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その少女は殺されたい  作者: おじさん
あの人はいつも唐突に
10/17

3-1

「邪魔するよ!!!」


勢い良く開け放たれた扉の音。そのすぐ後に聞こえてきたのはパワフルな女性の大きな声。


いつも通りにと昼下がりのブレイクタイムに興じていた冠城は、急に訪れたものに一瞬驚いた後、途端に顔を青くする。


聞き覚えのある声なのである。見た事のあるシュチュエーションなのである。そして、当然冠城の知っている人間なのであった。


「あ! いらっしゃいですの!!」


「あーん! 麗花ちゃん久しぶり〜!! まだ生きてたのね、良かった良かった〜!」


「残念ながらまだ殺されてないですの! 久しぶりですわ、お姉様!」


急に入ってきた女性は、麗花から歓迎の挨拶を受けると、すぐさま麗花に歩み寄り頭を撫でながら生存確認をする。


お姉様、と呼ばれた女性は一頻り麗花を撫で回して満足した後、今度は冠城のいるデスクの前まで移動する。


「逃げるんじゃないわよ、誠一郎?」


「…何故来た…」


その前に逃げ出そうとしたのか、冠城は窓の縁に手を掛ける。が、その腕はあまりに容易に女性に掴まれてしまった。


「何でって、たまに様子見に来るって言ってあるじゃない」


「なら、事前に連絡を入れろ! いつも唐突過ぎるんだお前は!」


「えー、一々面倒じゃない。それに連絡入れたらあんた逃げるでしょ?」


「まぁまぁ、お姉様。お茶入れたのでゆっくり寛いでくださいな」


「あー、もう麗花ちゃん本当可愛くていい子!! ありがとね、麗花ちゃん」


「お安い御用ですわ。大事なお姉様ですもの」


「ねぇ、誠一郎? 早くこの娘と結婚しなさい。今すぐよ」


「頭痛くなってきた…」


突如舞い込んできた嵐のような女性に頭痛を訴える冠城。麗花にお姉様と呼ばれるこの女性は一体何者なのだろうか。


その後もわいのわいのと無駄話が続いたが、ようやく落ち着いたのか女性は客用のソファに腰掛け、お茶を啜り始めた。


「んで…何の用だよ、沙紀サキ姉」


「もう、昔みたいに『お姉ちゃん』って呼んでもいいのよ?」


「いつの話をしてんだ、お前は…」


「こんな綺麗なお姉様がいるなんて…羨ましいですわ…」


「私だって麗花ちゃんみたいな可愛い妹欲しかったわ〜。いるのはこんな無愛想な愚弟だけで…」


「俺だってもっとマシな姉欲しかったわ」


どうやら、来訪した女性は冠城の姉であるようらしい。茶髪のゆるふわパーマに、美しく端正な顔立ち。スラッと伸びた高身長に出るとこは出ているないすばでー。正直普段の冠城とは似ても似つかない女性だった。


「用があって来たんだろ」


「いやーねー、用っても正直あんたにじゃなくてねー」


「?」


チラリと沙紀は麗花を見ながらそう言う。てっきり冠城に用があって来たのだろうと思っていた麗花は少しだけ驚いた表情を見せる。


「今日1日、麗花ちゃん借りるわ」


「は?」


「私、ですの?」


麗花の肩を抱き寄せて、沙紀はしたり顔で麗花の1日レンタルを宣言した。

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