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月の裏側を見たことはあるか

作者: 伊藤純
掲載日:2026/04/27

流行りのテーマに便乗しました。

 イザベラ・オースティンが出ていった。

 夫であるカイル・オースティン伯爵が「真実の愛」と呼ぶ愛人を屋敷に連れ帰った翌日、イザベラは小さなトランクひとつにわずかな私物だけを収め、姿を消した。

 カイルの執務机の上にはサイン済みの離縁届けと、イザベラが毎日欠かさずつけてきた帳簿が置いてあった。

 マチルダがイザベラ退去の知らせを受けたのは、それから二ヶ月後のことだった。


 

「それで私にどうしろと?」

 

 オースティン伯爵家の応接間。マチルダは客人としてソファに座っていた。向かい合って座るのはカイル・オースティン伯爵。マチルダの兄だ。

 

「帳簿が、読めないんだ」

「要望を言って。まどろっこしいのは嫌いなの」

「……帳簿が読めないせいで伯爵領に関する収支の報告ができない。今はまだ催促で済んでいるが、この状況が続けば法的措置が取られる。そうすれば伯爵家が立ち行かなくなる。だから、助けてほしい」

 

 ひさしぶりに会う実兄は、マチルダの記憶の中の彼とはかけ離れていた。昔は威風堂々としていたのに、今は長い間放置された犬小屋のようにくたびれて、ちょっと押せば崩壊しそうな危うさがある。

 幼いころからわがまま気質だったカイルは、オースティン伯爵家の当主となり、何もかも手に入れて有頂天になっていたのだろう。それが崩れた今、引く手数多だった美貌も台無しだ。だからあれほど妻を大切にしろと言ったのに。

 マチルダはうらぶれた兄に、上から下まで不躾な視線を送る。幼い頃から散々ばかにされてきたこともあり、兄のことは好きではない。今の姿は見ていて気分がいいほどだ。イザベラよ、よくやったと言いたいぐらいだ。

 だが、とマチルダは別のことを考える。罵ることは簡単だが、ここで優しくして恩を売っておけばおもしろい方に転がるかもしれない。

 マチルダは刺繍の才能を買われ、老舗のドレスメーカーに嫁いだ。婚家であるコレット家は男爵籍だが、貴族相手に手広く商売をしているため、人脈も資金もそこらへんの高位貴族より豊富だ。そんな嫁ぎ先で鍛えられたマチルダは、商人らしく損得を第一に考え行動する。もちろん人との繋がりは大切にするし礼儀も欠かさない。だがそれらはすべて利益につながる行動だ。だからマチルダは素早く計算をする。ここでどう動けば利になるかを。

 マチルダはもうふわふわのドレスを着てはしゃいでいた伯爵家の令嬢ではないのだ。

 

「帳簿が読めないってどういうことよ。異国の言葉で書かれているわけ?」

「イザベラが、彼女にしかわからない書き方でつけていたんだ。彼女がいなくなった今、あれを解読できる者はどこにもいない」

「暗号ってことかしら」

 

 カイルは力なく頷いた。

 

「ルーカスは? 家令なんだから彼だって内容は把握しているでしょう」

 

 ちらりと壁際に目をやると、老いた家令は諦めたように首を横に振った。なるほど、頼りになる家令ですらお手上げの状況なわけだ。マチルダは再びカイルに視線を戻す。

 

「イザベラは誰にも帳簿を見せなかった。すべてを自分でやると言って、鍵付きの引き出しに帳簿をしまい、ルーカスにも何も伝えなかった」

「はあ? そんなことできるわけないでしょう。いくらなんでも伯爵領の運営に関わる出納をたったひとりで管理できるわけがないじゃない。そんなことを許したら不正し放題よ⁉︎ 第二第三の目があってはじめて管理は成立するものなのに。それに屋敷のあれこれだって使用人に何も伝えないのは非効率だし、そもそも主人であるお兄様が全体を把握していないなんてことあるわけないでしょう?」

