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飛行軍艦襲来セリ  作者: 梅雨川
異世界プロローグ
2/4

遭難者達Ⅰ

「ところで、さっきから点滅してる赤いランプは何?」


この船のこの部屋に入った時から気になっていた。

何か、センサー的な物だと認識していたが、そうでもないようだ。


『これは、現在の浮遊地が限界に近いことを意味します。役一メートル以下の高度になると点滅します』

「…大丈夫なのか?」

『はい。問題ありません。許容範囲内です』


ならいいんだが。

そう言えば、今俺は未来のことを知れるというチャンスを得た。

まあ、あんま興味ないけど。


この後、艦長室に案内された。

中は窓がなく、椅子と木製の机、ペン類など必要な物、シャワー室には小さなバスタブが付いていた。

余裕で体を伸ばせるくらいだ。


「食料とかはどうなっているんだ?」

『この船はある程度の回収、輸送、建造、修理、貯蓄、加工の工程が可能になっているため、燃料や食料は尽きることはありません』


そうなのか。

ちょっと心配だったから一安心。


シャワーを浴びた後、クリーニングしたてのシャツとスーツを着て、先ほどのモニターのある部屋に来る。


「なあ、ここは何の部屋なんだ?」

『ここは指揮所です。艦橋の上に存在します』

「じゃあ、この下に行けば自分で動かせるのか?」

『私がサポートして初めて機能します』


つまり、この船を単独で動かすことは不可能か。

もし誰かが侵入してきても大丈夫なんだな。


先ほど座ってしまった艦長の椅子に腰かける。


「よし。出航よーい!」


映画で見たようなセリフを言う。

一度やってみたかったんだ。


『出航準備用意良し。反射パネル起動、光学偽装良し」

「出航!」

『出航します』


周りのモニターの外の景色が動き出し、入江から海へと出て行く。


「高度を上げた方が良いんじゃないか?」

『了解、高度上昇、度約二十メートルに設定』


電子図面には、先ほどの島?から離れていく矢印。おそらく、これがこの船の現在位置なのだろう。



暫く眺めていると、、進行方向の方に灰色の矢印が五つ現れた。

周りのモニターを見てみるが確認できない。


「なあこの矢印って何?」

『これは現在補足できている所属不明艦です』

「…見つかったらたらやばいんじゃない?」

『生体反応確認、約10名の生存を確認』


10人で船5隻は動かせないだろ。

いや、武蔵みたいな船だったりするのか?


『どうやら、遭難中のようです』

「遭難?そうなのか?」

『はい。進行速度、進路を計測しましたが、塩の流れに沿っているだけで、特に何もありません』


モニターを拡大しながら説明してくる。

そうか、遭難か。


「じゃあ、助けるか」

『よろしいのですか?』


別に、この船だって俺が持っていた物じゃない。

偽善以前に、これは運だ。


「ああ、まず水上移動に切り替えてくれ」

『了解、光学偽装一時停止、ミラーコーティング解除、着水します』


揺れているので、着水したのだと分かる。

水上移動をしてからは、少し速度が遅くなったような気がする。


「これ以上早くできないのか?」

『いえ、可能です』

「なら上げてくれ、速く助けてあげたい」


武蔵のグラフィックが、げんなりした表情になった。


『これ以上上げるんですか?まあいいですけど」


なんか、このグラフィック時間がたつごとにフリーダム化してないか?


「なんかお前キャラ変わってない?」

『そうですか?まあ気長にやりましょう。私はあなたの味方と言うことは変わらないので』


う~ん。

何だろう。指示に忠実に従ってくれるのはいいし、話し相手がいるのもいいんだけど、なんか隠してるような気がする。

あからさまな表情転換、従順な性格、そして侵入者の俺にこんなにも優しいなんて。

ちょっと、おかしいだろう。


「なあ、お前何か『船を発見。マスター、指示を』


どうやら、質問する前にやるべきことが出来たらしい。

とにかく、救助が先だ。


「武蔵、勧告をしてくれ」

『了解。<こちらは日本国防軍武装護衛艦武蔵。救助に来ました>』


やがて、遭難した船の一隻に密着するように止まる。


『どうやら、この船にすべての遭難者が集まっているようです』

「わかった。タラップを下ろしてくれ」

『艦長が降りるのですか?』


驚いたように言う武蔵。

コイツ結構表情豊かだ。


「ああ、その方が保護しやすいだろ」


俺はさも当然かのように言う。

すると、武蔵が少し顔を怖くして言ってくる。


『その提案には反対です。難破船、遭難事故などを装った海賊は多々あります。このままワイヤーで、船を引っ張っていくことも可能です。どうか、ご再考を』


なるほど。

確かにそう言う事もあるかもしれない。見たところ、船は手漕ぎ船、帆船ですらない。


「…わかった。そうしよう」


結局、武蔵の案でいくことになった。

船にワイヤーをひっかけて、そのまま引っ張る。

一応、食料や水などをワイヤーを経由して渡していく。モニター越しの会話で、彼女達の故郷はここから南東にある島だと言われたので、一応南東に進んでいる。


「なあ、本当に南東にあると思うか?」


先ほどからかなり南東に進んでいるが他にすれ違う船も、島や陸すらも存在しなかった。


『衛星がないので確認できません。艦載機の発艦許可をください』

「艦載機があるのか?」

『はい』


なるほど。

艦載機か。それなら、確認できるかもしれない。


「わかった、許可する」

『了解、無人艦載機発艦」


すぐに映像が艦載機、F/A-18E/Fからの物に切り替わる。


「どうだ?」


暫く待つこと、小さな島と住人を発見。


『どうやら、存在するようです』

「そうか」


これで彼女たちを届けたら、いったんどこか落ち着ける場所を探さないとな。

この後も何事もなく安全な航行をしていた時だった。

目の前には、多くの船が海域を塞ぐようにこちらに向かっていた。

見た目はバイキングそのまんま。


「おいおい、なんだ」

『どうやら、彼らは本物の海賊のようです』


マジか。


「ごまかせないかな?」

『本艦の浸水面を降下、見た目を偽装しました。これで、ただ少し大きい船にしか思われないはずです』


本当か?

そもそも鉄でできてる時点でやばいと思うだろ。


「まあ、いいや。とにかく前にう進ぞ」


波乱の予感がしてきた。

彼らの行動はいかに。


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