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防衛体制の見直し

安麻呂:「唐の膨張に新羅が待ったを掛けたこともありまして、結果的には何事もなく済んだのではありましたが、白村江におけます大敗に伴います百済の完全滅亡により、唐・新羅両国による我が国への侵攻の危険性が迫る事態となりました。」

大海人:「で。これは幸いなことなのか。不幸なことなのか定かではないが、大陸の船が我が国に上陸を試みるポイントは1つに限られていた。それが。」

安麻呂:「九州の北部。」

大海人:「更にその九州北部の中において、意図せず集まって来ることになるのが。」

安麻呂:「筑紫の国。」

大海人:「もともとこちらから大陸に赴く際の拠点として長い年月用いられた地なのであるが、これまではあくまでこちらから相手側へのアプローチだけを考えていれば良かったのであるが。」

安麻呂:「今回はその逆。狙われる恐れが生じることに相成りました。」

大海人:「九州北部における滞在エリア。『遠の朝廷』とも言うべき大宰の地を奪われてしまっては一大事。」

安麻呂:「そこから瀬戸内海は年中穏やかな海であることもありまして、一気に難波まで押し寄せて来ることになります。」

大海人:「手始めに大宰そのものを水堀で覆ったのを皮切りに翌年には大宰への入り口を遮断すべく山と高台の間にあるくびれの部分を土塁で塞ぎ、更に外側に水堀を施すことにより、万一の事態に備える。と……。」

安麻呂:「大宰の地の外側にも平地があるのでありますが……。」

大海人:「あそこは水が不足しているため拠点としては……。」

安麻呂:「逆にあそこに押し込んでおいて。干してしまうのも一つの手かと……。」

大海人:「同様の処置は、もし九州を抑えられ。更に東へ向かって来た時の通過点となることが予想される瀬戸内の要所にも施されることになります。」

安麻呂:「その時重宝することになりましたのが。」

大海人:「百済からの知識人階級の面々。」

安麻呂:「想定していなかった海からの攻撃にやられた経験に……。」

大海人:「我が国の援軍が上陸すべきポイント白村江の制海権が既に失われていた……。」

安麻呂:「本当は、これを百済がある内に百済でやりたかったのでありましょうね……。」

大海人:「我が国にこれまで無かった大陸由来の土木技術を駆使することにより、西国の防衛体制を整え。更にそこに常備軍(防人)を配備した兄者は九州を離れ。大和の地に戻るのでありました。」

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