4月9日(1)女子高生?と遭遇するの巻
俺──神宮司が四季咲楓と出会ったのは高校2年生になって、まだ1日も経っていない4月9日木曜日、いつも通りの日常を過ごした後のことだった。
あの日の俺はいつも通り寮の部屋で起床し、いつも通り食堂で朝飯を食べ、いつも通り学校に登校し、いつも通り授業を受け、いつも通り友達と談笑して、いつも通り喧嘩を売られ、いつも通り寮に帰ろうとしていた。
いつも通りではなかったのは、放課後すぐに寮に帰れなかった事。
そして、生徒会の雑事を押しつけられた事だけだ。
合同合唱コンクールの打ち合わせに付き合わされた俺は、隣の隣の町にある女子校──聖十字女子学園に行く事になってしまい、そこで俺は"自称"聖十字女子学園生徒である四季咲楓と遭遇してしまったのだ。
四季咲楓を自称女子高生と見做したのは理由がある。
彼、いや、ここは彼女と言うべきか。彼女はどこからどうみても男にしか見えなかったのだ。
それも中性的な容姿とか男の娘いう類ではない。
彼女の容姿は醜い男そのものだった。
脂ぎった黒髪にニキビだらけの皮膚。
一重の瞳に低い鼻。
肉団子と言っても過言ではない頬の肉に怠惰の象徴である二重顎。
その二重顎には青髭が見える。
顔面だけでもモテる要素皆無なのに、胴体はそれ以上に酷い。
突き出た腹に短過ぎる手足。
尻は西瓜のようにデカく、太ももはまるでハムのよう。
その脂肪だらけの身体を包むのは正十字学園の女子制服。
客観的に見て──言い方が悪い事は重々承知しているが──彼女は女装しているデブ男にしか見えなかった。
「お願いだ、信じてくれ」
彼女は小さい瞳に涙を溜めながら、俺の顔をじっと見つめる。
彼女の話によると、今の彼女の姿は本来の彼女の姿じゃないらしい。
どうやら不思議な力で彼女の容姿を何者かに奪われたようだ。
誰が聴いても荒唐無稽な話。
それを彼女は涙を流しながら、信じてくれと懇願した。
それが俺と四季咲との最初の出会い。
かくして、俺はまた魔法絡みの事件に首を突っ込む事になった。
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