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第四話 土曜の戦い 後編

前話の続きです!

結果から先に伝えたほうがいいだろうか・・・・・・。

只今ちび達は、木陰でへばっている・・・俺もちび同様に木陰で休んでいる。先生も試合終了後、早々に職員室へ戻って行った・・・というか逃げた!


へばっているちび達(俺を含む)をよそに、まだグラウンドの中央でぎこちなくボールを蹴っている奴がいる。・・・無論、緋野美咲である。


その華奢な身体からよくそんな体力を内に秘めているな・・・。


「黒崎くん、まだ練習やんないの?」

「さっきの試合で終わりだよ・・・ってか元気だね」



そう?とばかりに得意げな顔をするが、今回ばかりは流石に負けた・・・。


落ち着いた所でちび達を集合させて、グラウンドを整備する。軽くアップ(体操)をして、グラウンド前で整列。緋野も右に並び、ちび達を見ながらグラウンドに一礼する。


《ありがとうございましたー!!》


グラウンドに向かって一礼をするのは、俺が小学生の頃から変わらない。一礼をする理由は、『今日も一日ありがとうございました』という感謝の意味を込めたものだ。


「明日は休みなんで、各自ゆっくりしてください!それじゃあ、今日は解散!!」《ありがとうございましたー!!》


ちび達は中庭で着替えを済ませ、それぞれ帰って行く。グラウンド側の門を閉め、用具倉庫に鍵をかけて、俺の仕事も終わりだ。




鍵を職員室に返しに行くと、先生と、なぜか緋野姉弟までいた。

「お疲れ様でーす」

「お疲れ様〜♪」

「ぁ、黒崎くん、お疲れ様!」

「コーチも、お疲れ様です!」


上から順に、俺・先生・緋野姉・康人だ。


「久しぶりに白熱したわ」

「大人げなかったですもんね!」

「美咲ちゃん、涼くんがいぢめる〜♪」

「まぁまぁ、黒崎くんも先生をいじめたら駄目じゃん!?」


俺、悪者!?・・・康人、なんか言え!!


「姉ちゃんも、ムキになりすぎ!」


姉、大ダメージ!!康人からの意外な口撃に、反論出来ず!


「・・・すみません」


姉が弟に負けたよ!!康人、恐るべし・・・。


「確かに、今日のゲームは白熱したな・・・」



そう、今日のゲームは三日目にして、最も激戦だった。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




一時間前


「康人、周りを見ろっ!囲まれてるならフリーの奴にパスを出せ!!」


走りながら激を飛ばすって、結構しんどいよ。

俺は審判をしながら激を飛ばしている為、予想外に疲労が溜まるのが早い。


あ、先生がボールを奪った!流石先生・・・って、ボール奪われてるし。

あ、今度は康人がボールをもらった!よし、突破だ!・・・周りをよく見ろ!よし、パスが仙道に渡っ・・・カットだ!緋野(姉)がカットした!!そのままドリブル・・・って、ぎこちない!トラップが大きい!あ、DFの北野がカットして素早くMFの山上にパスした!そのまま前線に上がって・・・囲まれた!前にはパスが出せない、さぁどうする?お!ヒールだ!!ヒールパスだ!小学生の癖に、最近の小学生はませてるなぁ・・・お、こぼれたボールに康人が反応、ボールを支配して相手陣地に侵入!今度は上がって来たDFの浩一にパス。そういえば、浩一は、転校してくる前まで向こうの小学校でサッカーやってたらしいな。ふむ、それにしてもレベルが高い・・・。



とか考えていると、素早く上がって来た浩一がバックパス。上がって来ていた和樹が・・・。


「和樹!シュートだ!」


俺の声に反応し、和樹はシュートした。少し遠くからだったが、綺麗なカーブを描いて、ボールは・・・ネットに吸い込まれた。


ピーーーーッ!!



と、ここまでが前半戦だが・・・実況みたいですみませんでした。




→→→→→→→→→→→→




今から後半戦が始まるのだが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



な、なんか、スゲェ殺気が混合チームから・・・というか緋野姉と、先生から溢れ出している。正直、怖ぇょ!!!



後半戦、それは凄まじい光景だった・・・。燃え上がった二人は、周りを威嚇しながらグラウンドを縦横無尽に走り回っている。


「元女子サッカー高校代表舐めんなよっ!!!」

「現役女子高生馬鹿にすんな!!!」


等と小学生に暴言を撒き散らしているので、流石に警告をくれてやった!

ついでにレギュラーチームのちび達にお願いされて、レギュラーチームの選手として試合に参加。久し振りの全力疾走は、本当に疲れた・・・。俺の参加で、俄然やる気の出たレギュラーチームと、打倒レギュラーの為にやる気をたぎらせる混合チーム。一進一退の攻防の末、一点を守りきったレギュラーチームの勝利に終わったのだが・・・・・・・・・。



「じ、実際の試合って・・・こんなに・・・ハードなんですか?」


息を切らしながら仙道が訪ねたが、実際にこんなハードな試合は、中学に行ってからだろう・・・。


「これより全然楽だよ。今回は暴走したあの二人に振り回されただけだ」


ハハッと笑う俺に、満身創痍の顔で仙道は視線だけを向けた。







→→→→→→→→→→→→




こうして、今日の練習は終わりを迎えたわけだが、まだ緋野にネタバレをしていない。




おそらく何人かはわかっただろう・・・。緋野は自分を大きく見せる為、限りなく接近したのだが、体の幅を広げるように、足を開く。


もうお分かりだろう!あの時俺がちび二人に言った一言を・・・。


「相手は自分を大きく見せる為に足を開く。なら、その間からパスをすればいい・・・」










簡単な事さ・・・股をぬけばいいんだから(笑)

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