15話 文化祭(本番編②)
僕は2時間もみくちゃにされながら女装メイドをやり切った。
「ね、ねぇ仁木さん……そろそろ上がっていい?」
「まぁあなたのおかげで想定の1.5倍は売り上げたので……後は消化試合ですね。もう別に上がっていいんじゃないですか?私もそろそろ占い研こと闇の降霊術会に顔を出さないとならないので」
「そうですか。って前と部活の名前変わってません?」
「可愛かったですよ……後で写真送りましょうか?」
「あ、ありがとうございます。てかライン持ってないですよ」
「じゃあクラスラインで良いですか?」
「え、そんなところに黒歴史晒すの?」
「それじゃお疲れ様でした」
そう言って仁木さんは占い研に向かって行った。
「あっちゃ~ん!俺と文化祭でも巡ろうぜ!」
啓馬は僕の肩を組もうとしたその時別の声がした。
「いやあっちゃんはウチと巡るんだよね~」
梨奈さんも声をかけて来る。
「は?俺とあっちゃんは相棒なんだよ!明らかにあっちゃんにとって新参者のギャルズには渡せねぇよ!」
「イヤイヤあっちゃんにはウチの方が合ってるって!こんな美人と廻れるんだよ?」
2人の間に火花が散っている。
「大体梨奈には恵麻がいるだろ。アイツはどこ行ったんだよ」
「恵麻は何か晃に誘われて野球だってさ。女子バドミントン部のエースだけどそんなエースばかり集めても野球勝てるのかな?」
「野球?そう言えば俺も野球関連の仕事があったような……まぁいいか」
「ぼ、僕は二人と見に行きたいな~……」
「よし決まりだ!」
こうして僕は啓馬と梨奈さんの3人で文化祭を回ることにしたのだった。
僕達は脱出ゲームをしている……難易度はそんなに難しくないのだがあいにく連れ歩いているのがあのクラスでも相当の天然ズなせいで案外苦戦していた。
「ねぇ啓馬この暗号どうやって解くのか分かる?」
「いや俺に言われても分かるかい!俺は今このブロックの置き方を考えてんだからさ。え?これも不正解かよ……」
流石に学校の文化祭なので暗号を入れるとギギギギと重い門が開くというような映画システムは用意されていないが、代わりに部屋ごとに立っているスタッフに答えを示すようになっている。それに啓馬と梨奈さんが挑んでいるが中々突破できずにいる。周囲は陽キャカップルでも来たと思っているのだろうか……でも実際は
「「あっちゃん先生!お願いします!」」
という具合に僕にすかさず頼んで来るのだ……
「仕方ないな……この暗号はこうやって解くんだよ」
そう言って僕は二人に暗号の解き方を教える。すぐに扉が開いた。
「「ありがと~あっちゃん!」」
僕はそう言って二人に抱き着かれて感謝される。
「いや~大したこと無かったし……」
僕がそう言うと後ろのスタッフが言う。
「いや新記録ですよ!今までのタイムを大幅に縮めてます」
え?そんなに難しかったの……なんかイヤミな言い方になっちゃったな……
「ほら見ろ。やっぱあっちゃんは天才なんだ」
「だよね~。ウチらおバカだからいてくれて助かるよ~」
そう言って二人に撫でられながら褒められる。何か絵面はヤンキーカップルに詰められてるみたいだけどね。
「な、何かありがと」
僕はそう呟いた。その時後ろで晃の声がした。
「啓馬~!お前招待試合の助っ人の予定だろ!何油売ってんだよ……」
「あ、そっか確か野球部の連中が腹壊したとかで投手必要なんだったか?」
「そうだ!お前二つ返事で受けた癖にこういうの忘れるの止めろ。もう恵麻は来てるぞ!」
晃はそう息を切らして啓馬に言う。すると梨奈さんも時計を見て言う。
「そう言えばウチも店の当番だったわ」
「いや梨奈さんさっきまで店居たじゃん」
僕はそう梨奈さんに聞く。すると梨奈さんはこういった。
「だってあっちゃんがメイドしてるの見たかったんだもん。ホントは時間も合わせたかったけど。流石にそこまで無理は通せなくてさ」
そう笑顔で言って来た。
そんなに僕のメイド姿見たかったんだ……何か嬉しいな。
僕はそう思いながら二人を見送った。