「それは、そうだが……」

「まさか、本当に何も把握していなかったの?」

 

 カイルは項垂れるようにして頷いた。

 マチルダがあらためて応接間を見回してみると、以前は整然として明るかった部屋はどこかくすんでいた。きちんと掃除はされているのだろうが、空気は重く澱んでいる。管理者を失い、屋敷が正しく機能していないのだ。壁際に控えるメイドの顔色も悪い。疲労か不安か、いずれにせよ表情を繕えないほど追い詰められている。女主人が消えただけで、この屋敷は見違えるほど落ちぶれた。この屋敷は帆を失った船のように、どこに行くべきかもわからず漂流しているのだ。

 

「呆れた……家も領地経営もすべてイザベラ様に押し付けて、ルーカスからの再三の報告も要請も無視して、自分は浮気相手に夢中だったってわけね。最低だわ。お兄様みたいな人を世間ではクズと呼ぶのよ。イザベラ様が出ていくのも納得ね」

「悪かったと思ってる」

「私に言われても困るわよ。オースティン家から出た私には関係のない話だもの。謝罪するならイザベラ様でしょう。それから道端の小石よりも役に立たない当主とその元浮気相手に振り回される羽目になった使用人たちね。

 どうせ新しい義姉は女主人の役目を果たしていないんでしょう。つまりルーカス頼みにってことよね。父の代からこの家のために働いてきてそろそろ引退も視野に入れはじめたころでしょうに、お兄様も酷なことをするわね。亡くなったお父様が泣くわよ。お兄様を散々甘やかしたお母様ですらね」

 

 早くに両親を亡くし若くして跡を継ぐことになったカイルには、マチルダにはわからない苦労があったことは容易に想像できる。だが人は与えられた役割をこなさなければならないのだ。貴族であればなおさら。だから当主であるにもかかわらず、自分が責任を負うべき仕事をすべて妻だったイザベラに押しつけたカイルを、マチルダは軽蔑した。

 

「正直ざまあみろと思うわよ。妻を虐げ仕事を放棄し放蕩三昧で、正真正銘の自業自得よね。文句も言わず、いるかいないかもわからないほど静かに、自分の代わりに黙々と仕事をこなす妻がいなくなった瞬間に、貴族でありながら商売に手を出す卑しい男爵家に嫁いだ妹に頼ろうとするんだもの。本当に救いようがないわ」

 

 卑しい男爵家うんぬんは、マチルダの婚約が決まったときにカイルが言い放った言葉だ。その卑しい家のマチルダに、伯爵であるカイルは救いを求めている。

 マチルダが呼ばれたのは、商人として生きるマチルダに帳簿の解読を依頼するためだ。

 

「イザベラ様がどのような暗号を使ったのかはわからないけど、私に解読しろと言っても無理よ」

「なぜだ」

「なぜ? 読めないものを読もうとするのは時間の無駄よ。そもそもの問題は、イザベラ様が、帳簿を、誰が見てもわかるように書かなかったことでしょう。誰にも見せない、誰にもさわらせない、挙げ句の果てに暗号を使う。どう考えても悪意があるわ。伯爵家を陥れるための行為だと解釈されてもおかしくない。お兄様がまずすべきことは帳簿を解読することではなく、イザベラ様が帳簿を改ざんし伯爵家の転覆を目論んだ可能性があると国に訴えることよ」

「そんなこと……」

「なによできないの? 妻の尊厳を踏み躙っておきながら今さらいい人の顔をするの?」

 

