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みちくさ

沖縄返還五十周年

作者: 斎木伯彦

 沖縄が復帰してより五十年でしたね。

 沖縄県知事が沖縄県と本土との発展差について政府に苦言を呈していましたが、果たして政府の責任でしょうか?

 少し時系列を追ってみましょう。

 我が国が戦争に負け、全国各地の都市部が焼け野原からの出発を余儀なくされたのは、昭和二十年八月でした。

 それから五十年経過した時期は平成七年。

 隣国の韓国が朝鮮動乱の停戦を迎えたのは昭和二十八年頃で、それから五十年経過したのは平成十五年になります。

 沖縄県が我が国へ返還されたのは昭和四十七年です。

 さて、我が国経済の高度成長期は昭和三十年代、いざなぎ景気や神武景気と言われ、家電の三種の神器(白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫)や3C(カラーテレビ、クーラー、自家用車)と呼ばれた耐久消費財が普及してゆく時期と重なります。

 新幹線の開業は昭和三十九年十月で、東京オリンピックの開催にギリギリ間に合わせております。

 また直前には国産旅客機のYS11が就航しており、聖火をアテネから運んで、我が国の戦後復興を強く印象付けました。

 これらの出来事はたった二十年で起こっています。

 昭和五十年頃はオイルショックなどで景気が低迷しましたが、昭和六十年頃には未曾有の好景気バブル期を迎え、世界一の経済大国ともなりました。

 バブル経済が崩壊して景気は減速しましたが、バブル期の象徴ともされる「ジュリアナ東京」が営業していたのは平成三年から六年までです。


 一方、昭和二十八年に朝鮮動乱を休戦した韓国も、戦火による爪痕は大きく、ほぼ焼け野原からの出発でした。

 日韓関係は昭和四十年の日韓基本条約締結で国交正常化し、その時に日本は戦後の清算を行いました。

 韓国国内にあった日本の個人資産と政府資産を韓国政府に譲渡し、それらに加えて資金供与を行い、総額は韓国の国家予算三年分という巨額でした。

 韓国はその資金を元手に「漢江の奇跡」と呼ばれる経済発展を遂げています。

 昭和六十三年にソウルオリンピックを開催して、更なる飛躍を遂げるとその経済規模は世界十位に浮上、一躍先進国の仲間入りを果たします。

 日韓共催のサッカーワールドカップが平成十三年ですから、韓国の戦後五十年の歩みが大きな発展を伴っていたのは否定できません。


 日韓を取り上げたのは、双方がアメリカの軍政下にあったからです。我が国も昭和二十七年のサンフランシスコ講和条約発効までは軍政下にありました。

 韓国も朴正熙大統領の就任までは実質的に軍政下にあったと言えます。

 振り返って沖縄県です。

 昭和四十七年に我が国に返還され、政府は沖縄振興予算を交付して経済発展に努めて来ました。

 よく我が国が経済復興した理由を「朝鮮動乱による軍需産業で儲けたから」と仰る方がおられますが、仮に軍需産業が儲かるならばアメリカ軍政下で勃発したベトナム戦争で儲けなかった沖縄は何でしょうか?

 造船業や工作機械製造などの工場が建ち並んだ形跡すらありません。食品製造が四割となっていますので、観光向けの産業が多い印象ですね。

 我が国の産業構造は現在、就業人口の約七割が第三次産業、いわゆるサービス業で占められています。

 これは沖縄県も同じような産業構造です。

 沖縄県の人口は約146万人で、県の予算はおよそ八千億円。

 よく似た規模としては長崎県が人口およそ132万人、県の予算が約七千億円となっています。

 沖縄も長崎も島嶼部(離島)が多く、基地もあります。また長崎は被爆地でもあります。

 さて、沖縄と長崎では、どちらが豊かな印象でしょう。私としては同じように感じます。戦後八十年近く経過した長崎県と、返還されてから五十年の沖縄県が同列となれば、沖縄県が早い発展を遂げていると思います。

 沖縄県の人口増加は続いておりますが、本州では鳥取県や島根県、佐賀県や高知県、徳島県など人口減少が問題化している地域もあります。

 それでも、沖縄県は虐げられているのでしょうか?

 米軍基地(国連軍基地)にしても佐世保の他、横須賀(米海軍司令部)、横田(米空軍司令部)、座間(米陸軍司令部)、厚木、三沢、岩国などに配備されており「沖縄だけ」ではありません。

 米軍(国連軍)施設は13都道府県に散在しており、面積としては35%が北海道、19%が沖縄県に所在します。

 基地周辺では、基地に付随する職業に周辺住民が就業しており、地域経済の要になっている場合が多いです。

 沖縄県は決して虐げられておらず、むしろ優遇措置が多いと言えるでしょう。

 沖縄県知事は卑屈な態度を改め、沖縄振興予算の返上を実行できるぐらいの姿勢が県民の意識改革にも繋がるのではありませんか?

 沖縄県に国連基地があるのは、東アジア周辺で他国を侵略する無法勢力が存在するからです。尖閣諸島を見れば、国連軍が引き揚げられない理由は明らかですね。

 無法勢力を我が国単独で排除できるなら、米軍が駐留する国連基地は不要になるのです。


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― 新着の感想 ―
[一言] 読ませて頂きました、沖縄県民です! 気になりましたので一言。 >米軍(国連軍)施設は13都道府県に散在しており、面積としては35%が北海道、19%が沖縄県に所在します。 在日米軍施設・…
[一言] 文章楽しく閲覧させて頂きました 地元でほぼリアルタイムでその光景見てきた立場から書かせて貰うと 割合高額な米軍基地の借地料にモノレールを始めとするインフラ整備 果ては最近滅茶苦茶NETで叩…
[一言] 難しいことは分かりませんが、沖縄ってプロ市民のせいで本当の県民が割食ってるイメージがあります。 経済発展とは関係ないのでしょうが……
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