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第九話 臆病者の決意

すみません、脈絡が無くて(汗

億劫だ・・・










それ以上かもしれない・・・










昨日彼女に言った戯れ事は、自分自身への言い聞かせだった。






くだらない・・・






今の俺は、彼女へ合わせる顔がない。こんな臆病者は、彼女を好きになる資格なんて無いんだ・・・






⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒




Monday(月曜日)



足が重い・・・。たかが学校へ行くだけなのに、身体全体が・・・それを拒否しているようだ。




「・・・おはよう」

「おはよう!あれ、今日は元気がないな?」

「そう?」

「まぁまぁ、何があったかわかんないけど、元気出せって!!」

「・・・ありがとう」




教室に入った時からの、俺の態度を見て、竜一は笑顔でそう言った。

こんな時、こいつの笑顔には救われるし、強引に話を聞いて来る訳じゃない。幾分か、胸のつかえも和らぐ・・・。




「おはよ、黒崎くん!!」




この声を、聞くまでは・・・




「おはよう」

「ん?どうかした?」

「いや、なんでもないよ」

「そう?ならいいや!」



無理に造った笑顔・・・。自分自身に嫌気がさす。






⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒




暫くは、小学校へ行く事もない。一つの区切りをつけて、小学校も高校も、夏休みを迎えるのだ。次に教えに行くのは、八月に入ってからだ・・。晴れて人数が揃ったサッカー部は、九月の中頃に大会に参加するつもりだ。

久しぶりに、何もない日常が戻って来る・・・。




筈だった。






放課後、俺は一人で帰る筈で、竜一と伶にさよならを言った。




「黒崎くん、一緒に帰らない?」




教室を出てすぐに、緋野さんが声をかけてきた。




「ごめん、今日は寄る場所があるから、また今度・・・」

「あ、うん・・・じゃあね!」



笑顔で走り去って行く緋野さんの姿を目で追いながら、心の中に罪悪感が芽生えた。






嘘だった。本当は、用事なんて無い・・・。ただ、彼女の近くにいる事が、辛かった・・・。






⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒




後悔と罪悪感が、俺を蝕んだ。具合が悪くなり、三日間学校を休んだ。

今日から夏休み、みんなが浮かれ始める一ヶ月間が始まった。




体調はもう、良くなっている。俺は誰もいないリビングで、何をするでも無く、ただソファに座っている。



ピーンポーン!




チャイムが鳴り、俺は玄関の向こうにいる相手に声をかけてドアを開けた。




「こんにちは!」

「・・・緋野さん」




紙袋を抱え、玄関先にいたのは、俺が今一番逢いたくて、一番逢いたくない相手・・・緋野美咲だった。




「これ、先生から頼まれたプリントと、夏休みの課題」

「あ、ありがと・・・」

「具合、もう大丈夫?」

「うん・・・」

「そっか、よかった!あ、私買い物があるから帰るね」

「わざわざありがとう」

「うん、それとさ・・・」

「なに?」




彼女の発する言葉を待つ事数秒・・・。




「今度の日曜、暇?」

「日曜?うん、何にもないけど」

「少し話したい事があるから、夕方の5時に小学校のグラウンドに来てくれないかな?」

「・・・わかった」

「それじゃ、またね!!」




玄関先で、緋野さんを見送り、手渡された紙袋に視線を落としながら、俺は小さく溜め息を零す・・・。






⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒




部屋へ戻り、紙袋を机の家にひっくり返す。バサバサッとプリントが机の上に散らばるなか、水色の便箋が、白いプリントに目立っていた。




『黒崎コーチへ』



中を開けて手紙を読む・・・内容は、秋槻校区主催の夏祭りのご案内。メインは小学校グラウンドで開催される、『秋槻町民総踊り』と書いてある。

さっき緋野さんが言ってたのも小学校だったから、きっとこの事を知っている筈だ。




「日曜日か・・・」




文面から視線をはずし、独り言を呟く。そして、思い出す・・・。







『気持ちを伝えないほうが、フラれる事よりずっと辛い事・・・』






あれは自分にいい聞かせた言葉だ・・・。今更、そんな事に気付くなんて・・・俺は馬鹿だな。黙っている事がこんなにも辛いなんて・・・。










解放されたい・・・この辛さから・・・










もう、どうなってもいい・・・










この気持ちを全てぶつけよう・・・










だから神様










俺に・・・










勇気を、下さい・・・

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