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4月29日(1)プールに来たよの巻*7万PV達成記念短編

 4月29日。

 羊肉の日とか阿寒湖湖水開きとかいう記念日よりも一般の人なら昭和の日と言った方が価値を見出せそうなある日の休日。


 俺──神宮司と四季咲はバイトリーダーに頼まれて美鈴と美波をプールに連れて行く事になった。


「何でプールに来なきゃいけないんだよ。別に俺に頼まなくても良いだろ、クソ」


 ぐちぐち言いながら、俺は男子更衣室にて服を脱ぎ捨てる。


「そういや、兄ちゃん、泳げないんだっけ?」


 俺の隣で水着に着替える小鳥遊弟につい視線を向けてしまう。

 彼は自分の脱いだ服を綺麗に折り畳んでいた。

 育ちの良さが垣間見える。

 こいつの姉──小鳥遊神奈子──は野蛮なのにと思いながら、俺も彼を見習って、服を折り畳もうとする。


「何で兄ちゃんは"絶対善"を倒せるくらいに強いのに泳げないの?何かトラウマでもあんの?」


「んー、あるっちゃあるな。俺、お前くらいの頃、川で溺死しかけた事あるんだよ」


「それでトラウマになったん?」


「なりかけたって表現の方が適切だな。溺死直後は水に近寄れなかったけど、色々頑張ったお陰で小学校高学年なるくらいには潜水できるようになったし」


「じゃあ、何で泳げないん?」


「何でか泳ごうとすればする程、沈んでしまうんだよ。足を動かしても全然前に進まないし」


「それ、めちゃくちゃ力んでいるからじゃねぇの?」


「かもな。まあ、潜水だけで50メートルいけるから、泳げない訳じゃないけど」


「潜水の時点で泳げる人の泳ぎ方じゃないと思うけど」


 そんな事を話しながら、俺達は着替え終わる。


「小鳥遊弟、それ、学校指定用の水着か?」


「うん、そうだけど……ていうか、兄ちゃん、何でアロハシャツだけ着てんの?下は水着みたいだけど……」


「泳ぐつもりはないからな」


「アロハシャツ自体ダサいのに、裸アロハは最高級のダサさと思うよ。少しは最近のトレンド勉強したら?」


「小学生にオシャレについて説教されてもうた」

 

 まさかのダメ出しに俺はかなり落ち込んだ。

 仕方ないので、アロハシャツの前を閉める事でダサさを緩和しようとする。


「それなら、まだ前開けていた方が良いと思うよ。ダサさが倍増しちゃうから」


「何やってもダサいと言われる俺の身にもなってくれ」


「ていうか、水着も7分丈な時点でダサい。どうせならブーメラン水着じゃないと」


「そうか?……最近のトレンドはそうなのか?」


 喧嘩に明け暮れて、オシャレを気にする暇がない俺にとって、ブーメラン水着が流行っているという事実はかなり衝撃的だった。

 あれ、めちゃくちゃモッコリしてダサいじゃん。

 え、俺の感覚が間違っているのか?

 更衣室から出た俺達は待ち合わせ場所である子どもプール付近に向かう。

 そこには、水着姿に着替えた美鈴と小鳥遊、そして、美波──金郷教騒動の時、山口で俺を襲った名もなき女の子──がいた。


「あ、お兄ちゃんだ」


 ワンピースみたいな水着を着た美鈴は俺を見かけるや否や手を振る。


「神宮、やっと来たか」


 黒いビキニを着た四季咲は肩にかかった自身の金髪を手で払いながら、柔らかな微笑みを溢す。


「遅いです、何してたんですか」


 スク水に似た水着を着た美波──金郷教騒動の時、山口で俺を怒った元名もなき女の子──は、不機嫌そうに俺を睨みつける。


「いや、ちょっとな………自身のセンスのなさに絶望していただけだ」


 ブーメラン水着を買っとけば良かったと思いながら、そっぽを向く。


「ねぇねぇ、お兄ちゃん?どうこの水着?似合ってる?」


 ご機嫌な様子で先日バイトリーダーに買って貰った水着を俺に見せつける水着。


「あー、似合っている似合っている。可愛いと思うぞ、うん」


「……お兄ちゃん、また、いい加減に答えたよね」


「仕方ねぇだろ。健全な男子高校生ってのは、エロいかどうかでしか判断できな……」


 四季咲から頭を叩かれた。


「君は美鈴ちゃん達に何を教えようとしているのだ?」


「大丈夫だって。小鳥遊弟や美波はともかく、美鈴には世界の真実を教えたし」


「世界の真実?」


「赤ちゃんは、<放送禁止用語>して作るものって」


「ん?なんでそこで性別の意味する単語が出てくるんだ?」


 どうやら四季咲も<放送禁止用語>について知らないらしい。

 仕方ないので教える事にする。


「<放送禁止用語>ってのは、○○○を△△△に挿入する行為の事だ」


 再び四季咲から叩かれた。


「小さい子達に何を教えているんだ!?」


「別に大丈夫だろ。美鈴達は高学年くらいだし」


「この子達が変な事をしたらどうするつもりだ!?」


「大丈夫、俺、小1の時に<放送禁止用語>知ったけど、未だに童貞だし」


「兄ちゃん、童貞ってなに?」


「<放送禁止用語>を経験していない男の総称だ。ちなみに<放送禁止用語>を経験していない女は処女と呼ばれて……」


 再び四季咲に頭を叩かれた。


 いつも読んでくれている方、過去にブクマしてくれた方、評価ポイントを送ってくださった方、そして、新しくブクマしてくれた方に感謝の言葉を申し上げます。

 今回のお話は6万PV達成記念短編よりも前のお話です。

 8〜10万PV達成記念短編の前振りみたいなお話になるので、コメディ成分多めですが、この短編だけはお付き合いしてくれると嬉しいです。

 また、同時連載している「爆破令嬢(略)」の続きや公募用の小説を書いているため、この短編はまだ完成していません。

 そのため、今週は月・火・木・金の12時頃に更新させて貰います。

 来週の分は完成したら具体的な時間を告知します。


 次の更新は明日の12時頃です。

 これからもよろしくお願い致します。

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 厚かましいと自覚しておりますが、感想、レビュー、ブクマ、評価、お待ちしております。 小説家になろう 勝手にランキング
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