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4月30日(2)神宮司と小鳥遊神奈子 *6万PV達成記念短編

 前回までのあらすじ。 

 伊紙丸、出会い系にハマる。

 俺、委員長を貧乳呼ばわりして、制裁を与えられる。


「ぐへえっ!!」


 もう貧乳を荒地なんて言わない。

 そう固く心に誓いながら、俺は雑菌塗れの教室の床に大の字の状態で寝そべる。


「要するに女の子をキュンキュンさせれば良いんでしょ?なら、クラス1イケメンの園田君の写真送りなさいよ。女なら否応なしにキュンキュンすると思うから」


「誰も幸せにならない方法!?」


「あんただって、ソシャゲのガチャでレアが来るよりもスーパーレアが来た方が嬉しいでしょ?」


「じゃあ、ウルトラレアな俺の写真送ろうぜ。園田よりも俺の方が男前だ」


 大の字に寝そべりながら、俺は挙手する。


「あんたみたいなガキ大将をそのまま大きくした感じの奴じゃウルトラレアの称号は不相応よ。あんたの容姿なんて精々無料ガチャで出てくるノーマル程度にしか価値ないっての」


「え?伊紙丸、俺、そんなに醜い容姿しているん?」


「少なくともワイが知っているウルトラレアなイケメンは教室で寝転がらない」


「仮にあんたがウルトラレアだとしても使い道のないウルトラレアよ。ガチャすり抜けて来る系の」


「沢山出てくるレアよりもユーザーに嫌悪感持たれる奴じゃねぇか」


 いじけた俺は俯せの状態になって、床を叩き始める。


「俺だって容姿だけで女の子にチヤホヤされる人生を歩みたかったよ!!8股している園田みたいに!!」


「おい!神宮!!今、僕の名誉を傷つけるような発言聞こえてきたんだけど!?」


 教室の隅の方でサッカー部仲間と飯を食べていた園田君──去年の秋に露出狂に目覚めた──が反応する。


「なんですか!?女を8股した挙句、今度は70代のババアに手を出そうとしている園田君!!」


「デマを大声で流さないで欲しいんだけど!?なに!?僕、なんか悪い事をした!!??」


「てか、伊紙丸。女の子と仲良くしたいなら神宮みたいな暴力漢に頼るんじゃなくて、最初から園田みたいな女の子を金ヅルとしか思っていない奴に聞けば良かったのよ。ほら、さっさとヒモになる秘訣を彼に聞いてきなさい」


「神宮といい、何で委員長も口を開けば、僕の評価を落とすような発言するの!?僕、彼女いない歴イコール年齢なんだけど!!??」


「園田、私達なりの愛情表現よ」


「アイラブユー、園田。フォーエバー、園田」


「その愛、かなり歪んでませんか!!??」


 園田のツッコミが繰り出されると同時に教室の扉が開く音が俺らの注意を惹きつける。

 扉の方を見ると、そこには不機嫌そうな小鳥遊神奈子──今日から復学した人狼の女の子──が立っていた。

 彼女は不機嫌そうに教室を見渡すと、自分の席に座る。

 彼女の醸し出す威圧感の所為でクラスメイト達は言葉を失った。

 まるで彼女の逆鱗に触れるのを恐れるかのように。

 まあ、彼等が小鳥遊を恐れるのも仕方ない。

 彼女はこの辺りで有名な不良なのだから。

 下手に機嫌を損ねたら、ボコられかねないし。

 小鳥遊はクラスの空気なんか知ったこっちゃないと言わんばかりの態度で自分の席に座ると、机にうつ伏せで寝始める。

 たったそれだけで彼女の身体から威圧感というものが出始めた。


(神宮、小鳥遊さんをどうにかしなさいよ)


 委員長は俺に無茶振りを囁く。


(どうにかって?具体的な方向性を定めて貰わないと俺も何したら良いのか分からねぇよ)


(あの子がクラスに馴染めるように、よ。ほら、あの子、暫く家庭の事情で休んでいた所為でクラスに馴染めなかったじゃない?あんたがあの子とクラスメイトの架け橋的存在になりなさいよ)


(何で俺が……委員長がやれば良いのに)


(もう断られたわ)


