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お願いヒーラー!

 病院が足りない!

 医師が足りない!

 薬もない!


 私は半日でトタン板で簡易療養所を建てた。しかし私ができるのは看病だけ、病を治す力は無い。おじいちゃん王が「病気になった国民は仕方ない、死ね」と医療保障を作らなかったため、肺病が蔓延していた。


 病気の人達が死にそうだ。

 なんとかしないと。

 タロウちゃんがリュートを弾いて、みんな元気になってーと泣きながら歌う。


「ソビン、何かいい案はありませんか?」


「そうですね。これは··········難しいことですが、魔術の国に行きヒーラーに来てもらうしかありません」


 ソビンが言った。ヒーラー、あれか、回復魔法使う人か。


「なるほど。わかった。魔術の国へ行きましょう」


「ちょっと待ったー! 姉御!! 魔術の国は危険だぜ!」


 魔王トガリが私を止める。


「おっかないぜ! 魔術の国は! お、俺おっかないけど姉御の道案内する! 魔術の国の女王はとんでもなくおっかないんだぜ!」


「トガリ、おまえは魔王だから女王にやっつけられたのでは?」


 びくっ、とトガリが震える。図星のようだ。


「お、俺はこう見えて姉御より長生きしてるからー色々あってぇ。まあその、道案内はするから!」


 一生懸命だな、魔王トガリ。愛いやつだ。そうして私はトガリに案内され、一週間かけて魔術の国にたどり着いた。

 途中でトガリがすぐ疲れたと言うので、おんぶしてやった。


 魔術の国は濃い霧がかかっていた。

 関所はなくすんなり入れたが、トガリは弾かれてすっ転んだ。


  霧を通り抜けると森だった。小道を歩き進んでいくと、巨大なクリスタルが見えてきた。その周囲には色とりどりのドームがあり、道はガラスで下には樹木が広がってる。行き交う人は皆美しく、華奢な人ばかりで私のごつい体がさらに目立つが、別段注目もされない。


「すみません、お城はどこですか?」


 通行人の女性に尋ねる。銀の髪に紫色瞳でたおやかに微笑まれた。


「あのクリスタルが城です。あなたが城に入るにふさわしい者ならば、クリスタルの前に立てば城に行くことができます」


「なるほど、ありがとうございます」


 私はキラキラと眩しいクリスタルの前に立った。

 ひゅっと風が耳元で鳴った。


「ようこそ、我が城へ。あなたは滅びゆく国の救世主、サワムラ女王ですね。あなたが来るのを待っていました。私は魔王トガリに探知機をつけているので奴の居場所から世界情勢を把握しております」


 金色の長い髪に、伏せた目を囲う銀のまつげが眩しい女性が、一気に話した。青い石が結び付けられた木の杖を持ち、裾の長い白いドレスを着ている。若い女性の見た目だが、話し方には重厚さがあった。

 あ、話が早いな、さすが魔術の国の女王。


「お初にお目にかかります、女王様。おっしゃる通り私はサワムラ女王です。我が国の国民は肺病に苦しんでおります、ヒーラーのお力をお借りしたく参りました」


 私は膝をついて、願い出る。


「それはお辛いことです。我が国は派遣に力をいれておりますから、すぐにヒーラーを紹介します。ヒーラーグループ、召喚!」


  女王が杖をふると、床が光り輝いた。

 三人の若い男が現れた。


「こんちには、ヒーラーグループのリーダー、スーです」


「ジョーです!」


「ギューでーす」


 三人とも足が長い、腰位置高い、そしてそれぞれジャンルの違うイケメンだ!

 正統派イケメンのスー、垂れ目のムーディーな顔のジョー、中性的な顔のギュー。


「よ、よろしくお願いします」


 私はイケメン三人にペコペコ頭を下げる。イケメン三人は王子様のような服装だ。アイドルかよ。


「この道中、大変でしたでしょう。転移魔術で国に返してあげます。そーれどっこいしょ」


 女王が唱える? と、私は国に帰っていた。魔王トガリも一緒だ。


「サワムラ女王、診療所こっちですね。僕たちに任せてください」


 ヒーラーたちはあっという間に病人を救った。治療にかかる時間は三秒、中にはヒーラーのイケメン顔を見て回復する者もいた。


「やーい、魔王トガリ! 元気そうじゃん!」

「女王にこらしめられても、健気だねぇ」

「遊ぼうよ、遊ぼ遊ぼうー」


 ヒーラーたちは魔王トガリを追っかけるのが好きで、その姿は救いの天使ではなくいたずらな悪魔だ。


「わーー! 来るなよー!!」


 トガリが逃げ回る。

 あいつ、探知機つけられているんだよな。哀れなポンコツ魔王が走り回って遊ぶぐらい、なんとな国は平和だ。


 しかし、まだまだこれから!



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