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女子会!

 「何ですって?!ここはコーヒーを出す店で、私は男性でしょう、何がダメだって言うのよ!」

「ですから、その……お心はレディーでいらっしゃるので……」

「心がレディーの相手に対して、こないだ『男のくせに女の格好してるから』って叩き出したのはそっちじゃないの。男だと思って対応してくれるのよね?ほら、今日はスーツよ」


 アリシアとミアは串に刺さった団子のように頭を重ねて、ひょっこりドアから顔を出して外を見た。


 美しく化粧をした背の高い人物が、店員と言い争っていた。華やかなスーツを着ているが、声は明らかに男性のものだった。


「あの……先日ドレスでいらしたのは……」

店員が混乱している。


「そうよ、私よ」

その人物は堂々と答えた。

「レイナルド・ロゼット。男爵家の三男でろくでなし、男のくせに自由な女の服を作って売って、着ている者よ、それが何か?」


ふんと大きな胸板を張ったレイナルドの目がきらりと光った。

串団子の二人を見つけ、獲物を見つけた猫のような顔をしている。


 「あらあらあら!素敵なレディーがいるじゃないの!」

「おおお、お客様!」

店員の静止を振り切り、レイナルドはズンズンと店の奥に進む。

「ねえ、お嬢様方、私もご同席していいかしら?」


アリシアとミアは顔を見合わせて、「勿論です!」と答えた。


◇◇◇

 「レイナルド様って女性のための革新的なお洋服を発表されましたよね」

「素晴らしかったです、涙が出るほど可愛いのにコルセットが要らないなんて」


 レイナルドは誇らしげに答えた。

「ええ、コルセットに頼らない、自由で動きやすい女性服を作っているの。

そして、その縫製には貧しい女性たちを雇用して、技術を身につけてもらっているのよ」

アリシアは驚いた。それは非常に革新的で、社会的意義の高い事業だ。

「素晴らしい取り組みですね」


「有難う。女性が自分らしく生きるためには、まず身体的な自由が必要だと考えているの。息が出来ない服で難しいことなんて考えられないわ。

あと男に頼らない経済的な自立ね」


レイナルドは、店頭の時とは違い、話し始めれば丁寧で優しかった。

セレーナの可愛い服への興味や販売についてのやや踏み込んだ話も、アリシアの女性にしては珍しい経済的な話も、特に子供扱いすることも女のくせにと言うこともなく、接してくれた。


 店員は完全にお手上げ状態だった。三人の貴族を相手に、どうしようもない。

「厄日だ」


 その時、店の奥から上品な男性が現れた。

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