 イザベラは帳簿をつけることで自分の心を守ってきたのだろう。手を取り合って生きていくはずの夫は他所の女との恋人ごっこに忙しく、心を閉ざした彼女が頼れる人はいなかった。使用人からの気遣いや優しさも彼女には届かなかったのだ。だからイザベラは意趣返しとしてあの帳簿を作成した。あの帳簿にはイザベラが嫁いでからの伯爵家のすべてがある。だが彼女がいなければ、それは意味のない文字の羅列でしかない。イザベラはきっと、自分がいなくなったあとカイルが慌てふためくことを見越し、それで溜飲を下げようとしていた。それに関してはマチルダもイザベラの肩を持つ。カイルは救いようのないクズだから。だがイザベラは少しやりすぎた。困らせるのはカイルだけでよかった。使用人や領民にまで影響を与えることは避けるべきだったのだ。その点においては、マチルダはイザベラの仕打ちを許すことはできない。

 マチルダは老いた家令を呼んだ。

 

「屋敷は問題なく回せそう?」

「だいたいのことは。ただ出入りの業者が軒並み取引をやめると言っております。イザベラ様との信頼関係で成り立っていた契約だから、というのが彼らの主張でして。新たな取引先を探すのに難航しております」

「伯爵家から手を引く理由がわからないのだけど。待遇が変わるわけでもないし、当主はクズでもオースティン家は安定的に取引できる顧客のはずよ」

「……それだけイザベラ様に対する信頼が強かったのだろうと思います。私どもでは信用に足らないのではないでしょうか」

「なるほど」

 

 当主の前ではそう言うしかないルーカスの心情を慮ると涙が出そうだ。

 どう考えてもイザベラが裏で何かしらの操作をしていたとしか思えない。つまりカイルは侮られていた。あの男なら何をしても気づかない。イザベラはそう判断して契約を進めたはずだ。そして商人には何かしらの見返りを与えた。おそらくは、イザベラが去るときに別の貴族への紹介状を書く、などの旨味があったはずだ。そうでなければ伯爵家という権力とイザベラという個人を比較して、何の後ろ盾もない個人を選ぶわけがないのだから。

 マチルダは再び兄に視線を戻して言った。「心底呆れたわ」

 

「どうするのお兄様。このままでは干上がるわよ」

「それは……」

「この期に及んでまだ動こうとしないの? 浮気相手にうつつを抜かす間に頭の中はからっぽになったみたいね。いいわ、それなら私がいい提案をしてあげる」

「提案?」

「新しい帳簿を作るにあたり、コレット家から会計士を派遣します。ルーカスの負担も減るし、誰が見ても何が書いてあるかがわかる、本来そうあるべき帳簿を作れるわ。それから出入りの業者ね。これもコレット家から紹介します。老舗である我が家が選ぶ業者だから安心安全よ。それからルーカスの後継者になる人間も手配しましょう。人選は任せて」

「そこまでしてくれるのか」

「もちろん。ただし、それなりの見返りは要求します。我が家の次男をこの家の養子として迎え、いずれは伯爵領を継がせること」

「な……! そんなこと無理に決まっているだろう! 私にはマーガレットという妻がいる。彼女との間に子ができればその子が正式な跡継ぎだ」

「じゃあこの話はこれでおしまい」

 

 マチルダは商人だ。利益につながらない商談の席にはつかない。とはいえ自分の世話をしてくれた使用人を見捨てるような薄情さはマチルダにはない。だから長居は無用とばかりに立ち上がると、よく響く声でこう言った。

 

「カイルお兄様が今の提案を飲まなくても、私はこの屋敷にいる使用人の生活は保証します。従業員は客以上に大切に扱えというのがコレット家の掟。これ以上は、と思ったら私のところへいらっしゃい。私の言葉はコレット家の総意です」

 

 言いたいことは言った。あとはカイルがどう動くかだ。マチルダには仕事があるのだ。重い腰を上げようとしない兄に用はない。


 

 それからしばらくして、マチルダ宛にオースティン伯爵名義で手紙が届いた。

 手紙には、イザベラの記入した帳簿に不正の可能性があると訴えたこと、近く担当者を挟んでイザベラと面会の予定があること、その場に同席してもらいたいこと、そして今後のことを話し合いたいと書かれていた。

