27 優先順位
その後の事だ。
迎えの車と共にやって来た技術開発課の松戸達と入れ替わるように、鉄平達はディルバインの護送も兼ねて現場を離れた。
ひとまず誰も大きな怪我を負う事も無く被害も最小限で事を終える事が出来た訳だ。
色々と……一件落着とは言い難いが。
「……しかしこう言っちゃなんですけど、杏先輩の運転する車に乗るのが今日一身の危険を感じるイベントな気がしますね」
「えぇ……私二回位一時停止で切符切られただけなんだけどなぁ」
帰りの車は二台用意されていた。
一台は神崎が運転する車両。
もう一台は技術開発課がこちらに来る際に、色々と配慮してくれて余分に一台乗ってきてくれた結果用意された車両だ。
その運転を杏が行い、こちらには赤坂と鉄平。そしてユイが乗っている。
……そう、配慮だ。
技術開発課のメンツが海岸まで来る際にも、こうして支部に戻る際も不要な一台。
(……マジで助かるわ。ユイが良く顔を出してたおかげかな)
ディルバインが居る車両内でユイを人の姿に戻す事は現状まだ控えた方が良くて、そして長時間の武器化はユイのエネルギーを大きく消費する訳で。
そしてディルバインが危険という事を含め、ユイにとっては色々と有ったのだ。
……少しでも面倒事から遠ざけて落ち着けるようにした方が良いだろう。
そういう配慮。
だから今、ようやくユイは人間の姿に戻っている。
……平気そうに見えて、あまり元気がない様子で。
そんなユイに運転席の杏が言う。
「そうだ、ちょっとコンビニでも寄ろうか? ユイちゃん結構長い間剣になってたから体力持ってかれてるんだよね。どうかなコンビニスイーツでも」
体力とそれ以外と。二重に気を使うように。
「食べるのじゃ。やっぱり剣になって力を使いまくった後じゃとお腹がすくからの」
「じゃあ近くの所で一回停まろうか」
「アクセルとブレーキ踏み間違えて店に突っ込まないように気を付けるんじゃぞ」
「いくら教習所で一回死にかけた私でもそんなミスは流石にしない!」
「ははは冗談じゃ…………え、杏さんの今のエピソードも冗談じゃよな?」
「……どうかな?」
「えぇ……鉄平、ワシら生きて帰れるのじゃろうか。赤坂さんの言う通り、一番危険を感じているんじゃが」
「カエレルトイイネ……」
「そ、ソウジャナー」
そういう風に明るくやり取りをしているが、流石に分かる。
分かる位にはもうそれなりの時間を一緒に過ごしているから。
(……駄目だな、このままじゃ)
……色々と考える事は山積みだ。
そしてそれはディルバインからより詳しい話を聞いたりする中で増していくだろう。
でもとにかくそれらよりもまずはユイの事。
……どうやって前向きな気持ちにさせてやれば良いのか。
まずはそれを考えていかなければならない。




