ミウ×ガイ
仄かにに甘い日常の話。
ガイ視点。軍部廊下にて。
曲がった廊下の先、此方に背を向けて歩く見慣れた背中に軽く溜め息が漏れた。やっと見付けたよ。
「ミウ!!ちょっと良いか??」
「あ、ガイ!!何処行ってたの、探してたんだよ??」
どうやらお互いがお互いを探し歩いていたらしい。道理で部屋に行っても見付からない訳だ。
立ち止まって振り向いた彼女の頭に軽く手を乗せ笑い掛ける。不思議そうに俺を見上げて首を傾げる彼女の髪をかき混ぜる様に撫ぜた。
「俺もお前探してたんだよ。悪い、ちょっと聞いてくれないか??次の任務の事なんだけど、第三小隊を俺の所に付けたいんだが……」
「うん、抱っこ。」
……は??
紡がれる筈だった言葉は声にならず虚空に消えた。書類に落としていた視線を上げれば無邪気に笑う彼女は両手を広げて俺を見上げる。
「……お前、俺の話聞いてた??」
呆れて物も言えないとはこの事か。こちらは重要な任務の件でミウを探していたと言うのにこいつときたら。えへへ、なんて笑う彼女が俺を探していたのはこの為だったのだと話すのを聞いて思わずため息が零れる。抱っこしてよと広げた両手を俺に向けて首を傾げてみせるこの子は無意識な策士だと思う。こんな策に掛かる俺は単純だ、なんて。
小さな体を腕の中に閉じ込めれば満足そうに笑う少女に自然と笑みが零れた。
ミウちゃんは本当は精神年齢が低い。事件の時に狂ってしまったからそれ以来本当の彼女は成長してない。軍で指揮を執る時はずっと大人びているけれど、仲間の中でだけ見せるちょっとした本当の彼女は可愛いと思う。
ガイはこれにきゅんきゅんしちゃえば良いよ。