 マチルダは了承の旨を書き記すとすぐさまカイルに返信した。

 そして一週間後、マチルダは王宮の一室で、イザベラと向かい合っていた。隣に座るカイルはどこか落ち着かない様子でしきりに手のひらを拭っている。伯爵ともあろう男が情けない。マチルダはドレスの裾で隠しながら、兄の足を思いきり踏んづけた。

 聴き取り調査の開始時刻までまだ少し時間がある。プライベートで話せるのは今しかない。マチルダはこほんと咳払いをすると、イザベラに話しかけた。

 

「イザベラ様。我が兄のあなたに対するひどい仕打ち、妹として謝罪いたします。兄の素行の悪さは妹である私が誰よりも知っていたのに、忙しさにかまけて放置してしまいました。本当に申し訳なく思っています」

「いいのです、もう終わったことですから」

 

 オースティン家から慰謝料の支払いも滞りなく終わり、たしかにあの出来事はすでに終わった話だ。だがマチルダはイザベラのことが気になっていた。

 

「今は、何をしていらっしゃるのかうかがっても?」

「サンドラ商会で働いております。会計部門の空きが出たので、そこで」

「そうですか。今は、幸せ?」

「ええ。とても」

 

 ふわりと笑ったイザベラの薬指には、小さな石のついた指輪が光っていた。サンドラ商会の会頭補佐であり次期会頭のアンドリューと婚約したという話は本当だったのか。カイルは早すぎると言いたげに顔を顰めているが、マチルダはもう一度兄の足を踏んづけると「それならよかった」と微笑んだ。義理であっても一度は姉となったイザベラの幸せを、マチルダは心から喜んだ。

 

「私が言うのもおこがましいけれど、今度こそ幸せになって」

「ありがとう、マチルダさん」

 

 そこからの聴き取り調査は紛糾することもなく穏やかに進んだ。イザベラは、自分にしかわからない形で帳簿を書いたことは事実だが、それは悪意ある第三者に盗み読みされないためだと主張した。カイルと婚姻関係にあった間は精神的に追い詰められ、屋敷にいる誰ひとりとして信用できなかったのだと声を詰まらせながら訴えた。これに対しカイルは何も言い返すことができなかった。イザベラを追い詰めたのは事実だったからだ。

 これにより、帳簿の改ざんはないと認められた。また解決案として、イザベラは直近一年の帳簿の書き直しをすることを了承した。今回の件において、落ち度があるとすればカイルがイザベラに寄り添わなかったことであり、その結果の帳簿なので、イザベラに書き直しの手間賃という名の和解金を支払うことで落ち着いた。


 

 伯爵家に戻る馬車の中で、マチルダは予想通りの結末になったことに満足していた。

 イザベラの行動は悪意しかなかったが、婚約者であるサンドラ伯爵にうまく逃げる言い訳を教わったのだろう。彼はなかなかに感の鋭い商売人だといううわさは間違いではなかった。

 

「今後の話と言っていたけど、私の提案を飲むいうことでいいのよね?」

「ああ。マーガレットは出ていったよ。貧乏伯爵家なんて興味がないと言ってね」

「だろうと思った。お兄様はもう二度と結婚しない方がいいわね」

 

 それからのマチルダはそこそこ忙しく働いた。なにせドレスメーカーの仕事の他に伯爵家の立て直しも加わったのだ。

 マチルダの次男であるサイモンは、まだ三歳という年齢もあり、母親から離すのはかわいそうだということで、マチルダが休みの日に伯爵家に訪れ勉強をするようになった。まずは慣れることから。年齢が上がるごとに滞在時間と勉強内容を増やしていき、ゆくゆくは当主として独り立ちしてもらう。

