目的地
異世界転移
そもそも何故そのようなことが起こったのか、よくわからない。
死んだ事も覚えてるし、あの寒さ、痛み、感触も全部覚えている。
でも、それだったら、元の世界に俺の居場所、人物は存在しないことになってしまうわけだ。
「でもまぁ、しかないかもな」
「何がです艦長」
独り言に返事をする武蔵。
「前の世界に戻れなくても、しょうがないかなって。来ちゃったし、この世界で生きようかなって」
「それが賢明かと。今は、現実逃避や妄想は控えた方が良いでしょう」
「そうだな。ところで、遭難者どうなった?」
「無事、送り届けました。島民には少々怪しまれましたが」
まあ、そうだろう。
なんせ、対応したのは先ほど起こした人造人間なんだ。
直近の説明をして、対人対応を頼んだ。
その人造人間は、この船に合わせて五人いた。
どうやら、未来で不正に作られた人造人間らしく、調整が終了し本州に送り出す途中だったとか。
ちなみに、なぜか皆女だ。
不思議だったのだが、それに関しては。
「この船、本当は男子禁制の長期訓練艦だったんですよ?たとえ、眠っているとはいえ、男性を乗せることはできません」
だそうだ。
「そうなると、俺もダメじゃね?」
「緊急事態ですし、女性いませんし、いんじゃね?」
こんな感じに言われたので、俺もついまあそうだな、なんて思ってしまった。
「しかし、俺一回もあの人たちと話してないんだけど」
「いいんじゃないですか?」
まあ、そうなんだが。
「よし、引き渡しも終わったし、出港するか」
「了解」
御礼を言われていた、人造人間の一人、ショートボブの李依が戻ってくる。
ちなみに、名前は本州で暮らすにあたって政府が付けたらしい。
岩原含む五人の人造人間が指揮所に来た。
「出港準備よーい!」
李依の声が響く。
「機関始動よし」
「見張り、問題なし」
「錨上げ!」
「出港準備完了!」
五人が勢いよく言う。
実は、目覚めたときに、一人一人に職業をつけて置いた。
帰還については白羽が、見張りやソナー担当は希望、処々についてはりんか、最後の掛け声は眞純だ。
「艦長、出港準備が整いました」
武蔵が教えてくれる。
「それでは、出港。目指すは、ここから約十日の港の国、カリビア王国」
「了解」
それは島民に聞いた、船で来ても余裕かつ怪しまれず、自分の様なアジアンフェイスでも大丈夫な国、カリビア王国。
日にして約18日のかなり遠い場所だ。
それを、速さと自給率に物を言わせて、十日に短縮した。
ここに現代技術極まれり、だな。




