思い出話の巻
「どういう子供だったか……そうだな、わんぱく小僧だったかな。朝は外で虫捕りして、昼は近所の友達と野球して、夜は親が趣味で集めていた洋画を連続視聴するような子供だった」
啓太郎と教主様、そして、酒乱天使と一緒に村を練り歩きながら、俺は自分の身の丈を語る。
美鈴と脳筋女騎士はって?
あいつらは現在小学校の校庭でお昼寝している。
呑気な奴らめ。
「そうか、1日中遊んでいたのか」
「うるせえ、子供は遊ぶ事が仕事なんだよ」
啓太郎の皮肉に反論しつつ、俺は自らの子ども時代を語り続ける。
「というか、ちゃんと勉強していたぞ。主に夏休み最終日とかテスト前とか」
「その単語の響きから全然勉強しているように思えないんだけど」
そう言って、酒乱天使は呆れたように溜息を吐き出す。
「まあ、小学校時代は遊んでいた記憶しかないな。あ、高い所から落下した事もあったっけ」
「な、何で高い所から落ちたんだよ」
呆れた様子で教主様は口を挟む。
「細かい事はよく覚えてない。気づいたら病院に入院してた。医者曰く、遊び過ぎて頭パァになったらしい」
「そうか、君は遊び過ぎた所為で頭パァになったのか」
「そんな俺も中学時代はこのままじゃロクな大人にならないと思って、真面目に勉強しようとしたんだ」
「じゃあ、中学生の時は勉強一筋だったのかしら?」
「いや、気がついたら中学3年間、喧嘩ばっかしていた」
啓太郎と教主様と酒乱天使は愚か者を見るような目で俺を見つめる。
やめろ、そんな目で俺見つめるな。
「最初は先輩に絡まれた友達を助ける為に喧嘩したんだよ。そしたら、何故か番長を名乗る先輩と喧嘩する事になって。で、その番長倒したら、今度は他校の番長と喧嘩する事になって。そんな事を延々と繰り返していたら、いつの間にか暴走族300人相手と喧嘩する事になった」
「そうか、君は昔からそんな感じだったのか」
「と、まあ、そんな感じで中学時代は喧嘩ばかりしていた。このままではロクな大人になれないと思った俺は、高校からは心機一転、知り合いが誰もいない場所でやり直そうと決意したんだ。で、英語が得意なのもあって、何とか今の高校に受かる事ができた俺は、入学式当日、番長を名乗る男に絡まれる布留川を助けた所為で、不良というレッテルを貼られてしまった」
「違う土地で同じ過ちを繰り返してない?」
「お前、絶対、暴力で解決しようとしただろ」
酒乱天使と教主様はバカを見るような目で俺を見つめる。
啓太郎はというと、一年前の俺を知っているので、特に反応しなかった。
「その所為で数多のヤンキーに絡まれるようになってしまった俺は、日暮市無差別強姦事件に巻き込まれた事がきっかけで、警官である啓太郎達と知り合った所為で、これまた勉強できない状態に陥って。2学期は2学期で、理事長の陰謀に巻き込まれて再び勉強できない状況に。3学期こそ勉強頑張るぞーって思っていたら、桑原麻薬売買事件に巻き込まれてしまって。やっとの思いでヤクザ一家との闘いに終止符を打ったかと思えば、今度は変な宗教集団に追われるわ、女子校に潜伏する化け猫と闘う事になるわ、世界一の魔術師と闘う事になるわ、平行世界に漂流したわで今に至るという訳だ」
「意外と平凡な日々を送っていたのね」
「言う程、平凡か?」
酒乱天使の言葉にツッコミを入れる教主様。
「他の開拓者と比べたら平凡よ。ほら、こいつの同一存在──ジングウがいたでしょ?そいつは第三次世界大戦が起きた平行世界からやって来たのよ。それと比べたら凡よ、凡」
「へえ、凄いんだな、平行世界の俺」
「それよりも、何かキッカケは掴めたのかしら?」
「いんや、全く」
歩いて、歩いて、歩き続けて。
俺達はそこまで広くない村の中を歩き回る。
が、日が落ちる時間帯になっても、俺は自分の真の願いとやらを見つける事はできなかった。
美鈴と脳筋女騎士と再開した後、俺達は先生の家に戻る。
そして、夜飯であるカップ麺を食べながら、テレビの画面に映る金郷教前教主とこの世界のバイトリーダーと睨めっこし続けた。
「……他のチャンネルを変えても、この世界の金郷教教主しか映らないな」
チャンネルを変えながら、溜息を吐き出す啓太郎。
彼の言う通り、どのチャンネルに変えても、金郷教前教主しか映らなかった。
金郷教に入れば幸せになれると力説するテレビの中の前教主を眺めながら、美鈴の方を見る。
彼女は複雑そうにテレビ画面を見ていた。
「これじゃ電車が復旧したのか分からないわな」
「新幹線とやらを使わない方法も模索するべきだ。コイツが強くなった後、迅速に始祖ガイアの下に辿り着く方法を確保しとかないと、取り返しのつかない事になるぞ」
そう言った、酒乱天使と脳筋女騎士と啓太郎は作戦会議を開く。
そんな彼女達を眺めながら、俺はラーメンを啜り続けた。
あっという間に寝る時間になってしまう。
あんだけ昼寝したにも関わらず、美鈴は真っ先に眠ってしまった。
俺もその後に続いて眠る。
が、3時間もしない内に目が覚めてしまった。
起き上がった俺は先生の部屋を舐めるように見渡す。
啓太郎と脳筋女騎士と教主様がいない事に気づいた。
オオカミのキーホルダーみたいになった酒乱天使と幸せそうな寝顔をしている美鈴を起こさないように窓の方に歩み寄る。
すると、窓の外から啓太郎の声が聞こえてきた。
「貴方だな、生徒を自殺に追いやった碌でもない教師は」
いつも読んでくれている方、ここまで読んでくれた方、ブクマしてくれた方、評価ポイントを送ってくださった方、感想を送ってくださった方、そして、新しくブクマしてくれた方に感謝の言葉を申し上げます。
先月は公募用の小説に集中していたため、更新が片手で数えるくらいにしか出来ませんでした。
この場を借りて、お詫び申し上げます。
今月は週に1〜2回更新できるように頑張りますので、お付き合いよろしくお願い致します。
次の更新は4月6日水曜日22時頃に更新予定です。
ちゃんと番外編も完結させるので、これからもお付き合いよろしくお願い致します。




