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鶴の恩返し 〜鶴奮闘編〜

作者: ひろ
掲載日:2025/11/19

※本作はフィクションです。実在の法律・人物・団体とは一切関係ありません。

 「私がはたを織っている間は、部屋をのぞかないでくださいね」


 「え、うちワンルームなんだけど?」


 「………」



 助けてくれた若者へ、恩返しをしにきた鶴。いきなり初手から大ピンチです。





 「えぇっと…広いおうちに引っ越しません?」


 「え、なんで?君、不動産の営業?

 僕そんなお金無いよ?」


 「いえいえいえ!断じてそういう者ではございません!

 えぇっと…、ではこのお家を改装などは〜?」


 「嫌だよ。なんで突然そんなことしなきゃいけないのさ?」


 「私も一人になりたいと言いますか〜、見ず知らずの若い男の人と同室というのは、いかがなものかな〜と言いますか〜。」


 「きみ、めっちゃ厚かましいよね。一人っ子かな?

 てかさ、道に迷ったから一晩泊めてくれってだけだったよね?なに?ここに住み着くつもり?」


 「それ全国の一人っ子に謝ってください!

 って、いやそうじゃなくて、ええと…ええと…そう!先行投資!

 先行投資って、大事だと思うんですよ!」


 「何に対する先行投資よ?」


 「デスヨネー……

 じゃ、じゃあ分かりました!。目をつぶってください!

 私が良いと言うまで、目をつぶっていてください!」


 「良いと言うまでって、どのくらいなの?」


 「ええと…半日、くらい…?」


 「無理に決まってるだろぉがあぁーーっ!!」チャブ台ガエシー!!


 「うわぁああ〜!!」



 「一体なんなんだよさっきから、わけの分からないことばかり。

 …あぁ……わかったぞ。君、泥棒だろ?」


 「えぇっ!!?

 ち、違います。そんなんじゃありません!!」


 「いいや。あからさまに僕を部屋から遠ざけようとするその言動…怪しすぎる!

 さあ吐け。白状しろ!吐かないならくすぐりの刑だ〜」コショコショコショ~


 「!!?、うわちょっとやめて!それセクハラ、って、ウヒャヒャ!ウヒヒヒ!

 わ、わかりました!言います!!

 全部正直に話しますからやめて〜っ!!」

 ウヒヒヒ〜ッ


 •

 •

 •


 「ハァ、ハァ…というわけでカクカクシカジカ恩返し。」


 「あー、なるほどね。君、あの時の鶴だったのか。」


 「ハァ…ハァ。理解が早くて助かります。

 ということで、お礼にはたを織らせていただこうかと。」


 「それは無理だよ。」


 「え、どうして?」


 「そもそも、鳥の羽や羽毛は、糸を紡ぐのには向きません。一部伝統工芸としてあるにはあるけどね。それには熟練の技術が必要なの。簡単にできる代物ではないの。

 そして、そんな事も知らないと言うことは、君は糸を使って織物を織ったことがほとんど無いんだろう?

 そんな子が頑張ってはたを織ったところで、売り物になるとは思えないな。」


 「そ、そんな〜。それじゃあ恩返しが…どうしよう。」ションボリ


 「気持ちは嬉しいけどね。

 それに、僕はあの時君を助けたいと思ったから助けたんだよ。

 別に見返りが欲しくて助けたんじゃないし、今でもその気持ちは変わらないよ。」


 「!!」


 「むしろ、そのことで君が文字通り身を削るような真似をしたら…僕は見ていて辛い思いをすると思う。

 だからお礼は要らないよ。」



 


 「………好き。」ボソッ


 「え?」


 「私を、あなたの、お嫁さんにしてくださぁーーーーーーーーいっ!!!」


 「ええぇぇぇっ〜!?」


  •

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  •


 そうして、二人(一人と一羽)はめでたく夫婦になったのでした。



 「まさかとは思っていたけど、子どもって卵で生まれてくるんだね〜。」


 「えへ♡」




おしまい

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