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唐が土産を持ってやって来た

安麻呂:「唐と対峙して敗れた以上、我が国もターゲットにされることになったことを悟った兄上様は上陸地点となることが想定されます九州北部の防衛を固めることになるのでありますが。この辺りのことは後程としまして、少し面白い事象が発生しまして……。」

大海人:「白村江の翌年。唐からの使者。正しくは占領した百済に駐屯している唐の武官が書類を携えて九州にやって来た。と……。」

安麻呂:「その書類は上奏文。唐本国からの公式文書とも言えるモノ。」

大海人:「内容によっては緊張が走ることになるのであったが。」

安麻呂:「その上奏文と共に唐の使者は、我が国に対しお土産も持参して来た。と……。」

大海人:「しかもそこに書かれていた内容も。我が国を責める内容のものでは無かった。」

安麻呂:「公式の使節ではありませんので、代理を九州に派遣。こちらからも。贈って喜ばれるようなもの(当時、まだ金は発見されていない)は無いのでありますが、出来る限りのもてなしをし、気分良く帰って頂いた。と……。」

大海人:「その翌年。今度は250名を超える使節が来訪して来て……。」

安麻呂:「これが7隻の蒸気船でしたら大変なことになっていたのでありますが。」

大海人:「某かのお願い事をしたかったようで……。」

安麻呂:「百済の民が言うことを聞いてくれない。と……。」

大海人:「駿河から勢力を伸ばして来た今川が、これまでの権利を認めているにも関わらず。事あるごとに不穏な動きを続けた三河遠江の土豪のように。」

安麻呂:「『……丁重に扱っているのでありますが。彼らの扱いかたについて教えて頂けないものでしょうか?』や。」

大海人:「『出来ることでしたら、治安の維持の手伝いをして頂くことは出来ないものでしょうか……。』

と面倒なことの全てをオーナーに押し付けるフライチャイズチェーンのような本部のような要請が次から次へと舞い込んで来て……。」

安麻呂:「こちらも白村江までの3年間で懲りていますし。」

大海人:「丁寧な対応をしているとは言え、唐は仮想敵国。」

安麻呂:「かと言って無下に断りますと……。」

大海人:「本当に攻め込んでくる危険性もある故。」

安麻呂:「お得意さんを転がす水商売に従事されているかたのような対応に終始することになるのでありました。」

大海人:「唐が百済の統治に苦心惨憺しているところに目を付けたのが。」

安麻呂:「これまで唐と歩調を合わせて来ました新羅の国。」

大海人:「通訳を必要としないことは大きなメリットの1つなのかな?百済の国が急速に新羅色に染まっていく中。」

安麻呂:「唐は百済に下った武官や官僚を通じ、新羅追討の兵を起こすことを要請して来たのでありました。」

大海人:「それも2000名ものこれまで唐の捕虜になっていたものの返還も兼ね。」

安麻呂:「急に大人数が押し寄せますと、九州の防衛にあたっているモノから攻撃されてはいけないからと。」

大海人:「一度、対馬近海の島に停泊し、対馬にいる我が国の役人を通じて……。」

安麻呂:「あの唐をもってしても……。」

大海人:「こう言っては何だけど……。あのいくさ……。負けて良かったのかもしれないな……。」

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