 そういや朝のHR前に委員長が小鳥遊に絡んでいた事を思い出す。


(多分、あんたにしかどうにかできないのよ。架け橋的存在になれとまでは言わないから、せめて私達と気軽に話せるような空気を作り出して。一生のお願い)


(委員長の一生のお願い、俺、5回くらいされてんだけど)


(うるさい、さっさとやれ)


 クラス委員長としての責務に燃える委員長は真剣味を帯びた表情で俺に頼み込む。


(大体承知、できる限りの事はしてみるよ)


 そう言って、俺は小鳥遊の下に歩み寄る。

 俺の気配を感じ取ったのか、小鳥遊の身体から"来るな"オーラを感じ取った。

 俺はそれを敢えて無視して、彼女に話しかける。


「よぉ……"一匹……じゃなかった、小鳥遊。身体の調子はどんな感……あ、そういや、元気だったよな。500円玉取ろうとして醜態晒すくらいに」


 昨日の出来事──500円玉を取ろうとして建物と建物の間に挟まって出られなくなった小鳥遊の姿──を思い出しながら呟く。

 彼女は顔を上げると、視線だけで人を殺せそうな勢いで俺を睨みつけた。

 どうやらこの話題は地雷らしい。

 なので、話題を変えてみる事にした。


「あ、そういや俺があげたペット用の服、使っているらしいな。小鳥遊弟から聞いたぞ」


 ──教室の空気が凍てつく。

 自分が失言した事を肌で感じ取った。

 振り返る。

 委員長と伊紙丸はドン引きするような目で俺らを見つめていた。


「え、……ツカサン、ペットプレイ好きなん?」


「そういや、あいつ、前に異世界転生したら金髪爆乳美女と爆乳獣っ娘のハーレム築きたいって言ってたよね」


「そういや、以前、僕と性癖を語り合った時、獣っ娘の尻尾をもふもふしたいって言ってたような」


「うわ、神宮くん、獣姦好きなんだ」


「通りで伊紙丸や菴堂、土井中と連んでいる訳だな。おかしいと思ってたんだよ、あいつだけ性癖普通な方だったから」


「金髪爆乳美女好きは隠れ蓑、真の姿はケモナーだったという事か」


 クラスのみんなはある事ない事話し始める。

 光の速さで誤解が広がると共に俺のイメージは落ちてしまった。 

 俺が何をしたって言うんだ。


「誤解だ!みんな!!確かに小鳥遊にペット用の服をあげたけど、俺とこいつはアブノーマルなプレイをする程に仲良くない!!」


「つまり、セフレって事ね」


「頼むから委員長、黙ってくれないかな!?100円あげるから!!」


「じゃあ、ペット用の服を何であげたんや?」


「そりゃ小鳥遊が使うからに決まっているだろ」


「え、どういう用途で使うんですか?」


 ドン引き気味に今まで静観を決め込んでいたツインテール娘が口を開く。

 そういや小鳥遊が人狼だって事は隠さなきゃいけないんだっけ?

 とりあえず、俺はそれっぽい事を誤魔化そうとした。


「そ、そりゃ夜の1人遊びに使うからに決まって………」


「私を貶める発言しかできないのか、あんたはあああああああ!!!!」


 小鳥遊の絶叫が背後から聞こえてきたので振り返る。

 背後を見ると、顔を真っ赤にした小鳥遊が片手で机を持ち上げていた。

 

「お、落ち着け、小鳥遊!性欲が強いのは恥ずかしがる事じゃない!むしろ誇るべきだと思う!俺も性欲強めるためにポコチンで鉄アレイを……」


「知るか、ボケェええええええ!!!!」


 俺の失言により始まりました、大乱闘デスククラッシャーズ 。

 その後の事は……まあ、語りたくない。


 ここまで読んでくれた方、過去にブクマしてくれた方、評価ポイントを送ってくださった方、そして、新しくブクマしてくれた方に感謝の言葉を申し上げます。

 

 次の更新は6月6日(日)12時頃に予定しております。

 まだ6万PV達成記念短編は完成していませんが、来週辺りに完結できるように頑張ります。

 これからもお付き合いよろしくお願い致します。

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 厚かましいと自覚しておりますが、感想、レビュー、ブクマ、評価、お待ちしております。 小説家になろう 勝手にランキング
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