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救えない人

作者: 秋葉竹



他人は、他人を、救えないんだ。

ごめん、

そんなこと、ホントは、知ってるよ、ね?


駅なかのコンビニで、

ミルクキャンディーを買って、ポケットへ、

今日は、あの人との思い出の緑地公園へ行き、

芝生の上で、ごろんと横になり、

口の中で、ミルクキャンディーを

舐める?

いや、ぼりぼり、ぼりぼり、噛み砕く。


ねえ、僕?

祈ってもムダだよ、

祈って、神さまに、

祈りごとを叶えてもらった過去など

あった?


だろう?


祈りなど

なんの意味も持たず、

ほんとうにたまたま、なわけなく、

この悲しみの未来に、現実が追いついた、

うそみたい、

来て欲しくない未来って

あっさりと、来るんだね。


神さまの、救いの声を

いつか聴いたと思ったんだが、

それは、僕が作り上げた、

やさしげで狡猾な、ただの幻聴だったんだ

ね?


そうだろ?




じぶんでじぶんの

心の弱さをなじるのは、好き。

ちょっとだけ、深刻な罪を

許してあげやすくなるから。


じぶんでじぶんの

心の狡さをみつめるのは、嫌い。

しょせんはこんな人なんだと

諦めてしまいたくなるから。


どうだろう?


他人が他人を幸せにできるのは

ほんとうなんだと思うよ。


でも、僕は、

なんどでも、救ってもらったことはあっても

でも、僕は一度だって、

他人を救ってあげたことはない。


僕は、他人を、救えないんだ。

でもごめん。

ごめん、

そんなこと、ホントは、ずっと前に

知ったことなんだ。


それなのにそれからなにも

変わろうともせず

神さまにすがって

ゆれうごく心を

その真っ赤な嘘を

そのままにして

生きてきてしまった

情けない小さい蛇なんだ、僕は

ただただ地を這い、逃げるだけの。




死にたい、


とか、


ゆうな。




他人は、他人を、救えないんだ、から、な?

だから僕はただこういうんだ、


なさけない、

蛇で、

ごめんなさい。


だから僕は

同じ蛇なら

静かに、強く、狡く、邪に堕ちてでも、

生きてゆく、

生きかたを、選ぶよ。

かま首を持ち上げ

毒牙を剥き出し

血の色の目で神さまを睨みつける

地を這う蛇に、なるよ。


そして、ゆうよ。

狡猾な、

蛇で、

ごめんなさい。















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