4月17日(1) いつもの寝起きの巻 *PV1万突破記念
本日更新するのはPV1万突破記念の短編です。
前半の部は12時・13時・14時頃に、後半の部は21時・22時・23時頃に投稿します。
よろしくお願い致します。
部屋に設置されているスピーカーから寮長の声が聞こえて来る。
意識が覚醒していない俺には、安眠を妨げる騒音でしかなかった。
煩えと思いながら、俺は寝返りを打つ。
体勢を変えた途端、再び眠気が押し寄せて来た。
まだ寝足りない俺は寮長の朝の挨拶を軽く聞き流し、二度寝を決め込む。
ああ、春の朝の二度寝程、気持ち良いものはない。
春眠暁を覚えず。
桜を見るよりも春風を浴びるよりも、寝過ごす事の方が1番春を実感できる。
ああ、春は素晴らしい。
まあ、春だろうが何だろうが2度寝できる時は寝るんだけど。
そう思いながら、俺の意識は闇に落ちていく。
すると、おっぱいプリンに囲まれる夢を見る事に成功してしまった。
そういや、実家にいた時、よくおっぱいプリンを食べていたっけ。
懐かしさを感じる夢を見ながら、心地良い二度寝をしていると、部屋の外から物凄い不快感を感じさせる足音が聞こえてきた。
布団の中に潜り込み、騒音から逃れようとする。
だが、薄い布に頭を埋めた程度では寮長の追撃を逃れる事ができなかった。
「起きろ、つかさあああああああ!!!!」
勢い良く部屋の扉が開かれる。
それと同時に俺の鼓膜は寮長の快音波により破壊されそうになる。
「うぎゃあああああああ!!!!」
寮長の音波攻撃は寝起きの俺に効果抜群だった。
「毎朝毎朝寝過ごしやがって……!!今、何時だと思っている!?とっくの昔に朝礼は終わっているぞ!!毎朝7時は食堂に集合って何度言ったら分かるんだ、お前は!?」
寮長は俺から布団を引っぺがすと、俺をベッドから引き摺り下ろす。
「ほら、とっとと用意しろ!お前の分の朝飯は食堂に置いているから、さっさと食いに来い!」
「ぐぅ………」
「寝るなあああああ!!!!」
寮長は躊躇う事なく、俺にプロレス技を浴びせる。
関節の痛みにより、俺の意識は強制的に覚醒させられた。
「あんぎゃああああああ!!!!」
俺は薬指をタンスに打つけた時に出すような断末魔を上げてしまう。
こうして、俺は新たなプロレス技を覚えるのであった。
寮長は俺が目覚めた事を確認すると、俺の脇腹を蹴り上げ、退室する。
今度は眠気とは別の意味で起き上がれなくなった俺は部屋の床を這いながら、部屋に設置されている洗面所へ向かう。
そして、何とか身支度を済ませると、俺は食堂に向かって歩き出した。
食堂には誰1人いなかった。
いつも座っている席に朝飯が置いてあった事に気づいた俺は欠伸を浮かべながら、そこに向かう。
そして、1人寂しく朝ご飯を食べた。
「……肉、喰いてえ」
焼き魚と白飯食べた程度では、腹が膨れなかったので、食堂に隣接している厨房へ向かう。
厨房に設置されている巨大な冷蔵庫を開けた俺は中から豚肉を取り出した。
俺は生姜焼きを作ろうとする。
豚肉を厨房に置いてあった俎板に乗せたと同時に、いつの間にか俺の背後にいた寮長が怖い声色で話しかけて来た。
「……お前、何してやがる?」
「肉喰いたいから、生姜焼き作ろうと。あ、寮長も食べます?」
「そ、れ、は、ああああああ!!!!」
包丁を探していたら、寮長からバックドロップ──相手の背後から片脇に頭を潜り込ませた後、相手の腰を両腕で抱え、後方へと反り投げるプロレス技。日本では岩石落とし、アメリカではベリー・トゥー・バック・スープレックスと呼ばれている──をモロに喰らってしまった。
「今日の晩飯の分だああああああ!!!!」
「ぎゃああああああおあああ!!!!」
またもや寮長からプロレス技を浴びせられてしまった。
大ダメージを負った俺は厨房の床にて大の字で寝そべる。
「ちょっと目を離したら、すぐこれだ!!だから、お前から目を離せねえんだよ!!」
「……それ、もしかして、プロポーズですか?」
「心からの罵倒だよ!!」
こうして、俺の何でもない1日は始まった。
いつも読んでくれて本当にありがとうございます。
みなさんのお陰で昨晩一瞬だけでありますが、アクション文芸日刊ランキング10位を獲得する事ができました。
この場を借りて評価してくださった方、ブックマークしてくれた方、そして、いつも読んでくださる皆様に厚く厚くお礼を申し上げます。
本当にありがとうございます。
これからも毎日更新していきますのでよろしくお願い致します。
次の話は13時頃に投稿予定です。




