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ep:9災難

 やっと1日の授業が終わった。掃除やってSHRを過ごせば楽しい楽しい同好会ターイムである。


 ドローンを組んでみたいと思っていることもあり、この同好会をやっている。


 PCを組むのと似たイメージを持たれるかもしれないが、これはPCを組むより少々ハードルが高い。


 まず、ドローン自体がPCほど普及していないことが理由に挙げられる。


 国産系がとても少ないために日本語化されたドキュメントが少ないのだ。機械翻訳がなければやっていけない。


 最近の英語翻訳は精度がすこぶるよろしいのでありがたい限りだ。しかしまぁ、やっぱり日本語ドキュメントの方が圧倒的にありがたいが...。


 また、バッテリーからの電圧をFCやESC(モータをコントロールする部品)・モータの電圧へ下げる必要がある。これを行うユニットをBECというのだが、電圧計算、最大電力、最大電流などの計算が必要だ。モータそのものも例外ではない。


 重量計算もしなければならないし、重さによっては法律の問題もある。電波法も考えなければいけない。ほんの少しではあるが特殊技能が必要になってくる。


 こういう時ばかりは工業高校に来てよかったと思う。


 さて、じゃあ掃除だから椅子上げて...


「あー!もう!あいつんとこ行くのやだー!!!」


 ...鈴木である。午前中にうちの担任にスマホが見つかり、研究室に呼び出しを食らったのだ。よくあのタイミングで俺がバレなかったもんだぜ...。


「それにしても心臓に悪かったなぁ鈴木ィ。」


 近くにいた松村が鈴木にニヤニヤしながら話しかけている。自業自得だぜ、鈴木。


「うるせぇー!!なんで俺がバレて小畑がバレねぇんだよ!!」


 もう爆笑である。腹がいてぇ。誰か助けてくれ。


 その間にも鈴木は、


「あーもうやだ、今日周回行こうと思ってたのにー!!マジで萎える...。」


 などと愚痴をマーライオンのごとく吐き出し続けている。周囲の奴らは机を運びながらゲラゲラ笑っている。


 月が替わったことに伴い、掃除場所はEI科とJ科の研究室から2J教室に変わった。某先生は見られないが移動しなくていいから楽だ。


「え、どういう感じでバレたん?」


 研究室にはなかった、生徒用の机と椅子の移動を放棄して松村が聞いてきた。お前状況知らんかったのにからかってたのかよ。


「んーとね、鈴木が俺に動画送ってきたんな。だもんで膝にスマホ置いて動画見ようとしたら、」

「鈴木がバレたと。」


 これでまた周囲が笑う。いや確かに笑っちゃうなこれは。


「そうなの、マジでなんで俺がバレるの?謎よほんとに」

「お前は何しとったらバレたんだよ。」


 松村がまた笑いながら鈴木に聞いている。


「いやー、俺動画送って、そんで小畑笑うかなって思って机の中にスマホ置いたら、そうスマホ机の中に入れいてたの俺は。」

「うん、分かったから、分かったから、うんそれで?机の中にスマホ置いたら?」

「バレた。」

「うはははははははは!!」


 今度も爆笑である。しょうがないよな、こんなんだとな。


「多分その前に俺に写真送ってるとこ見られたんじゃね?」

「多分そうでしょ。つかそれ以外あり得ねぇら。」

「んで教室入ってきて、あの音符ついた言い方で呼び出したって感じでしょ。」


 今回は災難だったねとしか言いようがない。俺がバレなかったのは日ごろの行いが良かったからであろう。ニュータイプで日ごろ行いがいいってそれはもう聖人なんじゃあるまいか。


 掃除が終わり、みんながスマホ触り始めると、


「じゃあ行ってくるわ...。」


 と鈴木が出て行った。健闘を祈る。


 それと入れ替わりで教室に入ってきた他の班の奴が、


「あれと一対一で説教喰らうとか冗談じゃねぇよなぁ」


 と言う。間違いない。


 どんな状態で帰ってくるかな、と思い


「帰ってきたらなんか言うかなあいつ。」


 と言ってみるが、多分とても不機嫌な顔であまり喋らないだろう。


 SHRがあるから担任も来るしな。でかい声で文句を言うわけにはいかない。


 みんなも俺と同じ考えなのだろう、「なんも喋らんだろ絶対。」などと言っている。可哀そうな限りだ。





 ちなみにだが、その後帰ってきた鈴木は一言も喋らなかった。

担任許してくれメンス...。

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