邪推
「よう、秋葉。どうやらまた同じ部屋みたいだな」
途中、いつも通りの明るい口調で垣内が僕を呼び止める。
「ああ。なんの縁なんだろうな……」
いっしょに誰と歩いているとか、今がどういうタイミングなのかとか。そういった条件は彼の行動を縛る枷にはならないのだと、最近の僕は学習し始めていた。
「ここ最近、お前を班に誘おうとする俺のことを避けて。今度は一体何を企んでたんだ?」
結局垣内は、六人の班を組んだようだ。ここ数日彼の下にはひっきりなしに多くの新入社員が接触を試みていたようだから、八人でないのは少し意外だった。
「なにも企んでなんてない。それに、お前を避けてたって言うのも誤解だ」
けれど、その分彼は彼なりに、自らの目を信じてそれらの人物をふるいにかけたということだろう。彼の与した班のメンバーは、みなどこか表情が自信に満ちているような気がした。
「販売戦略、営業のエースなんかも集まって、この班なら大分楽できたと思うんだがなぁ」
おい、エースってなんだなどと、僕の知らない誰かが垣内の肩に拳をぶつけて笑い合っている。どうやら、チームワークも問題ないようだ。
「そんなわけないだろ。どうせお前にこき使われるに決まっているんだ」
「ひどい言い草だなぁ、お前は。まあいいけどな」
お前の企画も楽しみにしてる、と最後に垣内は呟く。けれど、そう無邪気な彼に僕は。きっとそんな期待に応えることはできないだろうと、気付かれないように自嘲気味の笑みを漏らしていた。
とても喜ばしいことに、気づかないうちに本編のブックマークが100件を上回っていました。
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。現在こちらの番外編を毎日更新中ですが、今週末に本編側も数話更新予定となっています。もしよろしければ、のぞいてみてください。




