4月28日(2)土管にハマった四季咲の巻 ※5万PV達成記念短編
前回までのあらすじ。
四季咲が土管にハマった。
「なあ、兄ちゃん。助けなくて、いいの、……か?」
「い、いや、助けたいのは山々なんだが……その、どこを触って良いのか分からなくて……」
行き場のない両手をワキワキさせながら、俺は土管から生え出た四季咲の尻と足から目を逸らす。
「ん?普通に足掴めば良いんじゃ……」
「その普通が許されるのは小学生までだ」
「じゃあ、土管割るのはどう?お兄ちゃん、そういうの得意でしょ」
「公共のものだから、壊したら通報されかねん」
「こうきょうって何?」
「みんなのものだから、破壊できないんだよ、この土管」
「じゃあ、僕達で引っ張り出すしかないって事か」
「まあ、それで済むのがベストだろうな」
「じゃあ、小鳥遊君は右脚持って。私は左脚持つから」
そう言って、美鈴と小鳥遊弟は四季咲の脚を持つと、引っ張り始める。
うんとこしょ、どっこいしょ。
なかなか四季咲抜けません。
「やっぱ、僕達の力じゃ無理だよ」
ちらりと小鳥遊弟は俺の方を見る。
「引っ張るのがダメなら押してみるってのはどうかな?もしかしたら、上手くいくかもしれない」
「うーん、どうかな。パッと見、四季咲さんのお尻デカいから無理に捻じ込むのは無理だと思う」
「じゃあ、この厚そうなスカートを剥ぐのはどうかな?そしたら、お尻詰め込めるでしょ」
「美鈴、死体蹴りだけは止めて差し上げろ。それ以上、醜態を重ねたら四季咲は社会復帰できなくなる」
「大丈夫だよ、お兄ちゃん。もう手遅れだから」
悪気も悪意もなさそうな笑みを浮かべながら、美鈴は四季咲に死体蹴りをする。
当の本人は土管の中で啜り泣いていた。
「スカートを剥ぐのだけは止めよう。そんな事したら本格的に取り返しのつかない事態に陥ってしまう。美鈴・小鳥遊弟、雫さんを呼んでこい。多分、バイトリーダーの病室にいると思うから。多分、これ、雫さんの助けがないと抜けないタイプだと思うから」
「だいたいしょうち」
「了解、兄ちゃん。ちょっと待ってて」
美鈴と小鳥遊弟を見送った俺は四季咲が入った穴とは正反対の位置にある穴の中を覗き込んだ。
穴の中は暗かった。
ポケットからキーホルダー式のライトを取り出した俺は、土管の中を照らす。
すると、顔を真っ赤にした四季咲の姿が俺の視界に映り込んだ。
彼女は潤んだ瞳で俺の方を見つめる。
その顔は羞恥に塗れていた。
「……………………大丈夫か?」
「……………………君の言う通りだったよ、私は最悪の場合を想定できていなかった」
土管の中が狭過ぎる所為なのか、彼女は手で顔を隠す事なく、目に涙を溜めたまま懺悔する。
「こんな恥辱を味わう事を知っていたら、私はここに隠れようとしなかった。……神宮、なぜ、あの時、私を止めなかったんだ……?」
「いや、俺、止めてたじゃん」
「もっと必死になるべきだったと思うぞ」
「世の中には馬鹿にできる人と馬鹿にできない人間がいてな。お前は後者の方だ」
「馬鹿にできないというのは……私が優秀過ぎるからか?」
「手遅れの馬鹿に馬鹿って言ったらいけないんだよ。冗談でも笑えないから」
「…………私は知らなかったんだ。この土管に頭を突っ込んだ景色を……この景色を教えてくれたら、私は、……こんな愚行、する事なかった」
四季咲は目から涙を零しながら自嘲する。
「いや、本当は分かっている。全部、私が悪い事を。生まれて初めての隠れん坊で浮かれていた私が全部悪い事を。…‥.仕方なかったんだ、数分前の私は興奮していて、土管の中にある景色を想像できなかったんだ。こんな結末になるなんて予想できなかったんだ……」
「これに懲りたら人の話はちゃんと聞こうな」
うん、と涙を零しながら子どもみたいに頷く四季咲。
感情的にならなければ有能なんだけどなぁ、こいつ。
めちゃくちゃ頭の良い人しか習得できない魔術を一朝一夕で習得するくらい頭良いのに、何で色々抜けているんだろう。
「とりあえず、今からお前を引っ張り出そうと思ってんだけど、……その、貴女様の脚を……触ってもよろしいでしょうか?」
この質問する事自体、我ながらキモいと思う。
童貞丸出しというか何というか。
上手く言えないけど、そこはかとなくキモいと思う。
けど、聞かないと聞かないで後からセクハラで訴えられるかもしれない訳で。
