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死神~みらい視点~

 あやたとは家が近所で、小さい頃はずっと一緒に過ごしていた。


 あたしが姉であやたが弟。兄妹みたいな関係だった。


 なんせあやたは世話が焼ける。


 足も遅いし、相撲も弱い。木登りすれば降りれなくなって泣いて、ハサミムシを見ただけで腰を抜かすような奴。でも、なんだかんだでついてくるから、一緒に遊ぶのは楽しかった。


 小学校2年生の時に、東京に転校してしまったけれど、休みになると帰って来たから、あたし達の関係はそんなに変わらなかった。


 5年前、突然海外に言ったと聞いた時も、またすぐ会えるだろうと思っていた。


 けれど、次の冬休みにも、春休みにもあやたは帰ってこなかったのには流石にへこんだ。


 お父さんに聞いたら、シシメル共和国とかいう遠い国の山奥に言ったから簡単には帰って来れないらしい。


 あやたがいなくなった心の空白を埋めてくれたのが、親友のなこだ。


 なこはあやたと違って、足も速いし、相撲も強い。木登りも得意で、クワガタ捕まえて平気で木から飛び降りるような子だ。


 学校は違うけど、休みの度に遊びに来てくれるなこがいてくれたおかげで、あやたがいなくても寂しくなかった。


 それから何年かが経って、あたしは杜兎高校に進学した。


 お父さんに「彩昂君が帰ってくるよ」と言われた時はちょっと楽しみだったけど、あやたは予定の日になっても、入学式になっても現れなかった。


 いないのが当たり前になって、あたしはあやたのことなんてすっかり忘れていた。


 そんなある日、突然あやたが帰ってきた。


 背も伸びて、青白かった顔は日に焼けてまるで別人みたいになっていた。


 正直、これまで会ったどの男子よりもかっこいい。


 細かった腕にもしっかり筋肉がついている。今じゃかけっこも相撲も勝てないだろう。


 くそー! あやたのくせに!


 変わったのは見た目だけじゃない。


 外国で勲章もらった? マフィアと戦った? 登録者500万人のVチューバー?


 いったい何なんだお前は。


 聞けば聞くほど実は別人なんじゃないかって思う。


 それなのに、喋ってみると昔のままだ。ちょっと抜けてて、つい世話を焼きたくなる昔のまま。


 気が弱くて、喧嘩もからっきしだったあの頃のあやたのままだった。


 それがなんで?


 マフィア相手に戦ったとか何の冗談だ?


 きっとめちゃくちゃ努力したんだ。


 辛い思いをたくさんしたんだ。


 なのに……あたしは、どうしてもその成長を素直に喜ぶことが出来なかった。


 なんで、よりにもよってあやたなんだよ……


 なんで、あやたが戦わなきゃいけなかったんだ……


 ……全部この子のため?


 なこに教えてもらったあやた動画。そこにはあやたを変えた少女の姿が映っている。


 動画にはモザイクがかかっていて顔は見えないけど、銀髪に褐色の肌した、びっくりするくらい綺麗な子だって知っている。


 あやたの義妹だという少女。


 あたしには彼女が死神に思えてならなかった。

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