表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

214/331

4月28日(5)土管にハマった四季咲の巻 ※5万PV達成記念短編

 前回までのあらすじ。

 四季咲が土管にハマった。

 あと、鎌娘も土管にハマった。


「さて、土管を壊すか」


 いつものように右の拳を握り締める。

 すると、土管にハマった鎌娘が抗議してきた。


「はぁ!?んな事して、私にあんたの拳が当たったらどうする訳!?慰謝料、5000兆円取るわよ!!」


「5000兆円って100円玉何個分だよ」


「多分、5万個くらいだと思うわ!!」


「マジかよ、う○い棒、5000個くらい買えそうじゃん」


「聞いていて頭が悪くなる話を止めてくれないか!!??」


「キャーキャーうっさいわよ!土管尻女!!」


「鎌娘、今のお前も土管尻女だからな」


「なら、女を辞めるわ!これで土管尻男にジョブチェンジよ!!どうだ、参ったか!?」


「恥である事には変わりない」


「神宮、その言葉、私の胸にも突き刺さるから止めてくれないか!?」


「ていうか、あんた、さっきからニヤついてない!?何か喜んでいるように見えるんだけど!?まさかマゾ!?マゾなの!?」


「で、出鱈目を言うな!マゾというものが何か分からないが、喜んでいないのは確かだ!!」


「いやいや、あんた、顔真っ赤なんだけど!?どう見ても興奮しているように見えるんだけど!!??頬の筋肉緩みっぱなしなんだけど!!??ねぇ、う○こ男!こいつ、超ド級の変態よ!しかも自覚ない分、タチ悪そう!!」


 超ド級の変人が四季咲を変態扱いする。

 側から見たら地獄でしかなかった。

 ちなみに美鈴には四季咲のパンツを買いに行かせた。

 教育に悪いので。


 彼女達の同意を得る事なく、公園の遊具を叩き割ろうとする。

 その時だった。

 ムカつく声が聞こえてきたのは。


「司、エリを見かけなかったか?」


 振り返る。

 そこには警官の制服を着込んだ啓太郎がいた。

 

「そこの土管にハマっている」


「……遅かったか」


 鎌娘の奇行を知った途端、啓太郎は文字通り頭を抱える。


「……こんな事にならないように病院の入り口で待っとけと言ったのに」


「ごめん、鎌娘がここに来たの、殆ど俺達の所為だわ」


 とりあえず、啓太郎にこうなった事情を伝える。


「ならば、先にエリを助けよう。彼女はパンツを履いているんだろ?それなら、僕ら2人で引っ張り出す事ができる筈だ」


「そこのう○こ男に触れられるくらいなら死んだ方がマシだわ」


「だってさ」


「仕方ない。僕1人で引き抜くか」


 そう言って、啓太郎は躊躇う事なく、鎌娘の両足を掴む。


 うんとこしょ、どっこいしょ。

 なかなか鎌娘は抜けません。


「やっぱ、啓太郎の腕力じゃ無理みたいだな」


「おい、司。僕が非力みたいな言い方は止せ。名誉毀損で逮捕するぞ」


「事実を述べただけでこの仕打ち」


「というか、エリに四季咲くん。魔法や魔術を使って脱出する事はできないのか?」


「ここで使ったら魔法の巻き添え喰らうから無理」


「そんな魔術、私は知らない」


「どうやら詰んでいるようだな」


「俺が壊すよ」


「公共の物を破壊した罪で君を逮捕する」


「そこは融通利かせろよ、普段仕事サボっている癖に」


「エリに四季咲くん、壊した土管を魔法や魔術で元に戻す事はできるかい?」


「私、攻撃一辺倒だから」


「すまない。物を直す魔術までは……」


「どうやら司、君を逮捕しないといけないらしい」


「お前ら、邪魔しに来たのか?」


 啓太郎と鎌娘の所為で事態はよりややこしい方に突き進む。

 本気で帰って欲しいと思った。


「まあ、こんな事もあろうかと予め僕は策を練ってきている」


 そう言って、彼は懐からスマホを取り出すと誰かに電話を掛ける。


「もしもしキマイラ津奈木、僕だ」


『あ、啓太郎さん!丁度良かったです!今、警察の方に職務質問されていまして……』


「この電話は今電波の繋がらない場所にいます。もう1度お掛け直してください」


『そっちが掛けて来ましたよねぇ!?』


 警察に絡まれているキマイラ津奈木を即座に見捨てた啓太郎はスマホの電源を切る。

 聞き取った声から察するに、寮長の弟がキマイラ津奈木に職務質問しているのだろう。

 キマイラ津奈木はノーメイクでホラー映画に出て来そうなピエロみたいな風貌をしている上に頭から下の身体はチグハグなので、彼の事を知らない人間から見れば不審者以外の何者でもない。

 とりあえず、キマイラ津奈木はあの青白い肌を何とかすべきだと思う。

 あの青白い肌の所為で不審者感が倍増しているし。

 今度、日焼けサロンに行く事を勧めてみよう。

 

「人事は尽くした、後は天命を待とう」


「まだできる事は山程あると思うんだけど」


 やり切った感を出す啓太郎を横目に俺は右の拳を溜め息混じりに握り締める。

 ここでどうこう言っても事態は何も進展しない。

 ならば、汚れを被る覚悟で土管を壊そう。

 ここでグタグタやったら今以上に厄介な事になりそうだし。

 そう思った俺は土管を思いっきり殴る。

 が、本気でやったにも関わらず、俺の拳は土管を割るどころか傷1つつける事はできなかった。


「はっはっはっ!やっぱ、割ろうとしたわね!ウ○コ男!!だけど、残念!この土管は今魔力で硬度を強化しているわ!幾らあんたが本気で殴ったとしても傷1つつかないっての!!」


 全ての魔を退ける右の籠手──アイギスを身につける。


「おっと、神造兵器でこれを壊してみなさい!ここにいるド変態女と一緒に自爆するわ!!」


「何故だ!?何故、貴女は邪魔をするんだ!!??」


「え、なんとなく。強いて言うならウ○コ男の困らせたいから」


「特に理由がないなら邪魔をしないでくれないか!?」


「あんたみたいな変態かつ凡人には分からないようね、私みたいな天才の考えている事は」


「なあ、神宮!?この人、かなり頭おかしいぞ!!??日本語を話しているのに一切彼女の言っている意味が分からないんだが!!??」


「四季咲、それが恋だ」


「適当な事を言って誤魔化そうとしないでくれ!!」



 引っ張る事もできない。

 かと言って、土管を割る事もできない。

 万事休すとはこの事か。

 溜め息を零しながら、俺はパンツを買いに行った美鈴を待つ事にする。

 もう既に日は沈みかけていた。


 いつも読んでくれている方、ブクマしてくれた方、評価ポイントを送ってくださった方に感謝の言葉を申し上げます。

 明日は12時頃と20時頃に投稿致します。


 あと、この場を借りて、6・7万PV達成記念短編のタイトルの変更をお知らせ致します。

 6万PV達成記念短編のタイトルは「復学した小鳥遊」・7万PV達成記念短編のタイトルは「プール騒動」に変更します。

 これからも投稿し続けますので、よろしくお願い致します。


 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 厚かましいと自覚しておりますが、感想、レビュー、ブクマ、評価、お待ちしております。 小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