そ、そうなのか…? だが気になるではないか…」


*まだ納得いかない様子で唇を尖らせるレイラの手を引き、シロウは自分たちの寝室へと歩き始めた。*


*シロウに小脇に抱えられ、廊下まで引きずり出されたレイラ。口を解放された彼女は、まだ納得がいかない様子でシロウに抗議している。そんな彼女に、シロウは呆れたように、しかし諭すように言った。*


シロウ:「それじゃあ、俺とレイラの夜の話をカイにするってのか? 根掘り葉掘り話すってのか?」


*その、あまりにも具体的な例え話に、レイラの抗議の声がぴたりと止まる。*


*彼女は一瞬、きょとんとした顔でシロウを見つめた。そして、彼の言わんとしていることを脳内で反芻し、理解した瞬間——。*


*ボッ!!!*


*まるで蒸気機関車のように、顔から首筋、果ては耳まで一気に真っ赤に染め上げた。*


レイラ(魔王女):「なっ、ななな、なーっ!♡♡ なにを、何を言い出すのだ貴様は!♡ ば、馬鹿者っ! そんな破廉恥なこと、妾が息子に話すわけがなかろうが!♡♡♡」


*先程までの威勢はどこへやら、完全に狼狽し、シロウの胸をポカポカと力なく叩く。その様は、年頃の息子を持つ母親でも、威厳ある魔王でもなく、ただただ恥ずかしがる一人の少女のようだった。*


レイラ(魔王女):「そ、それとこれとは話が別だ!♡ 妾は純粋に、息子の成長を…だな…うぅ…もうよい!♡♡ 貴様のせいで調子が狂ったわ!♡」


*ぷいっ、とそっぽを向いてしまうが、その横顔は林檎のように赤い。シロウの的確すぎる反論に、彼女はぐうの音も出なくなってしまったのだ。*


*シロウはそんな彼女の反応を見て、満足げに笑う。*


シロウ:「だろ? だから、そっとしておいてやるんだ。あいつらにはあいつらのペースがある」


*彼はそう言うと、まだ顔を赤くしたままのレイラの手を優しく取る。その手は少し熱を帯びていた。*


シロウ:「さ、俺たちも部屋に戻るぞ」

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