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魔剣拾った。同居した。  作者: 山外大河
2-1 招かれざる客

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11 開戦の狼煙

「一応聞いといた方が良いかもしれないんで聞いときますけど、赤坂さんどんな風な戦闘スタイルで──」


「四級が難しい事気にするな! エリートの私が合わせるから好きに動いて!」


「はは、心強い……」


『そうじゃな』


 ある程度接近した地点で車両から降りた鉄平は、そんな会話を交わしてから改めて上空に視線を向ける。


(……改めて見てもデカすぎるだろ)


 ……現状まだ上空を飛行しているだけで何もしてきてはいないが、ひとたび牙を向けばその巨体から何かしらの最悪が齎される事は容易に想像できた。

 そうなる前に、終わらせる。


「じゃあ杉浦さん、景気よくやっちゃうっすよ!」


「おうよ。やるぞ、ユイ」


『了解じゃ』


 ユイがそう言った瞬間、脳裏に力の使い方が流れ込んでくる。

 放つのは斬撃。

 ユイが地対空で放てる遠距離攻撃かつ、シンプルな破壊力だけを考えれば最高値を叩き出せるであろう一撃。


 それを開戦の狼煙としてアンノウンにぶち込む。

 最初の一手。できれば最後の一手であって欲しい行動はこれだ。


「これ一発で終わってくれ、よっと!」


 言いながら上空のアンノウン目掛けて斬撃をぶっ放す。


 そう、これで終わってくれればそれで良い。

 この一撃で敵アンノウンを止め、そして杏の結界でその巨体を受け止めた後に現場のウィザード総出で事故処理を行う。

 それが理想。


 だがそれで終わるとは限らないから。

 勉強して知った過去の色々な事例から察する事が出来るように、Sランク以上のアンノウンの相手をする事は決して簡単では無いから。


 鉄平とユイ以外の三人は、その一撃で戦闘が終わらない事を前提に動いた。


「篠原さん! 伊月ちゃん!」


 鉄平の斬撃と同時に柚子がそう叫ぶと、三人の前に小さな結界が出現する。

 それを出現とほぼ同時に三人それぞれ踏み抜いた。


 次の瞬間、鉄平の斬撃から僅かに遅れて、三人がアンノウン目掛けて勢いよくぶっ飛んだ。


 最初に柚子達と戦った際に、遠くから物凄い速度で距離を詰めて来た柚子が使っていたのがこれだ。


 攻撃を反射する結界を応用したカタパルト。

 

 そしてそれを見送っている内に斬撃が、迎え撃つように展開されたシールドを破壊した後に着弾。

 轟音と共に衝突した斬撃は、巨体を更に上空へと押し込むように押し上げる。

 だが。


(……駄目か。硬ってえ)


 貫通はしない。

 そして動きが止まった様子もない。

 着弾した地点、ひとまず腹と呼んでおく地面に向けられた面が大きくへこんだだけ。

 シールドにかなり威力を殺されたか、そもそも地対空対策で相当装甲が厚いのか、その両方か。

 それを見て杏が静かに言う。


「シールドは多分あっさり逝ったね。って事は本体が相当固い。あんまり下からの攻撃は効果的じゃないかな」


「じゃあ俺も上から叩きます! どのみち燃費クソ悪いから斬撃は連発したくねえんで!」


「頼んだぞ杉浦!」


「了解です! 行ってきます!」


 神崎にそう言葉を返してから、柚子が残していった結界を力強く踏み抜く。


「……ッ!」


 次の瞬間、鉄平の体は爆発的な推進力を纏って上空へと。

 最前線へと弾き飛ばされた。

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