今日は面白いことがあります!
「王様が味方に!?」
ミアが思わず声を上げた。
「ええ、でもオリバーはブラウン公爵家の跡取りですもの。いくら陛下でも、証拠なしに動くわけにはいかないから、まず確固たる証拠を集める必要があるわ」
アリシアが冷静に言う。
「前回は対象者に対して婉曲に伝える形だったけれど、今回は直接オリバーを糾弾するわけだし……」
「証拠ねぇ……」
レイナルドが頬に手を当てて考え込む。
「オリバーのような男は、自分の悪行を自慢したがるものよ。きっとどこかで証言してくれる人がいるはずだわ」
「私が知っているだけでも、被害に遭われた方は十人以上おられます……」
アリシアが指を折って数え、何かに思い至って顔を両手で覆った。
「まさかあのボケナス、彼女達にしたことを自慢しているの……?名誉は?彼女達の名誉は……?
名誉を重んじる貴族令嬢の方々は?
市井の、あのクソが公爵夫人にすると言った嘘を信じて身を捧げた純粋な方の名誉は……?」
ミアがアリシアの肩を強く揺すった。
「アリシア様!気を強く持ちましょう!あの腐ったジャガイモのために泣いたり傷付いてはいけません!涙の無駄遣いです!これ以上その真珠のように綺麗な涙は流さないでおきましょう!」
アリシアはミアのあまりの言いように笑った。
「ここぞという時に取っておくわ、有難うミア」
レイナルドが優しい眼差しで
「あなたたちの分、あのミミズ野郎にはたっぷり泣いてもらわないとね」と言って水面に浮かぶ目はギラギラと強い光を灯していた。
「そういえば、明日……、いえ日付が変わっているからもう今日ね、面白いことがあるわ」
「え!?何ですか!?」
アリシアの言葉にミアが髪の毛までぴょんぴょん跳ねさせながら聞いた。
「ブラウン家にとって凄く大切な商談があるの。お相手は隣国の方で、ブラウン家の領地と接しているから関税の調整と、その見返りの魔洞窟採掘権や、隣国の魔道具職人の技術を使ったOEMによるブラウン家のビジネスと、隣国の台風からの復興支援索……」
「あの下半身に脳みそがある方が、そんなに難しいお話出来るんですか?」
ミアの丁寧ながらストレートな表現にエドガーのコーヒーが口から漏れた。
「っ失礼、あまりに的確で……」
肩を震わせるエドガーに促されて、アリシアは続ける。
「ミアの言う通り。あの下半身には何も話せないの。どれだけ入念に資料を用意しても、今まで商談でまともに議論できたことは一度もないわ、ええ一度も!」
「ではいつもアリシア様が面倒を見られていたんですね、大変……」
「あなた言うわね」
「あ!ごめんなさい!私気を緩めすぎましたかね!?」
「いいえ、それくらい言える女性の方が好きよ」
レイナルドはそう言ってウインクした。
「私もよ、ミア。ミアの言葉はいつもスッキリするわ。それでね、私は今日の夕方の商談は同席しないことにしました!」




