舌ったらずの婚活
山口:(31歳・男)西尾:(39歳・女)
二人:どーも、よろしくお願いします。
ツッコミ:ボクらね、舌ったらず同士なので舌ったらーずというコンビです。私が山口で。
ボケ:(やや聞きづらい声)西尾といいます。
山口:滑舌悪い同士ですが、どうか温かい目でよろしくお願いします。
西尾:ちょっと、私滑舌悪くないで。
山口:や、いきなり設定壊さないでください。
西尾:生麦生米生卵(2回言う、まあまあ滑舌悪い)
山口:舌ったらずですね~。それ、基本のきやから。
西尾:隣の客はよく柿食う客だよね(2回言う、まあまあ滑舌悪い)
山口:舌ったらずやし、「だよね」まで言うのも違うし。
西尾:ほな、アンタが言ってみーな。
山口:えっ、じゃあ、赤巻き紙青巻き紙黄巻き紙(2回言う、黄巻き紙の部分、くせのある感じで言えてない)
西尾:いや、アンタの方がヒドイやろ。
山口:そんなことないですよ。
西尾:あるって。
山口:で、ちょっと今日はねえ、聞いてほしいことあるんです。
西尾:何よ
山口:僕もいい年なんで結婚相手探そうと思ってこの間婚活パーティーに行って来たんですよ。
西尾:へえ、アンタが?勇気あるやん。(見下し)その風貌で。
山口:これはしょうがないでしょ。でも、知らない人としゃべるのって緊張しますやん。
西尾:そら私でも緊張するわ。
山口:で、自己紹介タイムになって、仕事や趣味の話をかまずに言えたんですよ。
西尾:かまずに?よう言えたな。
山口:でもね、僕の前に座ってた女の子、その後何て言ったと思います?
西尾:何て?
山口:あのー、もっと腹から声出してもらえません?って。
西尾:それ、滑舌悪いの関係ないやん。
山口:そうなんですよ。緊張しすぎてちゃんと声が出てなかったっていう...。
西尾:実は私も婚活パーティー行ってきてん。
山口:えっマジすか!?
西尾:でもな、メッチャむかつく女隣におってん。
山口:へえ、どんなん?
西尾:てめえ、車から降りろ、ぶっ殺すぞ!
山口:や、怖っ。それちょっと前に煽り運転で捕まった人ですやん。なんでいてんのそこに。
西尾:うそうそ。本当はやたらぶりっ子する女やってん。でな、その女に負けへんでと思って、「(ぶりぶりで)私は西尾裕子29歳です」
山口:いや、めちゃめちゃ嘘やん。世の中にはついていい嘘と悪い嘘があるっていうけど、完全にアカン方やないですか。
西尾:(相方どつき)うるさなあ。
山口:(やや飛ぶ)力半端ないなあ。
山口:(戻ってきて)で、自己紹介の続きは?
西尾:えー、趣味は、高速道路で、前の車を煽ることです。
山口:いや、やってるやん。完全に。逮捕逮捕。
西尾:3日前に、舌の手術をしました。
山口:・・何のアピール始まったん?
西尾:そのため話がしにくいです。もしかわいそうと思った方は彼氏になって下さい。
山口:なるかあー、そんなんで。
西尾:でもな、私がしゃべるとみんな笑ってくれるねん
山口:それは良かったですやん。
西尾:ただな、声出しては笑ってないねん。
山口:どんなん?
西尾:(うなずきながら苦笑い)
山口:それ、痛い人に対してみんな気使って苦笑いしてるだけですやん。
西尾:え、そうやったん?
山口:そうって、今気づいたんすか?
西尾:ふーん。なんか私らって、舌っ足らずよりももっと何か足りひんもんありそうやな。
山口:(少し間を置いて)人としてな。
西尾:は?お前が言うな(どつき)もうええわ
二人:どうもありがとうございました。