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4月28日(4)土管にハマった四季咲の巻 ※5万PV達成記念短編

 結局、会長達はカラオケ屋に行ってしまった、俺達を置いて。

 パンツ履いていない&身バレ防止のため引っ張る事はできないし、土管を破壊する事もできないから当然だ。

 会長とかにパンツを買って貰うのもアリだと思ったが、土管の中にいる四季咲からの"もう彼女達に帰るように言ってくれ"というオーラの所為で、お願いできなかった。

 

「…………明日からどの顔晒して、学校に行けば良いんだ……」


「大丈夫だって、バレていないから」


「いや、バレていただろう。何人か私の名前を言いかけていたぞ」


「大丈夫、箱の中さえ開けなければ猫が入っているかどうか分からないから」


「私かもしれないと思われている時点で恥なのだが」


「仕方ないだろ、かもしれないじゃなくて実際そうなんだから」


「くっ……殺せ……!」


「生きろ、そなたは恥知らず」


 一昔前の女騎士のような事を言い出した所で、公園の入り口の方から美鈴の声が聞こえてきた。


「お兄ちゃ〜ん!!連れて来たよ〜!!」


「おー、でかした美す……」


 美鈴が連れて来たのは雫さんではなく、鎌娘だった。


「今すぐ誰かに擦りつけて来い!!」


「人を疫病神みたいな扱いしてんじゃないわよ!!」


 鎌娘は躊躇いもなく風の魔法で俺に攻撃する。

 俺はすぐさま右の籠手を装着すると、鎌娘の魔法を空に向けて弾き飛ばした。


「みたいじゃねぇよ!疫病神そのものなんだよ、お前は!!お前と絡むとロクな事にならねぇ!!」


「はぁ!?折角、人が忙しい中、わざわざ来てやったのに疫病神そのものとかどんだけ失礼な奴なのよ!こいつ!!」


「来てくれてありがとう!!けど、もう帰ってくれ!!100円あげるから!!」


「100円如きで買える訳ないでしょうが!!0が5桁足りないわよ!!」


 どっかのツギハギだらけの天才外科医 (無免許)みたいな事を言い出した。

 ポケットから取り出した100円玉にマジックペンで0を5個付け足す。


「ほらよ、1000万円だ!!」


「やったー!1000万円ゲット!!ってなるか、ボケっ!!」


「で、美鈴、雫さんはどうした?」


「話聞きなさいよ、このウ○コ野郎!!」


 ギャーギャー喚く鎌娘を無視して、美鈴の方を見る。


「雫さんは退院したばかりのお姉ちゃんと一緒に美波ちゃんの服を買いに行ったみたい。だから、退院したばかりで暇そうにしていた鎌娘さんを連れて来たの」


 美波──金郷教騒動の時、山口で出会った女の子の名前 (ちなみに命名者は雫さん)が美鈴の口から出てくる。 

 そういや、あの子含めて、元金郷教信者の子ども達は、今、『ひまわりの園』っていう孤児園にいるんだったっけ。

 今度会いに行こうと思いながら、俺は小鳥遊弟の姿を探す。

 が、どこを見渡しても、彼は見当たらなかった。


「小鳥遊弟はどうした?」


「自分のお姉さんを探しに行っちゃった。なんでも1時間前くらいに病院抜け出したって」


「病院抜け出すとか何やってんだよ、一匹狼(たかなし)



「看護師さん曰く、『神宮(バカ)影響(せい)だって』」


「俺がいない所で余罪だけが増えていく」


 1時間以上前に会った小鳥遊の様子を思い出す。

 いつも通り不機嫌だった。

 特に変わった所はなかったんだが、まあ、病院生活に飽きて抜け出したのだろう。

 俺も入院中はよく抜け出して駅前のゲーセンに入り浸っていたし。


「ぎゃっはっはっは!!こいつ、土管にハマってやんの!!」


 鎌娘は大爆笑しながら、土管にハマった四季咲の尻を叩く。

 その姿は先程の委員長そっくりだった。

 というか鎌娘の目元とか口周りが委員長とちょっと似ているような。

 すぐに止めようとする。

 が、俺が動き出すよりも先に鎌娘は四季咲の尻を叩くのを止めた。


「どんな間抜けが土管にハマっているのかしら。顔を見てやろうっと!」


 四季咲が頭を突っ込んだ土管の穴と正反対の位置にある穴に頭を突っ込む鎌娘。


「あ、暗くて見えないわね。もうちょっと身体突っ込まないと」


 鎌娘は土管の中に上半身を捻じ込ませる。


「あ」


 鎌娘のガチトーンの"あ"が聞こえてきた。

 俺と美鈴は鎌娘の身に何が起きたのか把握する。

 暫く見守っていると、鎌娘の尻が暴れ出した。

 

「ふぬっ!ふぬっ!ぬぅぅぅうううう!!」


 鎌娘の尻が右に左に揺れる。

 そして、尻の動きが静止すると、土管の中から鎌娘の絶叫が聞こえて来た。


「え、ちょ、抜けなくなったんですけどぉぉぉぉおおおお!!!!!ヘルプ、ヘルプミィイイイイイイ!!!!!」

 

 鎌娘も土管にハマってしまった。


「……お兄ちゃん」


 死んだような魚のような目で美鈴は俺の顔を仰ぐ。


「どうするの、これ」


 土管の両端から尻だけが露出している珍光景を見せられた美鈴は、呆れ通り越して、絶望したような表情を浮かべながら、俺に尋ねる。

 俺は溜息混じりにこう言った。

 


「……とりあえず、下着買ってきてくれないか?四季咲、訳あって今、ノーパンだから」


「何が起こったらノーパンになるの!?」


 ここまで読んでくれた方、過去にブクマしてくれた方、過去に評価ポイントを送ってくださった方、この場を借りて厚くお礼を申し上げます。

 

 6月は現在毎週水曜日に連載している「王子の尻を爆破してお尋ね者になった悪役令嬢(略)」の更新頻度を高めるため、6万PV達成記念短編・7万PV達成記念短編は週1更新にする予定です。

 7月は8〜10万PV達成記念短編である「4月31日」編を中心に投稿していきますのでよろしくお願い致します。

 

 また、本作品と「王子の尻を爆破してお尋ね者になった悪役令嬢」は一応繋がりがあります。

(本格的に繋がりが出るのはまだまだ先ですが)

 読んでくださっている方には何を今更みたいな感じになると思いますが、是非読んでみてください。


 次の更新は明日の20時頃を予定しております。

 明日も明後日も更新しますのでよろしくお願い致します。


 

 

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 厚かましいと自覚しておりますが、感想、レビュー、ブクマ、評価、お待ちしております。 小説家になろう 勝手にランキング
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