 見下していた妹にこてんぱんにやられたことが功を奏したのか、それとも立て続けに女性に去られたことがショックだったのか、女遊びをやめたカイルは伯爵家当主として真面目に仕事に取り組むようになった。長年伯爵家を支えてきたルーカスと、コレット家が派遣した会計士に教えを乞いながら、新たな帳簿の項目を日々埋めている。

 使用人は明るさを取り戻し、ルーカスも肩の荷を下ろしたように笑顔がやわらかくなった。伯爵邸はもとの雰囲気を取り戻し、清潔な空気が隅々まで満ちている。

 新しい帆を張った伯爵家は、順調に進み始めた。

 出入りの業者はコレット家からの紹介で伯爵家と契約を結ばせた。ここでの取引が軌道に乗ればコレット家の評判は上がり、自分も紹介してほしいと言う商人が現れるだろう。ついでに伯爵家から手を引いた業者、そしてサンドラ商会の息のかかった業者とは今後取引はしないと決めた。いかなる理由であれ、伯爵家に後ろ足で砂をかけた商売人は信用に値しない。同様の理由で、イザベラが関わる商会との縁も結ばないことにしたのだ。

 コレット家が関わらないと決めたところで、サンドラ商会の業績に大きな影響は出ないだろう。だがうわさとは恐ろしいものだ。もしサンドラ商会の営業方針に不安要素が見つかれば、そこからコレット家が手を引いた商会として、よくないうわさが駆け巡ることになる。マチルダはべつにイザベラに復讐したいわけではない。ただされたことに対してきちんとけじめをつけただけだ。今後サンドラ商会がどうなるかはマチルダにはわからないし、もう赤の他人となった人間にマチルダの興味が向くことはない。


 

「なんだかんだで私の有利にことが運んだわね」

 

 伯爵邸の庭で元気にはしゃぎ回るサイモンを眺めながら、マチルダは穏やかな午後のひと時を過ごしていた。実家から呼び出しがあったときは何事かと思ったが、想像以上に能無しだった兄のおかげで自分の息子が将来の伯爵になることが決定した。夫と義両親と練り上げた計画通りに進んだことで、今後コレット家の地盤はさらに安定する。コレット家を継ぐ長男と伯爵家を継ぐ次男が手を取り合えば、事業はもっと大きくなっていくのだ。

 

「イザベラ様が我慢強く陰湿な女で助かったわ」

 

 すべてはイザベラが帳簿という存在に依存したことから始まった。どうせ離縁することに変わりはなかったのだから、そんなものに固執せず貰うものをもらってさっさと出ていけばよかったものを。だが彼女がひとりで鬱々とこらえることを選んだからこそ、コレット家の繁栄が約束されたのだから感謝してもしきれない。

 

「明日からまた忙しくなるわ」

 

 コレット家のドレスメーカーは、近いうちに平民向けによそ行きのドレスが安価に手に入る店舗を開店する。仕上がったドレスは、プロモーションとして伯爵家の使用人に着せ、街を散策してもらう予定だ。そのため週に一度は必ず休みを取らせるよう勤務体制には思う存分口を出した。

 月に裏側があるように、物語にもまた裏側がある。マチルダは自分がその裏側にいる人物であることを理解していた。イザベラが主役となった、悲劇からの逆転劇の裏側。そこで暗躍するのがマチルダなのだ。

 あの日、聴き取り調査の場で、さりげなくイザベラの所在を聞き出した。そして彼女に関係するすべての商人、業者をコレット男爵家とオースティン伯爵家から締め出した。彼らとは今後も関わりを持つことはない。

 イザベラとの縁は完全に切れた。物語の表側でオースティン伯爵家の名に泥を塗ろうとした女の企みは、一部彼女の計画通りにはいかなかった。これでマチルダの溜飲は下がった。

 表では好きなようにさせておき、裏ではこちらの有利な状況で物事を進めていくのが真の勝者なのだ。

 マチルダは商人だ。いつだって自分と自分の家族が幸せになるための最適解を選ぶ目を持っている。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

楽しんでもらえたら幸いです。

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