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第15話 やっぱり病んでますか?

 徒人はトワによって黒鷺城の浴場の脱衣所へ連れてこられた。ここへ連れてこられるのは召喚された時に体を洗って貰った件以来だ。モルタルっぽい壁に幾つか木で出来た棚が置いてあるが仕切りが心許ない。


「脱いで下さい。脱げないのならわたしが脱がせます!」


 開口一番に虚ろ目のトワが徒人を無理やり脱がせようと迫る。今着てるのは中世っぽい服装なのであっさり脱がされてしまうだろう。


「じ、自分で脱ぎます。自分で脱ぎますから1人にして下さい」


「分かりました」


 トワがバスタオルらしき布を渡して脱衣所から出て行ったのを確認してから徒人は仕切りの方へと移動してた。だが視線を感じて出口の方を覗いてみる。彼女がこっちを覗いていた。


「なんで覗いてるんですか!」


「逃げたりしないように監視です! 逃げられたら格好悪いじゃないですか!」


「逃げませんよ。逃げませんから」


 全力で否定した。取り敢えず、病んでようと好意を持った女性と一緒に風呂に入るのを断るのは男としてあり得ない。だが実際に入るとなると緊張してしまう。

 徒人はバスタオルを棚に置いていそいそと服を脱ぐ。そして本当に頼りない仕切りから出口の方を覗く。トワは居ない。意を決してバスタオルを手に取り、腰に巻き付ける。

 徒人は浴場への木製の戸を開けて中へと入る。中は意外に広く黒い石と岩で作られた壁と床で滑らないようにわざと凹凸を付けてあり、水道は井戸のポンプみたいな物であってこれと奥にある浴槽と言うか円形の温泉のお湯と組み合わせて調整しろって事なのだろう。

 先に体を洗おうと思ったがタオルだけあって石けんの類いはない。近くに置いてあった桶を取り、迷っていると誰かが後ろに気配がした。


「では体から洗いましょうか?」


 頭にタオル、全身にその白い肢体を覆うように巨大なタオルのような物が巻かれていた。そでも胸の膨らみと腰のくびれ、腰から太もものラインはばっちり把握できた。

 全裸ではないのがないのが残念だが体の線はばっちり頭に収めた。絶対に記憶に留めておく。これでEDでなければと徒人は泣きたい気持ちになるがそれを振り切って疑問を口にする。


「……トワさんはその……隠れて近寄る職業(クラス)に就いてたり、そういうスキルとか持っているんでしょうか」


「わたしは持ってないですよ。どうしてそう思うのでしょうか?」


 トワは瞼を閉じて童女のような笑みを浮かべてるがその成人した体とのギャップに徒人は心臓の高鳴りを覚える。トラウマのせいで下半身は反応しないけど。


「さっきからずっと背後を取られてばっかりなんですけど……」


「え? そんな事はありませんよ。昔から、子供の頃からみんなに驚かれてましたが……」


 瞼を開けたトワの瞳はまた虚ろ目だった。ナチュラルに人に忍び寄る能力は相手にとって驚異だろう。ただ、徒人にヤンデレ耐性があるようでこんな状況でも彼女を可愛いと思う己に感謝した。

 こういう体質に産んでくれた母とこういう精神状態にしてくれた父に礼を言いたい気分になる。でも今の剣騎士を終えて錬金剣士の職業熟練度(クラスレベル)を15に盗賊剣士にはなっておこう。せめてトワの気配くらいは察知したい。


「ではそこに奥を向いて座って下さい。徒人の体を洗いますから」


 トワが温泉の隣にある石の椅子を示す。


「座りましたよ」


 言われたとおり、徒人は出入り口の方を見て座った。ひょっとしたら血が出るまで擦られる可能性があるがその時は自分で回復魔法を掛けて治そう。ただトワが傷付けて彼女が回復魔法掛けてくるパターンもあるが──


「洗いますね」


 徒人の心配を余所にトワは普通に洗い出した。泡にまみれたバスタオルみたいなのが背中を擦る。時々、トワの指が当たってそのスベスベで柔らかな感触が心地良い。


「腕洗いますから広げて下さい」


 その言葉と同時に左腕が泡まみれてすぐに右腕も同じ状態になる。


「では前を向いて布を外して下さい」


 徒人は声を上げてトワの方を向く。続きを言おうとした瞬間、腰のバスタオルは彼女によって剥ぎ取られた。


「まだ治ってませんね。簡単に治る訳ないですか」


 悲しそうに嘆いてトワが前から胸、腹、股、左太もも、左ふくらはぎ、右太もも、右ふくらはぎと洗っていく。


「流しますね」


 トワは移動して温泉から桶で汲んできたお湯を丁寧に徒人の体に掛けて泡を綺麗に洗い流す。

 徒人はのぼせ上がった頭で何故トワが平気なのか考えてみた。そして一つの結論を思い至ったので聞いてみた。


「トワさん、成人男性を一緒にお風呂に入った事ないですよね?」


「昔、近所の子供をお風呂に入れた事はありますし、あれに関する知識はあります」


 トワは必死になって反論するがこれでは白状してるようなものだ。成人男性のは見た事ないから今の俺は大丈夫なのか。そう思うと悲しい気分になる。


「それよりも今度はわたしが洗ってもらう番ですからお願いします」


 トワは徒人に背を向けて体に巻き付けていた巨大なタオルのような物を外す。シミ一つない白い背中やお尻に太ももが露わになる。でも腰の辺りに微かな膨らみがあった。太ももは引き締まっていたので余計に気になった。