「よ、よろしく頼……きゃっ!」
土管の外からスパンという平手打ちの音が聞こえてきた。
「だ、誰だ!?私の尻を叩くの……あいたっ!?」
外から平手打ちの音が聞こえると同時に四季咲の口から痛みを訴える声が漏れ出る。
急いで俺は音源の下へ向かった。
そこには執拗に四季咲のデカい尻を般若の如く形相でぶっ叩く委員長がいた。
「おらぁ!これが欲しいんでしょ!?このメスぶ……」
「うおりゃあ!!」
委員長の顔面目掛けて、飛び蹴りを放つ。
が、委員長は間一髪の所で俺の飛び蹴りを躱すと、俺から距離を取った。
「うおっ!?ツカサンが出てきた!?」
「も、もしかして、これ、……神宮君のお友達ですか?」
地面に着地した俺に話しかける伊紙丸とツインテール娘。
どうやら委員長と一緒にここまで来たらしい。
「ああ、そうだ。ちょっと不慮の事故で友達が土管にハマってしまってな。助けようとしていた所だ」
「どういう事故が遭ったら、土管に身体がハマるんや?」
「これ、自分から身体を捻じ込ませないと入りませんよね?……って、このスカート、聖十字女子学園のものじゃないですか」
「あー、何か見た事あると思ったら、お嬢様学校の人なんか。……え?聖十字女子学園ってワイらの所よりも遥かに偏差値ええ学校やろ?そんな高偏差値の生徒が何で土管なんかにハマっているんや?」
「あ、分かった。あんた、この子と壁尻プレイしようとしたんでしょ」
「な訳あるか」
俺を揶揄う委員長にチョップを与えようとする。
彼女はゴキブリみたいな俊敏な動きで俺のチョップを躱した。
「不慮の事故……?ってもんだ」
「いや、思いっきり"?"ついていますけど」
「故意じゃないとハマらんやろ、こんな小さい土管」
「うわ、このデカ尻、欲求不満を体現したようなドエロ下着履いてんだけど。こんなの履いて壁尻モドキしてるって、絶対こいつ痴女でしょ。てか、こんな下着履いたまま、学生生活送ってんの?どんだけ変態なのよ。流石の私でもこんな下着、酔っ払ってないと履けないわ。ガチでドン引きもんなんだけど」
四季咲のスカートの中に頭を突っ込みながら、ドン引きしたような声を出す委員長。
「いや、今のお前の姿の方ががドン引きものだ」
微かにではあるが、土管の中から四季咲の悶え苦しむ声が聞こえて来る。
もういつ恥辱で死んでもおかしくないくらいに悶えていた。
「もういい。お前ら、さっさと帰れ。じゃなきゃ、中の人が自決してしまう」
「大丈夫よ。こんなエロパン履く奴が自決する程、繊細な訳ないじゃない。多分、私よりも図太いんじゃないかしら?或いは、手遅れなレベルの変態か」
「ちょ、それは言い過ぎじゃ……」
「ちょっと見てみなさいよ、このエロパン。どこで買ったのか謎なくらいにエッロエロよ」
そう言って、委員長は四季咲のスカートの中にツインテール娘を招き入れる。
ツインテール娘は四季咲のパンツを見た途端、ドン引きしたような声を出した。
「うわ……最低限の所しか隠してないじゃないですか」
「こいつ、絶対露出癖持ちよ。こないだ会った変態全裸露出暗殺拳の使い手と同レベルの危険人物だわ」
「なあ、委員長、ワイも覗いてもええか?」
「ダメよ。刺激が強過ぎて、童貞のあんたじゃテクノブレイクしかねない」
「童貞をなんやと思ってるんや!!」
「一生のお願いだ。頼むからお前ら帰ってくれ。俺の友達が自決しかねない」
四季咲のスカートの中身を覗いている委員長とツインテール娘を引き剥がす。
「まあ、そうね。こんな変態にこれ以上時間を割くのは勿体ないし。じゃ、神宮、これからカラオケに行くわよ」
「行けねぇよ。こいつ放って置いたら、警察に通報されかねないし」
「んじゃ、これ、終わってからでも良いから来なさいよ。駅前のカラオケ屋にいるから」
委員長は紐みたいなものを人差し指でくるくる回しながら俺に告げる。
「大体承知。じゃ、お前らさっさとここから立ち去ってくれ」
押し出すように俺は委員長達を公園から追い出す。
委員長達がカラオケ屋に向かって歩き出すのを見届けた後、急いで俺は四季咲の下に戻る。
土管の中から啜り泣く音が聞こえて来た。
「じ、じんぐう……」
「ど、どうした?四季咲?」
「下着、盗られた」
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