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科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜  作者: 難波一


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第38話 炎の収束と、新たな発見

王宮訓練場の中央。


魔力収束の理論を理解し始めた魔法士たちが、それぞれの魔法を試しながら騒然としていた。


迅は、その様子を観察しながら、次の実験に移るために手を叩いた。


「よし、次は”炎”を使った収束実験だ。」


その言葉に、魔法士たちがザワッと反応した。


「炎魔法の収束……?」


「確かに、風の刃は収束しやすそうだったが、炎はどうなんだ?」


迅はニヤリと笑い、先ほどの実験のメモをパラパラとめくった。


「今まで、お前らは炎魔法を主に”範囲攻撃”として使ってきたよな?」


「……そうですね。炎は広がる性質があるから、一点集中させるのは難しいとされてきました。」


ロドリゲスが頷きながら答える。


「でも、それってただ”制御できてないだけ”じゃね?」


「……!」


魔法士たちは言葉を失う。


迅はまるで当然のように続けた。


「水も蒸気も炎も、元を辿れば”粒子の動き”だ。動きを制御すれば、拡散を防ぐことができる。」


「つ、つまり……炎魔法も、魔力を収束させれば”一点に絞った炎”が撃てる……?」


「まさしく。」


迅は指をパチンと鳴らし、魔法士たちに手を向けた。


「じゃあ、リディア。お前が手本を見せてくれ。」


「……私が?」


「そりゃ、お手本って言ったらお前しかいないだろ?」


リディアは少し驚いたような顔をしたが、すぐに笑みを浮かべた。


「ふふ……いいわ。やってみせる。」


彼女は前に出ると、ゆっくりと両手を掲げる。


「"炎矢フレア・リィス"!」


バシュッ!


炎の矢がまっすぐ訓練用の的に飛び、ボンッと爆ぜる。


「今までの魔法は、こんな感じだったな。」


迅は腕を組みながら頷いた。


「これを今から”収束”させてみる。」


リディアは深く息を吸い込んだ。


「魔力を……できるだけ一点に……」


彼女の周囲の空気がわずかに熱を帯びる。


「いくわよ……"炎矢フレア・リィス"!」


バシュンッ!


今までよりも細く鋭い炎の矢が放たれ、的の中心に突き刺さった。


「おお……!」


魔法士たちが感嘆の声を上げる。


しかし——。


「まだ甘いな。」


迅が指摘した。


「魔力の密度は上がってるが、まだ”拡散”してる。炎が周囲に少しずつ漏れてるぞ。」


リディアは眉をひそめた。


「……確かに。」


迅は少し考え込みながら、炎の収束についての理論を整理する。


「炎は熱エネルギーの塊だ。そのままだと拡散するから、“導線”が必要なんだよな……。」


そこで、彼は手を叩いた。


「よし、次は”圧縮”だ。」


「圧縮……?」


「炎を撃つ瞬間に、一度”収束”させてから放てば、拡散を防げるはずだ。」


リディアは少し考え込んだあと、頷いた。


「……やってみる。」


彼女は再び魔力を込める。


「……吸って、吐く……集中して……」


そして——


「"炎矢フレア・リィス"!!」


 


——バシュッ!!!


 


放たれた炎は、今までよりも細く、そしてまるで”レーザー”のように一直線に飛び出した。


 


ドンッ!!!


的の中心に”貫通”する形で命中し、鉄製の的が灼熱の穴を穿たれた。


「……!?」


「す、すごい……!!」


「炎の矢が、まるで光の槍のように……!」


王宮魔法士たちは驚愕し、リディア自身も信じられない表情を浮かべた。


「これが……“炎の収束”……。」


「お前……やっぱ天才だな。」


迅がニヤリと笑う。

リディアは思わず頬を赤らめたが、すぐに誤魔化すように咳払いをした。


「そ、それより! ほら、あれ見なさいよ!」


彼女が指差したのは、貫通した的の表面だった。


「……鉄が、蒸発してる?」


ロドリゲスが驚いた表情でつぶやく。


訓練場の鉄製の的には、炎の熱によって溶けたような跡が残り、鉄の粒子が空気中に舞っていた。


「……ふーん。」


迅はそれを見て、目を細める。


「なるほどな……。」


彼は何かを考え込むように、じっとその痕を観察していた。


「どうしたの?」


リディアが不思議そうに聞くが、迅はただニヤリと笑っただけだった。


「いや、ちょっと面白いこと思いついただけだ。」

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