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えんじぇるハイツ  作者: 安荷唯我独尊
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一話

 不死身になりたいなんて誰が想い始めたんだろう。そんなくだらないが過ぎる幻想のために僕は死ぬのだ。笑えない。

死なないために冒険して、その末にたどり着けずに死んでしまう。ある意味で、冒険譚にあるようなミイラ取りがミイラになるような状況は成功例なのかもしれない。

いや、不死身になろうとした人間が、不死身になったなら、それは間違いなく成功例なのだろうけれど、ミイラ取りは、金目当てだ。死んでちゃあ意味がないにもほどがある。

意識が薄れてきた。そんな状況で、少なくとも論理的な思考が必要なことを行うのは無理がある。ちなみに、今現在、僕は海中にいる。酸素欠乏である。

人魚の血を求めて、人魚伝説で有名なとある岬にやってきた末のことだ。

本当に笑いごとにもならないことなのだが、僕は泳ぎが不得手だった。海中に人魚の神殿があるだなんて聞いていないよ。

水中に、重装備で入っていったが、想定外の荒波に襲われた。重装備、と言っても所詮、旅人が用意できる程度のもので、たかがしれている。完璧に海難だった。

やばいと思った。このままでは確実に死んでしまう。正直、人魚を見つけ出して肉を噛みちぎる以外に生存の方法はないと思った。

そして、その想定は正しかったようで、目当てのものは見つかりもせずに、現状の死への直行ルートをとっているわけだ。

なんだろう、走馬灯だったのだろうか。近況の回想のようだったけれど、走馬灯なんて得てしてそういうものなのかもしれない。ま、今、初めて見たものに対して、正しい考察なんてできないけれど。

ああ、やばい、そろそろやばい。意識が遠のく。こんな考えが最後の思考でいいのか、そんな疑問を持たないでもないけれど、ならば何を考えるべきか、という考えにいたり、それじゃ思考の堂々巡りだ、なんて割合に余裕をもって考えていたりする。

結局、最後の思考は何がいいのか、の問いに、脳は危機的状況にもかかわらず、エロいことしかよこさない。

むしろ、危機的状況だからこそ、の思考なのかもしれない。そんな状況では、人は繁殖のことを、第一に考えるそうだから。

とりあえず、最後の思考はこれに確定だろうな。そう思える答えが見つかった。

では、叫ぼうか。

「ぼごぼごぼばばびびばぶばばっばあぁあああああああああ(童貞のまま死にたくなかったぁあああああ)」


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