 泡だらけのバスタオルのようなものを徒人は受け取る。

 やられっぱなしなので徒人はトワの腰の辺りの肉を両手で掴んだ。


「ちょっと、どこ触ってるんですか? どうせ触るなら胸とかお尻を触って下さい」


 予想していなかったのか、トワが泣き声に近い悲鳴を上げる。


「ちょっとお肉がと言うかこの皮が気になって」


「それは子供の時に昔太ってた時の名残ですってそんな過去を言わせないで下さい。疎開先で食べ過ぎたんです……徒人の意地悪」


 さすがにまた殴られて瀕死に陥るのは困るので泡まみれのバスタオルでトワの白い背中を泡だらけにしていく。


「胸隠さないで下さい」


「後ろが終わったら前向きます」


 腕を組むように胸を隠すトワがムキになったように言い返す。


「前向いて下さい」


 前を向いた後、トワは躊躇いながら腕を下ろした。徒人は彼女の真っ白な膨らみ二つの頂点に桜色の先端に釘付けになる。それは柔らかそうで張りがあってしっかりと形を保っていた。祝詞や彼方に比べたら大きい方だ。


「徒人、早く洗って下さい。こういうのは恥ずかしいんですから」


 トワの瞳は虚ろ目ではなく光は戻り普通の瞳に戻っていた。


「良い景色なんですからもう少し堪能させて下さい」


 鼻の下は伸びるのに自分の分身が反応しないのは悲しいがこれ以上見ていると怒られるので徒人はトワの胸から洗い出した。

 バスタオルをこすりつける度にトワが小声を上げて反応するのは見ていてニヤニヤする。


「徒人、わたしで遊んでるでしょう」


 トワが顔は勿論耳まで真っ赤にしながら睨み付けた。だが徒人はその反応を楽しんでいる。地位のある女性を翻弄する愉しさを学習し始めていた。癖になりそう。


「はい。とっても、とっても楽しいです」


 これはこっちに来たら毎回やろう。トワの部下たちにあんまり文句言われないようにすべきだけど。


「ここ弱いですか」


 徒人はトワのへその辺りを擦ってみせる。


「と、とってもって何を聞いてるんですか! へ、変態! ド変態。……でもちょっとやってみたかったんです。お風呂場での流しっこ」


 その言葉を聞いて徐々にバスタオルを下へ移動させ、細い両足を洗い終わって徒人は桶にお湯を汲み、トワの頭部に掛からないようにゆっくりと泡を洗い流した。


「終わりましたよ」


「はい。一緒に湯船につかりましょう」


 トワは巨大なタオルを手に持って湯船に移動する。徒人も剥ぎ取られ床に落ちたままのタオルを拾って絞った後、再び腰に巻こうとする。


「布類は湯船に付けてはいけません」


 怒られてしまったので徒人はトワと向かい合う形で湯船につかる。お湯の向こう側とは言え、彼女の肢体が見える。目福。目福。


「やっぱり、精神的な事は身体の怪我みたいにすぐには治ったりしないのですね」


 ちょっと落ち込んだような表情でトワが呟く


「こんな状況じゃなきゃったらトワさまを押し倒したいです」


 徒人はトワの体をガン見する。お湯が邪魔だとすら思わなくもない。


「お、押し倒したい? 本当ですか?」


 その一言ではしゃいだトワがのぼせるまで徒人は浴場で彼女に付き合う羽目になってしまった。当然、徒人ものぼせてしまったのでそれを冷ますまで時間が掛かってしまう。

 そして時間が押したせいでアニエスにお説教されたのは言うまでもなかった。


【神蛇徒人は[魔王の恋人(サタンズ・ラヴァー)]の称号を獲得しました。[魔王の恋人(サタンズ・ラヴァー)]の称号の効果で[闇夜の探求者]と[闇耐性1]を習得しました】


[魔王の恋人(サタンズ・ラヴァー)]魔王の恋人に贈られる称号。本来は人間の盟友に贈られる称号だが効果は同じ。効果は魔王の部下たちに無下に扱われない。攻撃の対象になりにくい。


[闇夜の探求者] 効果 時々、相手の弱点を見抜ける事がある。ただし確実ではない上に属性弱点がない相手には通じない。ちなみにHな意味で効果はない。

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